ワッシャー TRASH
赤い惑星の月の年(YEAR OF THE RED PLANETARY MOON)



惑星の月(Planetary Moon)
「Title」
「On The Road」
「On The Road:前夜」
「SAMPLE2」



「Title」

惑星(10)の月18日【KIN 058】白い律動の鏡
G暦2003.04.21


ニコチンを入れなくなって見える場所がある。しかしそれは、ニコチンというものを知っていなければ、 知覚出来ない場所でもある。だから喫煙に後悔や侮蔑は無い。相変わらずタールだけは蓄積しているし。 絶えず体内を煙りで充満する必要は無いが、ここぞという時には狼煙を上げたいんである。 そして習慣性ってやつは、急かしながら、灰皿に放置された吸い殻を拵えるために、せっせと煙草を購入する ことを強いる。もうそんなグレゴリオ的な流れに身を投じたり、せかせかと脅迫されたくないもんだ。 それと、ニコチンから離れた恩恵はといえば、食事がとても楽しい時間になったということだ。 咀嚼する楽しさ、一つ一つを噛み締めながら、その与えられた時間を有意義に使って、瞬間に釘を打つ。 美味しい料理は、徹底的な快楽。そしてそれが体内に吸収され、その食材が持っている力を全身が感受する。 効果覿面とはこのことである。僕らは食べることで生かされていることを知る。 その当然のことすら無意識下に埋もれ、煙りばかりで燻蒸する喫煙時とは明らかに違う景色だ。 濁っていない。曇天ではない。禁煙当初は、口内炎に悩まされた。ニコチンは口内炎を抑制してしまうのだ。バランスを不自然に曲げてしまう。数週間後には、食事を節制することで、すべて跡形もなく消えたが、 やはり不摂生の後には口内炎が教えてくれる。 もう一度言うが、これはニコチンを摂取した事のある者にしか解せない。 煙草を吸った事もない者には、その有り難みは皆無であろう。 自分にとって通らなければならない道だったのだということを知る。

だけれども、コントロールですべてが構成されている訳では、当然、無い。 人間は制御不可能だ。抑えられない衝動、突発性、発作、癖、啓示、深層意識、見えざる力、神という概念、 そういった様々なものが絡み合って、僕らを動かす。「意外」というものに、自身を預けなければならない 場面は多々あるのだ。バランスに身を任せる必要もある。上がった後は、下がらなければならない。 栄枯盛衰。自分自身の限界であると限定した場所で留まれば留まるほど、また下降スピードも早く、 さらに地獄の底まで落ちていかなければならない。反動、これもバランスなのだ。 苦しくはない。その落ちていく過程も、また楽しさでもある。ゆっくりと息を潜め、没していく。 落ちるところまで落ちたならば、用心深く辺りを窺い、少し上がってみる。大丈夫か?もう少し顔を上げる。 大丈夫だ。そうやって、通常、生活をしているスピードへ徐々に戻してやるのだ。 その時、無理に生活パターンの変更を行なおうとすれば、どこかが傷付いたりして、副作用などと呼ばれる 弊害が発生する場合もある。昨日辺りから、少しばかり咽が痛く、どうやら風邪らしい。 不意打ちだ。しかして原因が特定出来る場合、それは病気とは呼ばず、当然の帰結であって、こうやって 落ちなければならないということは、僕のすべての総意であるに違いない。今回は養生しよう。

冬と夏で、春の引っ張り合いをしてる。突然、初夏の陽気になったと思えば、寒さが急にぶり返す。 雨はどちらの味方だ。こうやって、自然ていうのも、バランスを取って調節を繰り返してるんだろうか? 何かを掴んだと思ったら、「スカ〜」ちゅうヒョウタンツギだったりして、実体を見失ってしまう。 死ぬまで続く追いかけっこだ。心と身体で、気持ちの引っ張り合いだ。 孤独に留まっていると、どっぷりと漆黒の死に浸されて、帆船の帆みたいに心が紅茶色に染まる。 安っぽい言い回しだけれどね。本当に、自分にとって、「死」は命題だ。 誰もそれに対しての答など持っちゃいない。自分自身で探して納得するしかない。 分かっていることは、確実なことは、誰もが皆、生まれたのならば死ぬ、ということだけである。 其処から其処へ逝く過程。しかして、何処から何処へ逝く。そんなことを考えて生きる人間という生物は、 不思議なもんだ。別に、すべてを受け入れてしまえば、疑問などは生じないのに、答を分断してわだかまる。 単純なものを、複雑にしてしまう。 「偶然からあつめたものを持っていけ」と歌ったディラン。偶然が必然に変わる時、何が見えるんだろうか? 感覚だけが頼りだった時代を経て、もう少し周到に、やってみたりする。 けれどやっぱり、失敗したり、ズッ転けたりして、前のパターンと同じようにはいかない。 学ばない生物だ。一筋縄じゃいきゃしないから、もう暫くは無題で、タイトルは空白にしておこうと思う。



