はい。どのレベルまで安全に競り合えるかを判断するときに,この法則(合計トリック数の法則, the Law of Total Tricks, LoTT)は,役に立ちますから・・・。
これは,ちょっとむずかしい質問です。
この法則を普及させた Larry Cohen さん(1992年) によると,
初心者 (novice) にブリッジを教えるときでも,LoTT は基本的な (fundamental) 概念であって,絶対に教える必要がある,
と書いています。
現在のビッドのシステムでは,ポイントカウント法 (A=4,K=3,・・・と数えるやり方)がビッドを考える上でなくてはならない
道具ですが,競り合いの状況では,LoTT がこれと同じような意味で重要になるのです。もちろん,LoTT を最初に発見した Vernes さん(1966年) も
同様のことを言っています。
なので,ぼこもこの頃,交流ラウンジで LoTT という言葉をときどき口にするようになりました。ぼこも“LoTTer”になって
しまったのかもしれない。
いえ,いくらなんでもそれはちょっと・・・・・。
ポイントカウント法に頼ってビッドを一通りできるようになることが,
何といっても基本です。それができるようになって,競り合いのビッドに関心を持つようになったら,
LoTT の学習を始めればいいと思います。
それをうまく書けるかと思って書き始めてみたのですが,これがなかなかむずかしい・・・。書き始めて,困っているところです。
申し訳ありません。それで,下に参考になりそうな本とか URI を書き並べてごまかそうとしているんだが・・・。
まだ,LoTT そのものについての説明はうまく書けそうにないのですが,でも,私が LoTT を学習しながら感じたことを 書いてみましょう。少しは参考になるかもしれないですから・・・・・。
[1] LoTT については,インターネットのあちこちのサイトで説明を見ることができます。私もそういうのを眺めたり,あるいは 下に書いてある「25」の本の説明を読んだりしました。そういう短い説明を読んでも,ぜんぜん分かった気がしない。 こういうのは,初めての経験でした。普通,ブリッジのビッドに関することだったら,何か書いてあれば(そして,それに ついて自分で考えれば)それなりに分かるのが普通です。でも,LoTT ばかりは,そうはいきませんでした。
結局,Cohen さんの2冊の本を読みました。それでやっと,おぼろげながら理解できたような感じがして,自分でも
少しは使えるかな,という気持ちになりました。ついでに,きちんと調べてみたいと思って,Vernes さんの本も読みました。
ほんとのところは,自分がどこまで理解できているのか まだ理解できて
いないのですが,でも,なんだか奥が深いように思います。
[2] さっきあなたがおっしゃった二つのことが重要です。繰り返すと
(a) LoTT とはどういう法則か。
(b) LoTT をどう使うか。
この二つです。
理屈の上から言えば,(a) をまず理解して,その上に立って (b) 応用する,というのが筋道ですが, どうも,そういうふうにすっきりとはいかない。(a) と (b) の間を おろおろと行ったり来たりしながら,だんだんと 理解を深める,というやり方しかないようです。(何を言っているのか全然分からないかもしれないが)。
それは(とりあえずは)簡単です。よく言われているように
これの詳しい説明は,インターネットのいろんなページで見られます。
LoTT の安易な学習法として,(c) を鵜呑みにして,実際に使ってみることをお勧めします。
それで結構うまくいく場合が多いはずです。そしたら,どうしてなのか? と自分で考えて,本などを読んでみましょう。
うまくいかなかったら,どうしてなのか? と考えて,本などを読んでみましょう。無責任な言い方に聞こえるかも
しれないけれど,こういうやり方が一番良いようです。
でも,結局のところは,たぶん,(c) だけではだめで,(a) をホントに理解するところまで行かないと ほんとの意味での応用はできないようです。さきほど「言ったり来たり」と言ったのは,そういう意味です。
私もまだ学習中の身なので,今日のところはこれくらい・・・・・。読んでいただけそうなのが書けるようになったら, ここに書いてみましょう。
簡単な例を挙げましょう。これは,Vernes さんの本に載っている例です。
West の 1♥ オープンに North が 1♠ とオーバーコールしました。
| West | North | East | South |
| 1♥ | 1♠ | 3♥ | 3♠? |
そうですね。それで,East が 3♥ をビッドしました。3♥ というのは リミットレイズともサインオフとも取れますが,いまはそれを問題にしないことにして,ここで South が 3♠ をビッドするか /パスするか,というのが問題です。
もしも競り合いがなければ(East がパスしていれば),ポイントカウントを重視してビッドしますが,いまは競り合っているので,ポイントカウントは 問題ではなく,切り札の枚数が重要になります。パートナーの 5 枚と自分のスペードの枚数を合わせて,9 枚あれば 3♠ をビッドします。 8 枚以下ならパスします。
はい。
競り合いの状況では,手の強さのことは忘れて,切り札の枚数だけで決めます。
たしかにダウンすることもあるのです。でもこちらがダウンするというのは,相手の手が良い場合です。そういうときには 相手の方にもともと 3♥ とか,あるいは 4♥ がある。 バルネラビリティーにも依りますが,そんなら自分たちで 3♠ を買ってダウンした方が, 「損が少ないので得」 という考え方です。これが『安全にビッドできる』 という言葉の意味です。
はい。一応はじめに予定していたことは,あらかた書き終えました(2004年1月)。
なるべく読みやすく書いた積もりですが,そんなに分かりやすい話ではありませんから,
ゆっくり丁寧に読んで下さるよう,はじめにお願いしておきます。
それは,簡単です。
「この両辺の数値が等しい」 ということを,LoTT は主張します。
このように,合計されたトリック数について成り立つ法則なので,これを,
合計トリック数の法則 (Law of Total Tricks) ,あるいは,省略して LoTT
と呼びます。
この法則で重要なのは,あくまでも,トリック数の合計について成り立つ,ということであって,
