ワッシャー TRASH
青い水晶の嵐の年(YEAR OF THE BLUE CRYSTAL STORM)



太陽(9)の月(Solar Moon)
「Bottoms Up」
「うららか」
「I Shall Be Released」




「Bottoms Up」

太陽(9)の月24日【KIN 246】白い水晶の世界の橋渡し
G暦2005.03.30


久し振りに、空を飛んだ。手に石を握りしめて跳躍すると、ふわりと身体が持ち上がった。 皆は収容所へと護送されるゴンドラの中、誰もが追われ捕まってその護送車へと押し込められていく。 その先にあるのは死のみである。闘っても闘っても、力なく囚われて、「死」への車に乗せられる。 そこへ僕は空から飛んできて彼等を救うのだ。Lucy In The Ska With Diamonds だ。 強行突破をして敵は護送車を走らせた。陸橋の辺り、そこの指揮官の見張り塔で、待ち構える僕。 敵の狙撃手が狙っている。螺旋階段には、その指揮官が私利私欲で着服した金銀財宝、それにワインボトルが並んでいた。ボトルを根こそぎ割って進むと、指揮官は狙撃手に命令を発する、が狙いは外れ、ボトルばかり 命中しさらに逆上する。追っ手を差し向けられた。僕は、空を飛び、救世主になろうとしていた。

実際、ここでこうやって生きていることを実感すると、不思議な心持ちになる。 夢のように空を飛んだり、空から救世主が降りてきたりすることなど皆無だ。 太陽はただ見下ろし、平等に均等に陽を照らすだけ。雨は降り、風は吹くだけ、それから思い出したかのように災害をもたらす。ふっと境界線が見えなくなったりする。 此所が此所なのか判別できなくなったりする。眠ったり起きたりして、振り子のように狭間を行き来する。 朦朧とした感覚を打破するように頭を小突く。曖昧模糊で無味乾燥な日常に刺激を加える。 生きているのか死んでいるのか判らなくなったら血を流す。 心臓の鼓動を聞き、吐息を荒げ、脈動してる血管を感じ、涙を流したり、大笑いしたり、射精したり、気を震わせたりしてみる。 こうやって生きていることに意味を見い出す。役割りを演じてみたり、退いてみたりする。 必然も偶然も、全然、関係ない。此所でこうしていることだけが真実。感じられることだけが本物。

「Salt Of The Earth(地の塩)」が聴こえてくる。
Let's drink to the hard working people(懸命に働く人々のために乾杯しよう) 
Let's drink to the lowly of birth(生まれの卑しい人々のために乾杯しよう) 
Raise your glass to the good and the evil(善人と悪人のために乾杯しよう) 
Let's drink to the salt of the earth.
顔のない群衆、灰色と黒と白の渦巻く群衆を眺めていると、なぜか存在感が感じられない、実際ひどく奇妙に見える。

歌は、そのタイミングで、向きを変える。丁度、風のように、流れていく向きをひるがえす。 逆巻く波は、風に煽られ、右往左往しながら波打つ。船の上の僕らも翻弄される。 あの時に聴いていた音楽と毛色を変える。違った風に聴こえてくる。 見ているものが違うのか、否、見ている僕自身が変わったんだ。
錨(いかり)を上げて、出航だ!  舳先を持ち上げろ! 根底から覆せ!! 太陽に乾杯!!! Bottoms Up!!!!

Bottoms Up

Once Upon a Time 知らない顔のキミが行く
そこでどんな気分になればいいのだろう
Once Upon a Time 時々カネが全てだと思える
そしてそこで何が言えるだろう

もうしばらくいて欲しいんだと言いながら
気にする時計はポンコツで役立たず
シオらしい態度で頭を下げ 恥を目一杯かく
気に留めもせずまたやり直したくなる

Bottoms Up, Drink to the Sun
つんのめったまま 約束もしないまま

Bottoms Up, Drink to the Sun
昨日に押しつぶされそうに今日を行く

まるめて捨てたゴミの中にある素敵なモノ
魔法にかかりっぱなしのうわの空はつかみきれなくて
過去を持たない未来を夢見た子供達は
なかったコトに出来ないモノを今夜も燃やす

Bottoms Up, Drink to the Sun
つんのめったまま 約束もしないまま

Bottoms Up, Drink to the Sun
昨日に押しつぶされそうに今日を行く

(C) Billiy The Knuckle




「うららか」

太陽(9)の月20日【KIN 242】白い銀河の風
G暦2005.03.26


向こふを行くのは、お春ぢゃ無いか。太陽の季節であった。 陽光を身体いっぱいに浴びて日光浴。春はもうやってきている。 この季節は、生命が息吹く。暖かくなってきて、青い臭気と共に、にょきにょきと這い上がってくる。 生々しい季節だ。怪しき色を誇って咲き乱れる花々、蒸せ返る花の粉、黄色く空気に混じって襲ってくる。 動悸が激しい。新しい予感に目眩を感じて、そわそわする。

