週間翻訳日記:週間で、ある単位を目安に翻訳していきます。
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2001/06/03 第五部 僕の海の冒険 第二十七章 八分銀貨 0.0版

えーと、こつこつちゃんと時間をとってやらないと進まないことってあるわけ。まあ、ペースも再びつかまないとね。英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

27.八分銀貨

船が傾いているために、マストは海の上に大きく飛び出していた。そしてマストの横木の止まり木に座っていた僕の下には、湾の水面以外は何もなかった。ハンズは、それほど高い位置までは登っていなかった、したがってより船に近いところ、つまり僕と船べりの間に落下した。ハンズは一度、白いあわと血にそまった水面に浮かんできたが、それから再びしずんで、永遠にそのままだった。水面がおさまると、舷側の影のなかの、すきとおるような明るい砂の上にハンズが体をまるめて横たわっているのが見えた。魚が一匹、二匹、体の側を通り過ぎていった。ときどき水がゆらいで、ハンズがまるで起き上がろうとでもしているように少し動いたようにみえた。しかしハンズは、完全に死んでいた、というのも、撃たれた上におぼれていたわけだから。そして僕を殺そうとしたまさにその場所で、ハンズは魚のえさになっていたわけだ。

僕はそのことに気づくと気持ち悪くなりはじめ、ふらふらになり、恐怖に襲われた。熱い血が背中と胸に流れていた。短剣が僕の肩をマストに打ちつけていて、熱い鉄で焼けるように思われた。しかし僕を苦しめていたのは、こういう現実に僕を苦しめていたものではなく、それなら僕には苦痛の声を出すこともなく耐えられるように思われた。むしろ僕を苦しめたのは、あの緑の色をした海水の中に、あのハンズの死体の側に落ちやしないかという恐怖だった。

僕は両手で爪が痛くなるまでマストにしがみつき、危険をさけようとでもするかのように目をぎゅっと閉じた。そしてだんだん僕の心は落ち着きをとりもどし、脈もだんだんふつうの速度に落ち着いてきた。そして再び自分を取り戻した。

最初に思いついたのは、短剣を引き抜こうということだった。しかしあまりに強くささっているのか、僕がおじけついたせいなのか、僕は激しく身震いして手をとめてしまった。不思議なことに、そうして身震いしたせいで、事がかたづいたのだ。ナイフは、実際、ぎりぎりのところで僕を外れていた。それは僕をほんの皮のところでマストにつきさしており、そして身震いのせいで皮が引きちぎれたのだ。、確かに血はもっと勢いよく流れたが、僕はまた自由になり、上着とシャツがマストに留められているだけになった。

最後にぐいっと引っ張って上着とシャツを引きちぎり、右舷の横静索をつたって、甲板までもどった。特になんらかの理由があるわけではないが、すっかり怖気づいていたので、僕はあえてハンズが先ほど落ちた左舷の横静索をつたって降りる気にはならなかったのだ。

下に降りていって、僕は傷の手当てをした。けがはひどく痛んだし、血もずいぶん出ていた。ただ深い傷でもなかったし、危険な傷でもなかった。また腕を使うときも、格別痛むといったわけでもなかった。それからあたりを見回して、船がある意味では自分のものになったので、最後の乗客を片付けてやろうと考えた。もちろん最後の乗客とは、死体のオブライエンのことだ。

前にもいったように、オブライエンは船べりに投げ出されていて、そこでは恐ろしい、ぶざまな人形のように横たわっていた。それは確かに実物大だが、人間らしい色つやや美しさとは似ても似つかないものだった! その位置だったので、僕は簡単に始末できた。そして悲惨な冒険になれて、ほとんど死体への恐怖もなくなっていたので、まるでもみがらの袋か何かのようにオブライエンの腰をかかえて、ぐいっと持ち上げると船外に投げ出した。ざぶんと音がして海中へ沈んでいき、赤い帽子が脱げて海面にただよっていた。そして水しぶきがおさまると、僕にはオブライエンとハンズがならんで横たわっているのが見てとれた。2人とも水の動きにあわせてゆらゆら揺れていた。オブラインはまだ非常に若い男だったが、頭は禿げ上がっていて、その禿げ頭を自分を殺した男のひざにのせて横たわっていたわけだ。そして2人の上を小魚が行ったり来たりしていた。

僕は船にたった一人で、潮がちょうど変わり目だった。日はまさに沈もうとしているところで、西岸の松の木の影がまっすぐ停泊所まで伸びていて、甲板にいろいろな模様を投げかけていた。夕方のそよ風がふき、東の2つの山ですっかりさえぎられていたが、船の索具はがたがたと音をたて、垂れていた帆もばだばたとはばたきはじめた。

船が危なそうだと思ったので、三角帆を急いで下ろし、甲板へとなげだした。ただメイン帆はもっとやっかいだった。もちろん、スクーナー船が傾いていたので、下げたはぐるりとまわって、その先端と帆の1、2フィートは水に浸かっていた。僕はこれはいよいよ危ないぞと思ったが、強く帆は張られていたので、手をだすのが怖いようにも思われた。とうとう僕はナイフをとりだして、帆をあげる索を切った。斜桁の外端がすぐに落ちて、ふくらんでゆるんだ帆が海面の上に浮かんだ。それからどんなにやっても、おろし綱を少しも動かすことはできなかった。そしてそれが、僕ができるせいぜいのことだった。後は、ヒスパニオーラ号も僕と同じよう運を天にまかすよりほか仕方がなかった。

このときまでには、停泊所全体はすっかり日が暮れていて、最後の光が、僕は今でも覚えているが、木々のあいだから差しこんできて、あの難破船を覆っている花を照らし出し、宝石のように光っていた。寒くなりかけていて、潮は急速に外海の方へと流れていて、スクーナー船はいよいよ傾いて真横になるくらいだった。

僕は急いで前の方に行って、下をのぞいてみた。浅いように思えたので、念には念をいれて両手で切れてる錨綱をにぎりしめると、船外に飛び降りた。水は僕の腰ほどくらいまでしかなかった。砂は固くて、さざなみの模様がついていた。そして僕ははりきって、ヒスパニオーラ号をメインセイルが湾内に漂っているままでその場所に残して、岸までゆっくり歩いていった。それと同時に、太陽は完全に沈み、夜風が松の木をゆらし、低い音をたてていた。

とにかく、そしてようやく、僕は陸地にたどりついた。それも何の収穫もなくもどったわけではない。スクーナー船があり、ついに海賊たちの手を離れて、僕らの味方がいつでも乗船して海へでていけるようになったわけだ。僕はすぐにでも柵のところにもどって、手柄を自慢したくてたまらなかった。たぶん少しは抜け出したことを怒られるかもしれないが、ヒスパニオーラ号をとりもどしたことは、それを補って余りある答えではないだろうか。そして僕はスモレット船長でさえ、時間を無駄にしたわけではなさそうだな、といってくれるのではと夢想した。

そんなことを考えながら、意気揚揚と丸太小屋の、味方がいるほうへと向かいはじめた。僕はキッド船長の停泊所に注いでいる川の一番東のものが、僕の左手の2つの頂がある山から流れていることを思い出して、その川幅が狭いあいだに渡るほうがよいだろうと思ってその方向へ針路をかえた。森はかなり開けていて、低い尾根をつたっていくと、僕は山の角をすぐにまがって、それからすぐにふくらはぎの真ん中くらいまで水につかってその川を渡った。

そこで僕は、置き去りにされたベン・ガンと出会った場所のそばへやってきた。そして僕はより注意をはらいながら、四方へと目を配りながら歩いていった。暗闇がせまってきて、2つの頂の間の割れ目が見えるところまでくると、僕は空にゆらゆらと光が映し出されているのに気がついた。そこで、島の男が火をたいて食事の用意をしているのだろうと僕は思った。でも僕は、心の中で不思議に思った。やつはずいぶん不注意だなぁと。なぜならもし僕がその光を目にするくらいだから、どうしてそれが海岸の沼地でキャンプしているシルバーの目に届かないと思えるのだろう?

だんだんあたりは暗くなってきた。僕にできるのは、とにかく目指す方向へと歩みをとめないことだった。背後の2つの頂の山も右手の望遠鏡山もだんだんかすんできた。星も少なく、うす暗かった。僕がうろついている低地では、藪につまづいたり、砂のくぼみに足をとられたりした。

とつぜん辺りが明るくなった。僕が見上げると、青白いかすかな月光が望遠鏡山の頂上を照らし出していた。そしてまもなく大きな銀色のものが、木々のあいだを低く動いているのがみえ、月が昇ってきた。

月の明かりが助けになり、僕は残りの道のりを急ぎ、そして時々歩いたり、走ったり、急いで防御柵まで近づいていった。でも僕は柵の前の森に入ろうとするときには、ペースを落として細心の注意を払ってすすむように注意した。味方に間違って撃たれるようなことになっては、せっかくの僕の冒険も惨めな結末になってしまう。

月はだんだん高くまで登り、その明かりは森の開けた場所を通してあちこちを照らし出した。そしてすぐ真正面にはさまざまな色の明かりが木々のあいだから見えてきた。赤や暖かそうな明かりで、ときどき少し暗くなった、いわば、くすぶっているたきびの残火のようだった。

どうしても、僕にはそれが何なのかはわからなかった。

とうとう僕は開けた場所の境目の所までやってきた。西の端は、すでに月光で照らされていた。残りの部分は丸太小屋もふくめてまだ暗い影の中にあり、長い銀色の光の筋で明暗の模様を作っていた。丸太小屋の反対側では、大きなたきびが燃えきって、たえず赤い残り火が月の青白い明かりとまったく対照的だった。人の気配はまったくなく、かすかなそよ風の音以外に物音一つしなかった。

僕は立ち止まって、心の中で不思議に思った、と同時に少し怖くなった。というのも、こんなに大きなたきびをするのは僕らの味方のやり方ではなかったからだ。僕らは、特に船長の命令で、たきぎにはけちといってもいいくらいだったからだ。そして僕がいないあいだに、なにか悪いことがおこったのではないかと恐れを抱きはじめた。

僕はこっそり東側にまわっていって、影になるところを選んで適当な場所で、そこはもっとも暗い場所だったが、柵を越えた。

念には念をいれて、僕は四つんばいになり、物音一つ立てずに、丸太小屋の隅のほうへと行った。近づくにつれて、僕の心はとつぜん、いきなり軽やかになった。その音は本来あんまり心地いい音ではない。それに僕は他の場合だったら、その音にしばしば文句をつけたことだろう。でも今になっては、寝ているときの味方のいびきの音が、これほど大きく幸せそうにひびくのはまるで音楽のようだった。見張りの声、あの美しい“異常なし”という声も、これほど僕の耳に安心させるように響いたことはなかった。

