ドイツシリーズ
1 神聖ローマ皇帝カール4世

ドイツは中世には神聖ローマ帝国という形だったため、オーストリアシリーズと重なる部分があります。その部分はオーストリアシリーズに譲るとして、最初に登場するのは(厳密にはドイツではありませんが)神聖ローマ帝国皇帝カール4世のコインです。
カールは当時ベーメン(ボヘミア)王、したがって当時の帝国首都はチェコのプラハです。写真は親がチェコに旅行に行ったときに買ってきてくれたレプリカコインです。カールは高校世界史のレベルでは、7人の選帝候を定めた「金印勅書」を出したことしか伝わっていません。
2 プロイセン王ヴィルヘルム1世

これは統一ドイツ帝国が成立した1871年のコインですが、ドイツ帝国のコインが発行される前のものだと思われます。通貨単位はターレルで記載されています。
3 ドイツ皇帝兼プロイセン王ヴィルヘルム1世
同じヴィルヘルム1世のコインですが、これはドイツ帝国の2マルクコインです。表面のタイトルは「ドイツ皇帝、プロイセン王」になっており、裏面の国名はドイツ帝国と記されています。次の「バイエルン王オットー」のコインと同様、ドイツ帝国が連邦制をとっていたことがわかります。

3 バイエルン王オットー(統一ドイツ帝国時代)
ドイツは中世には神聖ローマ帝国という形で領邦主権が強く、統一ドイツ帝国になってからも領邦の権利は残っていました。このコインは、統一ドイツ帝国成立から40年近い1908年のコインです。ドイツ帝国になってから長いのに、表の表記は「バイエルン王オットー」と記されています。これは2マルク以上の貨幣の発行権が各領邦に残され、帝国が発行権を持っていなかったためです。したがって、バイエルンで発行されたこのコインは、裏面は皇帝ヴィルヘルム1世のものと同じデザイン(国名表示はドイツ帝国)でありながら、表面はバイエルン王国のコインとしてのデザインになっているのです。現在でもドイツは地方分権の強いところですが、コインの世界からもドイツ帝国が連邦制によって成立し、プロイセンが他の領邦を征服して成立したのではないことを知ることができます。

4 ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世
ヴィルヘルム1世と同じく、表面は「ドイツ皇帝、プロイセン王」です。有名な「カイゼルひげ」が見えます。

最近、表裏にウィルヘルム2世とビスマルクの肖像がついたメダルを入手しました。「1894」の文字が表裏に分かれて書かれていますが、何を記念したメダルかは不明です。

5 ワイマール共和国1マルク紙幣と加刷10億マルク紙幣
インフレで有名なワイマール共和国時代の紙幣です。5〜6ケタの紙幣は、場合によっては1枚100円程度で入手できます。ところが、1マルク紙幣は(300円で買いましたが)あまり見ません。これと、高額面の紙幣を並べて見せることで、インフレを実感させることができると思います。

高額紙幣も様々ありますが、ここで紹介するのは1000マルク紙幣に加刷して作られた10億マルク紙幣です。もとの紙幣の表裏に、赤字で「Eine Milliarde Mark」と加刷してあります。100万マルクだと思っていたのですが、最近「Milliarde」は「10億」だということがわかりました。

6 ワイマール共和国1兆マルク紙幣、1レンテンマルク紙幣
1923年の天文学的インフレはものすごい額面の紙幣を発行させることになりました。写真は1兆マルク紙幣。ほかにも違う額面のものが数枚あります。そして、シュトレーゼマン内閣がインフレ収拾のために発行したレンテンマルク紙幣。前述のように1マルク紙幣と比較させています。本当は、100万マルク札と同じ大きさの紙を使って、1レンテンマルク=1兆マルクがどれぐらいの札束になるのか、視覚的に表現できるといいなと思いながら、10万枚も紙を使えないのでやっていません。なお、レンテンマルクの裏面は印刷がありますが、1兆マルクの裏面は印刷がありません。


7 ワイマール共和国大統領ヒンデンブルク
このコインは、表のヒンデンブルクの顔は大した価値がありません。それよりも、裏側の方が価値があります。ナチスドイツのシンボルである「スワスチカ(鉤十字)」がついています。アドルフ=ヒトラーがワイマール共和国の制度下で権力を握ったことがわかります。

8 トマス=ミュンツァー
ドイツ民主共和国、つまり旧東ドイツの5マルク紙幣で、ドイツ農民戦争の中心的指導者であるミュンツァーの肖像がついています。ミュンツァーは単なる反乱の指導者というわけではなく、宗教改革のリーダーの一人でもありました。彼の主張は「神の国」の姿は、初期のキリスト教徒のコミュニティがそうであったような原始的共産主義社会であった、というものでした。旧東ドイツが国の顔である紙幣に採用した理由がわかりますね。

9 プロイセン改革の指導者シュタイン
ワイマール共和国時代、ウェストファリア地方で発行された、1マルクコインです。2002年は午年ということで、正月のコインフェアでは多くの店で扱っていました。このコインの最高額面のものは1兆マルク、ワイマール時代のインフレの象徴とも言えるコインです。裏面にはナポレオン時代にプロイセンでいわゆる『シュタイン−ハルデンベルクの改革』を行ったカール=フォン=シュタインの肖像があります。このウェストファリアのコインは額面が各種あって大きさも異なりますが、肖像はすべてシュタインのはずです。

ワイマール時代の最高額面貨幣である1兆マルクコインは巨大なもので、値段も数万円します。さすがにそれは(見たことはありますが)手が出せないので、高額面のコインは無理だと思っていたのですが、最近インターネットオークションで5000万マルクのコインを2種類入手しました。同じ5000万マルクコインでも、後から発行されたものは資源節約のため一回り小さくなっています。同額面のコインでもインフレの影響があるようです。
10 プロイセン王フリードリヒ2世
1986年に旧西ドイツで発行された、フリードリヒ2世没後200年記念の5マルクコインです。フリードリヒの時代のコインは入手しにくいようです。インターネットオークションで入手しました。

11 マルクスとエンゲルスの東ドイツ紙幣
これも旧東ドイツの紙幣で、8のミュンツァーと同じシリーズのものです。100マルクがマルクス、50マルクがエンゲルスの肖像です。

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