【台湾にいってきた】
【台湾アルバム】

初日には、まず士林夜市に出かけた。
ここは、台北で一番大きい夜市だ。
ただ、洋服屋や雑貨屋がずらりと並んでいて、食べ物屋街に入る入り口がわかりにくい。
小さな看板が出てるだけだ。
なんとか見つけて、一歩入ってみると、もうなんだか物凄い混沌だ。
数え切れない程の数の屋台が並んで、料理の炎を上げている。
もちろん、溢れるほどの客で賑わっている。
見渡す限りのスペースに厨房と椅子とテーブルがあって、客がものを食っている。
これだけ数があって客がいれば、競争も激しいよな。

ひと通り回って、一番美味しそうだった牡蠣オムレツを注文する。
イカのスープも頼む。
細い麺も食べる。
ルーロー飯も食べる。
これが、ほんとに旨い。
牡蠣オムレツは、米の粉のようなものと牡蠣と卵を、大きい鉄板の上で焼く。
イカは、分厚くて柔らかい。
麺は、魚醤系かな。
ルーロー飯は、牛挽肉を甘辛く煮たのもをご飯にかけたものだ。
ついでに、かき氷も食べた。
これは、どうやら2種類ある。
果物系とタピオカ系だ。
この日は、よくわからないまま果物系を食べた。
スイカやパパイヤなんかを切ったものの上に、荒い目の氷をかける。
これは、まあまあというところだなあ。
値段は、だいたい30元くらい、まあ120円くらいだ。

泊っていたホテルのある西面は、原宿と新宿の裏町を合わせたような街だ。
そこの駅前に、「冰冰蒟蒻」があった。
これは、梶原一騎の元女房、白冰冰が始めたコンニャクデザート屋だ。

抹茶味やアンコ味だったり、ファーストフード風のコンニャクだ。
ノーカロリーのコンニャクは、ダイエット食品として使われているようだ。
白冰冰は、梶原一騎といろいろあったり子供が誘拐されて殺されたりと、
なかなか大変な人生だったが、晩年はうまくいってるようだな。

旅行中の掲示板見てた?

旅先から更新ができないので、ファンクラブ掲示板に、
インターネットカフェからローマ字で書きこんでいた。
もちろん、日本語フォントがないからだ。
台湾は、どこにインターネットカフェがあるのか、なかなかわからずに、
初日は書きこみできなかった。
2日目は、夜市にいった通華街のほうだったかな、
きれいな明らかなインターネットカフェを見つけて入ったんだけど、
すごく内装に金かけた新しい店なのに、蚊が多くてまいった。
3日目は、ホテルの近所の西面の街で見つけた。
ここは、場末のゲーセンクラスの店だ。
どっちも若い女の子が店番してたんだけど、
まったく英語がわからなくて、かなり困った。
ここはインターネットカフェかと聞いてもわからない。
インターネットカフェに勤めていて、
「インターネットカフェ」という言葉がわからないというのは、いったいなに。

台湾は、とにかく英語が通じない。
若い連中にも、もちろんオトナにも、さっぱり通じない。
英語の文章が通じないというよりも、英単語が通じないのだ。
日本より英語教育が駄目かもしれない。
掲示板にも書いているが、ガイジンも少ない。
西洋人は1日大都会を歩いて数人見るくらいだ。
黒人は、4日で2人しか見なかった。
これも掲示板に書いてるが、髭を伸ばした人もほとんどいない。
どうも街中でじろじろ見られると思ったら、髭がよくなかったらしい。
4日間で見た髭は、ダンプの運ちゃんと浮浪者と屋台の笛売りの3人だけだった。
屋台の笛売りは、身長150センチ以下で、髪をおかっぱにして、
髭を伸ばして、ルックスは、「編集王」の宮さんに、ほんとにうりふたつだったよ。

台湾は、とにかく飯が旨い。
どこに入ってなにを食べても、というわけではないが、
少なくとも、夜市の屋台は旨い。
ちょっと台湾で記憶に残った飲食物について書こう。

MRTの駅からホテルに向かう途中で、「台北牛乳大王」を見つけた。
とりあえず入って、木瓜牛乳(パパイヤミルク)とサトイモ牛乳を飲む。
これは、非常に美味い。
うちでも作ってみよう。
市内には、三重牛乳大王もあって、そこでも木瓜牛乳は売ってるし、
普通のジューススタンドで売っているポピュラーな飲み物だ。
便利商店で、お茶を買う。
これは、コンビニのことだ。
でも、台湾ではお茶には必ず砂糖が入っている。
緑茶もウーロン茶も、必ずやや甘いのだ。
喫茶店でコーヒー以外を注文しても、必ず砂糖が既に入っている。
お茶の国のはずなのに、いったいどういうことだ。