そのあいだにも、一つのことは疑いようもなかった。見張りのやり方が非常にまずいということだった。もしシルバーとその手下がこうして忍び寄っているのなら、夜明けに生き残っているものは一人としているまい。僕が考えるには、これは船長がけがをしているからだと思われた。そして再び僕は、見張りにさえ事欠くようなこんな危険な立場に味方をほっぽりだしたことに、激しく自分を責めた。

このときには、僕はドアのところまできて立ち上がっていた。中は真っ暗で何ひとつ見分けがつかなかった。物音といえば、単調ないびきの音と、かすかな音が、僕には何の音かわからないが、はばたいたりつついたりする音がときどきした。

両手で手さぐりをしながら、僕はしっかりした足取りで中に入った。僕は自分の場所で寝よう(そう考えると笑いがこらえられなかった)そして朝に僕をみつけたときのみんなの顔を楽しもうと思った。

僕の足が、何かやわらかいものに当たった。寝ている人の足だった。ただ寝返りをうち、ごにょごにょとなにかをつぶやいたが目はさまさなかった。

そのとき、とつぜん、鋭い声が闇のなかに響き渡った。

「八分銀貨! 八分銀貨! 八分銀貨! 八分銀貨! 八分銀貨!」息もきらさず、小さい水車がくるくるまわるみたいに。

シルバーの緑の鸚鵡、フリント船長だ! 木の皮をつついたりする音が聞こえたのは、この鸚鵡のものだったのだ。どんな人間よりも注意深く見張りをして、僕が来たのをしつこくくり返して知らせたのは、この鸚鵡だった。

僕にはたちなおる暇さえなかった。鸚鵡のするどい早い調子の声で、眠っている者たちも目をさまし飛び起きた。そして悪態とともに、シルバーの声が響き渡った。「だれだ?」

僕は逃げ出そうとしたが、ある男にひどくぶつかってはねかえされ、全速力で走り出し別の男の腕の中にとびこんだ。そいつが僕をしっかりつかんで、強くしめつけた。

「たいまつだ、ディック」シルバーは、僕が捕まえられるとそう言った。

そして男の一人が丸太小屋から出て行って、すぐに燃えさしをもって戻ってきた。

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2001/06/02 第五部 僕の海の冒険 第二十六章 イスラエル・ハンズ 0.0版

ひさびさにやる翻訳ってめちゃくちゃ新鮮? そんなことでいいのか、これじゃあ訳語が統一されないのももっともだ(涙) 英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

26.イスラエル・ハンズ

風は、僕らが望んだように西風になった。僕らは島の北東の角から北の入り江まで、苦労せずに船を走らせることができた。ただ僕には錨を下ろすだけの力はなかったし、潮がもっと満ちるまでは浜につけてみることも出来なく、僕らは手持ちぶさただった。ハンズは、僕に船を停める方法を教えてくれた。何回か試してみて、僕はやりとげることができた。そして僕らは口もきかず、座って食事をとった。

「船長や」ハンズはあの不愉快な笑みを浮かべて、とうとう口を開いた。「こいつはおれの古い船乗り仲間のオブライエンだ。こいつを海へ放り出してくんねぇか。おれは別に格別気にしてるわけじゃないし、こいつを始末したことをなんとも思っちゃないんだが、やつをこのまま放り出しておいて、見せ物にしとくのもなんだろう?」

「僕はそんなことできないよ、やりたくもないし。転がってたって僕は気にならないな」と僕は言った。
「この船、ヒスパニオーラ号は不吉な船だ、ジムや」ハンズは、目をしばしばしながら話を続けた。「この船じゃ、人がうんとこさ殺されてるんだ。おれやおまえがブリストルで乗りこんでからでさえ、船乗りたちが殺された光景をみたもんだ。ただおれは、そんな不幸な目にあったことはねぇな、おれはな。ここにはオブライエンがいる、やつは死んでる、そうだな? それでな、おれはしがない船乗りだ、でもおまえは読み書きそろばんができる坊やときてる。だからぶっちゃけて聞くんだが、一度死んだらそれきりなのかい、それともまた生き返るのか?」

「人間の体は殺せてもね、ハンズさん、心は殺せないんだよ。自分でもわかってるはずだよ」と僕は答えた。「そこのオブライエンももうあの世に行って、僕らを見守ってることだろうよ」

「あぁ!」ハンズは声をあげた。「あぁ、それはよくねぇな。何十人も殺したって、時間の無駄ってもんじゃねぇか。けど俺の経験じゃ、心なんてものは大したものじゃねぇけどな。でも、俺は心ってやつにかけてみることにしようじゃねぇか、ジム。で、おまえは十分しゃべり散らかしたから、よければ下の船室に降りてって、あいつを、そうあれを、くそったれ! 名前が思い出せねぇ、いいや、ワインを一瓶もってきてくれ、ジムや。このブランデーときたら、よく効きすぎて頭がくらくらすらぁ」

さて、この男が口ごもるのは、いかにも不自然に思われた。それにブランデーよりワインがいいなんて話は、ちゃんちゃらおかしかった。話全体が口実っぽかったのだ。やつは僕を甲板から遠ざけたかったのが、明らかだった。でもその目的まではわからなかった。ハンズは、僕とは決して目を合わせなかった。あちこち、上や下や、空を見上げたり、オブライエンの方をちらっとみたり、きょろきょろしていた。たえずにやにや笑いながら、悪いことでもしているように、まごついたようすで舌をちょろちょろだすものだから、ほんの子供でもやつが何かをたくらんでいることはわかっただろう。でも、僕はすぐに返事をした。というのも、僕は自分の有利な点を把握していたし、こんな間の抜けたやつが相手なら最後まで労せず、疑っていることも隠し通せることがわかっていたのだ。

「ワインだって?」僕は言った。「ずっといいね、白かい赤かい?」

「おう、どっちだっておれには同じだがな」ハンズは答えた。「強くて量さえあればな、何の違いがあるんだ?」

「わかった、わかった」僕は答えた。「ポートワインをもってくるよ、ハンズさん。でも探さないと」

そこで、僕はできるだけ大きな音を立てて甲板昇降口を降りると、靴をぬいで、静かに廊下をかけてゆき、前甲板のはしごを登って、前の甲板昇降口から頭をだした。僕は、ハンズがそこにいる僕を見るようなことはないと分かってはいたが、出来る限り注意を払い、確かに僕の最悪の疑いがそれこそ本当だったことが明らかになった。

ハンズは両手、両膝で自分の場所から体をおこし、片足はあきらかに動かすととても痛むようだったが、というのもやつがうめきをこらえるのが聞こえたくらいだから。とにかく、やつはかなりの速さで自分の体を引きずって甲板を横切った。30秒ほどで左舷の甲板排水溝までいくと、巻いてあるロープの中から、長いナイフというよりはむしろ短剣を拾い上げた。その短剣は、柄まで血にそまっていた。しばらくそれをあごを突き出すようにして見つめていたが、先を手にあててみてから、急いで上着のふところにそれを隠すと、船べりの元いた場所に再びもどった。

僕が知りたいことは、これで十分だった。イスラエル・ハンズは歩き回れるし、今は武装している。そしてあれほどまでして僕を遠ざけたかったのだから、僕をやっつけるつもりであることは明らかだった。そのあとやつがどうするつもりなのか、北の入り江からキャンプをしているところまでまっすぐ島をはいつくばって行こうとしているのか、大砲でも発射して、自分の仲間たちが最初に助けに駆けつけてくれるのをあてにしているのか、もちろん僕にわかるはずもなかった。

でもある一つの点では、ハンズを信用することができるとも思った。というのは、その点では僕らの利害は一致していたからだ。それはスクーナー船の取扱いということだった。僕らは2人とも、船をどこか安全な場所に無事に停泊させて、そして時がきたらできるだけ簡単、かつ危なくない方法で再び出航させられたらと思っていたのだ。

僕は頭の中でこんなことに思いをめぐらせながらも、体は忙しく働かせていた。船室にとってかえし、また靴をはいて、手当たりしだいにワインのボトルをひっつかんで、そして申し訳ばかりにそれをもって甲板にもどった。

ハンズは僕がそこを離れたときのままで、すっかり体をまるめ、まるで明るい光にも耐えかねると言った風に瞼をふせていた。しかし僕がやってくると目をあげ、何度も同じことをやりなれた男のようにボトルの首をたたきわると、ぐいっとのみ、お気に入りの「幸運に!」という言葉をもらした。それから少しじっとしていたが、噛みタバコをとりだし、僕に一口分切ってくれと頼み込んだ。

「少し切ってくれよ」ハンズは言った。「俺はナイフも持っちゃいないし、持ってても切るだけの力もありゃしない。あぁ、ジム、ジム。がまんできねぇよ! 一切れくれ。これが最後の一切れだろうよ、ぼうず。この世の終わりだ、間違いなくな」

「うん」僕は言った。「タバコを切るよ。でも僕だったら、そんなに具合が悪いと思ったら、キリスト教徒みたいにお祈りするところだけどねぇ」

「なぜだい?」ハンズは言った。「おい、なぜお祈りするか教えてくれよ」

「なぜだって!」僕はさけんだ。「あんたはたった今、僕に死について尋ねてたじゃないか。あんたは信用を裏切ってきた。罪と偽りと血の中で人生を送ってきた。今だって足元にはあんたが殺した男がころがっている、それで僕に“なぜ”なんて尋ねるのかい! 神の慈悲にすがるんだよ、ハンズさん、それが理由だよ」

やつが血まみれの短剣をふところに隠していて、それで僕を殺そうとたくらんでいるなんて思うと、僕はすこし興奮して話をした。ハンズは、自分の番になると、ワインをぐいぐい飲み、普段とは違ってひどく真面目に話し始めた。

「30年ほどもな」ハンズは話した。「俺はあちこちの海を航海し、いいことも悪いことも、もっといいことももっと悪いことも、晴天も悪天候も、食い物がなくなったことも、ナイフで切りつけたことやなんやかんやを経験してきた。ただ、ただ言っとくぜ、俺はいい事からいい事が導かれたなんてことは、経験しなかったな。とにかく先手をうつのが俺の好みだ。死人にかみつかれることはないからな。これが俺の生き方だ、アーメン、そんなもんだよ。それでこいつを見ろや」と急にハンズは口調を変えた。「こんなバカ話はもう十分だろ。潮も十分満ちてきたし、ホーキンズ船長、俺の指示通りやってくれ。そうすりゃ、船はすぐに走り出して万事問題なしだ」

つまるところ、2マイルほど船を走らせればよかったのだ。でもこの航行は慎重を期するもので、北の停泊所の入り口は狭くて浅いだけでなく、東も西も岸が迫っていたのだ。だからスクーナー船を入港させるには、上手く操縦する必要があったわけだ。僕は自分もなかなか筋のいい、敏捷な助手だったと思ってるし、ハンズも腕のいい水先案内人だったと思う。船はすいすいと進んでいき、ひらりひらりと身をかわすように、岸をかすめながら、見ていてもうれしくなるぐらいに正確に、そしてきちんと操縦できた。

