真 酒 亭

(酒を味わう店・富山)

久しぶりに心動く店 
       
訪れたときの様子
近時いろいろな意味で「地酒」を飲ませる「銘酒居酒屋」から遠ざかり鈍感になっていたが、久々に心が揺れ動いた。こういう店は淡々と事実を語るのが一番、以下はドキュメントである。

雑居ビルの2階、店の入り口まで上がると不安は解消される。奥に細長い店内、カウンターでも入り口寄りに座りコートと荷物を隣りの席に置くと、反対側の座りにくい席に荷物を置くように促される。ああ、そうだ、自作らしいホームページを見たときも随分うるさい(こだわった)主人だと感じたっけ。

主人はおしぼりを手渡しつつ「お酒は何にしますか?」「勝駒と満寿泉は飲みたいんです」
「何合飲まれますか?」「2、いや3杯は飲みますね」
「うちは4合を超えては出しません」「ん〜、それなら4杯飲んじゃいます」
「何合飲みますか?」「1杯1合じゃないんですか?」とやりとりがあってから店主が「出張の方ですか?」と聞いてきた。「(まあ地元の人間ではないことは確かなので)はい」と答えると
「では3合半はどうでしょう。富山の酒を中心に半合ずつ7杯お出しします」

お通しが出される。揚げだし豆腐にほうれん草が加わっている。すっきり透明でうまい豆腐をつまんでいると、広口で大き目のぐい呑みが出された。「注ぐときには半分くらいまでにして下さい。そのほうが香りがたまりますから。」 蛇の目こそついていないが利き猪口並みに深い。

主人がいったん奥に下がり、真っ白な片口を携えてやってくる。「黒部峡、新潟との県境、旭町の酒です。」 言いつけどおりに注ぎ鼻に近づけると、ふわっと柔らかい香り。純米吟醸のようだが「黒部峡」にはこんなに良い香りのする印象は無かった。そういえばぐい呑みを持つ手が冷たさを感じない。「うちは酒を〜℃で保管しています。注ぐと少し温度が上がって14〜15℃、これはちょうど仕込み水と同じ温度です。」 外で冷えた口元が酒で再び凍えることがなく、ふくむとすぐに口中で酒の味がふくらんでいく。酒・つまみともに味がよくわかる。

いかん、これは心してかからないとやられてしまう・・・

「半合」というわりには量があった。「飲み終えたら上(カウンター上部の棚)に置いて下さい」と言われるままにすると、片口とともに主人が奥に下がる。こちらからは見えないが一升瓶をしまう保温庫があるのだろう。酒はそこで注がれて表に出される。「富美菊、富山市内の蔵です。」

先ほどの酒よりも山吹色がはっきりしている。色のわりにはすっきりしているが、盛り合わせの刺身のうち〆さばよりもたらこのまぶされた帆立のほうが合うのは、実は酒の酸味がけっこう強いからだろう。(注、鯖はほぼ生といえるほど極あっさりしめてあるというのに) ただ酒だけ飲んでもつまらないととった刺し盛りは4種、酒との組み合わせで数十通り楽しめる計算だ。

先ほどより早いペースで片口を上に上げる。続いては待ちかねた「勝駒」。純米は特にもっともっと旨みの印象が強い酒だったが意外とあっさりしていて、刺身では帆立・きすの昆布〆が合う。それにしてもこの刺身、大ぶり2切れずつが陶器の器にきれいに盛られていて、とても550円には思えない。

そして満を持して「満寿泉」が登場。個人的にはとりわけ大吟醸の透明感が好きな銘柄だが、こちらは生原酒のようで大吟醸の香りそのままに濃厚、すばらしい。帆立・きす昆布〆・〆さば・とろのすべてに合うのがさすがだ。

続いては、きたきた、「みゃあらくもん」。「満寿泉」の店オリジナルのようで、値段も(通常の1合で)100円高いが、ふくむとうまみが口中でぶわぁ〜とふくらんでからすっと切れる。同じ「満寿泉」でもこちらの方が抑揚が激しくて鮮烈、もう一口がすぐに欲しくなる。
こいつは絶品だ。久しぶりに「酒だけで飲みたい」という欲求が起きて刺身には手をつけないうちに飲み干してしまう。

さあて「勝駒」・「満寿泉」・「みゃあらくもん」と飲みたいものが出揃って後はどうなる?というところに出されたのは、ん?再び「みゃあらくもん」。
と、主人が「(平成)14年3月のみゃあらくもんです」 そうきたか。白い磁器に映る色は先ほどより濃い。3年近く寝ているだけに味は落ち着いていて、かすかな古酒の香りがいける。こちらは食べながら飲むのが連想されるのが面白い。

「これで3合お出ししました」という主人からの最後の問いかけは「あっさりしたのとハードなのではどちらが?」 ハードを頼むと「呑喜呆亭(ドンキホーテ)」。「満寿泉」の原酒を白ワインの樽に半年つめたそうで、木と白ワインの香りと甘さがプラスされて、ちょっとしたお酒のデザート、〆に最適だ。

これだけ楽しめて4000円弱。普段来るなら3000円かからずに飲めるだろう。1升瓶の値段を知ると1合弱で700円〜を払う店はばかばかしくなってしまうのだが、これだけの酒を出されてつまみもうまいとなると「地酒」を飲ませる店もいいなあと思う。
この日注文したもの
日本酒(すべて「半合」・片口)
@「黒部峡」(純吟・550円)
A「富美菊」(純米・550円)、
B「勝駒」(純米・550円)、
C「満寿泉」(生原酒・600円?)、
D「みゃあらくもん」(「満寿泉」の店オリジナル・700円)、
E「みゃあらくもん」(平成14年3月)、
F「呑喜呆酊」(どんきほうてい・「満寿泉」を白ワインの樽につめたもの、グラス入り)
(値段はすべて1合で頼んだ場合)
各1、

お通し
ほうれん草・揚げだし豆腐

つまみ

刺身盛合(きすこぶ〆・とろ・ほたてたらこまぶし・〆さば各2切れ、550円)1、里芋ごま和え(400円)1、

1人で3870円(1時間半程度滞在)

勝手なコメント
「適価」で酒を楽しめる店
★★★★★(5つ星が最高)
詳しい紹介

「真酒亭」(まさけてい)
富山県富山市桜町2−6  ビルの2階
17時からの営業
はじめて訪れるなら20時までには入った方が良さそう
月曜定休

詳しくは店の公式ページをどうぞ
http://www1.odn.ne.jp/masaketei/index.htm

JR 富山駅 から徒歩10分弱
駅を正面口(路面電車の方)に降り、駅前の東急エクセルホテルを左に見ながら大通り(路面電車沿い)を駅から垂直方向に進む。
@ホテルルートインを通り過ぎて「新富町」の信号を左折、右手に酒屋があるので右折、少し歩いた左手の雑居ビル(写真左)の2階
Aもしくは東急エクセルホテルを回り込むように左折し、すぐの筋を右折して直進、右手に酒屋を通り過ぎると程なく左手に「真酒亭」の入る雑居ビルがある。(この道のほうが飲み屋が多くて楽しい)

店内は禁煙。
また、玄関に掲げられるのは「既に酩酊のおかたは入店ご遠慮願います」
富山の酒ばかりでなく、他県の酒も置いている。詳しくは上記公式ページを。
カウンターは8席、4人がけのテーブルや奥に大き目のテーブルもあった。
つまみはメニューのほかにおすすめホワイトボードに10品ほど。


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