今夜も呑んだよF[六本木morph発行のフリーペーパー『morph』12月号より転載]

 2005年11月16日 20時40分 だるま食堂は、笹塚「居食工房 こだわりや」にいた。これから12月にかけてライブ目白押しの為、白熱した稽古を終えての一杯だ。

  まずは、ホッピ−を注文!(そうここは、ホッピ−があるのだ。プリン体がないのでヘルシーよん)するとお店の長野生まれの若いお兄ちゃんが、こう言った。(以下、兄)

兄 こちら、本日のお薦めです。(と壁の白板を指す)

3 は〜い。

 白板を声を出して読む三人。

さ なになに?牡蠣フライと

ほ 馬肉ユッケ。

も 栃尾揚げ。

さ 何にする?

ほ そうさな〜

兄 新鮮ですよー、どうです、全部いっちゃいますか〜。

も え〜、じゃっ、牡蠣フライと馬肉ユッケと栃尾揚げ!

ほ あっ、お薦め全部頼みやがった。

も あたし薦められると弱いのよね〜。

さ 森下はこわもての割に、薦められると駄目よね。

ほ そうそう、師走のアメ横とか行くとおにいちゃんに「そこのおじょうちゃん、たらこ二箱で1000円でいいよっ」とか言われるとつい買ってるもんね。

さ 「わあ安い、いやあん」なんてにこにこしてるうちに、手には魚介類の山が。

ほ 魚屋でも開くのかい?ええ森下さんよ。

も うるさいわねっ。人を盛り上げる仕事をしてるとついつい盛り上げちゃうのよ。

さ だからってね〜。危ないったらありゃしない。ほら、あの

ほ 森下リフォーム詐欺危うし事件!

も ああっ!それだけは言わないでくれっ!

 それは去年の事だった。まだリフォーム詐欺がそれほど騒がれていない時である。

 森下の盛り上げ好きが裏目に出た恐ろしい事件であった。

さ なんでそんなことになったの?

も 家のTVのアンテナが折れてたのが始まりなのよ。

ほ 奥さ〜ん、アンテナ折れてますよ〜。

も そうなのよ。「今近くで工事してるから、終わったら見てあげましょうか?」なんて言うから「いくらぐらいかかるかしら?」って聞いたら「三千円位ですみますよ、多分」

さ その3千円でまず安心したわけね。

も うん。だって電気屋さんに頼んでも一万はしそうでしょ?

ほ で、お願いしちゃった。

も 夜になったら、やってきたのよ。しかも三人で。

さ 三人も?

ほ 若くて活きのいいのが。

も でも、一人は目つきが怖いのよ。笑っても目が笑ってないみたいな。

ほ 心に蛇を飼っているシャ−ッ。

も 三人で、屋根に上がって(森下の家は、平屋のおんぼろ一軒家)「奥さ〜ん、このアンテナもう駄目っすね」「うわぁ、屋根もひどいやこれは」「雨どいもいかれちゃってるよ」

終いには、「よく住んでるね〜」

さ さんざんね。

ほ 森下、怒りましたね?私を怒るように。

も いやいや。いちいち笑顔で答えるわけよ。私が「この家大家さんの手作りなのよ。」と自慢すると若手二人が「ええ〜っ手作り?やるね」私「バンガローみたいでしょ」若手二人「アウトドアっすねー」とかやはり笑顔できてね、そのうち「おかあさん、雨どいの枯葉とっとくよ」とか言ってくるのよ。

さ 調子にのってるわね。あたしゃあんたのお母さんじゃないっ、て言ってやんなかったの?

ほ いつも私に突っ込む様にビシっと。

も それがさあ、その蛇みたいなのが他の二人とは違うトーンで来るわけよ。ちょっとまじですみたいな感じで。

さ なんか怖い。

も 「これ今修理しないと絶対やばいですよ。雨どいがうまく機能してないから、屋根腐って雨漏りしますよ。」

ほ きたきたきたー。

も そこで「ええーっ?」と期待通りの反応しちゃって。

さ 馬鹿馬鹿馬鹿。

も その蛇は畳み掛けてくる。携帯電話片手に「今親方に相談したら、他の工事で余ってる材木で安く直してやれって言ってるんすよ。どうします?」と来た。

ほ 携帯は繋げたまま?

も そう。で、煽る訳よ。「どうします?今なら三万円でなんとかします。普通10万はかかる」って。

さ その時他の二人はどうしてるの?

も さっきの盛り上がりを忘れたかのように、じっーと静かにこっちの成り行きを見てるの。

ほ ひー、怖いっ。

も そうなのよ。しかも夜でしょ。三人の男に囲まれ、携帯片手に「どうする?どうする?」

と来られちゃね。

さ 「はい」って言っちゃったの?

も もう何度も「家はお金ない」って言ったんだけど、蛇が「2万7千にするって親方が」

って言った時、もういいやぁ〜「じゃあ、それで」って言っちゃったのよ。

2 ああ〜。

も でも、結局旦那が帰ってから「怪しいぞ」ってんでクーリングオフの電話をしてくれて、事無きを得たんだけどね。

さ よかったわ〜。

も ところが、この間テレビでリフォーム詐欺で上げられた会社の事やっててね、びっくり。あたしがひっかかった「K」だったのよ。

2 ええーっ!

ほ 危ない、危ない。

兄 お飲み物追加いかがですか?

も はいっお願いします。

さ あ、また薦められて

ほ 危ない危ない。

も 薦められてもいいものはいいっ!

さ それはそうね。

ほ ホッピ−に罪なしっ!

3 乾杯!

ああ、また乾杯しやがった。気をつけろ森下。