岬を廻ると、すぐ目の前に陸地がせまってきた。北の停泊所の岸は、南の停泊所と同じくらい森が茂っていた。しかし場所はより細長く、まるで河口のようで、そして実際もそうだったのだ。僕らの正面で南の端の方に、朽ち果てた見る影もない船が目に入った。3本マストの立派な大きな船だったようだが、雨風にさらされ、海藻が大きなくもの巣のように側面にはりつき、甲板の上には岸に植生する茂みが根をはり、ちょうど花が咲いていた。寂しい光景だったが、それはまた停泊所が過ごすのに適した場所であることも示していた。

「さて、」ハンズは言った。「そこを見ろ、船を乗り上げるには絶好の場所だ。平らな砂地で、風がなくて、木に囲まれてる、それにあの船の上にみたいに花が咲き乱れてるときてる」

「で、乗り上げたら、」僕は質問した。「どうやって出航すればいいんだい?」

「こんなぐあいだ」ハンズはすぐに答えてくれた。「潮が引いてるときに、反対側の岸まで縄を一本もっていくんだ。あの大きな松のどれか一本にそれを結びつける。それを船まで引っ張ってきて、キャプスタインに巻きつけるんだ。あとは潮をまつだけだ。潮が満ちてきて、全員でその縄を引っ張る。そんで船はすぐに出港するてな具合だな。さぁ、坊や、準備はいいか。その場所に近づいてきたぞ、少し速度が速いかな。少し面舵、そう、そのまま、面舵、少し取舵、そのまま、そのまま!」

そしてハンズが命令をだすと、僕は息つぐ暇もなくその通りにした。突然、ハンズが叫んだ。「さあ、相棒、風上だ!」そして僕は操舵をきって、ヒスパニオーラ号は速度をまして廻りこむと、低い低木の茂った岸へと船首を向けた。

こうした操縦にいくぶん気を取られていたので、いままで油断なくハンズに配っていた注意がおろそかになっていた。それでも僕は船が着岸する瞬間をいまかと待ち構えていたので、僕をおそう危機をすっかり忘れ、右舷の船べりから身を乗り出し、船首のたてるさざなみを見つめていた。僕が急にいわれもなく不安になり、ふり向かなかったとしたら、すっかり命を落としていたことだろう。たぶん甲板がきしむ音や、人が動いたときの影の端が目にはいったせいかもしれない。あるいは猫がもっているような本能のおかげかもしれない。とにかく確かに僕がふり向いたときには、ハンズがそこにいた。すでに半分ほどまで僕の方に来ていて、右手には短剣をにぎりしめていた。

僕らは目があったとき、双方で大声をあげたにちがいない。でも僕のは恐怖のさけび声で、ハンズのは闘牛のような怒りのさけび声だった。と同時に、ハンズがおそいかかってきて、僕は船首の方へ横っ飛びでにげた。そうしたので舵から手をはなし、それが風下へ激しく揺れ、そのおかげで僕の命が助かったのだと思う。その舵がハンズの胸にひどく当たり、やつはしばらく死んだかのように動きを止めたのだった。

ハンズが立ち直る前に、僕は追い詰められていた隅から逃げ出して、甲板のどこへでも逃げられるようにしていた。メインマストのすぐ前に陣取って、ポケットからピストルを取り出すと、冷静にねらいをつけて、やつはすでにふり向いて僕をまっすぐに追いかけてきていたが、僕は引き金をひいた。でも撃鉄が動いただけで火花も銃声もしなかった。火薬が、海水で濡れてしまっていたのだ。僕は自分の怠慢をのろった。なぜ前もって僕の唯一の武器の火薬と弾丸を入れかえておかなかったのだろう? そうしていれば、僕は今みたいに屠殺者においかけまわされ、逃げまどう羊みたいなことにならなかったのに。

ハンズは手傷を負っていたが、その敏捷な動きは見事といってよかった。白髪まじりの髪は顔にふりかかり、息をふりみだして怒りのあまりその顔は、英国旗のように真っ赤になっていた。僕にはもう一丁のピストルをためす暇もなかった。でも実際にはそれも役に立たないと思っていたので、試してみようとも思わなかった。僕にはっきり分かっていたのは、ただ逃げ回るだけではだめで、そうしていれば先ほど僕を船首へ追い詰めたみたいに、すぐに船尾に追いつめられてしまうということだった。一度つかまったら、あの9から10インチもある血まみれの短剣でやられて、この世の最後というわけだ。僕はかなり大きなメインマストに手をかけ、全神経をはりつめ待ち受けた。

僕が逃げ回るつもりだと見てとると、ハンズも立ち止まった。そしてしばらくのあいだ、やつはフェイントをかけ、僕の方でもそれに応じた動きをとった。それはまるで僕が故郷のブラック・ヒル入り江の岩場でやった遊びに似たものだった。でももちろんこんなにどきどきしながら、やったことは一度もなかった。でも僕にいわせればそれは子供の遊びみたいなものだった。僕は、腿にあんなけがをした老水夫に遅れをとるわけないと思っていたし、どんどん元気がでてきて、この出来事の結末がどうなるかを考えてみる余裕さえあった。そして確かにこれを長引かせることはできるが、最後に逃げ出せる見込みがないことがわかった。

そしてこういう状態で、ヒスパニオーラ号が突然乗り上げて砂にはまり込み、それからがたんとゆれて、甲板が45度ほども左舷に傾いた。そしてひと樽ほどの水が排水孔に入り込み、甲板と船べりの間は水たまりのようになった。

僕らは2人ともその瞬間にひっくり返って、ごろごろ転がり、ほとんど一緒に排水孔に転がりおちた。死んだ赤い帽子の男も両腕を広げたままで、僕らのあとをごろごろ転がってきた。僕らはあまりに近くにいたので、僕の頭がハンズの足にぶつかって、僕の歯ががちんと音をたてたくらいだった。そんな衝突やなんやかんやから、僕が最初に立ち上がった。ハンズは死体ともつれあっていたのだ。船が突然傾いて、甲板を走り回ることはできなくなってしまった。僕は、新たな逃げ道を探さなければならなかった。それもすぐに、なんせ僕の敵はすぐそばにいたわけだし。すぐに僕は後ろのマストの横静索に飛びついて、綱をたぐってのぼり、息もつかずにマスト上部の横木までいき、そこに腰をおろした。

急いだので命が助かった。短剣が僕がいそいで登っていたとき、その下の半フィートもないところに突き刺さったのだから。そしてイスラエル・ハンズは口を開いたまま、僕の方を見上げていた。それはまるですっかり驚いてがっかりしている彫像のようだった。

僕には余裕ができたので、すぐさまピストルの火薬を詰めなおし、それから一丁が使えるようになると、念には念をいれ、もう一つのピストルの弾薬もとりだして、はじめから新しく装填しなおした。

ハンズは僕のあらたな行動にすっかり驚いていた。形勢が不利になっているのがようやく分かり始めたのだ。そして明らかにとまどったあげく、のろのろと横静索にとりかかり、短剣を口にくわえて、ゆっくり痛みに耐えてのぼりだした。ハンズにとっては傷ついた足をひきずって登るのは、際限がないように思われ、苦しみをもたらしているようだった。僕はハンズが1/3ほども登らないうちに、ゆうゆうと準備を終えてしまった。それからピストルを両手にもって、こうハンズに告げた。

「もう一歩でも登れば、ハンズ」僕は言った。「おまえの頭をふきとばすぞ! 死人はかみつかないからな、だろ」僕はひとり、笑いをこらえた。

ハンズは、すぐさま登るのをやめた。その顔が動いているので、考えをめぐらそうとしているのが見てとれた。ただその速度があまりにおそく苦しげなので、僕は身の危険がなくなっていたこともあり、大声で笑い始めた。ついに一回か二回つばをのんで、ハンズは口をひらいた。ハンズは、すっかり困りきったといわんばかりの顔つきだった。口を開くために、ハンズは短剣を口から離したが、それ以外は少しも動かなかった。

「ジム」ハンズは口を開いた。「俺たちは間違ったみたいだな、俺もおまえもだ。仲直りしようじゃないか。あんなに突然ゆれたりしなきゃ、おまえをとっつかまえてたんだがな。俺はついてねぇんだ、俺はな。どうやら俺は降参しなきゃならないみたいだな、船長までやった男がおまえみたいなひよっこに降参するのはつらいことだな、ジム」

僕は、ハンズのことばによっていて、塀の上にとまっている雄鶏みたいに得意げに微笑んでいた。とつぜん息をのむ間に、やつの右手が背中へまわされたかと思うと、何か矢のようなものが空をきって飛んできた。僕は一撃をうけ、鋭い痛みを感じ、肩をマストに撃ちつけられていた。その激しい痛みと驚きで、僕は自分の意思とはいいがたいが、少なくともねらいをつけたわけではない、両手のピストルが火をふき、それと同時に手から離れておちていった。ただ落ちたのはピストルだけではなかった。息がつまったようなさけび声とともに、ハンズは横静索をつかんでいた手を離し、頭から海のなかへと落ちていった。

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2001/05/05 第五部 僕の海の冒険 第二十五章 僕が海賊旗を引き下ろす 0.0版

とりあえず全力? 出しときました(笑) 英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

25.僕が海賊旗を引き下ろす

僕が船首斜檣にとびつくとすぐに、吹流しの三角帆がはばたき、帆の反対側に風をうけ、大砲のような音をたてた。スクーナー船はその反転で、竜骨のところまで震えた。次の瞬間、他の帆はまだ風をうけていたので、三角帆は再びはばたきだらんとぶらさがった。

このため、僕はもう少しで海へとはねとばされそうになった。僕はぐずぐずせずに、船首斜檣をはって船の方へもどり、甲板に頭から転がりこんだ。

僕は前部上甲板の風下の側にいて、メインマストはまだ風をうけていた。そのため、後部甲板の一部は僕からは見えず、人の姿は見当たらなかった。反乱以来、一度も磨かれていない甲板は足跡だらけで、首のところが割られている空き瓶が一本、甲板排水口を行ったり来たりまるで生き物のようだった。

とつぜん、ヒスパニオーラ号は風をうけた。僕の背後の三角帆は大きな音をたて、舵はぎしぎしときしんだ。船全体が、気味が悪いくらい上下動して振動した。それと同時に、メインマストの下げたが船の方にまわってきて、帆が滑車のところでミシミシと音をたて、僕は風下の後甲板が見渡せた。

2人の見張りが、たしかにいた。赤帽の男が仰向けになり、てこ棒のように固まって両手を十字架の像のように伸ばし、開いた口から歯が覗いていた。イスラエル・ハンズは船べりにもたれかかり、あごを引き、両手はだらんと甲板に垂らし、顔色は日に焼けているにもかかわらず油脂ろうそくみたいに蒼白だった。

