形状記憶のYシャツ、厚手のスラックス、恩師にもらったジャケットをコートで包み込む。
今日は重装備。
「この冬一番の寒さ」
この先どれほどこの言葉を聞くのだろう。もっと寒くなるはずだ。
「確かに寒い。でも、鼻息が白くなるほどじゃないな。どこかで鍵をなくした。どこでなくしたんだ。電話して合い鍵を作らせなきゃいけない。
昨日の夜のは...。
酔っ払いの大声の歌とホステス達の笑い声。下の部屋からは泣き叫ぶ若い女の声と、それをなだめる家族の声。
― 彼女はいったいなにを怒っていただろう?
床に片耳をつけて、その声をじっと耳を傾けていたっけ。
もう一方の耳には遠くからは救急車のサイレンが聞こえ、
窓を開ければ、ホテルと飲み屋のネオンが、
そして、切れかけてチカチカと点滅する街灯が見えた。
東京病ということをいっていたのはピーター・バラカンだったな。
人と情報の過密で、それらを判断する間もなく、
一つのことに集中することができない。
都市にリアリティなんてありはしない。すべてが模倣で模造だ。
この街で安定した思考をえたければ、家に閉じこもって窓を閉ざしているしかない。人工的な光は模造された都市の光より心地いい。
部屋の中にいれば人目に曝されることはない。
情報が欲しければ、テレビ、ラジオ、インターネット。
そんなものを好きなように利用すればいいんだ。
自分の近く、外が見たければカーテン、雨戸を開けてちょっと覗けばいい。」
♪東京の生活は過酷かもしれないね♪・・・・・・Japan "Life In TOKYO"