ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」がオリジナルですが、共通点はショッピングセンターが舞台だということだけ。全く別物のホラー映画です。

「トロイ」「ビッグ・フィッシュ」など話題の大作が公開されている中、なぜ私はそれよりも先に本作を観たのか。魅かれたのか。

「人を殺してみたい、殺されるところを見たい、傷つけたい、傷つくところが見たい」私は多くの人がその欲望の虜ではないかと考えます。映画、ドラマ、ゲームいずれにせよほとんど多くの作品で人は殺し、殺され、傷つき、傷つけあいます。

人が殺されること、傷つくことの肉体的痛みや、肉親、家族を失うことの悲しみは理性を超える感情の動きであり、一番イメージしやすい感情でもあります。エンターテインメントビジネスのサスペンス、ホラー部門はその感情を刺激することで成り立っています。

そしてそれを表現する一番インスタントなモチーフが「殺人事件」です。

「刑事」「殺人犯」という人種とほとんどの人は知り合う機会がありませんが、エンターテインメント作品の主役の多くは彼ら。これはエンターテインメントビジネスが始まって以来多くの作品で何十年も変わらない人気の設定です。

この設定では大変簡単かつ自動的に「正義」「社会性」といったモラルが作用し、善悪が分別され、殺人シーンを表現する必然が生まれます。

「ゾンビ」映画の魅力はそのまどろこしさを強引にふきとばしてしてしまうことです。

肉体的には人間だけれども、一度死んで生まれ変わった凶暴な怪物を壊すことに基本的にモラルは必要なありません。なにせ登場人物たちは自己防衛のために戦っているだけですから。

でも、戦う相手の見た目は間違いなく人間です。観客たちは「人が殺される」「車に押しつぶされる」「肉体が吹き飛ぶ」。普段では決して見ることの出来ない人間の肉体的損壊に快感を覚えているはずです。「だってゾンビだもんね」っていうエクスキューズの中で・・・。

作品中、かつての映画スターに似たゾンビを射殺して遊ぶゲームをするシーンがありますが、これはまさに登場人物を借りて観客の心理、肉体損壊を見て得る快感を表したシーンです。

まあ悪趣味ですね。人間の暗い部分を考えさせてしまうジャンルの映画です。

またこの手の映画はラストが難しくなってきています。
ジェームスキャメロンに始まった「終わったと思ったら、またかよ」インフレラストに慣れてしまった今、どうしたら「結」のしまった映画になるのか。ここが決まらないとただのビックリ箱、ジェットコースタームービーとなってしまいます。それでもいいんだろうけれど、本作の製作者は苦しみまくったみたいです。

最近では同じゾンビ映画の「28日後・・・。」のロードショー版の結末が良かったね。



Ohirugohan
LE CINEMA

ドーンオブザデッド 2004年5月22日
チネチッタ川崎
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