ワッシャー TRASH
Up Data 05/24
「The Word」
Up Data 05/17
「Down and Out」
Up Data 05/14
「Mr.SOUL」
Up Data 05/03
「閉塞」





「ぼやき」

1998/05/31.ICCH


98年の5月最後の日。
これはいけない、感傷的な気分だ。
どこにでも転がってるような見飽きた景色の日常ってのが、勝手に終わっていきます。
挨拶もしやがらない。日常にとっても、俺らなんて取るに足らないもんなんであろう。
本来なら月の最後はメールマガジンに、今月の航行記録ってのを載せて
発行しなければならないのに、ついここに寄ってしまってお茶まで飲んでます。
現在、夜の11時過ぎ。力を振り絞って、何かを掴もうと躍起になっている。
自分にとって、ものを書くという事は、何かを得るに等しい作業である。
文章にまとめ、整理しないと、すぐに容量を上回った亡霊が騒ぎ出し、体内から幽体離脱、
右耳から左耳へと素通りした約束事を、その幽体が持ち逃げして二束三文で叩き売り、
それに気付かない自分は、不履行の汚名を負わせられ、菓子折り持って陳謝、
相手にその菓子折り投げ返され、「オ、オマエの所為で!」と逆上され、
つ、疲れた。何を言っているのか自分が分からない。
そんな訳で、日々、何かを忘れ、何かを捨て、何かに追われて生活がつづく。
このTRASHは、非表示ということで、これを読んだ人 どうか見なかった事にして下さい。



「The Word」

1998/05/24.ICCH


よっこらしょっと。今、この瞬間、書きたい事って何だろう?
捕まえなければならない言葉は?
言葉ったら、無尽蔵に流れ出すくせに、肝心な時、姿をくらますから厄介だ。
突然、失語症に襲われたり、思ってもみなかった言葉が不意に口から出てしまったりする。
そうして、仲違い、そんな不意の台詞で二度と 会う事が侭ならない関係になったりする。
一度、突け放してしまうのも手かも知れない。言葉を捨てるという事ではなく
言葉の世界に住んでいるのだから、ちょっとだけ距離を措いてみるという事だ。
一寸離れて眺めてみれば、なぜそんな言葉に熱くなり、他人を傷付けたのか
自身もなぜそんな言葉に鼓舞させられたのか、気付くはずである。理論的にはね。

言葉に遊びを持たせる余裕。
だから、"はっぴいえんど"の硝子越しの風景が、とても似合うのです。
だんだんと、様々なものに距離を以て接するようになる。
自身は安全な場所に居て、フィルター越しにそれを認知するようになる。
また、その時期を通過すると、その惑ろっこしいオブラートの様な膜を引き裂きたくなり
空気に触れると萎縮して、すごすごと膜の中へ退散し、着膨れする。
我々は本当に、砂を掴み、砂を噛んだろうか?
実際は、まだ背広一枚をもったいぶって脱いだだけじゃないのか?
それでも生きていく。夏には冷房装置、冬には暖房装置がフル稼働する。
環境や体調などお構い無しに、ただ楽をしたい、鈍感でいたいが為に。
不快を無きものにし、不愉快を陥れる為に、科学の粋を総動員する。
それで誤魔化せればいいのだけど、時々、つまらない野性が顔をもたげ
本性を露にするのだが、結局は諦めて社会に黙するか、無茶な奇行を演ずるか
うやむやに自身を言い聞かせ、クーラーの恩恵に与る。

言葉は便利である。言葉が全てである。初めに言葉ありきだ。
それは、言葉がもうずっと長いこと、世界を巣喰い、救い、どかっと人類の中枢神経に
腰を落ち着かせ、長居をしているからに他ならない。
嫌な来客ではない。それどころか、もはや客ではなく、自身がそこに住み始める前から
その土地に元々住む先住者だ。敬意を払って、付き合わねばならない。
そうしないと神隠しに合うであろうことは、明白であるのだから。

Say the word and `ll be free
Give the word a chance to say.
That the word is just a way.
Say the word of Love.