さて、今日は、喫茶店の話だ。
台湾には、喫茶店が多い。
少なくとも、台北の西門地区では多い。
カフェとか、ドトールやスタバとかいったタイプではなく、文字通り喫茶店なのだ。
店内の壁は、煉瓦だったり漆喰だったり、そこに風景画の額がかかっていたりする。
椅子はちょっとヨーロッパタイプの肘掛けのついたタイプで、
メニューはもちろん、革張りだ。
コーヒーが何種類かと、スパゲティとサンドイッチが食べられる。
日本ではすっかり廃れてしまった、昔懐かしい喫茶店が、
台湾ではなぜかまだ生き残っているのだ。

あれは、いったいなんなんだろう。
日本スタイルの喫茶店を誰かが輸入して、それが生き残っているとしか思えない。
それくらい、ぼくらがかつて馴染んだ、日本中どこにでもあった「喫茶店」なのだ。
台湾で、ぼくは2軒の喫茶店に入った。
一軒目は「上林珈琲」、2軒目は「芸術珈琲」だ。
芸術珈琲に、午前11時頃入って、メニューにあったマンデリンを頼んだら、
ウェイトレスが途方に暮れた顔で首を振る。
言葉が通じないので、なにがいいたいのかなかなかわからなかったのだが、
どうやら、まだできないということらしい。

どのくらい待つのか聞いて、結局、30分くらいという答を得た。
12時近くなって、何人か従業員が出勤してきて、
やっと珈琲の香りがし始めた。
ぼくらのほかにも地元客がふたりいたのだが、彼女たちも、その間、
水以外のものはなにも出なかったから、きっとコーヒーを待っていたのだろう。
水が出ることは、台湾の店では珍しい。
ちょっと高級感を出してたのかな。
もちろん、ちょっと怖いので飲まなかったけど。
やがてウェイトレスが、コーヒーを持ってきた。
さっきはシャツの胸元をはだけていたのに、今度はネクタイをしている。
やっと本格勤務に入ったらしい。
長いこと待ったコーヒーは、なんの豆だかわからなかった。

二日目は、遼寧夜市に出かけた。
昼間、週末高架下に現れる骨董・翡翠・華市を見物して、
老街と呼ばれる古い街並を見て、それからいったのだ。
ついでに、インターネットカフェを見つけて、掲示板に書きこみをした。
日本語フォントが入ってなかったので、アルファベットでローマ字。
老街は、確かに古い建物が残っていたのだが、
どうも釈然としない部分もある。
というのは、ぼくの感想としては、台湾自体が老街なのだ。
ぼくがいたのは台北、つまり日本なら東京あたりなわけで、
それも大きい街を歩くことが多かったから、渋谷とか新宿なわけだ。
それなのに、どこを見ても、朽ち果てそうな、
日本の感覚なら廃屋と呼ばれる建物ばかりなのだ。
一階路面店の入り口はきれいにしてあるが、
ふと顔を上げると、二階から上は壁が老化して汚れていたり崩れていたり、
別にわざわざ老街とかいわなくたって、国中老街じゃーん、という気がするのだ。

しかし、台湾は、道路が広い。
街並みの古さと不釣り合いなほど、道がとてつもなく広いのだ。
名古屋の100メートル道路クラスの道が、あらゆるところにある。
そしてそこには、スクーターがいるのだ。
スクーターは日本にもいるが、問題なのは、数だ。
明らかに、車の数よりも多い。
広い道路だと、100台くらいのスクーターが信号待ちをしている。
ちょっと見、あらゆる交差点で暴走族の集会をやってるみたいだ。
信号が青になると、みんな一斉に白煙を吐いて走り出す。
整備が悪いので、どのスクーターも排気ガスが凄い。
おまけに、道路という道路は、スクーターで埋まっている。
見渡す限りの道路に、ずらりとスクーターが駐車してあるのだ。
なんだか、眩暈がするほどである。
ぼくは4日間ですっかり喉をやられて咳が止まらなくなってしまった。

遼寧夜市は、小さいがデザート中心の夜市だということだったのに、
いってみたら、小さいだけでデザートはほとんどなかった。
いくつか案内書を持ってったのだが、「地球の歩きかた」は、データは多いが、
重要なとこが抜けてたり間違っていることが多い。
ただの目安くらいに考えておかないと、移動や乗り換えなんかで痛い目に遭う。
まあなんでもいいやと、この夜はリブを乗せた麺と臭豆腐を食べた。
臭豆腐は、日本人は食べられない人が多いが、案外旨い。
唐辛子で真っ赤なのが難点だけど、発酵させた豆腐は、なかなか美味しかった。

