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今夜も呑んだよA[六本木morph発行のフリーペーパー『morph』7月号より転載] |
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新千歳空港、16時50分。 だるま食堂は、北海道ツアーを終えて東京に帰るところ。 18時50分発の便なので、ちょいとその辺で打ち上げをしようと空港内の飲食街へ。 おいしい北の物(松尾ジンギスカン、なめたがれい、北奇貝、いくら、うに、ハスカップ、ほっけなどなど)はこのツアー中に食べ尽くした為、ここはちょっと趣向を変えて、ドイツ料理店Schones Wasserに入る。 まずはドイツビールで乾杯だ!5泊6日のツアーの打ち上げなので、ちょっと豪勢に、生ハムやら、すごいサラダやら、牛肉のホッペのピール煮など「うふふ」とよだれをたらしながら頼む。 待ってる間に反省会と思いきや、北海道のおいしいものを振り返る、食い意地のはっただるまの面々である。 も 「今日の朝食べた、苫小牧港のマルトマ食堂名物『ホッキ丼』おいしかったねー」 さ 「色が違うのよね、赤じゃないのよ、ほんのーりピンク色。赤は、輸入物なんだって」 も 「市場のおばちゃんが教えてくれたのよねー」 さ 「どうしたの?星野、かなしそうな顔をして」 ほ 「あのお兄さんのことを思い出して…くすん」 も 「ホッキ丼事件だ」 そのマルトマ食堂というのは、港の漁師さん御用達の食堂でいきのいい魚介類があまりにおいしいので有名。口コミで、旅人さん達が食べにくるという地元の食堂である。 名物ホッキ丼を頼むと、あつあつのご飯の上にいきのいい北奇貝がこんもり。ワサビのついた小皿がついてくる。三角巾のおばちゃんが「わさび醤油をかけて、お召し上がりください」と教えてくれる。そして、あつあつわかめたっぷり味噌汁付きっ! だるま食堂の三人が丼を抱えてはぐはぐ舌鼓をうっているその時、事件は起きた。 さ 「まさかねー」 も 「まさか私達の前に座ったお兄ちゃんが、味噌汁をかけて食べるとはねー」 さ 「私、通の人かと思ったのよ。あーこんな食べ方もあるのねって」 一人旅風のお兄さん(30代半ばの人のよさそうな)は、ホッキ丼にあつあつの味噌汁をぶっかけて食べてしまったのである。 さ 「あのバイトの茶髪のお姉さんが、ムニャムニャかけてお召し上がりくださいって、醤油って、はっきり言わないから…」 も 「えー知ったかぶりしてかけちゃったんだから自業自得でしょう。聞けばいいのよ、わからないことはっ」 ほ 「いや、あの三角巾のおばちゃんが、大きな声で『まあっ、みそ汁かけちゃったのお?あらあら、まっずいっしょ。』なんて言うから…、だから、だから」 お兄さんの顔は、恥ずかしくて真っ赤に。線香花火の落ちる一歩手前のようだった。 も 「あら、でも、ちゃんと新たに北奇貝の刺身をもってきてくれたじゃない」 ほ 「黙って食べさせてあげたら恥かかなくてすんだのに三角巾のおばちゃん大声だから店中の人がみーんなお兄ちゃんをみてるのよ。『ああ、味噌汁をかけたんだ』『かわいそうに』『まずいだろうに』って」 も 「横を向いて、まるで弁当を隠して食べる子どものように誰にもみせまいとして食べてたわね。ふふふ…。」 ほ 「笑うなんてひどいっ!ああ、おせっかいなおばさんは、だから嫌いっ!」 も 「悪かったわねっ!」 さ 「まあまあ」 も 「ほらっ、このほっぺ煮を切り分けたから食べなさいっ!」 ほ 「ありがとう」 さ 「お節介もいいもんじゃないの」 も 「すいませぇーんっ!ワインもう一本!」 さ 「大きい声もいいもんじゃないの」 ほ 「は、はい」 3 「乾杯!」 あっ、また乾杯しやがった。 |