どちらの側が何トリック取れるかについては,何も言っていません。
はい,関係ありません。
この法則から,どの代まで安全にビッドできるかが分かるのです。
たとえば,上の例
| West | North | East | South |
| 1♥ | 1♠ | 3♥ | 3♠? |
| 合計トリック数が 17 の場合のチャート | |||
| 双方ともバル | |||
| N-S play 3♠ | W-E play 3♥ | ||
| N-S Tricks | N-S Score | W-E Tricks | N-S Score |
| 10 | +170 | 7 | +200 |
| 9 | +140 | 8 | +100 |
| 8 | −100 | 9 | −140 |
| 7 | −200 (3♠) | 10 | −170 (3♥) |
| 7 | −500 (3♠X) | 10 | −620 (4♥) |
はい。その通りです。LoTT を理解するには,こういうチャートを自分で計算して作ってみることをお勧めします。Cohen さんの 本でも,演習問題になっていますから。ただ眺めるだけでなく,実際に自分で表を作ってみると よく分かります。
それは,もちろん,その通りです。でも,こんなふうになっているということが大まかに理解できていれば,実際のビッドには困りません。
Vernes さんがこの法則を初めて見つけて提唱したときには,沢山のハンドについて自分で調べて,この 法則がよく成り立つことを確かめました。
何でも,1953〜1963年の間の世界の一流プレイヤーの公開された ハンドを 2444 も調べたのだそうです。とにかく,1966 年といえば,コンピュータはとても高価で, パソコンなんて無い時代でした。ハンドをひとつひとつ調べるという 根気のいる手作業をなさったようです。 その中で,両方の側がプレイした 340 ハンドについて調べてみると,LoTT からのずれが ±1 トリックの範囲に おさまっているのが 272例(80%)となっています。つまり,1 トリックの誤差を許容すれば,80% の場合について LoTT は 成り立っています。
1 トリックをどの程度の大きさと見るかは,人によって違うでしょうね。これを何かと比較する必要があるのですが, Vernes さんは,これをプレイヤーの腕のばらつきと比較しています。このような世界チャンピオン級の上手なプレイヤーが 全く同じコントラクトをプレイした結果を比較すると,平均して 0.52 トリックの ばらつき(たぶん,標準偏差)が あるそうです。つまり,1 トリックの誤差は有意(significant) ということになります。
ぁ,それは確率の議論で使う用語です。この場合だったら,『1 トリックの差は,無視できない誤差である』という意味です。
つまり,LoTT というのは いつでも厳密に成り立つのではなくて,1 トリックくらいの誤差が
あると思わなければいけない・・・ということです。
| 合計トリック数−切り札の合計枚数 | −3 | −2 | −1 | 0 | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 |
| 340 ハンドのうちの場合の数 | 3 | 20 | 65 | 113 | 94 | 30 | 12 | 2 | 1 |
| 割合(%) | 0.9 | 5.9 | 19.1 | 33.2 | 27.6 | 8.8 | 3.5 | 0.6 | 0.3 |
この表から分かるように,LoTT が正確に成り立つのは,33% の場合です。それ以外の場合には,どちらかにずれます。
この点は,その後のコンピュータによるシミュレーションでも確認されているようです。最近,Wirgren さんは,この点
( LoTT が 33% の場合にしか成り立たないこと) を捕らえて,LoTT に厳しい批判を加えています。しかし,
もともとその程度の誤差があることは,LoTT の発見者である Vernes さんが 40年近く前に指摘していたのです。
実際,Vernes さんは,この法則を
“合計トリック数は,切り札の合計枚数に近似的に等しい(approximativemant égal)”
と表現しています。
ところが,Cohen さんの受け止め方は これとは違っていて
“合計トリック数は,どんなハンドでも切り札の合計枚数に等しい(on any deal equal)”
となっています。Cohen さんは,自分の経験から,LoTT が非常によく成り立つと考えたのでしょう。
Wirgren さんの批判は,上記の“どんなハンドでも”という部分,すなわち,“近似的に”を
切り捨てたことに向けられています。
そぅそぅ。LoTT の議論では,そこが一番のポイントだと思うのです。
「なぜ,LoTT が成り立つか?」
あるいは
「どういう前提の下で LoTT は成り立つか?」
ところが,Vernes さんの本には,そういう説明はないのです。
びっくりなさるかもしれませんが,そういう理論的な説明は全く書かれていないのです。
「実際に成り立っていることを 統計データに基づいて検証する」のが重要という考えのようです。
理論的な説明を何か考えているはずだと思って,フランス語の著書をわざわざ買ってみたのですが,期待外れでした。
まぁ,法則というのは定理とは違って証明を必要としない。だから,よく成り立っていればそれでいいのですが・・・・・。
そういうわけで,ここは,自分で考えるしかありません。Cohen さんの本にも,理路整然とした説明は全く書かれていないのですが(これにもがっかり),でも, ノートランプの場合の説明(第7章)から敷衍すると,LoTT が成り立つ理由は次のように説明できそうです。
[a] はじめに,議論の出発点を固めるために,切り札なしの場合を考えてみましょう。ノートランプのコントラクトです。カードがほぼ均等に配られていると仮定すると, どちらかが 7 トリックを,他方が 6 トリックを取る。この場合の合計トリック数は,もちろん,13 です。
[b] 今度は,やはりカードがほぼ均等に配られているとして,スートのコントラクトを考えましょう。カードの分布が
すべてのプレイヤーについて 4-3-3-3 のバランスハンドで,HCP が均等に分かれているとします。この場合,
どちらの側も,切り札の枚数は 7 枚です。したがって,
切り札の合計枚数 = 7 + 7 = 14
です。