BEATLES "RUBBER SOUL" 「The Word」より



「Down and Out」

1998/05/17.ICCH


ちょっと方向性を変えていきたい、と思った。
最近、これを読んでくれたというメールが舞い込み、嬉しい反面、ちょっと憂鬱にもなった。
以前のものを読み返してみたら、益々、煩悶、こりゃちょっと非道い。
丁度、このページを始めた一年前に、言われた言葉を反芻する。
「あなたは、自分が、自分の、自分はと、自分の話ばかり。自分以外の事は眼中にないのでしょう。」と。
はい、その通りです。この「TRASH」という記号の下には、見え透いた自分がたくさんだ。
基本的に(これも自分自身に照らし合わせての話)人と人のコミュニケーションでは
完全に分かり合えるとは思っていない。不完全な疎通ならあるだろうけれど。
ましてや悪意や無関心が、そこに混入しているのなら絶対に無理だ。
だけど、無理だろうと、なんだろうと、生活していく為には、意思の伝達が必要で
独り孤高を決め込む訳にはいかない。それが社会だと思います。
完全には無理でも、気の合う人同士、互いに分かり合う努力をするものです。
虚像でも虚構でも、互いが信じられれば成立する。
だから、それは事実では無くても真実ではあるのです。客観視しない真実です。
本当の事を言ったら殺されると、RCサクセションは歌いました。
兼ね合いが難しい。本当が混入していないと言葉は宙ぶらりんになるから。
話がどんどん横道にずれていく。 そう、自分は自分の話しか出来ない。
といった言い訳をしたかった。容易にアクセス出来るのは、自身だけだからだ、
他人の事は知らない。知ったふりは出来ても、アクセス方法が単純でないからだ。
言葉を使ったり、道具を使ったり、想像力を働かせたり、手段はたくさんあろうが
その時、他人は真っ赤な舌を、心の中でちらつかして、せせら笑ってないと誰が言えるだろうか。
一番、楽な心持ちで話せる事は、自分自身の事だけである。
あとは、どこの言葉尻を押さえて、捕獲するかだけである。
そして捕獲したものを、自身に照会して、真実とするのか虚言とするのか判別する。
そこで他者は待ったをかける。おい、その言葉はまだ思考途中だ、返してくれ。
いや、もう結論は出た。帳消しには出来ない。その返却を求めた事も範疇に入れて
計算した結果、君は、、ちょっと言いにくいけど、ゴホン、つまらない奴だねぇ。
はははは、予想通りの答えだね。これも作戦の内だよ。浅墓だねぇ。
なに愚弄する気か!表へ出ろ! ということになり、いや、ならないです。
と、ここまで書いてきてみて、結局はいつもと変わらない景色に辿り着いてしまった事に気付く。
やはり自分は自分以外の何者でもない。そして自分自身を語るしかない。
どこで終止符を打てばいいのか、見失ってしまった。
結局、生活ってのは、読点の連続なのだろう。
一昨年のテーマソングはこれでした。

JOHN LENNON "Nobody Loves You (When You`re Down and Out)"

打ちひしがれているとき 誰も愛してくれない
有頂天になっているとき 誰も見てくれない
誰もが金儲けに アクセクしているとき
ぼくたちは お互いに背中をかきあおう

ぼくは向こう側にも行ってきた
君にぼくのすべてを見せた
もう隠していることなど 何もない
だけど 君はこう尋ねる 「愛してる?」
なぜ、なぜなんだ
ぼくに言えることは唯ひとつ この世はショービジネスさ

打ちひしがれているとき 誰も愛してくれない
有頂天になっているとき 誰も見てくれない
誰もが金儲けに アクセクしているとき
ぼくは君の背をかき 君はぼくの背をナイフで傷つける

ぼくは今まで海を何度も越えてきた
片目の魔法使いが盲人を導いているところも見てきた
なのに 君はこう尋ねる 「愛してる?」
何だって、何だって?
指を触れるたびに それはすり抜けていく

朝 まだ暗いうちにぼくは起きだし
鏡を覗く ooo wee!
そして、再び暗闇に身を横たえる
もう とても眠れそうにない ooo wee!

年をとって白髪になったとき 誰も愛してくれない
気が動転しているとき 誰も君を必要としない
誰もがくちぐちに 自分の誕生日について叫んでいる
そして、君が地下深く眠るとき
皆は 初めて君を愛してくれるだろう


「Mr.SOUL」

1998/05/14.ICCH


基本的には、幼い頃から何も変わっちゃいないのだろうけど、やっぱり
生活の技巧に長けてきます。目が白く澱んでいる。
必要に迫られた変身を繰り返し、適応していく。特に生活に付随した、例えば
歯を磨くだとか、髭を剃るだとかいった、長年繰り返し訓練してきた 日常の動作など
無意識に行える、たとえHIGHになっていたとしても。
睡眠薬を飲みつつも眠る事を拒絶すると、ある瞬間に意識を失う。次の朝、驚く事は、
その気絶した状態で夢遊病者の如く、日常の作業をこなしてるという事だ。
それぐらい、我々は日常に飼い慣らされている。

話し合えば分かる、、わけないじゃんか。
筒井康隆の小説にそんなのがあった。怪獣が都市を襲う。
TVドラマの特撮で慣らされた市民は、親しみを込めて、その怪獣に近づく。
怪獣はなんの感情も無く、蟻でも踏み潰すように、駆逐していく。
女、子供、善人、悪人の区別無く、踏み潰す。ただの爬虫類だ。
よく政治家に直談判に行き、話が聞いて貰えたと嬉々としている輩がいるが
哀れだ。人喰い人種に、日本語は通じませんよ。
過去の、殿様に会う事さえ至難の業であった時代は、幸せだった。
苦難の道のりが、充足感を満たすから。例え、叩っ切られてもね。
話し合っても、お互いの場所がある限り、妥協しない限り、分かり合えることなんてない。
だから、互いの感情がほつれてる時に話し合いだなんて、怪獣に駆け寄ってくようなもので
そこに譲り合う気遣いや、優しさや、愛が無い場合、コミュニケーションは成立しない。

