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no.1 書評



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「独合点」最新号 第94号   7/5 更新
「独合点」の最新号。
今回のゲストは田口三舩さん
詩作品
  過去の詩作品です。topページにて詩集「にぎる。」の詩作品をを紹介していきます。
エッセイ 
  既発表のエッセイです。
*「詩学」H18.11月号の特集、「現代詩における現代」での文、掲載。
児童文学について  
  絵本、読み聞かせ、童話のことなど。



 「猫がまるくなって眠っている」
     (消しゴム版画です)
      
   
    更新! 7/5
                              
ブログ「独合点」  随時更新してます!

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夜から朝へ

 

 

くぐもった声の裏側で、ぼくは眼を覚ました。

まず腕を見た。それから腹を見た。そして足を。どれも自分ではなかった。すべてが硬い殻におおわれていた。それもずいぶんと黒い。立派なものだ。指というものがない。両脇に三本ずつ足がのびている。節から節へとのびた先端には、二股に分かれている鉤爪がある。記憶の中の自分の足とは、異なる足があるということに悲しみを覚えた。カフカという作家が書いた小説、「変身」が浮かんだ。きっとあれは現実のことなのではないかと思った。そしてぼくは頭のなかで考えている。ぼくは・・・という言葉使いより、俺は・・・という言葉を使いたくなったと。俺は強くなった。俺はみせかけの強さに魅かれた。「こいつぁいいや!」笑いたかった。笑ってしまいたかった。笑うしかなかった。だが声はでなかったのだ。声を出そうと思うと、首や胸からギシギシと妙な音だけがした。暗闇のなか、臭いや気配には敏感になれた。頭のほうから自然に感じ取ることができる。不思議な感覚だ。怖くはないし、もう、眠りたいとも思わない。眠ってしまったら、またなにもかも昨日と同じになってしまうような気がして。未練など感じなかった。書物も言葉もいらなかった。そう思えると急に心が平らになった。心地よくもなった。匂いを感じる。甘酸っぱい匂いだ。これは雌の匂いだ。しがみついている場合ではない。背中に力をいれた。硬い殻が二枚開き、薄い羽をおもいっきり開いた。

沈み込むような雲がある。そのすきまから光がもれる。

どんよりと頭も重いが

俺は朝がきた。

                                          詩集「にぎる。」より2008.7/5更新






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