次に,取れるトリック数のほうを考えると,どちらの側がコントラクトを勝ち取ったとしても,
余分の(刈り上げに使った後に残る) 切り札 1枚をラフに使えるので,手の強さが均等ならば,
どちらがコントラクトを勝ち取っても 7 トリック取れます。したがって,
合計トリック数 = 7 + 7 = 14
となります。この場合,LoTT は確かに成立します。
[c] ここで,切り札の枚数分布だけは固定して,カードを入れかえます。どういう入れかえでも構いません。
カードを入れかえると,どちらかが取れるトリック数が増えます。でも,その分だけ相手側の取れるトリック数が
減ります。したがって,合計トリック数が 14 であることに変わりはありません。
ここが,LoTT の重要な点です。カードを入れかえると,取れるトリック数はそれぞれ変化しますが,でも,合計のトリック数は変わらないのです。
[d] ここから切り札の枚数を 1枚ふやすと,ふえた切り札はラフに使えるので,取れるトリック数が 1 だけふえます。
つまり,LoTT は,7 枚目以降の切り札がすべてラフに使えることを前提として成り立っています。
ここに,LoTT のもう一つの重要な特徴が現れています。切り札の枚数が重要だということです。
[e] さらに一つ付け加えると,ここでは,ラフで取れる/取られるトリックを除いて,カードの取れ方は,
「攻め」に回っても「受け」に回っても同じだと考えています。つまり,ディクレアラーの立場で勝てるカードは,
同じプレイヤーがディフェンスに回っても,同じように勝てると仮定しています。
たとえば,ディクレアラーがフィネスで取れるカードは,ディフェンスに回っても同じようにフィネスで取れます。
はい,そうです。どこかで誰かが同じようなことを書いてあるはずだと思うのですが,ひとつも見たことがありません。 LoTT に厳しい目を向けている Wirgren さんも,LoTT が成り立つ理由をきちんと書いたものは無いと言っています。 そして,さらに,理論的な説明ができないのだから,合計トリック数と切り札の合計枚数とは無関係である( There is no connection. ) とまで主張しています。
私は,いまのところ,次のように考えています。
LoTT というのは,1 トリックの誤差を許容すれば,かなりよく成り立ちます。
ですから,LoTT が成り立つ大まかな理由を ひとまず上のように考えて理解しましょう。成り立つ理由を理解できれば,
どういう場合に成り立たないかも理解できるはずです。
現実にある程度よく成り立っている法則なのですから,どうして成り立つのかを考えることから,
議論が始まるはずだと思います。
たしかに,数学や物理の法則とはちがいます。「例外なく成り立つ法則」ではありません。
法則からずれる場合もある。実際に使うには,どういうときにどうずれるか,も重要です。この「ずれ」を
予測して折り込むことを,Vernes さんは 補正(corrections) と呼び,Cohen さんは 調整(adjustments) と呼んでいます。
はい。
それがちょっと単純な話ではありません。Cohen さんが2冊目の本を書いた理由の一つが,それをきちんと
説明して,LoTT を使いやすくしたかったからのようです。
いくつかの要因があります。
[1] はっきりしているのは,ダブルフィットがある場合です。この場合には,プラスのほうにずれます。 これが,最大の要因です。上の説明から分かるように,サイドスートについて,LoTT では,HCP の大小により カードの勝ち負けが自然に決まると考えています。「長さ」で勝つことは考慮に入っていません。このため,切り札以外にも 長いスートがあると,合計トリック数が切り札の合計枚数より多くなります。
ただし,ダブルフィットについて,Vernes さんは 「双方に 8 枚以上のダブルフィットがあるときに +1トリック と考える」 と言っています。つまり,二重のダブルフィット( double double-fit ) がある場合です。 ぼこは,一重のダブルフィットでもいいのではないかと思うのですが,なぜ二重の必要があるのかは不明です。 沢山のハンドを分析した結果がそうなのでしょう。でも,二重であることを競り合いのビッド経過から 知るのは,とても難しいと思うのです。
なお,後の方の確率の計算で分かるように,片方に 8 枚のダブルフィットがあるときには,他方の側には 必ず 9 枚以上のフィット または 8 枚のダブルフィットがあります。
[2] ディフェンス向きのハンドは,マイナスの要因になります。たとえば,相手の切り札に Q J x とか Q x x を 持っているようなとき,防ぎには利きますが,攻めには利かないので( x x x でも,3枚目をラフできるので),合計トリック数を減らす要因になります。
[3] 切り札の枚数が 10枚とか 11枚のような場合に,ただそれだけで単純に喜ぶのは危険です。 いくら二人で切り札を沢山持っていても,弱いカードでフィットがあると,切り札が有効に使えません。 LoTT というのは,切り札で切れることを前提にしているので,切り札が多い場合には,ボイドやシングルトンがなければ, 合計トリック数は少なくなります。つまり,ハンドの形(カードの分布)が重要です。この点は,上に述べた『理由』から よく理解できるはずです。
[4] これ以外に考えられる補正としては,「逆ラフ」があります。逆ラフ(adverse rough) とは,ディフェンダ側が
切り札を使ってラフによりトリックを勝ち取ることです。逆ラフは,ディフェンダの持っている切り札が弱くて少ない場合にも
起こり得ます。これが起きると,とうぜん,合計トリック数は減ります。
もともと LoTT では,ディクレアラーが切り札を使ってラフにより多くのトリックを取るものと想定しており
(逆刈りは,想定の範囲内ですが),逆ラフは 全く想定外です。
実戦家である Cohen さんも 逆ラフには当然気づいているはず(そういうハンド例が本には載っている)なのに,
この補正には全く触れていません。オークションの最中に 逆ラフを予測することが 不可能だからでしょう。
ところで,これらの補正をするときに,自分たちの損得と合計トリック数をごっちゃにする危険があります。
判断をするときに重要なのは,自分の側の損得よりも前に,「合計トリック数」がどうなるかをまず
考えることです。「補正」というのは,合計トリック数に対する補正であって,自分たちの取れるトリック数の補正