しばらく船は暴れ馬のように飛び跳ね、横に動いたりした。帆は片側から風を受けたと思えば、また別の側から風をうけ、下げたはあちこちにゆれ、マストがひっぱられてぎしぎしと音をたてた。そしてまた僕は船べりを越えて水しぶきをあびたし、船首が波につっこんだりもした。手製のバランスの悪いコラクル舟より、よっぽどこの大きな万全の装備の船のほうが荒天でひどくゆれた。まぁ、コラクル舟はもう海の底だったが。

スクーナー船が飛び跳ねるごとに、赤帽の男があちこちに滑っていった。でも、見ていて何が恐ろしいって、その男の姿勢も歯をみせたにやにや笑いの表情もそんなにあちこちを滑っても全くかわらなかったことだ。船が飛び跳ねるごとに、ハンズはだんだん甲板にずりさがっていき、両足を前へ全身が船尾の方へ傾き、その顔はだんだん僕の方から見えなくなった。そしてとうとう僕には、片耳と頬ひげのすり切れた巻き毛しか見えなくなった。

同時に、僕は2人の周りの甲板に黒ずんだ血が飛び散っているのに気づき、やつらは酔っ払って怒りにまかせて同士討ちしたんだろうと考え始めた。

僕がそうやって見つめて迷っていると静けさが訪れ、船がじっとしていると、イスラエル・ハンズは少しこちらにむきなおり、低いうめき声をだして体をねじり、最初に僕がみた格好にもどった。うめき声は、痛みに満ちていて今にも死にそうなほど衰弱していた。そしてそのあごをあげる様子は、僕の心に訴えかけた。ただ僕はりんごの樽の中で聞いた話を思い出したので、かわいそうに思う気持ちはすっかりなくなっていたが。

僕はメインマストのところまで、船尾の方へ歩いていった。

「乗船したよ、ハンズさん」僕は皮肉っぽく言ってやった。

ハンズはつらそうに僕の方をみた。ただ驚きを顔に出すには、あまりに弱っていた。やつにできるのはせいぜい、一言いうだけだった。「ブランデーを」

僕もぐずぐずしている場合じゃなかった。再びがたんと揺れた下げたをよけながら、甲板を横切り船尾の方へ行き、船室昇降口から船室へと降りていった。

船室の中ときたら混乱のきわみだった。カギをかけてあった場所も全て、地図を探したために、開けっ放しで壊されていた。床はごろつきどもがキャンプをした周りの沼地でうろつきまわった後に、座り込んで酒盛りしたか相談でもしたんだろう、どろだらけだった。金色のビーズが飾られていた真っ白に塗られた壁には、どろだらけの手の跡がついていた。何十本もの空ボトルが船がゆれると、隅の方でガチャガチャと音を立てていた。先生の医学書の一冊がテーブルの上に開いたままになっていて、ページの半分くらいはびりびりと破かれていた。パイプに火をつけるのにでもつかったんだろう。そうしている真ん中で、ランプがくすぶったぼんやりした茶色い光をはなっていた。

僕は貯蔵庫に入っていった。酒樽は全部なくなっていて、驚くほどの数のボトルがからっぽになり、ほったらかされていた。確かに、反乱以来、しらふでいたやつは一人もいなかったことだろう。

ごそごそ探し回って、ハンズのために少しブランデーが残っているボトルを一本見つけた。あと自分用にビスケットとピクルス漬けの果物とレーズンをたっぷり、そしてチーズを一切れ揃えた。これらをもって、僕は甲板にもどってきた。といっても、自分のものは船首のかじのところに隠しておいて、ハンズには手の届かないようにはしたが。それから僕は水の入った樽のところまでいって、水をたっぷり飲んで、それから、そうしてようやく、ハンズにブランデーをやった。

ハンズはボトルを口につけると、いっきに1ジル(0.16リットル)ほども飲み干した。

「ぐはぁー、こんちくしょうめ、こいつがやりたかったんだ!」

僕も腰をおろして、もぐもぐやりはじめた。

「けがはひどいのかい?」僕は尋ねた。

ハンズはうなり声をあげた、というか、ほえたといった方がいいかもしれない。

「もし医者がいれば、」ハンズは言った。「少しでも手をかけてくれれば平気だったろうよ、運がねぇんだな。こんなんもんだよ。あいつは死んじまってるだろう」ハンズは、赤帽の男を指差してつけくわえた。「どちらにせよ、船乗りなんかじゃなかったがな。おまえは、いったいどうやって来たんだ?」

「うん」僕は言った。「この船を乗っ取りにきたんだよ、ハンズさん。で、次に通告するまでは僕を船長として認めてもらおうか」

ハンズは顔をしかめて僕を見たが、何も口には出さなかった。ほおに血の気がもどったが、ひどく具合が悪く見え、船がゆれるたびにずり落ちては姿勢を直していた。

「ついでに」僕は続けた。「ああいう旗は嫌だな、ハンズさん。失礼だけど、捨てさせてもらうよ。ない方がまし」

僕はまた下げたをよけて、旗のポールのところまで走っていって、のろわれた黒い旗を降ろし海へ投げ捨てた。

「国王陛下ばんざい!」僕は帽子をふってさけんだ。「シルバー船長もこれで終わりだ!」

ハンズは、ずっとあごを胸につけて、するどい目でじろりと僕をにらんだ。

「俺は思うんだ」ハンズはとうとう口を開いた。「俺には考えがある、ホーキンズ船長、着岸したいんだろう。話し合おうや」

「うん、いいよ」僕は言った。「喜んで、ハンズさん。それで?」そして僕は、がつがつと食べ物を腹に詰め込んだ。

「この男は、」ハンズは、死体をあごでさして話しはじめた。「オブライエンっていうんだが、下品なアイルランド人でな、こいつと俺とで帆をあげて、船をもとの場所へもどそうとしたんだ。うん、こいつは死んだ。船底のあかみたいに完全にな。で、だれがこの船をうごかせばいい? 俺はわからんな。俺が助けてやらなきゃ、おまえさんはあいつみたいにはできんぞ。俺が教えないとな。そら、見ろよ、おまえさんは、俺に食べもんと飲み物、それから傷をしばる古いスカーフでもハンケチでも持ってきてくれ、そんで俺はおまえにどうやって航行するか教えてやる。五分五分の取引だろ」

「ひとつ言っとくよ、」僕は言った。「キッド入り江の停泊所にはもどらない。僕は北の入り江に行って、そこにこっそり停泊するんだ」

「おまえの言うとおりにしよう」ハンズは大きな声でいった。「俺は悪魔の水夫ってわけじゃねぇ。俺は分かってるんだよ、そうだろ? 俺はちょっとやってみたけど、だめだったしな。おまえの方に風はふいてるみたいだ。北の入り江か? 俺には選択の余地はねぇな、俺にはな! 処刑波止場までだって行くぜ、全く! やるよ」

そこで、僕にしてみればいい取引に思えたので、すぐに話をまとめた。3分後には、僕はヒスパニオーラ号を操って、風をうけ宝島の岸ぞいに走らせていた。僕が思うには、昼前に北の岬をまわって、満潮にならないうちに北の入り江まで急いでいけそうだった。それで僕らは船を無事に着岸させ、潮が引くのを待って上陸するまで待てばいいわけだ。

それから僕はかじを固定すると、僕の衣装箱のところまで行って、母のやわらかいシルクのハンカチを取り出した。それで、僕が助けてやりながら、ハンズが太ももに負った大きな血の流れている傷をしばった。そして少し食べ物を口にして、もう一口、二口ブランデーを流しこむと、みるみるハンズは調子がよくなりはじめた。まっすぐ座りなおし声も大きく明瞭になり、まるで別人みたいだった。

風はいうことなしだった。僕らは鳥みたいに軽やかに水面をすべり、島の岸を飛ぶように後にして、景色はめまぐるしく変わっていった。すぐに高台を通り過ぎ、小ぶりな松が点在する砂の低地の横にさしかかった。そこもまたすぐに通り過ぎて、岩山の角をまわり、島の北の端までやってきた。

僕は自分の命令に大得意になっていた。そして天気もよくさんさんと輝くような天候で、陸の風景が次から次へと変わるのも楽しかった。僕は水も食べ物もたっぷりあって、小屋を見捨ててきたことでひどく痛んでいた良心も、この占領で帳消しといった具合だった。ただ思うに、水夫長の目だけをどうにかしたかった。やつはあざけるように甲板にいる僕をみて、その顔はいつも奇妙なにやにや笑いが浮かんでいた。その笑いには痛みと疲れが感じられ、やつれた老人のそれだった。でもそれにくわえて、あざけるような、裏切り者のような表情があった。そんな表情で、抜け目なく僕が働いている姿をじっとじっと見守っているのだった。

 

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2001/05/05 ゲティスバーグ演説 リンカーン 宿題 続き1

誰? 近所の図書館の岩波文庫のリンカーン演説集ずーっと借りてるのは? 返すように! でも図書館にいっていろいろ本をあさってるとそれはそれで興味深い。

前回の宿題で、リンカーンがパーカーの言葉を直接的には引用していることまでは確認済み。

A democracy, that is a government of all the people, by all the people, for all the people.

ここで重要なのはthat is以下は、もともとdemocracyの定義であり、リンカーンはそれを絶やさないことをアメリカが成し遂げる事業と高らかに宣言したわけだ。

ついでにdemocracyの語源をチェックすると ギリシャ語:democratia = demos(people、人民)+cratos(power、力)

なんてところですか、つまり民主主義は、語源からいえば人民が(統治する)力をもつってことをいってるわけ。

だからその定義のgovernment of the peopleも「人民が統治する力をもつ」って意味で、よって「人民の政治」はそれほど曖昧な訳とは、(いまのところ)思ってないわけです。

山形さんの

「人民の政治」というのは、一見もっともらしいけれど具体的に考えると何のことやらわからないでしょう。玄白訳でもコメントしたように、あれは「人民を統治(govern)すること」、つまり統治の対象となるのが人民であることを明記したもんです

っていうのは、「権利なんてお約束事で、能力と必要性があって始めてそれは意味をもつ」(新教養主義宣言)という考え方から来ているのかなとも思いますが、いまいちここの訳とその論理はきれいに結びついていないように感じます。

ただ、演説集の内容を含めてもう少し宿題ですか...

