ワッシャー TRASH
青い水晶の嵐の年(YEAR OF THE BLUE CRYSTAL STORM)



自己存在(4)(Self-Existing Moon)
「純化」
「拾得」




「純化」

自己存在(4)の月09日【KIN 091】青い宇宙の猿
G暦2004.10.26


ある"クオリティ"に達する為には、覇気が必要だ。とは、今読み進めてる「禅とオートバイ修理技術/ロバート・M・パーシング著」(なんとウェブ上に全文公開されている。原文で読みたい方はどうぞ。→Zen and the Art of Motorcycle Maintenance)この本はロボトミー手術のため記憶を失った大学教授と、また精神が病みつつある息子とのバイク旅行の顛末である。失った記憶のピースを繋ぎながら、以前に所得していたパイドロス(以前の記憶の主)が辿った道をツーリングしていく。オートバイ修理技術を通して、哲学から芸術、宗教までを"クオリティ"に属する部門として種別していく。それは"美意識"に集約されていく。なかなか一筋縄ではいかない本だが、体系だってその"クオリティ"を解き明かそうとする執念は、息子との旅を通してものすごい純化へと昇華していくようだ。影響されやすい僕はといえば、息子とバイク旅行てのはまた面白いもんだな〜とのほほん顔であるが、この旅は精神の深遠へと下る厳しい行程でもある。だからストイック過ぎるきらいもあった。オートバイ修理技術の極意、煮詰まったら暫くバイクを放っておくのも手である。 覇気を邪魔する罠はいたるところにあり、出鼻をくじかれたり、退屈が襲ってきたり、金銭の憂鬱に気長に待つだけのゆとりや辛抱も必要だ。つまりこの本は、オートバイ修理技術を通して人生を語っているのだ。 バイクと一体化した時、自ずとその修理方法は向こうからやってくる。禅における無の境地、悟りの世界でもあった。すべての道(タオ)はここへと帰結するのである。山の頂上、幾つもの行程は存在するが目指す峰は一緒なのだ。ある卓越した技術(クオリティ)を会得する時、それはここへと集約される。それが何であれ、茶道であれ武術であれ、演奏や芸術であれ、掃除や子育てであれ、あらゆる仕事であれ、それに集中し一体化を果たした時に到達する境地である。やりたいことが見つからなかったらそれに集中しろ。とことんやりたくないことを列挙してやりたいことは何なのかを探れ。漫然としてぼやけてしまうようだったら違った何かをとっ掴まえてそれに集中しろ。それは食器を洗うという行為でもいい。夢中になって洗い続けろ。そこに探していたものが見つかるやも知れない。掃除や調理でもいいし、道に通ずる既成の作法でもいい、つまらないアルバイトにさえそれは在る。それでも駄目なのだったら何もするな。黙ってただ座り続けろ。 焦点はその純化にある。行為に没頭し空っぽになること、それが「無」であり、一体化である。行為そのものになってしまった時、自ずとそれはやってくる。 怠惰に漫然と時を遣り過ごすことは、バイクのメンテナンスを怠っているのと同じなのだ。いつかバイクは故障し動かなくなってしまう。その瞬間に集中し、生ききること。それは自身を動かす原動力、覇気が"クオリティ"を純化する。



「拾得」

自己存在(4)の月02日【KIN 084】黄色い律動の種
G暦2004.10.19


風は吹いたのか、雨を見たのか、電気は走ったか、3月電気の月のエレクトリックな衝撃も凪ぎ、4月自己存在「私の行為の形は何か?」形を計測し定義する28日間が始まっている。 ぼんやりしていると、そろそろと種子が発芽して、あっという間に周囲を取り囲まれる。 同じような場所に止まっていてはくれない。ある者は走り、ある者は後退し、ある者は立ち去る。 電光石火、火花が飛び散った途端、それに目をやられてるうちに姿を晦ます。そら御覧、発芽しなかった種子たちも土に還り、大きくなった夢を支えている数限り無い消失してしまった夢と同じように、大地の一部となる。数限り無い後悔や挫折、失敗や間違いも同じように、縁の下で支えてる。 僕らはそれを知ってか知らずかふんぞり返って立脚する。「どうだ」とばかりに。裸の王様のお通りだ。

普段と変わらぬ景色。雲はちぎれ、風に流される。空は同じでも、そこに映る画は違う。変わっていき、流れていく。それを見ている僕は、両目玉でそれを捕え、視神経を通して脳へと情報を送って解析する端末に過ぎないのだろうか。手は繋いでいても、心はバラバラのままなのだろうか。 すべては僕の髪の毛の下でうごめいているだけなのだろうか。それをせせら笑ってる。 どんなことを考えようと心は僕のものだ。誰にも立ち入ることのできない場所。 不謹慎なことを考えては、陵辱した気分を味わう。本当はそんなこと考えてもいない。 僕の存在などとは関係無く、雲はちぎれ、風に流され、変わっていき、流れていく。


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