ではありません。補正した結果の合計トリック数が小さければ,どちらの側にもビッドの余地は少ないし,合計トリック数が大きければ,
どちらの側にもビッドの余地が大きい。--- このあたりの考え方が,ぼこもまだ慣れないのですが・・・・・。
あくまでも 『合計トリック数』 に戻って考えることが大切です。
[5] LoTT からのずれについては,Wirgren さんの研究があります。詳しくは,上のリファレンスを
参照して下さい。これによると,
Cohen さんの本の中の説明以外にも,いろいろの要因があることが分かります。
ひとつの重要な要因は,サイドスートのコントロールです。
たとえば,強くて長い ♦ と弱い ♣ がサイドスートの場合,♦ を使って ♣ のルーザーを消そうとします。
でも,そのためには,♣ のコントロールが必要です。ディクレアラーが ♣Kxx を
持っていれば,♣ のルーザーは 1 トリックで済みます。けれども,
ダミーが ♣Kxx を持っていたのでは,♣ を
全部取られることもあります。つまり,どちらがディクレアラーになるかによって,取れるトリック数に差が
出ます。こういうことは,LoTT では全く考慮されていません。
スートのコントラクトとノートランプのコントラクトが競り合う場合ですね・・・・・。
ノートランプに関心の無い人は,ここをとばして,次へ進んで下さい。
その場合の説明は,Cohen さんの1冊目の本(第7章)に書かれています。
結論は,
もともとノートランプの場合には,合計のトリック数が 13 です。片方が切り札を持ってプレイすると,
切り札のある側は,上の説明から分かるように 7 枚目以降の切り札をラフに使えます。
その結果,合計のトリック数は
13 + ( 切り札の枚数 − 6 )
となります。
「長いスート」が LoTT では考慮されていない,という点は,ノートランプでも同じです。
ノートランプのコントラクトというのは,必要最小限のストッパーと長いスートでメイクすることがよくありますが,
その場合には,合計トリック数に対して,プラスの補正を考える必要があります。
片方がノートランプを目指すと,状況はかなり変わります。
荒れたハンドで,両方が 4 とか 5 の代のスートコントラクトを激しく競り合うような場合には,
合計トリック数が 20 以上というようなこともあります。けれども,片方がノートランプの場合には,
上の式から分かるように,合計トリック数がそんなに大きくなることはありません。せいぜい 2 とか 3 の代の
競り合いになります。つまり,合計のトリック数が,もともと少ないのです。
1NT のオープニングビッドに対して,もしも合計 8 枚の切り札を持っていれば,上の式から
合計トリック数 = 7 + 8 = 15
となるので,2 の代で安全に競り合うことができます。
| 合計トリック数が 15 の場合のチャート | |||
| 双方ともノンバル | |||
| We play in 2♥ | They play in 1NT | ||
| Our Tricks | Our Score | Their Tricks | Our Score |
| 9 | +140 | 6 | +50 |
| 8 | +110 | 7 | −90 |
| 7 | −50 | 8 | −120 |
| 6 | −100 | 9 | −150 |
相手の 1NT にあなたが 2♥ とオーバーコールしました。ハートは,あなたの側に 8 枚
あります。このとき,合計のトリック数は 15 となります。この場合の得点と失点が,このようになるのです。
もしも 2♥ がジャストメークすれば +110 点になります。この場合,もしも 2♥ を
ビッドしなければ,相手の 1NT がジャストメークするので,−90 点となります。
はい。もしも 1ダウン なら −50 点(ダブルがかかって 1ダウンなら −100 点)です。
でも,2♥ をビッドせずに相手に 1NT をやらせると 2メークして,−120 点 --- これが,
LoTT から言えることです。つまり,ダブルを掛けられてダウンするとしても,ノンバルならば 2♥ をビッドする方が
得なのです。
その場合には,話は簡単です。
2♥ が 2ダウンすると,この表から分かるように,−100 点。もしも
ダブルがかかって 2ダウンなら −300 点。
一見そう見えるのですが,2♥ が 6 トリックしか取れなくて 2ダウンするなら,LoTT により
15 − 6 = 9
つまり,相手は 9 トリックを取って,3NT がメイクするはずなのです。
3NT をメイクすれば,相手は 400 点。だから,2ダウンの −300 点でも大成功なのです。
はい。
はい。その通りです。それが 『安全にビッドできる』 という表現の意味です。
はい,そうですね。それで,実際には 6 枚のしっかりしたスートがあれば,2 の代でオーバーコールします。 残りの 7 枚の分布はわかりませんが,そのうちの 2 枚をパートナーに期待します。
はい。スートでのオープニングに対して 2 の代でオーバーコールするのは,その位の強さを保証します。 でも,1NT にオーバーコールするときには,考え方を変えます。
スートでのオープニングビッドにオーバーコールするときには,自分たちがコントラクトを買う可能性もあります。 ですから,「強さ」が必要です。けれども,1NT というのは 16-18 HCP(あるいは 15-17 HCP)という強い手を示している。 ですから,この場合には考え方を切り替えて,「妨害」を主目的に考えるのです。
はい。そういう感じです。
LoTT の理論をもとにすると,上のように,8 枚の切り札を見つけることがとても重要になってくる。 そこで,これを見つけるためのビッド法として,Marty Bergen さんが DONT というのを考えました。
このコンベンション DONT(“Disturb Opponent's NoTrump”)は,上の「25」に説明されています。 簡単にその内容を書いておきましょう。これは,1NT に対抗して,長い 1スートまたは 2スートを 持っているときに,パートナーとのあいだでうまく切り札を選ぶ方法です。
| コール | 意 味 |
|---|---|
| ダブル | (スペード以外の)長いスートがあることを示す。 アドバンサはこれに 2♣ を返すので,クラブが長ければパス,クラブ以外が長ければそれをビッドする。 |
