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特定非営利活動(NPO)法人

眼炎症スタディーグループ

会員コラム
Vol.7

聞き上手

花岡朗子

雪国に初雪のニュースが聞かれる晩秋になると、いつも思い出す風景がある。結婚して過ごすことになった雪国信州の生活は、私にとって初めてのことばかりだった。車のタイヤをスタッドレスタイヤに交換し、かなり早い時期に暖房の灯油を準備しなければならず、スーパーの店先には見たこともなかった野沢菜の束が所狭しと並べられた。昔に比べればお手製の野沢菜漬けを作る人は少なくなったというが、信州ではどこのお宅に伺っても、必ずお茶請けには野沢菜漬けと沢庵が出された。冬は一日中マイナスの気温、時には1メートル先も見えない吹雪の日もあり、雪の日が続くと雪かきが日課になった。


信州の人はどちらかというと初対面は取っ付きにくく、言葉数が少ないのでなかなか打ち解けにくい。しかし少し慣れてくると、とても親身に相手のことを労ってくれ、じっくりと人の話を聞いてくれる。厳しい環境に育まれた風土も関係しているのだろうか。

何でも感情任せにしゃべり続ける人が多い私の育った温暖な地域とはかなり違い、全てのことが新鮮で考えさせられることばかりだった。雪が融けて長い冬が終わると、雪に埋もれていた草木が芽吹き、梅、桜、れんぎょう、木蓮などの花が一斉に咲く信州の春は圧巻で、この世のものとは思えなかった。この春があったからこそ、極寒の冬を耐えられたのかもしれない。


column_autumn

ここ数年、誰もが忙しすぎるほどの毎日で、心の余裕をなくして悩みを抱えている人がとても多い。愚痴や悩みを他人に話しても「あなたはまだマシよ」などとアドバイスされてかえって落ち込んでしまい、自分の気持ちを外に吐き出せずに心身を病んでしまう人が大勢いると聞く。

そばにいてただ話を聞いてくれる人がいるだけで、どんなにか心が休まるだろう。大きなことは出来ないが、信州人のような聞き上手になりたい、と最近しみじみ思う。(2005年10月31日記)




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