『ハッカーを追え』の翻訳。特に誤訳、誤字などの指摘があったら、メールでもいただければ。
太字は英文のポップアップつき。
Literary Freeware: Not for Commercial Use
THE HACKER
CRACKDOWN Law and Disorder on the Electronic Frontier by Bruce
Sterling
Cyberspace Rangers
サイバースペースの保安官
アメリカのコンピューター関係の警官は興味深い集団だ。社会現象としてみれば、ティーンエイジャーの電話フリークやコンピューターハッカーよりも興味深いし、より重要である。第一にかれらは年をとってるし、賢い。無思慮なモラルのかけらもないオタクたちではなく、熟練した大人の専門家で、公共サービスに対する責任感ももっている。それにハッカーとは違って、「技術的な」力だけでなく、大きな法的そして社会的な権威をもっている。
とても興味深いことに、かれらはサイバースペースの大海では他の人たちとまったく同じ扱いだ。かれらにはこれは不満だ。警察は本来権威主義者で、規則と先例に従うことを好むものだ(荒野にこっそりとはじめて馬を走らせる警官でさえ、「カウボーイ」らしい態度についてはまじめに否定する)。しかしサイバースペースでは、規則もなければ先例も「ない」。かれらは草分けの先駆者たちで、好むと好まざると、サイバースペースの保安官だ。
ぼくの意見では、コンピュータに魅入られて、コンピュータセキュリティの何から何までに虜になっていて、特別な形の知識や力に対する欲望にひきつけられているティーンエイジャーは、「ハッキング」のことなんて全て忘れて、連邦職員になることを目指した方がいい。連邦職員なら、ありとあらゆる面でハッカーができることを凌駕できる。それには情報をあつめること、他人のふりをすること、ゴミ箱を荒らすこと、電話の盗聴、調書作り、ネットワーク、コンピュータシステム、「犯罪的な」コンピュータシステムへの侵入も含まれる。シークレットサービスの捜査員は、たいていのフリークたちが何年もかけて見つけ出すより、ずっと多くのフリーキング、課金コード、カードについての知識をもっている。そしてウィルス、侵入、ソフトウェア爆弾、トロイの木馬についても、連邦職員はアンダーグラウンドのはっきりしない噂でしかない極秘の情報に直接アクセスすることもできる。
そしてもしあなたが公的に立派な評判をもとめているなら、世界中でみてもよく訓練され、装備が整ってるアメリカのシークレットサービス捜査員ほど評判になるような人々はいないだろう。
もちろん力と知識を得るには、いくらかは個人的な犠牲は必要だ。最初に、大きな組織に属さなければならないという腹立たしい試練がある。しかしコンピュータ犯罪の世界では、まだその組織は小さく、あまりに早く動いているので、これから何年もおどろくほど流動的でありつづけるだろう。二点目の犠牲は、人から盗むのをあきらめなければならないということだ。これは大きな犠牲とはいえない。違法なドラッグの使用もひかえることも必要だろう、ただこれは健康にもいいことだ。
コンピュータセキュリティでのキャリアは、今日の若い男性や女性にとっては悪い選択ではない。これから数年は、その分野はたしかに劇的に拡大していくだろう。もし今ティーンエイジャーなら、専門家になるころには、この本で読んだようなパイオニアはこの分野の大御所といったところで、たくさんの弟子や後継者が押しかけていることだろう。もちろんその何人かは1865年のシークレットサービスの William P. Wood のように、法律の争いの歯車に巻き込まれることもあるだろう。ただあなたがコンピュータ犯罪の分野に入る頃には、いくらかは落ち着いているかもしれない、しかし楽しめるほどはやりがいがあるだろうが。
ただバッジを手に入れることはできない。勝ち取らなければならないのだ。第一に連邦の法取締機関の訓練がある。激しいし、やりがいがある訓練だ。本当に弱虫や意気地なしには無理だ。
すべてのシークレットサービス捜査員は、連邦法取締訓練センターでの厳しいコースを修了しなければならない(実際シークレットサービスの捜査員はその職にとどまる限り、定期的に再訓練がある)。
この訓練がどのようなものかを垣間見るために、ぼくは FLETC に出かけていった。