| 2♣ | クラブとどれかの2スートが長い |
| 2♦ | ダイヤモンドと(ハートまたはスペード)の2スートが長い |
| 2♥ | ハートとスペードが長い |
| 2♠ | スペードが 6 枚以上 |
1スートの場合には 6 枚を保証します。さっきも説明したように,この場合には,パートナーが 2 枚持っていることを期待します。
2スートの場合には,低い方のスートが 5 枚,高いほうのスートが 4 枚以上です。
2♥ と 2♠ の場合は簡単ですね。
オーバーコールが 2♣ だとしてみましょう。
この場合,2 の代で 8 枚のスートを必ず見つけられるとは限らないのですが,一応上の枚数(低い方は 5 枚,高い方は 4 枚)を
頭に入れてビッドを考えます。
枚数の分布が 4-4-4-1 のときも,問題はありません。2♦ をビッドします。 すると,あなたがもう一つのスート(4 枚以上)をビッドしますから,8 枚の切り札が見つかります。
うまくいくという保証はありません。そのままパスしてクラブを切り札にするか,あるいは,2♦ を ビッドして,パートナーのもうひとつのスートをビッドしてもらい,それを切り札に決めます。
はい。あります。それは,とても重要です。
普通のビッドができれば,かなりの程度は分かるはずです。
上に引用したウェブサイトなどでも説明されています。
大事なことなので,Cohen さんの 2冊の本でも,その極意が詳しく説明されています。
重複して書くのは意味がないので,それについては省略したいのですが,基本的には,切り札の枚数が
はっきり分かるようにビッドすることが重要です。
たとえば,オークションが
| West | North | East | South |
| 1♥ | 1♠ | 2♥ | 2♠ |
| 3♥ | ? |
ポイントカウントに基づいて普通にビッドする場合には,
良い手なら 3♠ をビッドする
ことになるでしょう。
しかし,パートナーとのあいだで LoTT を重視する取り決めをしている場合には,ポイントカウントを無視して,
スペードの枚数だけで判断します。
North は最初のオーバーコール 1♠ で 5 枚以上のスペードを保証しています。
South のサポート 2♠ は,3 枚以上を保証しています。そこで,North は
スペードが 5 枚ならば パス,スペードが 6 枚ならば 3♠ をコールします。
ここではパスすることにより,5 枚であることをパートナーに伝えるのが大切なのです。もしもパートナーの
スペードが 4 枚ならば,パートナーが 3♠ をビッドしてくれるでしょう。
North の手がちょっと良いからといって 5 枚のスペードで 3♠ をビッドしてしまうと,
South はスペードの枚数を誤解するので,LoTT に基づく判断を正確にできなくなってしまうのです。
それは,むずかしい質問です。
Vernes さんも Cohen さんも,LoTT をひとつの「道具」として考えているようです。「道具」ということの意味を
多くの人に理解してもらうために,4-3-2-1 ポイントカウント法と比較しています。
もともとポイントカウント法の無かった時代のブリッジというのは,ハンドの評価がむずかしかったはずです。
でも,ポイントカウント法が導入されて,ハンド評価をしやすくなるにつれて,ブリッジのビッドは進化してきました。
LoTT もこれと同じだろう,というのです。LoTT という道具を使ってどうビッドするのがよいかは これから多くの人が
考えていくべき課題であって,「我々は 皆,LoTT のパイオニアだ」と言っています。
はい。いつでも厳密に成り立つとは限りません。
上の「補正」のところに書いたようなことがあります。本来,LoTT というのは(切り札の枚数を変えずに)カードの
入れ替えをしても,合計トリック数が変化しないことが「売り」なのですが,実際には,変化してしまう場合があります。
極端な場合には,同じハンドでも,どちらのプレイヤーがディクレアラーになるかによって,取れるトリック数が変わります。
そういう考えもあるかもしれません。
でも,ポイントカウント法と比べてみると,よく分かるはずです。25 pts とか 26 pts あれば
必ずゲームができるというわけではありませんね。たとえば,
26 pts あったからゲームをビッドした ----- それなのにダウンした。
という場合,
だから,ポイントカウント法は不正確だ ---- ポイントカウント法は止めよう!
ということにはならない。
ここのところは,Cohen さんの受け売りをしているだけなのですが・・・・・,LoTT についても同じように考えましょう。
ポイントカウント法が判断の一つの基準になっているのと同じ意味で,競り合いのビッドでは,LoTT を判断の基準として
使いましょう。これまで競り合いのビッドでは判断基準が何もなかったのに比べたら,状況はずっと改善されているのです。
でも,その数字を鵜呑みにするのではなくて,成り立たなかったからというので文句を言うのではなくて,自分で判断するときの一つの
大切な道具として取り入れましょう。
それでは,LoTT をもっと身近に感じられるように,ウィーク2 へ話を切り替えましょう。
はい,そうです。たとえば,
♠ K Q 9 7 6 2
♥ 9
♦ Q 10 8 4
♣ 7 3 ( 7 HCP )
こんな手をもっているとき,いきなり 2♠ でオープンしますね。あるいは,
右オポさんが 1の代でオープンしたときには,ジャンプして 2♠ とオーバーコールします。
ウィーク2(あるいは,2の代のジャンプオーバーコール)の条件の基本は
はい。
あなたがスペードに 6 枚を持っています。
♠ K Q 9 7 6 2
♥ 9
♦ Q 10 8 4
♣ 7 3 ( 7 HCP )
このとき,残りの 7 枚が残りの3人に平均して
配られていると仮定すると,パートナーに 2 枚のスペードを期待できる。したがって,
味方に 8 枚のスペードを期待できます[すぐ下の表(1)で示すように,正確に言うと,この確率は 76 % です]。
ところで味方に 8 枚のフィットがある場合,(後に示す表(2)から分かるように)85% 以上の確率で,相手方には
8 枚以上のフィットがあります。したがって,切り札の合計枚数は,8+8=16 以上です。
ここで LoTT を適用するとどうなりますか?
