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小林研一郎 チェコフィルハーモニー管弦楽団
マーラー 交響曲第3番

  KEN-ICHIRO KOBAYASHI
CZECH PHILHARMONIC ORCHESTRA

G.MAHLER SYMPHONY No.3


2004年7月22日、EXTONレーベル(オクタヴィア・レコード社)から「マーラー 交響曲第3番(指揮:小林研一郎 演奏:チェコフィルハーモニー管弦楽団)が発売されました。

1999年3月に録音されたこのCD、録音したポニー・キャニオンがクラシック音楽から撤退を決めたため、なかなか発売されませんでした。録音から5年が経過した今年、録音を担当したプロデューサが、自ら立ち上げたレーベル「EXTON」から発売してくれました。

往年のノイマン&チェコフィルコンビが得意としたマーラーの3番。今回の録音でも、ホルンのティルシャルと、ポストホルンのケイマルが美しい音色を存分に披露してくれています。
もうティルシャルの素晴らしいこと・・・涙があふれますよ。ティルシャルが1番ホルンに入ると、チェコフィルのホルンセクションは特別な響きを作り出してくれるのです。

この曲の時はいつも、ケイマルは1番トランペットではなく3楽章に登場するソロ・ポストホルンを担当します。ファンも、ケイマルの音を楽しみにしているでしょうね〜。まさに十八番!といった感じでしょうか。

今回の作品でのコバケンさんの指揮は、とても大らかな感じ。チェコフィルに極端に歌わせすぎず、全体をしっとりと美しくまとめています。もちろん、曲の熱い場面では、しっかり炎を上げて燃えていますよ〜。

CDのライナーノーツ(解説書)を読むと、諸石幸生氏が変わった事を書いています。「最初は、通常より少し大きめの音量で小林=チェコ・フィルの醍醐味を臨場感も鮮やかに味わった。次にほとんど聞き取れる最小の音量でも聴いてみた。そしてその時、小林研一郎のマーラー演奏がもつ真実の声を聞いた想いがした。」

何で最小の音量で聴くのかな〜・・・もしかして・・・。ライナーノーツを読んだとき、ちょっと嫌な感じがしたのですが、一度聴いてみて理解できました。
この録音、いつもにも増してコバケンさんの「ル〜ルル〜!」という唸り声が、大きいです。フォルテシモの場面で熱くなると、一つの楽器の様に声が録音されています。
小さい音量で聴いてみると、声が目立たなくなるわけですよ。「コバケンさんの唸り声を気にせずにチェコフィルの音を楽しむには、音量を下げたほうが良い」という事を、筆者は伝えたかったのでしょうね・・・たぶん。

録音は素晴らしいです。高い天井の効果で、高音が美しく響き渡るドボルザーク・ホールのサウンドが再現されています。でも演奏については、私は1981年に録音されたノイマン&チェコフィルの方が好みですな〜。この録音での、ケイマルのソロ・ポストホルンは絶品ですよ。

今回、改めて両方の演奏を聴き比べてみました。「交響曲らしい」コバケンさんの演奏に対し、ノイマンの演奏は「映画音楽」を想わせる美しくて優しい響きです。
ノイマン&チェコフィルの録音では、マーラーの3番とラスト・レコーディングであるマーラーの9番が私の中では別格ですから・・・なかなかこれを越える演奏はありませんな〜。

それでも、このCDは思い出に残るCDなのですよ。


[Recording Data]
マーラー交響曲 第3番 二短調

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
小林研一郎(指揮)

マルタ・ベニャチコヴァー(アルト)
キューン混声合唱団(女声)
キューン児童合唱団
ミロスラフ・ケイマル(ポストホルン)

1999年3月6−8日
プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールにて収録


【演奏会&録音見学】

コバケン&チェコフィルのマーラー3番は、レコーディング前の1999年3月4・5日に演奏会が行われました。
演奏会に合わせてプラハを旅行した私達は、演奏会を楽しんだうえに、さらにレコーディングまで見学させていただきました。貴重な経験をさせていただき、スタッフの方々には感謝感謝です。

【演奏会のポスター】

満員のルドルフィヌム(プラハ芸術家の家)ドボルザークホールは、コバケンさん&チェコフィルの美しくて熱い演奏に大興奮でした。

名誉主席奏者になって以来、滅多に演奏会へ出演しなくなったホルンの名手「Z・ティルシャル」が、主席奏者として舞台に登場した時の感激と言ったら・・・。ティルシャルが出演するとは思っていなかったので、興奮する事この上無しでした。そして、変わらぬティルシャル・サウンドに酔いしれたのでした。

