「裏盗撮ナンパ道」(主演、岡本秀寿、樋口かおる)

中田秀夫、自作を”短く”語る。
写真家を目指す青年が頭でっかちのまま風俗写真雑誌社に就職し、あちこちに頭をぶつけながら成長していく物語。ロマンポルノ最終期に日活に入った私自身がほんの少しだけ投影されているかも知れない。若手女優(中には、女優以前の女の子も何人かいた)8人による、素人投稿、青姦覗き、ソープ取材、SM、女子高生の生態など、現代性風俗総まくりで、いかにHにするかに腐心した。これがロマンポルノの原点であったはずだが、うーん、私が監督すると何だかほのぼのしたものになったように思う。
   

女優霊
1996年カラー
監督中田秀夫
制作:WOWOW+バンダイビジュアル
制作協力・配給:ビターズエンド
脚本:高橋洋
原案中田秀夫
撮影:浜田毅
美術:斉藤岩男
編集:掛須秀一
照明:渡邊孝一
音楽:河村章文
音楽プロデューサー:高木健次
録音:武進
プロデューサー:仙頭武則 小林広司
協力プロデューサー:柘植靖司 大澤茂樹
特別協力:にっかつ撮影所
出演:柳ユーレイ、白鳥靖代、根岸季衣、石橋けい、高橋明、大杉漣、菊池孝典


中田秀夫、自作を”短く”語る。
「女優霊」(主演、柳ユーレイ、白島靖代、石橋けい)
私の原案では「ジャンクされた女優」というタイトルだった。最初は「アメリカの夜」のホラー版ですよと触れ込んだが、私の日活撮影所に対する愛着や、新人監督を主人公にする(私自身の投影になりやすい)など、ホラーから逸れる危険性を感じ、自制した。高橋洋とは約半年にわたって「激しい電話口論」を続ける。決定稿は、最後に丁寧な「注」がいくつもついた傑作だった。撮影中、スタッフ役の俳優さんたちは、白島さんらを挟んで反対側にいるわれわれスタッフの動作をよく研究してくれた。幸福な鏡像関係だった。しかし、柳ユーレイの傍にある劇用キャメラが35ミリで私の方は16ミリというのがちと淋しかった。周囲から「怖くはないが現在の映画製作の現場がリアルに描けている」という評価を頂く。くそったれ、ホラーは怖いと言われなければ負けだ、この無念さを「リング」に繋げた。
 


「暗殺の街」
中田秀夫、自作を”短く”語る。
「暗殺の街」(主演、仲村トオル、大和武士)
北国の街で、ベテラン刑事がヤクザの抗争に巻き込まれて殺された。ヤクザ組織に潜入する監察官(警察官の汚職を調べる警官)が地元の刑事の不審の目を浴びながら、事件の意外な真相を知る。”ハードボイルド”に挑戦したものだが、私がアウトロー男たちの話やガン・アクションが苦手なのを棚にあげて言うと、日本の湿った土壌に真のハードボイルドはなかなか根づかないと思う。この作品は逆に人情話にするはずだったが、どこまでそうなれたか・・・、観た人たち(映画館で観た人は極度に少ないだろうが)の感想を聞きたい。

 
1998年 日本 カラー 94分22秒 ヴィスタ・サイズ(1:1.85)
監督:中田秀夫
製作:河合真也、一瀬隆重、仙頭武則
脚本:高橋洋
原作:鈴木光司『リング』角川ホラー文庫
撮影監督:林淳一郎
美術:斎藤岩男
視覚効果監修:松本肇
特殊メイク・コーディネイト:和田卓也
特殊メイク:松井祐一
音楽:川井憲次
出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、佐藤仁美、沼田 曜一、松重豊、伴大介、雅子
配 給 :東宝
中田秀夫、自作を”短く”語る。
この映画のキャスティングで、自分で悦に入っているのは、山村敬役(あの、昔のできごとを知っている老人)の沼田曜一さんだ。中川信夫作品など新東宝映画が馴染み深い。そして、沼田さんとは生まれた月日(7月19日)が同じだ。これも見えざる手による「お導き」か?さて、ここでクイズを一つ。我々二人と同じ誕生月日の日本映画監督(今の日本映画界で最も優れた作り手の一人。ホラー、サスペンスのジャンルの傑作多し)は誰でしょう?正解は後日この欄に記載します。ヒント、私はこの監督とあるオムニバス作品で「ご一緒」したことがあります。なお「リング」については、また改めて語りたいと思います。
 
 
 
小沼と中田のSMな関係、そして中田が本当に撮りたかった映画 中田秀夫が、師匠である小沼勝と自らの出自でもある日活ロマンポルノに熱烈なオマージュを捧げる作品。
  日活ロマンポルノに憧れて映画界入りした中田の果たせなかった夢が、ついに構想7年にして小沼とロマンポルノを巡るドキュメンタリーとして実現した。女優や中田をはじめとするスタッフと、小沼とのサドマゾな人間関係には、映画をつくるという一つの到達点にむかって、いわば精神的SMで葛藤し昂揚しあう彼らの熱い魂が発光する。なぜ人は映画を撮るのか?それは現在における映画監督としての中田自身の意識を確認するための作業でもあった(出演、小沼勝、谷ナオミ、片桐夕子、風祭ゆき、木築紗絵子、小川亜佐美)。

(もっとサド・マゾ!)
・殺意を抱かせる映画作家…なぜ私は「サディステイック&マゾヒステイック」撮ったか?(中田秀夫)
・さどまぞ公開ときめき日誌 (中田秀夫)