確かに正確な議論にはチャートが必要ですが,ここではもっと安易な判断基準
はじめに書いた ウィーク2 の条件 (2) というのは,LoTT を知らない人でも,「そうビッドするものだ」と 教えられて使っています。でもなぜ 6 枚か,という理由を知らずに使っているはずです。LoTT を知っていると, 「6枚」の理由が上のように理解できるのです。
はい。
この計算は簡単なので,正確に計算してみました。その結果は,次のようになります。
計算の方法は別のページに説明してありますので,計算式に関心のある方は,そちらをお読み下さい。
| 同一スートでの 自分の枚数とパートナーの枚数の相関 [ 数値は 発生確率(%) ] | |||||||||||||||
| 自分の枚数 | フィット確率 | パートナーの枚数 | |||||||||||||
| 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | ||
| 0 |   1.2 |   0.1 |   1.5 |   7.4 | 18.7 | 27.5 | 24.8 | 13.9 |   4.9 |   1.0 |   0.1 |   0.0 |   0.0 |   0.0 |   0.0 |
| 1 |   3.4 |   0.2 |   2.6 | 10.6 | 22.9 | 28.6 | 21.6 | 10.1 |   2.9 |   0.5 |   0.0 |   0.0 |   0.0 |   0.0 | |
| 2 |   8.5 |   0.5 |   4.1 | 14.5 | 26.7 | 28.1 | 17.7 |   6.7 |   1.5 |   0.2 |   0.0 |   0.0 |   0.0 | ||
| 3 | 18.1 |   0.8 |   6.4 | 19.2 | 29.6 | 25.9 | 13.3 |   4.0 |   0.7 |   0.1 |   0.0 |   0.0 | |||
| 4 | 33.7 |   1.5 |   9.6 | 24.2 | 31.1 | 22.2 |   9.1 |   2.1 |   0.3 |   0.0 |   0.0 | ||||
| 5 | 54.4 |   2.5 | 13.9 | 29.2 | 30.6 | 17.4 |   5.4 |   0.9 |   0.1 |   0.0 | |||||
| 6 | 76.3 |   4.3 | 19.5 | 33.4 | 27.8 | 12.1 |   2.7 |   0.3 |   0.0 | ||||||
| 7 | 92.9 |   7.1 | 26.2 | 35.7 | 22.8 |   7.1 |   1.0 |   0.1 | |||||||
| 8 | 100 | 11.4 | 33.8 | 35.2 | 16.1 |   3.2 |   0.2 | ||||||||
| 9 | 100 | 18.2 | 41.1 | 30.8 |   9.0 |   0.9 | |||||||||
| 10 | 100 | 28.4 | 46.2 | 22.2 |   3.1 | ||||||||||
| 11 | 100 | 43.9 | 45.6 | 10.5 | |||||||||||
| 12 | 100 | 66.7 | 33.3 | ||||||||||||
| 13 | 100 | 100 | |||||||||||||
あなたがたとえば,スペードを 6 枚持っているとします。このとき,パートナーがスペードを持っている確率は
2 枚の場合が 33.4 %
3 枚の場合が 27.8 %
4 枚の場合が 12.1 %
・・・
それで,合計 8 枚ならフィットがあると考えてこれらを合計すると,スペードでフィットがある確率が 76.3 % と
いうことになります。
はい,そうです。
自分で 6 枚持っていれば,4回のうち3回はフィットがあります。
はい。3以上の代のプリエンプトも,同じようにして理解できます。
しかし,それ以外にも LoTT を知っていると理解しやすいことはあります。
あなたもよくご存じの例を挙げましょう。パートナーが 1♥ で
オープンしました。右オポさんがパスして,あなたがビッドする番です。
| パートナー | 右オポ | あなた | 左オポ |
| 1♥ | パス | ? |
| パートナー | 右オポ | あなた | 左オポ |
| 1♥ | パス | 4♥ |
この場合も,LoTT を知っているとよく理解できるはずです。パートナーのオープニングビッド 1♥ は, 5枚以上のハートを保証しています。あなたが5枚持っているので,合計すると 10枚あります。この場合, (下の表から分かるように)相手側には少なくとも8枚のダブルフィット(2スートでの8枚フィット)がある。 合計のトリック数は少なくとも 19 はありそうです。あるいは,上と同じように
はい。その通りです。LoTT を知らなければ,単に「そういうふうにビッドするものだ」とか 「経験と実力のあるプレイヤーの教える知恵」として受け入れられてきたものが,LoTT により 理論的に裏付けられたのです。経験と実力が不十分な一般のプレイヤーにとっては, LoTT によって,ビッドの仕方が理解しやすくなったと言えるでしょう。
それは,自分の経験の中で少しずつ考えていくのが一番いいと思うのですが・・・。
ブリッジのビッドについて,順序立てて分かりやすく説明しているのは,何といっても Mike Lawrence の
本とソフトウェアです。その六つのソフトウェアの中に共通してたびたび強調されるのが,
切り札の枚数です。
今度は逆に,ウィーク2 に答えるレスポンダーのビッドです。パートナーが 2♠ とオープンしました。
| パートナー | 右オポ | あなた | 左オポ |
| 2♠ | パス | ? |
このような場合,4枚のサポートとシングルトンがあれば,HCP とは無関係に 4♠ を
ビッドすべきだと Lawrence は TIP(秘訣)として勧めています。これを最初に読んだとき,ぼこは未だ LoTT というものを
知らなかったので,とてもありがたい TIP だと思って受け止めました。でも,LoTT を知ってしまうと,これは特別な TIP という
ものではなく,当たり前のことのように感じられます。
この例から分かるように,一流のプレイヤーが長年の経験から積み重ねた「秘伝」が,LoTT により裏付けられて,
多くのプレイヤーが近づきやすくなったと言えるでしょう。
「欲張り」の続きですか(^。^)?