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2001/04/30 第五部 僕の海の冒険 第二十四章 コラクル舟での航海 0.0版

なんだ、なんだ予告しておくくらいなら事前に訳しとけばいいって? 確かに。一章あたり2〜3時間なんだけどね。英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

24.コラクル舟での航海

目をさましたときにはすっかり日が昇っていて、僕は宝島の南西端のところを漂っているようだった
。太陽はすでに高く昇っていたが、僕の方向からは大きな望遠鏡山に隠れていて、望遠鏡山はこちらの側からは、切り立った崖になり海まで至っていた。

ホールボーライン岬とミズンマスト山は僕のすぐそばで、山には木が生えておらず黒ずんでいて、岬は4、50フィートの断崖になり、その周辺には落石がごろごろしていた。僕は1/4マイルも海に出ていなかったので、最初におもいついたのは漕いで上陸しようということだった。

その考えはすぐに捨てなければならなかった。落石の間で、波がくだけとどろき、大きな音が次から次へと絶え間なくなりひびき、大きなしぶきが飛び散っていたので、僕ががんばって近寄っていったとしても、けわしい崖で死へとまっしぐらか、そびえたつ岩をよじ登ろうとしていたずらに体力を消耗してしまうかだったろう。

そればかりではなかった。というのも、岩の平らな所を一緒にはいまわったり、大きな声をあげて互いに海へと突き落としあっている、巨大なぬめぬめとした怪物を僕は目にしたのだ。まるで信じられないくらい大きなかたつむりみたいに柔らかそうなもので、40から60匹が一団で岩々の間にほえ声を響かせていた。

後になって、僕はそれがあしかというもので、全く無害だということを知った。しかしその姿をみる限りでは、岸へたどり着くのが難しく波が高かったこともあるが、上陸したらだめだと思うのには十分すぎるほどだった。そんな危険な目にあうくらいだったら、まだ海で餓死したほうがましというものだ。

そうしているあいだに、僕にはもっとよい方法があらわれたように思えた。ホールボーライン岬の北には、陸地が延々と続いていて、潮が引いたときには黄色い砂地が長く延びていた。そのさらに北には、もう一つ岬があり、それはウッズ岬である。地図にもその場所は記されていたが、高い緑の松の木が生い茂り、海の際まで迫っていた。

僕は、シルバーが潮の流れは宝島の西岸全体で北へ流れていると言ったことを思い出した。そして僕のいる場所からみて、その流れにのっていることは明らかだった。僕はホールボーライン岬を離れ、より上陸が易しそうなウッズ岬で上陸しようと力を残しておくことにした。

海には、大きななだらかなうねりがあった。一定のそよ風が南からふいていて、流れと同じ方向で、大波はくだけずに起こっては消えていった。

そうしていなかったら、僕はとっくに死んでいたに違いない。しかし実際には、僕の小さくて軽いボートはどれほど容易に、また安全に波を乗り越えていったのかは驚くべきほどだった。僕はずっとボートの底に身をふせて、舟べりから目だけを出して外をみていた。僕の目には、しばしば大きな青い波が僕の真上のすぐ近くまで持ち上がるのが見えた。ただそのコラクル舟は少し持ち上がるだけで、ばねじかけの上で踊るかのように、向こう側の谷へと一匹の鳥のように軽やかに降りていった。

少したつと、僕はとても大胆になって、漕ぐのをためしてみようと座る姿勢をとった。しかしこの重さ配分の少しの変化でも、コラクル舟の挙動には大きな影響を与えたのだろう。僕が動かないうちから、舟は、すぐに優雅に踊るような動きをやめて、波の斜面をまっすぐすべり下り、あまりに急激だったので僕はめまいをおこすほどだった。そしてへさきを深く次の波へとつっこみ、水しぶきをあげた。

僕はずぶぬれになって、恐れおののいた。そしてすぐに元通りの位置へと戻った。そうすると、コラクル舟は再び行く先を定めたようで、僕を荒波のなかで前のようにおだやかに導いてくれた。この舟が手出しを好まないことは明らかだった。そしてこの調子では、舟の行き先を操作することはできなく、僕には上陸するどんな希望があるというのだろうか?

僕は心の底から怖くなった。しかしとにかくまず落ち着いた。最初に細心の注意をはらって、少しずつコラクル舟から海帽で水をくみ出した。それから舟べりから覗いて、どうやってこの舟が大波の間をこれほど静かに切り抜けていくのかを研究しはじめた。

僕はどの波にも、岸や船の甲板から見えるような大きな、なだらかなつやつやとした山のかわりに、必ず陸の山脈のように、頂や平らな場所や谷がたくさんあることに気づいた。コラクル舟はなすがままにしておけば、くるくるまわりながら、その低い所をいわば縫うようにしていき、波のけわしい斜面や高く崩れ落ちる頂をさけるのだった。

「うん、いいぞ」僕は思った。「今の場所で横になって、バランスを崩さない方がいいんだ。でも、なだらかな場所だったら、櫂をときどき外にだしてひとかき、ふたかき、陸地の方へとすることはできるのも確かだな」思うがいなや実行した。両肘で体をささえ、できるかぎり機会をみて舟を岸の方へ向けるために弱くだが、ひとかきふたかきをした。

ひどく疲れるわりに遅々とした仕事だったが、目に見えて進んでいた。そしてウッズ岬に近づいたときには、その場所には上陸できないと分かっていたが、それでも数百ヤードは東の方にきていた。僕は実際に近づいていたのだ。僕の目には、涼しげな緑のこずえがそよ風に揺れているのが映り、次の岬では間違いなくたどりつけると確信した。

もうぎりぎりだった。というのも、僕はのどの渇きに苦しめられはじめていたからだ。太陽は上からさんさんと照りつけ、それは波に反射して何千倍にもなり、僕にふりかかった海水が乾き、塩をまさに僕のくちびるになすりつけたようで、僕ののどはやきつくようで頭はがんがんしたからだ。木々の風景はすぐ手の届くところにあり、僕はそこに行きたくて行きたくてたまらなかった。しかし潮流は僕をその場所からすぐに押し流し、そして次に海が開けているところにきたとき、僕はある風景をみて考えをすっかり変えた。

僕の正面で半マイルと離れていないところに、ヒスパニオーラ号が帆をあげて走っているのを見たのだ。僕はもちろん捕まるんだと覚悟をした。ただのどの渇きに耐えかねていたので、捕まるのがいいか悪いかも分からなかった。結論を出す前に、僕はすっかり驚いてしまって、ただ目をまるくして戸惑ってるだけだった。

ヒスパニオーラ号はメインの帆と2つの三角帆をあげて、その真っ白な美しい帆は雪か銀のように太陽に輝いていた。僕は最初に船を見たときに、その船の帆は全て張られていて、北西に針路をとっていた。そして僕は船上の男たちは島をまわって、停泊所まで戻って行こうとしているのだと思った。やがて船はだんだん西の方に針路を変えていった。つまりやつらが僕を見つけて、追いかけてこようとしていると僕は考えた。けれどもついに船は風上を向き、すっかり逆帆になって、帆を震わせながらしばらく立ち往生していた。

「まったくまぬけだなぁ」僕は口にだした。「やつらはまだ、ばかみたいに酔っ払ってるに違いないや」
そして僕は、スモレット船長ならどういう風にやつらの船長をつとめたかを想像した。

そうしているあいだも、スクーナー線はだんだん風下に向かい、タックをして再び帆が風をうけ、少しのあいだ走りだした。そして風上に向かってまた止まった。こんなことがたびたびくり返された。前後左右、東西南北に、ヒスパニオーラ号は急に動き出したかとおもえば、最初のように帆をはためかせながら止まった。僕にも、だれもかじをとっているものがいないことは明らかだった。もしそうなら、やつらはどこにいるんだろう? やつらがすっかり酔っ払っていようが、船を見捨ててようが、たぶん僕が船に乗り込んでいけば、船を船長のもとに返せるかもしれないと僕は考えたのだ。

流れは、コラクル舟をスクーナー船と同じ速さで南の方へと流していった。スクーナー船の走りといえば、乱暴で進んだり止まったりだった。そしてずいぶん長いこと動きがとれなくて、潮流から遅れることはなかったが、それより速いということもなかった。もし僕が立ち上がって漕ぎさえすれば、追いつけることは確かだった。でもそうするのはちょっとした冒険なので僕をふるいたたせ、そして船首の側には水だるがあると考えるのが勇気百人力だった。

僕は起き上がり、すぐに水しぶきの洗礼をあびた。ただ今回は目的を貫き、力をふりしぼり、細心の注意を払いながら、かじのとられていないヒスパニオーラ号の跡を追った。一度はひどく水をかぶったので、小鳥みたいにどきどきしながら、漕ぐのをやめて水をかいださなければならなかった。ただ、だんだん慣れてきて、波の合間でコラクル舟をあやつり、ときどきへさきをぶつけたり、顔に水の泡をあびたりもした。

僕は今やぐんぐんスクーナー船に追いついていた。舵が動くたびに、その真鍮が光るのがみてとれたが、甲板には誰の姿も見当たらなかった。僕には、やつらが船を見捨てたのだと思わざるえなかった。もしそうでないなら、やつらは下の船室でよっぱらっているわけだ。それならそれで、僕はたぶん昇降口に当て木でもして、船を僕が思うままにできるかもしれない。

しばらく、船は僕にとって困った状態になっていた。止まってしまったのだ。船はほとんど南にへさきを向けて、もちろんまだその針路は左右に揺れていた。船が風下に向かうたびに、その帆が部分的に風をうけ、しばらくするとまた風上へと向かうのだった。僕にとって困った状態だという訳は、そんな状況で立ち往生しているようにみえながら、帆は大砲のように大きな音をたて、甲板の上では滑車がころがり大きな音をさせ、僕から遠ざかって行ったのだった。それも潮流の速さばかりではなく、帆全体に風をうけて、そのためというのが大きかった。

しかし、今とうとう僕にチャンスがやってきた。風が数秒間静まってとても弱くなり、潮流はだんだんヒスパニオーラ号を回転させた。船の中央を中心にしてゆっくり回転し、ついに船尾が僕の方へとむいた。船室の窓はまだ開いており、テーブルの上のランプは昼になっても灯っていた。メインセイルは旗みたいにだらりと垂れていた。潮流がなければ、船は立ち往生だった。

その少しのあいだ、僕はまだ船に遅れていたが、今は力を倍増してもう一回追いつこうとした。

僕が船から100ヤードとないところまでたどり着いたとき、とつぜん再び風がふいた。船は左舷に風をうけ、ツバメのように身をかがめ水面をすべるように動き出した。

僕は最初は絶望しかけたが、それは喜びへとかわった。船は回転して、こちらに舷側をみせ、さらにまわって、僕との距離を半分、2/3、1/4とみるみる縮めたのだ。僕は船首の水切りの下で波が白くあわ立っているのを目にすることができた。コラクル舟の低い位置からは、その船はとてつもなく大きく見えた。

それから、とつぜん、僕は理解した。そもそも僕には考える時間も、行動して自分を救い出す時間もほとんどなかった。僕は一つのうねりの頂にいて、スクーナー船は次のうねりをこえて近づいてきた。船首斜檣が頭上にあり、僕は舟を水中へ蹴って飛び上がった。片手で帆の下げたをつかみ、片足は支索と金具のあいだにねじ込んだ。息をきらしてそこにぶら下がっていると、にぶい音がして、スクーナー船はコラクル舟に乗り上げ粉砕し、僕はもどるところもなくヒスパニオーラ号に取り残されたわけだった。