【チェコフィルの本拠地〜芸術家の家〜】

録音プロデューサーさんのご配慮で、演奏会に引き続き行われたレコーディングを見学させていただきました。

【ドボルザークホールの真下にあるレコーディングルーム】

レコーディングルームでは、モニターでドボルザークホールの様子を見ることができます。演奏を止めて、スコアを見ながら指揮者に指示を出すプロデューサと、楽団員に指示を出しながらプロデューサーと意見交換をする指揮者・・・緊張する場面が続きます。

ちょっとした休憩時間でも、レコーディングルームにはチェコフィルのメンバーが次々にやってきます。録音した音を確認したり、今後のスケジュールを打ち合わせたり。会話は主に英語でした。コバケンさんが楽団員に指示を出す時は、ドイツ語を使っていました。チェコ語、日本語、ドイツ語、英語が入り混じり、とても国際的ですな〜。

【ノイマンがいつも座っていた椅子 〜ミロスラフ・ケイマルと〜】

3楽章の出番(ポストホルン・ソロ)が来るまで、「俺の出番はまだか〜?」と何度もレコーディングルームに顔を出したミロスラフ・ケイマル。3楽章のレコーディングでは、本当に苦戦していました。
あと一歩・・・というところで、細かいミスが続きます。何度も何度もテイクを繰り返していました。ケイマルと付き合いが長いプロデューサーが「ケイマル、衰えているな・・・」と呟いたのを聞き、とても寂しい気持ちになりましたよ。

今回のCDの第3楽章を聴くと、「イメージどうりに吹けない苛立ち」と闘いながら必死に演奏するケイマルの姿を思い出してしまい、美しいメロディーが一層心にしみわたります。

レコーディングの休憩時間、プロデューサーさんからチェコフィルや他のオケの話をたくさん聞かせてもらいました。昔のプレーヤーの話、最近の録音の話・・・朝比奈隆&大阪フィルで、ドボルザーク新世界をライブ録音した時、あまりの超スローなテンポに、4楽章の冒頭で演奏が崩壊したそうです。その時の録音を聞かせてもらった時は、コバケンさんも「これ、朝比奈先生?スゴイね〜」と大笑いしていましたよ。

ドボルザークホールの地下には、楽屋の他に「カフェ」があります。ここで御馳走になった、スタッフの方お薦めの「トルコ・コーヒー」が美味かったです。コーヒーの粉が、そのままカップの底に沈んでいます。勢いよく飲むと、粉が口に入ってしまいます。

私は高校生の時から、ホルン奏者のZ・ティルシャルの大ファンです・・・。そんな話をしていた時!

【Z・ティルシャル登場!通訳さんみたいな、なみへい】

ティルシャルに間近で会うのは2回目。1回目は東京でのコンサートの時で、楽屋に向かうエレベータ内で遭遇しました。でも、ドボルザークホールで会うのは、感激度が倍増でしたよ。「演奏会、素晴らしかったです!」と言ったのですが・・・伝わったでしょうか。

この後、ホールを見学させていただきました。緊張するレコーディングの合間なので、さすがに写真は無理でした。
マイクのセッティングやホールの特性について教えてもらった後、舞台の上へ。椅子の上に置かれたティルシャルの楽器・・・「吹いてみて〜!」と思いながら、じっと見てきましたよ。

【指揮者の控室】

幸運にも、指揮者の控え室を見せて頂けました。
歴代の主席指揮者ターリッヒ、クーベリック、アンチェル、ノイマン、古くは、R・シュトラウス、エーリッヒ・クライバー、グスタフ・マーラー・・・チェコフィルを指揮した数多くの指揮者達が、本番前の緊張する時を過ごした部屋です。

【落ちついた雰囲気の室内】

壁には、歴代のチェコフィル主席指揮者の写真が飾られていました。

【おまけ】

ココで心を落ち着けた指揮者は、きっと多かったでしょうね。
記念として、なみへいも利用させてもらっていました。

【お世話になったプロデューサーさん&ケイマル】

プロデューサーさんのおかげで、今回発売されたCDは、良い旅の記念になりました。これからも応援させていただきますよ〜。

この日のレコーディング終了後、コバケンさん夫妻とレコーディングスタッフの方々が食事に誘ってくださいました。
ということで、遠慮なく同席させていただいた私達。
スタッフの方お薦めのインド料理屋で、すっかり御馳走になってしまいました。

【コバケンさんと プラハのインド料理屋にて】

翌日は、次の目的地「ハンガリー・ブタペスト」への移動日でした。
「飛行機の時間まで、レコーディングを見学しなよ。空港まで送るよ〜」というお言葉に甘え、翌日もレコーディングの続きを見学させてもらい、そのままプラハ空港まで車で送っていただきました。

コバケン夫妻&スタッフの皆さんには、大変お世話になりました。おかげさまで、良い思い出になりました〜。来月の札幌公演「コバケン=チェコフィル 我が祖国(スメタナ)」にも、行かせていただきますよ!



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