Lawrence のソフトウェアを読んでいて,切り札の枚数を強調するのがどうしてなのか,よく理解できませんでした。
著者自身はそれを経験として(あるいは事実として)述べているだけなので,今ひとつ理解できない感じがしていました。
でも,LoTT というものを学んで(とくに,なぜそれが成り立つかを考えてみて),切り札の枚数が重要だという
主張がよく理解できるようになりました。ここで念のために断っておくと,Lawrence がたびたび触れている切り札の枚数
の重要性は,多くの場合,競り合いとは無関係で,どのレベルのコントラクトができるかを判断するときについてです。
これは,「交流ラウンジのビッドから」の中で触れましたが,1♥ (または 1♠) で
オープンしたとき,パートナーからリミットレイズ 3♥ (または 3♠) が返ってきた場合です。
多くの人が採用しているように,Lawrence はリミットレイズが切り札を(3枚ではなくて)4枚保証する
ように強く勧めています。
そして,リミットレイズを受けて,オープナーは もしもシングルトンの手ならば,ミニマムの手であってもゲーム 4♥ (または 4♠) を
ビッドすることを TIP として勧めています。
『余分の切り札がラフに使えると,その分だけ取れるトリック数が増える』 という LoTT の成り立ちの基本がここにも
潜んでいます。
まだ何か?
でも? LoTT というのがよく分からない?
どういうふうにずれて?
はい。その通りです。
どう違う?
確かに,まだ,分かっていません。
LoTT を忠実に守ろうとすると,相手側の情報が確定していない段階ではビッドのしようがないということですか・・・?
LoTT をよく理解なさっている・・・。
実は,LoTT だけでは,ここで行き止まりなのです。考えようがありません。
いいえ,そうではありません。これ以上考えるには,確率について理解していることが大切です。たとえば,あなたが
さっき言ったような場合,
こちらの切り札が 10枚のとき,相手側の切り札が 7枚の確率は?
というような問題です。
ゼロです。
はい。数学でいうゼロです。つまり,そういうことは絶対にありません。
はい。
はい。切り札の枚数の確率分布について計算した結果をお話ししたいと思います。
まずは,簡単な結果から・・・・・。
| 枚数 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 確率(%) | 15.7 | 45.7 | 28.1 | 8.7 | 1.6 | 0.16 | 0.01 |
はい。そうです。 8 枚というのがほぼ 5割の確率で起こります。
その次に多いのが 9 枚で 30% 近い。 9 枚の確率は,7 枚の確率のほぼ 2倍です。
はい。
おっしゃる通りです。で,その意味での確率を計算してみました。その結果が下の表です。
| 味方の枚数 | 相手方の切り札の枚数 | |||||||||
| 7 | 8 | 8d | 9 | 9d | 10 | 11 | 12 | 13 | 確 率 | |
| 7 | 66.67 | 33.37 | * | * | * | * | * | * | * | 15.74 % |
| 8 | 14.81 | 66.67 | * | 18.52 | * | * | * | * | * | 35.41 % |
| 8d | * | * | 32.11 | 47.57 | * | 19.03 | 1.30 | * | * | 10.34 % |
| 9 | * | 23.33 | 17.50 | 25.93 | 15.71 | 14.58 | 2.71 | 0.23 | 0.01 | 28.10 % |
| 10 | * | * | 22.68 | 16.80 | 30.45 | 23.43 | 5.85 | 0.75 | 0.04 | 8.67 % |
| 11 | * | * | 8.48 | * | 48.16 | 32.10 | 9.67 | 1.49 | 0.09 | 1.58 % |
| 12 | * | * | * | * | 41.00 | 41.17 | 14.94 | 2.69 | 0.19 | 0.16 % |
| 13 | * | * | * | * | 24.30 | 48.60 | 22.08 | 4.64 | 0.38 | 0.01 % |
それは,ダブルフィットです。8d は,2 スートでの 8 枚フィットを意味します。 8 枚のダブルフィットは,
9 枚フィットと同等以上のパワーがあると考えて,この表では別建てで数えました。
それから,9d の欄には,[9枚+8枚] と [9枚+9枚] という 2種類のダブルフィットを
合算して集計しています。
それは,ありえない(不可能な)場合です。確率の値が正確に 0 になります。
具体的に考えてみましょう。味方が最高で 7 枚のフィットしかないというのは,2つの場合しかありません。
あなたとパートナーのカードを一緒にして,4 スートでの枚数分布を調べると
(a) 7 - 7 - 6 - 6
(b) 7 - 7 - 7 - 5
この2通りしかありえません。
それで,このとき,相手の側が持っているカードの枚数分布は,どうなりますか?