「On The Road」

惑星(10)の月14日【KIN 054】白い月の魔法使い
G暦2003.04.17


本来、僕らはいつでも路の上だ。何かの途中、最中、始まりと終わりの狭間を揺れ動いて、 何処かへ向かおうとしたり、落ち合おうとしたり、振り返ってみたり、立ち退いたり、する。 そうしてみてみると、どんな形式の中にも、人生の秘密とか、意味合いを、発見することが出来たり、その 生きている大雑把な道を集約しているのがその瞬間だったり、何かを学べたり忘れたり、 何処にだって転がっているものに深く共鳴したり、偶然に拾ったものが必然になったりする。 「路上」それはそれ自体は何も語っていないけれど、其処に僕らが行き交い、出逢う時、何かが始まったり、 終わったりし、交差点では選択を迫られ、追い剥ぎが鋭く眼光を光らせ、急ぎ足、呑気に道すがらの花なんぞ 眺めていたり、道順などはない、道標にはフラフープを回した人物が描かれていたりするんだ。 SCIの磁力に導かれて、たくさんの人達が集まってくる。グレイトフルデッドの活動を、僕自身は知らない。 彼等が終わった頃に現われたPHISH、そこから始まった旅。 何についても、蓋などは必要ない。それに、入れ物すら、たいした意味を為していないような気がした。 何処にだって行けるし、何処にだって行けないし、歩くことだって、止まることだって出来、 その道(整備され舗装された)を使わなくても、至るところに道なき道は続き、目的地へと連なっていく。 目的地へと辿り着けば、そこはそれで通過地点へと変貌し、新たな場所を目指し出発を余儀無くされる。 留まりたければ留まればいいだけの話。自分自身が限定しない限り、人生は動き続け、脈動するんだ。 それを如実に体現している「路上」という物語。 僕らの物語でもあり、君らの物語でもあり、SCIの物語でもある。

今回の旅は、気持ちの断面ばかりが、荒涼と、不躾に、不貞腐れた風にも横たわってばかりいた。それしか見えていなかったと云っても過言ではない。何もかもが上手く転がっていき、間違った事は何も無かった。 そう言い切れるぐらいに、順風な旅でもあった。 それだからこそ、表層は穏やかではあるが、深層まで潜ってみると、様々な因子が息を潜めていて、癇癪持ち みたいに暴れ出したくてウズウズしてるのだ。 そいつを弾き飛ばすように、SCIは物凄い演奏を各地で繰り広げた。終わることのない物語だ。 それにくどくどした言語は必要無いし、あそこで踊った全ての人達が了解していることだと思う。 全部があった。逆に、空でもあった。演奏が広がることはあっても薄まることはなく、密度が濃厚になって くると頭の一点に集中して比重が掛かり、それが一気に爆発するような感じ。 その爆発が絶えずどこかで巻き起こって、踊らされる。しかも阿呆みたいな馬鹿顔で、満面の笑みで。 時には、閃光、優しく暖かく愛情に溢れた光が降り注いだりもした。そんな時は、両手で受け止めた。 少し照れてしまうぐらいに優しかったので、物足りない気分になった時もあった。うまく言えないな。 多分、名古屋だったと思うが、全員で声を合わせて吠え合体したあの瞬間、全身から頭上から、全てのものと 繋がった。自身が存在せず、そこにいるすべての人、ステージ上のSCI、立脚しているこの地球、 空へと、銀河へと、星へと、そのどれもがその瞬間を体現していた。"ONENESS" の世界だった。 正直言って、あまり演奏を覚えていない。足が地に着いていた時間が無かったからだ。 それから、よじ登って行けるところまで、アガれるところまでアガって景色を楽しんだ。 一緒にアガってくれる仲間も居た。近くに居る人と何のわだかまりもなく、素直にハグった時、 全部が「愛」の表現だった。人間は凄いところまでイケるんだ。本当に素晴らしい事だと思う。

最初、京都に立ち寄り、初めて逢った友達と「三十三間堂」で観た千躰もの仏像、それからその後行った ソバ屋で過ごした時間、懐かしい友達とも再会できた。大阪のホテルも良かった。 名古屋では、実家でお世話になった。ライヴの後に歩き回って辿り着いたBAR、それから歩いての帰路。 そのライヴから仲間になった20代前半の男の子。東京への帰り道も楽しかった。あの温泉はサイコ〜。 戻ってからも、ぐだぐだのまま。東京初日、HERE SCENESでのパーティー。最終日。 たくさんの後悔や反省が襲ってくる。試練、だったのかも知れないし、それが今回の薬味でもあった。 大きなもののその中に含まれる、小さな場面。その小さな場面が、自身の全てをフラクタルに体現している。 言ってしまえばたいしたことじゃない。そいつをどう切り割いて、その断面を披露したとしても、それは やっぱり僕だけにしか分からない暗号だ。もっともっと言わなければならないことは沢山あるのだが、 この辺りが今の所の精一杯な感じ。 一緒に旅したみんな、各地で出逢った人達、皆さんに感謝とお礼を!「有難う、サイコ〜な旅、でした!! オン・ザ・ロ〜ド!!!」