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2001/04/28 第五部 僕の海の冒険 第二十三章 潮が引いていく 0.0版

今から予告? しておくけど5月はほとんど更新できそうになし。連休は少しは更新できるかな。英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

23 潮が引いていく

コラクル舟は、乗り込む前にもよく分かっていたことではあるが、僕くらいの背丈や体重なら十分安全な乗り物で、荒海でも浮かんでいたし、敏捷だった。ただその舟はかなり扱いにくく、操縦するにもつりあいが取れていなかった。どうやっても風下へと行ってしまうし、ぐるぐる回ってしまうのがその舟のお得意だった。ベン・ガンでさえ、その舟が「癖がつかめるまでは実に扱いにくい」ことを認めていた。

確かに、僕にはその癖が分かっていなかった。その舟は、僕が行きたいと思ってる方向以外ならどの方向でも向かっていった。ほとんど横向きになってばかりだったので、潮の流れがなければ船までたどり着くことはとうてい無理だったろう。でも運にもめぐまれてどう漕いでも、潮が僕の舟を流していったのだ。僕の行く手にはちょうどヒスパニオーラ号があり、たどり着きそこねることはなかった。

最初、船は暗闇のなかで何かもっと黒いもののようにぼんやりと姿を現したが、マストや船体が形をとりはじめ、次の瞬間には船の錨綱の横にいるように思えたので(というのも僕はすいぶん押し流されて、潮の流れはどんどん速くなっていたから)僕はさっとそれをつかんだ。

錨綱は弓の弦ほどにぴんと張っていた。船の錨綱は、それほど錨を強く引っ張っていたのだ。船体のまわりはまっ暗闇だったが、さざなみをたてた潮の流れが、山の小川のように泡をたててさらさらと流れていた。僕の一太刀で、ヒスパニオーラ号は潮に流されていってしまうことだろう。

ここまでは問題なかった。でも次に思い当たったのは、こんなにぴんと張った錨綱を急に切ったりするのは、馬に跳ね飛ばされるくらい危険なことだということだ。ヒスパニオーラ号を錨から断ち切ったりしたら十中八、九、ひどいことになり、僕とコラクル舟は空中に跳ね飛ばされてしまうことだろう。

そう考えて思いとどまったのだが、再び僕に幸運がめぐってこなかったら、この計画はすっかりあきらめたことだろう。でも南東南からふきはじめていた微風は、夜がふけてからは風向きがかわり、南西からの風になっていた。ちょうど僕が悩んでいるときで、風向きがかわり、ヒスパニオーラ号がその風をとらえ潮の流れにのった。そして僕にとってうれしかったことに、握っていた錨綱がゆるみ、つかんでいた手が少し水のなかにもぐった。

このことで僕は決心した。ナイフをとりだし歯で開き、よりあわされた綱を一本づつ切っていった。そして船は2本の縒りでゆれてるまでになった。それから一息おいて、一陣の風がふいてまた綱がゆるんだときに切ってしまおうと待ち構えた。

こうしているあいだも、僕の耳には船室から大きな声が聞こえていた。ただ本当のことをいえば、僕は他のことにすっかり気をとられていたので、ほとんど耳にはいらなかった。ただもうすることもなくなったので、注意をむけてみた。

聞こえてくる声の一つは、舵手のイスラエル・ハンズで以前はフリントの砲手だった男の声だ。もう一つの声は、もちろん、わが友たるあの赤い帽子の男のものだった。2人は明らかに酔っ払っていたが、まだ酒をくらっているようだった。なぜなら僕が耳をかたむけているあいだも、そのうちの一人が酔っ払った叫び声をあげ、船尾の窓をあけて何かを放り出したからだ。たぶん、あきびんかなんかだろうと思う。でもやつらは単なる酔っ払いではなかった。明らかに激怒していたのだ。悪態がひょうのように降り注ぎ、ときどき間違いなく殴りあいになるに違いないと思うほどの騒ぎようだった。でもそのたびに口げんかはおさまり、声もしばらくおちついて、また次の叫び声があがり、喧嘩にはなることなくおさまるといった具合だった。

岸の方には、大きなキャンプの焚き火の明かりが、浜辺の木立ちを通してめらめらと輝いているのが見えた。単調な退屈なふしの船乗り歌を歌っているものがいて、一節の終りごとに声を低くしてふるわせていた。まるで歌い手があきるまでは、その歌には終わりがないかのようだった。僕はこの航海でその歌を何度となく聞いていたので、この歌詞の文句を思い出した。

生き残ったのはわずかに一人、
75人で船出をしたのに

そして僕はこの短い歌が、悲しみに満ちていて、今朝あれほど打ち負かされたやつらにはぴったりだと思った。実際には、僕がみたところによれば、海賊たちはみなまるで海とおなじくらい無神経なやつらだったんだが。

とうとう風がふいた。スクーナー船は暗闇のなかで少し動いてこちらに近づいてきた。僕は錨綱が再びゆるんだのを感じて、ぐっと力をこめて残った綱を断ち切った。

風はコラクル舟をまったく動かすことはなかったので、僕はもう少しで本当にヒスパニオーラ号のへさきで押し流されるところだった。それと同時に、スクーナー船は船尾を中心にゆっくりと回転しはじめて、反対向きになって潮の流れにのった。

僕は死にもの狂いだった。というのも、今にも転覆するのではと思ったからだ。そしてコラクル舟を直接遠ざけるのは無理だとわかったので、船尾の方へと向かっていった。なんやかんやで、僕はあぶない船から逃げ出した。そしてコラクル舟にもう一押しをした瞬間に、両手が一本の軽い綱にふれた。綱は船尾の船べりから垂れ下がっていて、僕はその瞬間に綱をつかんだ。

自分でもどうしてそんなことをしたのかは、さっぱりわからない。最初は本能的で、ただ綱を両手ににぎってしっかり結びつけられているのがわかると、好奇心がむくむくとわいてきて、ちょっとばかし船室の窓から覗いてやろうと心に決めた。

僕はその綱をたぐって十分近くまできたと判断したので、危険は危険だったが半身をなげだして、船室の中の天井と一部をのぞいてみた。

このときには、スクーナー船とその小さな伴舟はきわめて速い速度で水の上をすべっていた。実際、すでに焚き火と平行になるくらいまでのところまできていた。船は、船乗りがいう、大声でしゃべっている状態だった。つまり、多くのさざなみが立っている中をたえまなくしぶきをあげ進んでいたわけだ。だから窓の下枠から覗きこむまで、どうして見張りの男たちが警告をあげないのか不思議でならなかった。でもひと目みて、そのわけがわかった。ただその安定しない小舟からではひと目みるだけでもやっとだった。ハンズと仲間がしっかと組み合って、お互いの片手で相手の咽喉をつかんでいたのだ。

僕は再びすぐさま舟に腰をおろした。というのも、もう少しで舟から落ちるところだったから。そのときは、2人の怒って紅潮した顔が、くすんだランプの下でともに揺れている以外はなにも見えなかった。そこで両目をとじて、再び暗闇に目がなじむようにした。

死んだやつの衣装箱に15人
ヨーホー、ヨーホー、ラム酒を1 本!
飲めや、悪魔が残りを飲み干す
ヨーホー、ヨーホー、ラム酒を1本!

ちょうどそのときヒスパニオーラ号の船室で酒と悪魔がどれほど大暴れをしているか、僕が考えていたとき、急にコラクル舟ががたんと揺れて驚いた。同時に舟が左右にひどくゆれ、進路を変えたように思われた。その間も加速しつづけていた。

僕はすぐに目を開いた。あたり一面さざなみで、同時に耳をつんざくようなはげしい音とかすかな青い光がみてとれた。ヒスパニオーラ号の進路も変わっているようで、僕の舟はそこから数ヤード後ろで相変わらずくるくる回っていた。そして僕の目には、夜の闇を背景にしてマストが少し動いているのが見えた。いいや、ずっと見ていると、ヒスパニオーラ号も南に進路を変えているのは確かだった。

僕は肩ごしに振り返ると、心臓が飛び出るほどびっくりした。僕の真後ろに焚き火の明かりがあったのだ。流れは直角に曲がり、大きなスクーナー船と小さな踊っているようなコラクル舟を押し流してきたのだ。だんだん流れは速く、泡が大きく、波音は高くなり、流れは狭い所でうずまいて外海へと流れていった。

とつぜん、スクーナー船は僕の目の前で急激に向きをかえ、たぶん20度は方向をかえただろう。それと同時に、船上でひとつの叫び声に続いて、別の叫び声があがった。昇降用のはしごを揺らす足音が聞こえ、2人のよっぱらいもとうとう喧嘩を止めて、自分たちが陥っている災難に気がついたということが僕にもわかった。

僕はこのみじめな小舟に身をふせて、身を神にゆだねた。この海峡の終わりで、僕らは砂州に流れつきこなごなになってしまうだろう。まあ、そこで僕のトラブルも一巻の終わりとなるわけだ。ただ死ぬことは、たぶんなんでもなかったが、迫りくる運命をただ傍観しているのは耐えられなかった。

僕は何時間も身を伏せていたことだろう。常にうねりでゆさぶられ、ときどき飛び散るしぶきをあび、次に突っ込んだら死が待っているんだろうと思っていた。だんだん僕も疲れてきた。僕の心は、こんな恐怖の真っ只中にあって、麻痺し、ときどきはすっかり無感覚になった。そしてついに眠りにおち、波に揺られるコラクル舟で、僕は横たわり故郷のベンボウ提督亭を夢見ていた。

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2001/04/21 ゲティスバーグ演説 リンカーン 宿題

諸説があることは知っているんですが、歴史的にみてリンカーンの演説がこの流れにあるという説にふむふむと思ってあの訳にしてみました。

Theodore Parker. (1810-1860)

A democracy, that is a government of all the people, by all the people, for all the people; of course, a government of the principles of eternal justice, the unchanging law of God; for shortness’ sake I will call it the idea of Freedom.

The American Idea: Speech at N. E. Anti-Slavery Convention, Boston, May 29, 1850.

Daniel Webster. (1782-1852)

The people’s government, made for the people, made by the people, and answerable to the people.

Second Speech on Foot’s Resolution, Jan. 26, 1830. P. 321.


特に2つめの The people’s government ときて、人々を統治する政府と考えるのは少し無理があるのではと思いました。

「人民の」については、統治権がアメリカ建国以前は、王さまや教会にあったのが、以後は人民にあると対比するのかなと。ちなみに人民を統治する対象とすると、アメリカ建国前後で別に対象は変わってないってことになるんですよね?

この件については、岩波文庫のリンカーン演説集にも何か書いてあった記憶があるんですが、今手元になく今度図書館に行って調べて見ます。

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2001/04/21 第五部 僕の海の冒険 第二十ニ章 僕の海の冒険がどのようにして始まったか? 0.0版

5部の開始、今から予告? しておくけど5月はほとんど更新できそうになし。まぁそういうこともあるね。英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

22 僕の海の冒険がどのようにして始まったか?