はい。その通りです。
はい。別のページで確率の計算方法を説明しています。
はい。こちらに 8 枚フィットがあれば,相手側には ほとんど確実に( ほぼ 90% の確率で) 8 枚以上のフィットがあります。
面白いことに,全体として,こちらがよくフィットしていれば,相手もよくフィットしています。
つまり,カードの強さの分布はハンドによってまちまちですが,カードの枚数の分布というのは,
かなり公平なのです。競り合いのビッドを考えるときに,これは重要です。
LoTT に基づく判断が実際のオークションで有効なのは,このためなのでしょう。
それは,こちらが単純な 8 枚フィット(8)ではなくて,2スートで 8 枚フィットがあるダブルフィット の場合(8d)です。 8 と 8d では,状況にかなりの違いがあることが,この表から分かります。
はい。 9 枚の場合がおもしろいのです。
こちらに 9 枚フィットがあると,相手には 60% の確率で
9 枚以上のフィットがある。ところがこの場合,8 枚のダブルフィットも かなりの確率(17%)で起こる。
8 枚のダブルフィットを実質的に 9 枚フィットと数えると,その確率は 77% に上がります。
このことから,次の規則が成り立つと言えそうです。LoTT を使う場合,16 トリックとか 18 トリックの場合には
割に判断しやすいのですが,17 トリックだと判断を迷うことが多い。でも,この結果を見ると,こちらに 9 枚フィットが
あるときは,77% の確率で相手にも 9 枚フィットがあると見なせます。したがって,
それは,プリエンプトでオープンするような場合と関係してきますね。
ひとつ非常にはっきりしているのは
はい。とても簡単です。さっきの 7 枚フィットのときと同じように考えます。
こちらがどれかのスートに 10 枚を持っていると,相手側は,そのスートに
13 − 10 = 3 枚
ですね。さっきと同じように枚数分布を考えると,最高 8 枚のフィットの場合
3 - 8 - 8 - 7
という分布しかありえません。おまけに・・・。
おまけに,8 枚フィットの発生確率は 22.7% です。逆に言うと,77.3% の確率で,相手の切り札は 9 枚以上あるのです。
はい。そう思います。
[付記] 実は,上のような表は,Cohen さんの2冊目の本の末尾 (p.148) に付録のような形で載っています。 そこには 1000 ディールでのコンピュータ・シミュレーションの結果が載っています。また,上記の Cheung さんのサイトには もっと精度の高い数値が載っています。でも,どちらも単純な 8 枚フィットと 8 枚のダブルフィットを区別して いません。10 枚フィットがある場合の相手側の 8 枚フィットはすべてダブルフィットだったのです。
というと?
おもしろいですね。その場合に
−1700点(あなたがバルならば,−2000点)です。
これに対して,相手側の 7 NT は 1520点(相手側がバルならば,2220点)です。
つまり,相手側は バルならば,7 NT をビッドするのが得ですが,ノンバルならば
ダブルを掛けて落とす方が得です(だから,機械的な当てはめは,この場合,危険です)。
取れるトリック数は,この場合
合計トリック数 = 13 + 3 = 16
ですね。これに対して,LoTT が予測するトリック数は,ノートランプの場合の公式を使うと
13 + ( 10 − 6 ) = 17
あるいは,相手側に 9 枚のハートでのフィットがあって,7 ♥ ができるとすると,
切り札の合計枚数は
9 + 10 = 19
です。
分かりました。
話を進める前にお断りしておくと,上のようなことは,もちろん,非現実的です。オーバーコールというのは,
1の代の場合,8 HCP くらいを保証するし,2 の代のプリエンプトでも 5 HCP くらいは保証する。全くのボロの手で
オーバーコールすることはありません。オーバーコールというのは,HCP が少なくても,しっかりした長いスートでするものですから・・・。
あるいは,こういう悲劇が起こらないために,オーバーコールには しっかりしたスートが必要なのです。
実は,これまで触れませんでしたが,LoTT の発見者である Vernes さんがそれについて書いているのです。 ところが Vernes さんの著書(1966)は 英語でなくって,その後 1992年に出た Cohen さんの本(いわば,その応用篇)の方が ずっと有名になってしまった。そして,Cohen さんの本は,どういうわけか これを全く無視してしまっているのです。
たぶん,統計的な考察に基づくのだと思うのですが,LoTT が成り立つ条件について,その結論だけが書かれています。
正確に言うと,書かれているのは,LoTT の成立条件ではなくて
よくそう誤解する人がいるようですが,そうではありません。上の規則も Vernes さんが LoTT と同時に提唱しています。
ですから,本来はこれを「Vernes の規則」と呼ぶべきでしょう。
Vernes さん自身は,この規則を “la Règle de Sept à Douze” と名づけました。英語にすると,
“Rule of Seven to Twelve” ですね。つまり,スモールスラムの代までの競り合いに有効な規則だという意味です。
でも,非常によく使われている規則の割には,ぴったりしない名前なので,この名前は使われず,名無しのままになっています。
この規則に関して言えば,Cohen さんは「チャート」というものによって,この規則を理解しやすくしただけなのです。
もちろん,そのほかに,こういう考え方が実戦で有効であることを身を以って示したのは,非常に大きな功績です。
いいえ,そうではありません。ブリッジで使われるフランス語の術語は,英語と全く似ていないので,読むのに 苦労しました。スートの名前も K, Q, J などの記号も全然違うし・・・。ここでフランス語を添えたのは,英語の抄訳(Bridge World に掲載)のニュアンスがちょぴり おかしいように感じられるからです。
そうですね。そこは疑問に思っています。ここでは,書かれていることをそのまま紹介しました。
後は,自分で考えるしかありません。
ほんとは,Vernes さんも自分の考えを説明してくれるとよかったのですが・・・。この人は,統計学に関心があるらしくて,
ブリッジ統計学者と呼ぶのがいいのかも知れません。とにかく,データに基づいて主張できることだけを,主観をまじえずに
書いていますから。でも,だからこそ,LoTT の信頼性が高いんでしょうね。