「On The Road:前夜」

惑星(10)の月05日【KIN 045】赤い律動の蛇
G暦2003.04.08


今夜から、ストリング・チーズ・インシデント(略/SCI)の追っかけ旅が始まるでやんす。 PHISHの時とは逆で、大阪からのスタート。南から下って、名古屋、東京とやってきます。 とはいえ、PHISHは東京3公演と大阪での最後しか観ていないので、今回のSCIはのっけからチケットも取り とても気合いが入っている。また自分は、フジロックも観ていないわけで、もうお金が無いとかいうような つまらない理由で断念するなんて嫌だ。(ていうか、それが大体は、最大の理由なわけだけど) 泉谷しげるの「地球がとっても青いから」を口ずさみながら、やりこなす。 "どこへ行くにも金が足りない、何をするにも気がひける、すべてにおいて金が足りない"と。 あっちの銀行から、こっちの銀行へ、郵便局から戻って、荷造りして、宅配便へと、回して回して、幾らか 余分のお金が出ることを祈って、ああやっぱり駄目だ、こりゃ節制しないとな、忍従、忍従と。 サブミッショ〜ン♪

外はなんだか知らねど嵐。桜も見事に丸裸にされてしまうんだろう。 もうこれから先は、言葉を欲しない世界だ。 目配せ、ちょっとした動き、鼻で嗅ぎ、視線が交わり、そうしてうねり、波のように揺れて、抱き合い、 天を仰ぎ、床を凝視し、流し込み、吹き出し、滲んで、それから踊り、時間が消えていく。 水面下の魚。降り注ぐ光の下、泳ぐ魚。水の中で泳いでいる間は、とっても安心、みな笑顔で肩寄せあって 泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ。頼むから、水から引き剥がさないでくれ。釣り上げないでくれ。 皆と一緒に泳いでいたいから。



「SAMPLE2」

惑星(10)の月01日【KIN 041】赤い月の竜
G暦2003.04.04


2回目の訳詞です。誰も期待なんかしてなかったでしょうね。けどやっちゃいます。 4年ぐらい前に、HERESCENES企画「WASTED TIME」というイベントをやりました。 "WASTED"は、イーグルスから頂いたのですが、浪費とか無駄とかいう意味で、自嘲的に煽った次第です。 その企画では、ツインドラムなんて無茶な真似をして、いまや微笑ましい話であります。 そんなわけで、PHISHもこの辺りの曲は、とても優しい。 今月は出来うるならば、戦争の話なんかしたくない。惑星の月、「現れを仕上げ」(表現を完成させ) 「生み出す」という月です。

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WASTE

Don't want to be an actor pretending on the stage
Don't want to be a writer with my thoughts out on the page
Don't want to be a painter 'cause everyone comes to look
Don't want to be anything where my life's an open book
 

舞台で演じるような うわべの俳優になりたくない
ページ以外に私の考えを持っている 作家になりたくない
皆を見るためにやって来るような 画家にはなりたくない
わたしの生活は開かれた本 そんな時 何にもなりたくはない

A dream it's true
But I'd see it through
If I could be
Wasting my time with you

それが わたしの本当の夢 しかし
あなたと 時間を無駄遣いできるのなら
それを 突き抜けてしまえるだろう

Don't want to be a farmer working in the sun
Don't want to be an outlaw always on the run
Don't want to be a climber reaching for the top
Don't want to be anything where I don't know when to stop

太陽の下で働く 農民になりたくない
いつも走り回ってる アウトローになりたくはない
トップを取ろうと手を伸ばす 登山者になりたくない
いつ止まるべきか知らないのなら 何にもなりたくはない

So if I'm inside your head
Don't believe what you might have read
You'll see what I might have said
To hear it

わたしが あなたの頭の中にいたとしたら
あなたの考えを 信じないだろう
あなたが それを聞いたならば
わたしが何と言ったか 分かるのだから

Come waste your time with me
Come waste your time with me

あなたとわたしの時間は いらなくなる
わたしとあなたの時間は いらなくなっていく

So if I'm inside your head
Don't believe what you might have read
You'll see what I might have said
To hear it

Come waste your time with me
Come waste your time with me
Come waste your time with me
Come waste your time with me
(C) PHISH


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