「ザ・リング2」製作ノートvol.1

3月中旬から2ヶ月間の準備期間は慌しく過ぎていった。地方ロケ地の候補である、オレゴン州アストリア(州の最北に位置する、人口一万余りの河口に面する町。「グーニーズ」の撮影もここで行われた)は、写真を見て即断した。アメリカ北西部のスモール・タウンとして、少し寂れた感じがありつつ、起伏に富む地形で、味わいのある町だ。特にワシントン州の対岸の町とを結ぶアストリア橋は、車でかなりの速度を出しても渡りきるのに10分はかかろうかという長さながら、優美なデザインの橋である。(映画の中でも使っているのでお楽しみに)

アストリア橋を丘の頂上から見下ろす



主人公レイチェル(ナオミ・ワッツ)の家

日本から出かけて、ハリウッドで映画を作ってみて、何に一番驚くかというと、まずは関わる人の多さである。プロダクション・オフィスには、製作部、美術部、製作経理、視覚効果などの部署の人たちが詰めていて、そこに約40、50人はいただろうか。これが撮影現場になると毎日250人の人が稼動しているということで、日本の約5倍の規模である。産業として巨大だから当然なのだが、よってスタッフやキャスト選びも、選択の幅が非常に広く、(スタッフのうち、私が面接して選んだのは、撮影監督、スクリプト・スーパーバイザー、編集の人たちのみだったが)何人かの候補に会っていろいろと雑談をしながら、ベストの人を決めていかねばならず、新人監督としては、英語で、しかも雑談(こちらでは、ミーティングの頭は、四方山話(small talk)から入るという慣習がある)で上手く話を合すのが、少しきつかった。映画の内容を考えることと同時に、膨大な数のミーテイングをこなすのが最初の日課となった。
また、準備段階で必要なのは、監督の指示によるストーリー・ボード(画コンテ)の作成である。ストーリーボード・アーティストが常時2人いて、彼らに、アクションとか仕掛けの多い、準備上画コンテが必須とされる場面のコンテ割りを文字で書いて(私は日本でも、字コンテをスタッフに配っている)渡し、彼らがそれを画にして、何度かやりとりをしながら、最終の形にしていく。これは形式は異なるけれど、日本でもやっている作業だし、自分の構想が画にされていくのが楽しかった。ただし、クライマックスの場面は撮影に入ってからも、練り直しが何度も行われたので、撮影中の昼食時などに、彼らと打ち合わせを重ねることになり、正直しんどい場面もあった。


レイチェルの家から見下ろしたアストリアの風景

アストリアの夜の街路
キャステイングは順調に行ったと思う。ナオミ・ワッツの相手役には、彼女と同じくオーストラリア出身のサイモン・ベイカー、医師役にエリザベス・パーキンス、そして何と言っても(役柄はまだ明かせませんが)シシー・スペイセクを選び、彼女と最初に話をしたときは、気分が高揚した。彼女とナオミとが出会う場面はこの映画の、見せ場となっていると思う。ただし、この場面の撮影は丸二日を要する、簡単とはいえないものとなった。(つづく)

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2005年6月18日(土)有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー!