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特定非営利活動(NPO)法人

眼炎症スタディーグループ

会員コラム
Vol.6

義兄の退職

齋藤俊志

40数年前、山林業を営む義兄が「お前が退職する頃、俺も仕事を辞めよう。これが俺の退職金だ」と言って杉の苗を植えた。今、その杉は亭々として空にそびえ山裾に濃緑の美林となっている。しかし義兄の言う退職金にはならなかった。杉が売れないのだ。売っても運送費も出ない赤字となる。何故か?東南アジアやロシアなどの安い外材が輸入されているからである。資本の論理だけで熱帯のジャングルやシベリアのタイガ地帯の森林が消滅し、かけがえのない自然の生態系が崩されていっている。

国内においても山地にちょっとでも入ればすぐ気付くが、山林や田畑は荒れて廃屋が目立つ。山腹は痛々しく切腹されたように、利用する人もいない立派なスーパー林道や広域農道が通り、台風のたびに土砂崩れを起こす。水源涵養するはずの山林や田畑は保水能力をなくし、雨水は洪水となって下流の都市部を襲う。日本の地方は過疎高齢化が進み、農家も減少し、食糧自給率は40%をとっくに割っている。世界では貧困にあえぎその日の糧もなく飢えて死んでゆく人がいるのに、TVなど見ているとグルメだとか大食い競争とか言っていかに無駄なことをしているのだろうか。


義兄の退職金の話が発展したが、私達一人一人の生活は世界につながっているということなのだ。逆に言えば、私達の小さな行動の一つ一つが世界につながり地球の存亡にもつながっていくのだ。

世界の人口は63億を越したという。地球はますます重くなってゆく。自然の中の一種の動物にしか過ぎない人間は、今まであまりにも地球からの贈り物を粗末にしてきた。自然に対して謙虚でなかった。人為による地球の温暖化は数々の深刻な問題を引き起こしている。今度のハリケーンもかつてないほどの被害をアメリカにもたらした。

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昔の人が自然への畏敬と感謝を持っていたように、地球に住む人類一人一人が世界規模で、限りある地球からの贈り物を後世に引き継ぐ努力をしなければならない。


ごまめの歯軋りかもしれないが、71歳になる老人は大型台風14号が風の強さを増し大粒の雨が窓を激しくたたく中、大災害が起こらないことを念じながらこう思った。(2005年9月6日記)




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