岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

 バリアー その7 無駄について ----------------------------------------------

 ゴールまえに速い縦パス。
 追いつけない、とおもったのであろう、その子はボールを追うのをやめた。
 ボールはゴールライン上でとまったかにみえた。
 防禦側にいた著者は必死にボールをクリアしようとこころみた。
 ボールはぎりぎりラインのそとに出た。
 
 試合後、その子にたずねた。
「どうして追わないの。」
「追っても、無駄でしょ。」
 たしかにボールはゴールラインをわった。
 
 無駄か。
 無駄ね。
 
 著者はおもう。
 無駄ってなんだろう。
 
 無駄。
 いってしまえば、きみの人生も、ぼくの人生も、無駄だといえば無駄。
 この世に生きているひととて、すべて無駄だといえば無駄。
 
 ただおなじ時代を生きるひとのなかには、無駄を無駄だとおもわないひとがいて、
 そういうひとがひとりでもいるから、そこに妙な感動がうまれたりして。
 無駄について考えることも無駄なのだろうし、
 それならば、無駄かどうかはどうでもよくって、
 ただあの場面で、ボールをつかまえられたら、やっぱ、いいわけで。
 あと50センチ、ゴールに近い位置にいれば、縦パスに反応できたわけで。
 無駄かどうかが問題なのではなく、考えるべきことはその子のポジショニングである。
 ゴールするのがフットボール。
 得点すれば、たのしいし。
 みんなでよろこびをわかちあえたら、もっとたのしいし。
 
 無駄かどうか。
 無駄という言葉をつかうか、どうか。
 きみはどうであれ、
 著者の辞書からは、無駄という言葉を抜取らなくてはなるまい。(4.15.05)
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