「砂の惑星DUNE」の完全版をビデオで観た。宗教映画だった。
中学生の頃、映画館で観た時には意味が分からなかった。
それにしても、ちょっと鼻につく勧善懲悪さだった。
いったいあの主人公はなんなんでしょうか。革命は屍の山の上で成就するのか。
慈悲のない戦いと、復讐劇、そして悪人は悪人、善人は善人というだけ。
いや痛快娯楽的なものなら楽しめただろうけど、その復讐を味気ないものにしてしまっているのは
伝説の英雄の復活などといった、彼を神格化する付加価値の所為ではないだろうか。
伏線が予知夢で現われたり、複雑なようで、実は単純明快な癖に気難しくしちゃって
文句たらたらですが、本当はあの最後の、主人公の勝ち誇った 態度が気に喰わない。
妹に個人的怨恨まで手伝わしちゃったりしてね。
すっかり、その映画の術中に陥ってしまったのかも知れない。
太宰の言葉。
「私は映画を馬鹿にしているのかも知れない。芸術だとは思っていない。
おしるこだと思っている。けれども、人は、芸術よりも、おしるこに
感謝したい時がある。そんな時は、ずいぶん多い。」
「映画を好む人には、弱虫が多い。心の弱っている時に、ふらと映画館に吸い込まれる。
心の猛っている時には、映画なぞ見向きもしない。
時間が惜しい。」

Mr.SOULに会いに行きたい。自身の中に潜む彼に会いたい。

NEIL YOUNG "Mr.SOUL"

ハロー、ミスターソウル、
理由を知りたくてアンタのところに寄ったのさ
僕の頭脳が 今 旬だという考えについて
僕の表情は なぜ 群衆の中でほころぶのか
思いきって 態度を 変えようと思うけど
見ず知らずの奴が 僕に 嫌がらせをする

僕が塞ぎ込んでいると
メッセンジャーが手紙を持ってきた
僕は ショックを 受けたという
ファンの激励で立ち直った
世界中のどんな女の娘でも
簡単に 僕を 知ることが出来るんだ
「あなたって不思議な人ね、でも、そのままでいて」
僕は 彼女に 言わせておいた

そのうち 僕の笑顔は 石膏像に変わるんだろうか
病気の 道化師が 悲劇的な手品をやる時は集まれ
僕の頭の中のレースと 僕の顔は
目まぐるしく変わっていく

そんなに不思議かい 僕は変わっていく
なぜ彼女なんかに 聞いたんだい

そんなに不思議かい 僕は変わっていく
彼女に 尋ねたらどうだい




「閉塞」

1998/05/02.ICCH


5月、息苦しい季節です。毎年、あまり芳ばしくない時期なのだ。
またこの黄金週間は雨なんぞが降っていて、湿気に全身パックされてるよう。
どんどん、下降し、レコードを介して自身の内部に素潜りします。
グランブルー状態。どれだけ潜っていられるか試すには絶好の機会だ。
閉塞の均衡を破るのは、Albert Aylerのサックスの音。大音量だ。
こんなに深くまで届くのだから、相当、得体の知れないエネルギーである。
世界は広い。言葉で補えない部分を、自分自身の声(方法)を使って表現する。
自分は狭い。何時だって閉塞だ。装うことだけに長けているんではないだろうか。
そして周囲の発散するエネルギーを選り分け、取り込んで消費する。
使い込んでしまったらいけないんだって。浪費だよ。それではダメだ。
転化していかねばいけない。暴飲暴食は慎まなければならない。
大食家や美食家などは、問題外だ。何でも口に入れればいいってもんでもないだろうに。
どんなに美味しいものでも満腹時には受け付けない。時間外特別料金ですよ。

自分の文章、思想、展開は、決して既成の枠をはみ出しはしない。
その場、その都度の適切な表現と思えるものを、拾いあげあつらうだけだ。
性急なのだろうか。一遍の物語さえ、手に負えない。
だから羨ましいのです。羨んでばかりいて、惨めにさえなります。

THE BAND "STAGE FRIGHT"

今、独りぼっちの子供の心の奥深くに
これまでの行いが重くのしかかっている
人は哀れなこの子に
富と名声を与えた
その日以来、彼も変わったのだった
ごらん、舞台負けした男を
懸命に役を果たそうとそこに立つ
スポットライトに照らされて
そして終幕が告げられれば
男は今一度初めからやりたがる
ぼくの息があやしくなった
医者の云うことには 死ぬかもしれない
そして、付け加えたのさ
装い続ければ、なんとかなる
おののきの色など決して、見せてはならないと
今や男が怖いなどと云ったなら、すぐにでも仕事を追われよう
だから哀れな子供は 鳥のように歌うだけ
額は汗だらけ 唇は乾ききっているおまえ
着飾った人達が行き交う
真実の一瞬が来るのはもうすぐだ
あと一日の悪夢に耐えればいいことさ
そんな彼を止めないでやってくれ
最初からやらせてあげてくれ
今一度全部やらせてあげてくれ

自分自身と重ね合わせるのは無茶だろうか?
閉塞の垣根も、案外、低いのかも知れない。