時に美味しかったのは、かき氷だ。
初日に食べた果物系とは違って、こちらは完全な氷中心だ。
日本のかき氷とは、ちょっとシステムが違う。
まず、発泡スチロール製の器に、具を入れる。
この具が、20種類くらい並んでいる。
タピオカや、ゼリーや、杏仁豆腐や、小豆あんや、緑豆あんや、
まあかき氷に入れても不思議じゃないものも多いのだが、
不思議なものもある。
カボチャの煮物や、サトイモの煮物、サツマイモの千切り。
この上に、氷をかけてもらうのだが、これが、案外旨い。
確か120円くらいだったと思うが、
台湾にいったら、これと牛乳大王は試したほうがいいと思う。

この日は物凄く歩いて疲れたので、足裏マッサージをやってもらうことにする。
かなり痛いという話だったが、ぼくは別に痛くはなかった。
マッサージしてくれるお姉ちゃんが、絶対に痛いはずだという顔で、
ぐいぐい足裏を押しながら、ちらちらこちらを見るので、
「うーん、ちょっとその辺が痛いかな」とサービスでいうと、
「4番です」と鬼の首でも取ったようにいう。
足の区域に番号がついていて、そこが体のどこかに対応しているのだ。

ちなみに、4番は「睾丸」であった。
睾丸はともかく、旅行中日にマッサージを受けるのは大正解だった。
足の疲れが取れ、それから先の行動が、すごく楽になった。

三日目は、まず小籠包を食べにいく。
鼎泰豐っていう店なんだけど、
ここは、日本とアメリカにも支店がある有名店だ。
有名店にうまいものなしという説もあるが、ここはうまい。
小籠包も旨いが、餃子も旨い。
手前の仁愛路は、ものすごく広くて、中央分離帯に椰子だか棕櫚だかが並んでいて、
カリフォルニアにでもきたみたいだ。
でも、ちょっと街をうろつくと、路地の間にいきなり小さい市場がある。
食べ物飲み物雑貨と、ひと通りのものが揃っている。
買い食いしたいのをぐっと我慢して、鼎泰豐へ。
うーん、やっぱり旨い。
日本人が2割くらいということは、日本でも有名なんだろうな。

午後は、九扮にいくことにした。
(ほんとは「扮」はニンベン)
映画「非情城市」の舞台になったことで一躍観光地になった、小さな町だ。
きっと絵に描いたような観光地になってるだろうし、
どうしようかと思ったのだが、
いってみたら、これが案外いいとこだったのだ。
なんでも見てみなくちゃわからないものである。

電車でだいぶ遠くの駅までいって、そこからまたバスに乗る。
電車の駅からすぐのところにバス停があって、そこから乗ればいいのだが、
路線の見方も料金も、よくわからない。
電車でいっしょになった日本人らしい兄ちゃんに知ってるかと聞いてみたら、
彼はもうしばらく台湾の知り合いのところで世話になっていて、
多少現地の知識がある。
彼に教わって、なんとかバスに乗った。
田舎町を抜けると、田舎になる。
崩れかけたような家が続く一帯を抜け、山道に入ると、
バスは物凄い勢いで坂道を上っていく。
ジェットコースターにでも乗っているように、広くもない道を吹っ飛ばしていくのだ。
立っているぼくは、必死でつり革に掴まるのだが、
このつり革が固定式じゃないのだ。
バーに根本の輪をくぐらせてあるだけで、引っ張るとどこまでも動いてしまう。
バスを降りるころには、ぼくは久し振りに乗り物酔いしていた。

台湾人の乗客に聞いて降りた九扮は、予定していた場所ではなかった。
もっと下で降りるつもりだったのに、半端に頂上に近いところで降りてしまったのだ。
まあいいやと、兄ちゃんとはここで別れて歩き始めた。
細い道は土産物屋ばかりで、なんてこともない。
くるんじゃなかったかな、とちょっと後悔した。
でも、九扮を貫く階段のあたりまでくると、やっぱりきてよかったと思う。
延々と続く階段は、時代を経てきた風情がある。
土産物屋の通りから入った路地には、不思議な匂いがある。

頂上の展望台に上り、降りてきて、茶藝館に入った。
古い家を改造した店で、壁の古ぼけかたに味がある。
トップの写真のあたりだ。
茶藝館というのは、台湾のカフェみたいなもので、
中国茶を飲ませてくれる。
ここは、功夫茶のスタイルで、お茶のセットを持ってきてくれた人が、
最初はひととおりやり方を教えてくれる。
ゆっくりお茶を飲みながら、海と山を眺める。
時間もここでは、ゆっくりと過ぎていくようだ。
凄く高い店だったが、まあ高いだけあったかな。