反逆者たちは反撃をしかけてくることもないし、森から撃ってくることさえなかった。やつらは、船長がいうところの“その日の割り当て”は済ませたというわけだった。そして僕らは自分たちの場所を守ることができたし、怪我したのものの介抱や夕食を平穏なうちにすませることができた。大地主さんと僕は、危険をかえりみず外で調理をした。ただ外にいても、先生が手当てをしている患者の大きなうめき声が聞こえてきて、僕らは自分たちでも何をしているか手につかないような状態だった。

戦いで倒れた8人のうち息があるのは3人だけで、そのうち一人は銃眼から撃たれた海賊、それからハンター、そして船長のスモレットさんだった。そして最初の2人はもう死んだも同然だった。海賊は手術中に息をひきとったし、ハンターはできるだけのことはしたが、再び意識をとりもどすことはなかった。ハンターの命はその日のあいだは細々と続いていて、僕の家で卒中で倒れたあの老海賊みたいに激しく息をしていたが、胸の骨は一撃で破壊され、頭蓋骨は倒れたときにこなごなになり、その夜に何の前触れも声もないままに息をひきとった。

船長は重傷だったが、致命傷ではなかった。体のどの部分も致命傷をおっておらず、アンダーソンの銃弾が、というのも最初に船長に向かって発砲したのはアンダーソンだったからだが、肩甲骨をくだき肺にとどいていたが致命傷ではなかった。2つ目の銃弾は、ふくらはぎを少しかすめ肉をはぎとっただけだった。先生が言うには、船長は回復することは間違いないが、治るまでの数週間は歩いても腕を動かしてもだめだし、できることなら話してもいけないということだった。

僕がたまたま受けた手の傷はかすり傷で、リバシー先生はそこにばんそうこうをはると、その上僕の耳をぎゅっと引っ張ったものだった。

夕食後、大地主さんと先生は船長のそばにこしかけ、しばし相談していた。もう十分というほど相談すると、昼をすぎたころだったが、先生は帽子とピストルを何丁か手にとり、短剣を腰につけ、ポケットにあの地図をいれて、マスケット銃を一丁肩にかけると、北側の柵をこえ足早に森の中に姿をけした。

グレーと僕は、先生たちが相談しているのが聞こえないように、丸太小屋の反対側に一緒に腰をおろしていた。そしてグレーは、その場で起こったことにあまりにショックをうけ、パイプを口からはずして戻すのを忘れてしまうほどだった。

「いったい何だって、」グレーは口にだした。「リバシー先生は気でも違ったのかい?」

「ぜんぜん」僕は答えた。「僕らのうちでも一番まともな人だと、僕は思うけど」

「じゃあ、おめえさんよ」グレーは言った。「先生が気が違ってないとしよう。先生が気が違ってないとしたらな、おめえさんの言うとおりによ。わしの気が違ってるんだな」

「僕は思うんだ、先生には考えがあるんだよ。もし僕が思うとおりなら、先生は今ベン・ガンに会いにいってるんじゃないかな」と僕は答えた。

後で判明したことだが、僕の思ったとおりだった。でもそのときは小屋はうだるように暑く、柵の内側の狭い砂地の部分はぎらぎらする太陽に照らされていて、僕にはある考えが頭に浮かんだ。その考えは、どうみてもまともな類ではなかった。僕が考えはじめたのは、森のすずしい木陰を歩く先生をうらやましいと思うことだった。先生の周りには鳥がいて、松のさわやかな香りをかいでいるというのに、僕ときたら、暑さでべとべとした松やにを服につけて、まるであぶられているかのようだった。そしてまわりには血があふれ、死体がごろごろしていたので、この場所を怖いと思うのと同じくらい嫌になっていたのだ。

僕が丸太小屋を洗ってきれいにしたり、それから夕食の後片付けをしている間ずっと、この嫌だという気持ちとうらやましく思う気持ちはどんどん大きくなり、とうとうパンの袋のそばにいて、だれも僕のことを見張っていなかったので、逃げ出す最初の一歩として、上着の両ポケットをビスケットでいっぱいにした。

僕のことをばかだといわれれば、そのとおりだろう。でも確かにばかげたことを、大胆にすぎることをしようとした。でも僕はやるからには、細心の注意を払ってやろうと決めていた。これだけビスケットがあれば、何があろうと、少なくとも次の日遅くまではお腹がすくことはないだろう。

次に僕が手に入れたのは、2丁のピストルだった。そして火薬筒と銃弾は持っていたので、武器は十分というわけだった。

僕が思いえがいた計画は、それ自体としては悪いものではなかったように思う。停泊所の東側と外海を隔てているあの砂州をずっと下っていって、昨晩目をつけたあの白い岩を見つけて、ベン・ガンがボートを隠したのがそこかどうかを確かめておこうと思ったのだ。確かにやる価値のあることだったと今でもそう思っている。でもまた囲いを離れるのが許されないのも確かだったので、僕にできる計画といったら、誰も注意していないときに、こっそり抜け出すことで、それは計画全体を悪いものとするくらい、ひどいやり方だった。でも僕はほんの子供にすぎず、すでに心を決めていた。

さて、結局、機会にもめぐまれた。大地主さんとグレーは船長に包帯をまくのに忙しくしていて、まさにいまこそ好機だった。僕はとつぜん逃げ出し柵をこえ、森の木が密集したところへと駆け込んだ。誰かが僕がいないことに気づくまえに、僕はもうみんなの声が聞こえないところまで行っていた。

これが僕の2回目のばかげた冒険で、最初の冒険よりはるかにいけないことだった。というのも小屋を守るのには、怪我がない2人を残すのみだったから。でも最初の冒険とおなじように、この冒険が結局はみんなの命を救うことになったのだ。

僕は、停泊所からぜったいに見つからないように砂州の東側を下っていくことに決めていたので、まっすぐ島の東岸まで行った。もう午後遅くだったが、まだ暖かく日がさしていた。僕が高い木々のあいだをすりぬけていくと、僕の耳には、前方からたえまなく波がうちよせる大きな音だけでなく、風が葉をゆらしたり、木の大きな枝をきしませる音がはっきり聞こえたので、僕にはいつもより海風が強いことがわかった。すぐに冷たい風が僕にも感じられるようになり、もう2、3歩いくと、森が開けたところにでてきた。そして海をみると水平線まで真っ青で日に照らされていた。そして波は砂浜にそってよせては引き、白波をたてていた。

僕は、宝島のまわりで海が静かだったのを目にしたことが一度もない。太陽が頭上から照らしつけ、空気はピクリとも動かず、海の表面はなだらかで青いときでも、昼夜をとわず雷がとどろくような大波が外海の岸にうちよせるのだった。そして僕は、この島で波の音が聞こえない場所が一箇所でもあろうなんてことはおよそ信じられない。

僕は喜び勇んで波打ちぎわを歩いていき、十分南の方まで下ったと思ったので、こんもりしげった茂みに姿をかくし、砂州のもりあがった方へとはい上がっていった。

僕の後は外海で、前には停泊所があった。海風はいつになく激しい勢いでふいたので、すでにふきつくしたというかのように、既にふきやんでいた。そのあとには南南東から気まぐれな微風がふいて、大きな霧のかたまりを運んできた。停泊所はどくろ島の風下にあたり、最初に入ってきたのと同じように静まりかえり、ものうげなままだった。ヒスパニオーラ号は傷一つない鏡のような水面に、喫水線からマストの頂上までくっきりとその姿を映し出し、海賊旗がその斜桁の外端にはためいていた。

そばには小型ボートが一艘停まり、シルバーが船尾にすわり、僕にはシルバーはいつでも見分けることができた、2人の男が船尾のふなべりにもたれかかっていた。そのうち一人は赤い帽子をかぶっており、それは、僕が数時間前に柵をまたいでいるのをみたあの悪党だった。どうやらやつらは話をしたり、げらげら笑っているようだった。ただ僕との間には一マイル以上はあったので、話している言葉はむろん一言もわからなかった。とつぜん恐ろしい叫び声、この世のものとも思えない叫びがした。最初ぼくはぎょっとしたが、すぐにフリント船長の声だと思い出し、その鳥が飼い主の手首にとまっているところが、その羽で見分けがつくような気さえした。

その直後、小型ボートは出発し岸に着いた。赤い帽子の男と連れの男は、昇降口から船室へと降りていった。

それと同時に、太陽も望遠鏡山の背後に沈み、急速に霧が深くなってきて、暗くなるきざしがみえてきた。僕はその夕方にボートを見つけるつもりなら、これ以上一刻もぐずぐずしていられないなと思った。

白い岩は、低木の上に見えていて、あと1/8マイルほど砂州を下ったところにあって、そこに4つんばではいつくばり低木のあいだをぬけて、たどりつくにはまだしばらく時間がかかった。僕がそのごつごつした岩にたどりついたときには、すでに夜になっていた。岩のすぐ下には、緑のこけがはえた小さなくぼみがあって、浅瀬とこんもりしげったひざの高さまでのしげみに隠されていた。しげみはそこで十分においしげっていた。そしてくぼみの真ん中には、たしかに、やぎの皮でつくられた小さなテントがあった。まるでイングランドではジプシーが持ち運んでいるようなテントだった。

僕はくぼみに降りていって、テントの端をもちあげてみた。そこにはベン・ガンのボートがあって、まさに手で作った、それ以外には考えられないようなボートだった。大木の枝をおおざっぱに落としたような枠組みで、やぎの皮を毛を内側にして張ってあった。ボートは僕にとってもとても小さくて、大人が乗ると浮かぶとはとうてい思えなかった。腰をかける横木が一番低いところにそなえつけられていて、へさきには足の置き場のようなものと、前にすすむために両側に櫂がついていた。

僕は、昔のブリント人が作ったというようなコラクル舟をそのときは見たことがなかった。その後コラクル舟をみたが、ベン・ガンの舟を説明にするには、コラクル舟みたいなもので、ただ人間が作ったにしては一番ひどい出来のコラクル舟だというのが一番適当な説明ではないだろうか。でもコラクル舟の最大の利点は、この舟にもちゃんとあった。とても軽くて持ち運びができるのだ。

こうしてボートを見つけたからには、今回は僕も十分ぶらぶらするのに満足しただろうと思われるかもしれない。でもそうしているあいだに、僕には別の考えが思いつき、すっかりその考えが気に入って実行に移そうと思っていたのだ。たとえ、スモレット船長その人に反対されたとしても実行しただろう。それは夜陰に乗じて海にでて、ヒスパニオーラ号の錨綱を切って、座礁させようという考えだった。僕は反逆者たちが、その朝に撃退されてからは、錨をあげて海へ出て行こうとしているに違いないとすっかり思い込んでいたのだ。そしてこれを邪魔するには考えを実行に移すのがいいし、僕は一艘のボートも見張りに立てていないのを知っていたので、危険もほとんどあるまいと思ったわけだ。