太陽(9)は、自己存在(4)と倍音(5)で成り立っている。 マヤの数の記述法は、ドット(・)と棒線(_)で表わされるから、9を解体するとそうなるのです。 成る程、「明」と「暗」を分けるところである。 太陽が光りを当てる時、その光りが当たるところと、その光りが当たらない陰ができる。 どちらに焦点を当てたとしても、それはその人次第でしかない。 好きな方を選択すればいい。何れにしろ、選び取った片方と同時に、反対の側面が立ち現れることは必至。 「はい」の背後には「いいえ」がどうしたって存在してしまうので、 選択にはその正反対の意味をも含んだ側面が強調されるだけなのであった。 曖昧にしておくか、平衡でもって、それを濁らせておく方が良いのだろうか。 それにしたって言葉の遊戯でしかなかった。言葉は言葉の範疇を離れることはない。 夢や希望や、愛や現実や、寒さや暖かさ、掴んだり離したり、仕事や労働、紙幣に徒労、同情や憤怒、 一切合切、ただの幻でもあり、現(うつつ)でもあり、あみだくじを続けて進んでいくんだ。

心情は、うららか。 間違いが見当たらないので、正解も不正解もそこには無い。問題すら存在しない。 つまり、答えさえも姿無く、僕はただ立っているのです。 午後の昼下がり、木々から溢れてくる陽光で目を細めながら、うつらうつらする。 ただ此所に在る、ということは、詰まり、ただ其処に在る、ということ。 うまくできてるもんだなぁ。此(こ)の世も、彼(あ)の世も、同じことでしかないのかも知れない。 夢や望みは、それを思い描いた瞬間に、物質化してしまう類いのものなのかも知れない。 どうしたって、すべては自身の思い次第。気のもちよう、であった。 対極さえ立ち現れ無ければ、ずっとその均衡の中、歩いていけるんだ。 季節はそうやって僕らに伴走してくれている。 気持ち好いと感じながら、気持ち悪いという感じも捨てきれないで…



「I Shall Be Released」

太陽(9)の月02日【KIN 224】黄色い電気の種
G暦2005.03.08


花粉戦争が始まっている。春の訪れだ。鼻の粘膜は絶えずネバネバした緑とも黄色とも違う鼻汁をたれ流す。 外は無闇矢鱈と風に飛ばされた機雷でいっぱいだ。眠くてたまらない。地軸が歪んでいる所為か。 お酒の侵入を警告する身体の湿疹。健気に警告ランプをチカチカ点灯していた。お酒は害毒だけど、飼い馴らされた僕にはもう侵入を拒むことができない。そうして、お酒を売買している。金銭に諂(へつら)って、時間や肉体や心を明け渡している。狡いのか、逃げているのか、媚びているのか、全部を飲み干してぎこちなく微笑む。会話は成立しない。どんなように僕が君の目に映ろうと、それは結局、君が見たい僕を見ているだけなのだから、僕はそれには無関心、無頓着。こうして錯綜が始まる。何も耳には入らない。 どれもこれも似たり寄ったりだ。全部、無視して、さらに貝のように口をつぐむ。逆上している。 それから冷めてきて諦念が浮上する。去る。また同じことを繰り返す。学びはどこからやってくるのだろう。 季節は巡って春になる。去年とは異なる春だ。同じものなんて、何処にもない。あらゆるものがオリジナルティをすでに原初から会得していた。だから、陽はまた登るのだけど、それはその一回きりだ。 昨日も明日もない。今、それを、その時にやらなければ、二度とその機会は巡ってきやしない。 偶然はない。選択が無数にあるだけだ。

I Shall Be Released

They say everything can be replaced 
They say every distance is not near 
So I remember every face 
Of every man who put me here
I see my light come shining 
From the west down to the east 
Any day now, any day now 
I shall be released 

すべてのものはおきかえられるというが
すべての距離はあきらかでない
そのように おれをここへこさせた
やつの顔ひとつひとつおぼえている
おれの光りがひかってくるのが見える
西から東へと 
もういつだって もういつだって
われ解放さるべし

They say every man needs protection 
They say that every man must fall 
Yet I swear I see my reflection 
Somewhere so high above this wall 
From the west down to the east 
Any day now, any day now 
I shall be released 

だれでも保護が必要だし
だれでもたおれるものだという
だが たしかに おれの反射が見える
この壁のうえのほう はるか高くに
おれの光りがひかってくるのが見える
西から東へと 
もういつだって もういつだって
われ解放さるべし

Now yonder stands a man in this lonely crowd 
A man who swears he's not to blame 
All day long I hear him shouting so loud 
Just crying out that he was framed
From the west down to the east 
Any day now, any day now 
I shall be released 

この孤独の群衆のなかでおれのとなりに立っている
男はぜったい彼のせいではないと誓うやつだ
一日中 彼が大声で 
おれは陥れられたと叫んでるのがきこえた
おれの光りがひかってくるのが見える
西から東へと 
もういつだって もういつだって
われ解放さるべし

(C)Bob Dylan / 晶文社「ボブ・ディラン全詩集/片桐ユズル 中山容 訳」より



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