帰りは、どこからバスに乗ればいいのかわからず、派出所のおまわりさんに聞く。
またジェットコースターに乗って、麓まで。
九扮は、またいってみたいところだ。

九扮から帰る途中で電車を降りて、また夜市にいくことにする。
「饒河街観光夜市」あるいは、「松山夜市」ともいう。
駅から目の前に、大きなアーチがある。
廟の脇から夜市が始まっていて、その道一本だけの夜市なんだけど、
なかなか栄えていて、食べ物のレベルも高い。
入り口で、初めて見る蟹の天ぷらを見つける。
足を根本で切って、コロモをつけて揚げたものだ。
これがいい香りで、物凄く旨そう。
でも、まだ中にいい店があるかもしれないので、ぐっと我慢して突入。

肉まんを焼いたようなものがあったので、まずそれを食べる。
もっちりして旨い。
絞っただけの西瓜汁を飲む。
青臭くて旨い。
コリアンダーを挟んだ腸詰めを食べる。
肉の臭みをコリアンダーが消して旨い。
ジャージャー麺のような、牛肉を乗せた汁気のない平打ち麺と、
魚醤スープの麺を食べる。
腰があって旨い。
やっぱり、蟹の天ぷらも食べる。
香ばしくってパリパリしてて旨い。
ついでに、ゆうべに続いてかき氷も食べる。
これも旨い。
この日の氷は練乳がけだったので、小豆あんを入れて、ミルク金時にする。
もちろん、ほかの具も溢れるほど入れる。
みんな、氷以外は一人前が小さいので、いくらでも食べられる。
おまけに、安い。
麺類は一杯、30元から50元くらい。
日本円で、120円から200円くらいだ。
ああ、屋台はいいなあ。

台湾では、その辺を歩いててちょっと気になる屋台で、ずいぶん買い食いをした。
澱粉系が、どれも旨い。
パイを厚く大きく重ねたようなものに刻み葱を入れた、
クレープというかお好み焼きというか、これが旨い。
熱々をジュースと供に流し込むと、うーん台湾にきたよかったという感じかな。
キャベツのような葉もの野菜を入れた饅頭も、甘辛くて旨い。
ゴマを入れてホットケーキのように厚く焼いたものも、これがまた旨い。
なんだか、毎日1日中食べてるような気がするが、気がするだけじゃないな。

夜市から帰ってくると、まだ宿を取った西門の街には人がたくさんいる。
ここは、原宿と新宿を会わせたような若者の街だ。
でも、みんな驚くほど地味でダサい。
若者向けの店がいっぱい軒を連ねているのだが、買えるようなものは、なにもない。
台湾で着替えを買おうと思っていた僕は、完全に当てが外れた。
Tシャツ一枚、これなら我慢して着ておこうと思えるものがないのだ。
いろんな店に入ったが、Camperの靴以外、欲しかったものはなにもない。
屋台を食べ歩いたせいもあるが、こんなに金を使わない旅行も珍しい。
日本の三越も台北駅前に店を出していたが、まったくろくなものはない。
台湾らしいものも、品揃えがよくない。
お茶は売っていても茶器を売っているところが少ないし、
翡翠なんかのアクセサリー類も、デザインが古すぎる。
買いたくなるような商品を揃えるのが、
観光都市としてやっていくための第一歩だろうが、先は長そうだなあ。

最終日は、ホテルに荷物を預かってもらって、近所を歩いた。
意外なほどすぐ近くに問屋街があって、秋葉原合羽橋気分。
例によって廃屋かと思うような建物が並んで、
ディープな台湾を味わえる。
ラブホテルをいくつも見つける。
やっぱり、ご休憩とお泊まりだ。
ご商談にとか書いてある。
小腹が減ったので、手近な餃子屋に入る。
というか歩道に出ているテーブルに座る。
これが美味しくなかった。
台湾にきて初めて美味しくないものを食べた。

西門の街をひとまわりして、台北近くまでいってまた戻り、
荷物を受け取ってMRTで台北駅へ。
三越デパートと大亜デパートを覗く。
両方酷かったが、大亜は、日本の田舎のスーパーよりなお酷い。
これが、日本でいったら東京駅の前にあるのだ。
買い物は、とにかく駄目だなあ。
バスの切符を買って、空港へ。
古い街並みや郊外の景色を横切っていく。
これで、当分台北ともお別れだ。
なかなか楽しかった。
屋台の料理の美味しさは格別だった。
腹をこわすこともなかったし。
またきっと、近いうちにくるだろうな。


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