仄暗い水の底から」(2002年1月19日、全国東宝邦画系にてロードショー)
原作 鈴木光司(角川ホラー文庫刊)
主演 黒木瞳 菅野莉央 小日向文世、水川あさみ
狂気のトラウマへと進化する最新作のテーマは「水」。日常不可欠なアイテム が、恐怖のシークエンスへと進化していく様は、鈴木光司ワールドの真骨頂とい える。さらに、中田秀夫が生み出すその映像感覚は、真綿で首を締め付けるかの ごとく、恐怖があなたの脳髄へとじっくりと染み渡って行くことになるだろう。
ストーリー
松原淑美(黒木瞳)は夫との離婚調停を行う中、娘、郁子(菅野莉央)の親権を巡って最終段階を迎えていた。自立を目指す彼女は、新しく就職した出版社から近い、あるマンションを見つけ入居を決めた。しかし、しばらく暮らすうちに湿気からくる不快な雰囲気を感じ始める。入居した時に小さかったはずの天井のシミは大きくなっていき、また上の部屋の子供の足音にも悩まされはじめた・・・
中田秀夫の本作品に対するコメント(プレス用リーフレットより)
ホラー映画のテクニックについては、自分なりにあらゆる方面から技術と可能性 を追求してきた。その演出方法は一歩間違えば過剰な表現方法に向かいがちになるものだ。
「リング2」から3年が経過し、ジャンルの違う2本の劇映画を手がけた中から、ホラー映画について、また新たな表現の可能性を見いだした。日常の中の非日常を描き、さらにエンターテイメントを追求した場合にホラーは最高 に映画的題材となり得る。鈴木光司氏の「仄暗い水の底から」は、古典的な恐怖の表現を使いながら、日常に不可欠なアイテム「水」とマンションやアパートに 代表される「都市空間」が見事に融和した非常に優れたモダンホラーだ。この物語に私は、密度の濃い恐怖感、不安感を感じずにはいられなかった。主人公、淑美の独り語りで進行する手法は、日常に潜む恐怖感を最大限に描き出している。
その映像化に当たって、ホラー作品4作目となる自分にとって現在までに培った 技術を最大限にフィルムに現し、見る者の心を掻き乱すつもりだ。そして、この映画の物語上のテーマ、「母と子」の普遍的な関係が見た後の心にじっくりと染み渡ればありがたいと思う。