僕は座り込んで暗くなるのを待ち、ビスケットをお腹いっぱい食べた。僕の目的には、まさにおあつらえ向きの夜だった。霧は深く立ち込め、昼の太陽の光が薄らいで消えていくと、宝島にはまったくの暗闇が訪れた。そしてついに僕がコラクル舟を担いで、手探りで夕食をたべたくぼみから這い出たときには、停泊所でみえるものといったら2つしかなかった。

1つは、岸の大きな火で、打ち負かされた海賊たちが湿地で酒をくらっていた。もう一つは、暗闇のなかのぼんやりとした明かりで、ヒスパニオーラ号の位置を示していた。船は引き潮でぐるりと回っていて、今は船首が僕の方を向いていた。船の唯一の光はキャビンのもので、僕が見ることができたのは、船尾の窓からもれてくる明かりが霧に反射しているものだった。

引き潮はいましばらく続いていたので、僕は湿気の多い砂地帯を歩いていかなければならなかった。何回もくるぶしまで沈み込んだが、やっと引いている海の水のところまでたどりついて、水の中へ少し歩いていくと、力をだしてたくみにコラクル舟を竜骨を下にして水面に浮かべた。

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2001/04/16 第四部 防護柵 第二十一章 攻撃 0.0版

ひとまず四部も終わりかな、全体の2/3終了。まだ2/3かぁ、ふらふら(笑) 英文を公開できるので公開。指摘があったらメールください。

21 攻撃

シルバーが姿を消すとすぐに、それまで注意深くシルバーの姿をみていた船長は、家の中の方へふり向いた。そしてグレーを除いて、一人残らず持ち場についていないのを目にした。僕らが船長が怒るのをみたのは、それが始めてだった。

「持ち場につけ!」船長はどなりつけた。それから、僕らがみなこそこそと持ち場にもどると、「グレー」と言った。「おまえの名前は記録につけとくぞ。海の男らしくちゃんとやるべきことをやったな。トレローニーさん、あなたには驚きましたよ。先生、あなたは軍隊にいらっしゃったんじゃなかったですか! もしフォンテノーでもそんな調子だったなら、寝ててもらった方がまだましですよ」

先生の組の見張り番は、みんな銃眼の持ち場にもどり、残りのものは予備のマスケット銃に装填するのに忙しかった。ただみんな、あなたがたが思うとおり、顔を赤くして、おまけに耳が痛かった。

船長はしばらく無言で見守っていたが、ようやく口を開いた。

「君たち」船長は言った。「私は、シルバーに一斉射撃をくらわせてやりました。私はわざとそうしてやったんです。やつが言ったように、一時間としないうちにやつらは攻めてくるでしょう。言うまでもありませんが、わたしたちは数では負けてます。でもこっちは小屋のなかで戦えますから。一分前なら私は、規律をもって戦うんだと言えたところでしたがね。私はみながそうしたいと思うなら、やつらをこてんぱんにやっつけられることを少しも疑っていません」

そしてみなのところをまわり、言った通りなんの問題もないかを確認した。

小屋の短い方の東と西側は、2つしか銃眼がなかった。ポーチのある南側にも2つで、北側には5つの銃眼があった。僕たちの7人に対して、マスケット銃はちょうど20丁だった。まきは4つの山に分けて積み上げられ、テーブルのようになっていた。それぞれの側の中央のあたりに一つずつ、その上には弾薬がいくらかと4つの充填されたマスケット銃が、いつでも小屋を守るものの手にとれるように置かれていた。小屋の真ん中には、短剣が一列に並べられていた。

「火は外へ」船長は言った。「もう寒くはないし、煙が目に入ってはいけません」

鉄でできた火籠をトレローニーさんがかかえて運び出し、もえさしは砂で消した。

「ホーキンズはまだ朝食を食べてなかったな、勝手にとるんだ、自分の持ち場にもどって食べろ」スモレット船長は続けた。「さっさとしろ、食べ終わらないうちにまた食べたくなるぞ。ハンター、みんなにブランデーを配るんだ」

そうしている間にも、船長は防衛の計画をしっかりと決めた。

「先生、ドアをお願いします」船長は話しはじめた。「ただ、姿をさらさないように注意して、中でポーチごしに撃ってください。ハンター、東側を頼む、そこだ。ジョイス、おまえは西側だ。トレローニーさん、あなたが一番腕がいい、あなたとグレーで一番長い北側をお願いします、5つ銃眼がありますから。そこが一番危ない所です。そこまでやつらが登ってきて、その場所から撃ちこむようなことになったら、事態は非常によくないことになりますから。ホーキンズ、おまえと私は射撃ではあんまり役にたたんから、側で充填をして手助けすることとしよう」

船長が言ったとおり、もう寒くなかった。太陽が小屋をとりまく木々の上までのぼると、空き地を強烈に照らしだし、かすみはあっという間に消えてなくなった。すぐさま the sane was baking そして松やにが、丸太小屋の丸太から溶け出してきた。 ジャケットもコートも脱ぎ捨て、シャツも首のところをはだけ、袖も肩までまくりあげた。僕たちはそれぞれの持ち場で、ひどい暑さと不安にさいなまれながら立っていた。

1時間がすぎた。

「まったく!」船長はこぼした。「赤道のところみたいに風がなくてやりきれん。グレー、口笛で風をよんでくれ」

ちょうどそのとき、攻撃の最初の知らせがあった。

「よろしいですが」ジョイスが言った。「もし人の姿をみたら撃つんですんね?」

「そういったろう!」船長はどなった。

「ありがとうございます」ジョイスは、まったくもって落ち着きはらって礼儀正しく答えた。

しばらく何事もおこらなかったが、その会話でみなの気がひきしまり、耳をそばだて目をこらしていた。撃ち手は両手で銃のバランスをとっていた。船長は小屋の真ん中にたち、口をぎゅっとかたく結び、まゆをひそめた。

数秒後、突然ジョイスがマスケット銃をすばやく動かし発砲した。その銃声がなりやまないうちに、外からばらばらとガンの群れのように、囲いの外のありとあらゆる方向から一斉射撃があった。丸太小屋へも何発が当たったが、中までは一発も入ってこなかった。銃煙がすっかりきえたとき、柵も森も以前同様静まりかえり、人の姿はまったく見当たらなかった。枝がゆれたり、マスケット銃の銃身が光り、敵の存在をしめすようなことも全くなかった。

「敵に当ったか?」船長はたずねた。

「いいえ、」ジョイスは答えた。「当たらなかったと思います、船長」

「まだ、本当のことを言ってくれるだけましか」スモレット船長はぶつぶつつぶやいた。「ホーキンズ、ジョイスの銃を装填してやれ。あなたの側には何人いらっしゃいました、先生?」

「はっきりわかります」リバシー先生は言った。「こちらの側からは3発きました。私の目にも3つの光りがみえ、2つがくっついていて、1つは西側に離れたところでした」

「3人!」船長はくりかえした。「そしてトレローニーさん、そちらは何人ですか?」

しかし、これに答えるのは容易ではなかった。北からはたくさんの銃撃があったからだ、大地主さんの計算では7人、グレーが数えたのによれば8人か9人ということだった。東や西からは、それぞれ1発ずつ銃撃があっただけだった。したがって、攻撃が北から行なわれ、他の三方からは見せかけの戦いで気をとられるだけだということは明らかだった。しかしスモレット船長は、配置を変えたりはしなかった。もし反逆者たちが柵をこえるのに成功すれば、船長がいうには、開いている銃眼を占拠して、とりでにいる僕たちをねずみでも撃つみたいに撃ち殺すということなのだ。

どちらにせよ、考えているひまもほとんどなかった。突然、大きな歓声があがり、海賊の小集団が北側の森から飛び出して、柵へ向かって一直線に走ってきた。それと同時に森から銃声があがり、ライフルの銃弾が一発ドアから入ってきて、先生のマスケット銃をばらばらにした。

切り込み隊が、サルのように柵のところに群がった。大地主さんやグレーは何発も何発も発砲し、3人が倒れた。一人は囲いの中に倒れこみ、二人は外へ仰向けに倒れた。ただそのなかの一人は明らかに傷ついたのではなく驚いただけだった。なぜなら自分で立ち上がると、すぐさま木々の間に姿を消したからだ。

2人が倒れ、一人が逃げ、4人が無事に柵の中に足を踏み入れたわけだ。森の安全なところからは、7人か8人の男がそれぞれ明らかに数丁のマスケット銃をもち、集中砲火をあびせていた。丸太小屋にはまったくの無駄だったが。

乗り越えた4人は、雄叫びをあげ、目の前の小屋へとまっすぐ走ってきた。森の男たちもそれを励ますように雄叫びをかえした。僕らの側からも何発か撃ったが、打ち手があせっていたので、走ってくる男の一人も撃ち倒すことはできなかったようだった。すぐに4人の海賊が丘をこえ、僕らの目の前に姿を現した。

水夫長ジョブ・アンダーセンの頭が、真ん中の銃眼から見えた。

「撃ちころせ、みんながんばれ、みんながんばるんだ!」船長ははげしい声でどなった。

それと同時に、もう一人の海賊がハンターの銃口をひっつかんで、銃眼ごしに彼の手からもぎとると、一撃をくらわせて、ハンターはかわいそうに気絶して床に倒れこんだ。そうしている間に、3人目が無傷で小屋をぐるっとまわり、ドアのところに姿をあらわし、短剣で先生に切りかかった。

僕らの立場は全く逆転していた。少し前まで僕らは陰にかくれて、姿をさらした敵を撃っていたが、今は敵にすっかり姿をさらして、一撃も敵に撃ち返すことができなかったのだ。

丸太小屋は煙に満ちていて、僕らが割合無事だったのはそのおかげだ。わめき声とどたばた、ピストルの閃光と銃声、そのなかでもひときわ大きな声が僕の耳に響いた。

「外だ、みんな、外に出るんだ。外で戦え、短剣をとるんだ!」船長が叫んだ。

僕は短剣がたくさんあるところから一本つかんだが、誰かが同時にもう一本をつかんだので、指のつけねのところに傷がついたが、ほとんど感じもしなかった。僕はドアから外へ出て、太陽がさんさんと照りつける中へと出た。誰かがすぐ後ろにいたが、誰だかは分からなかった。真正面には襲ってきた敵を丘の下までおいかけている先生がいて、僕がちょうどそこに目をやったときには、短剣を打ち下ろし、敵は顔に深い傷をうけ仰向けに倒れた。

「小屋の周りを廻るんだ、みんな! 小屋の周りを廻るんだ!」船長はさけんだ。そんなにあわてふためいているときでも、僕は船長の声が今までと違っていることを感じた。

言われたとおりに、僕は東の方へ短剣をかかげ、小屋の角を走って曲がった。次の瞬間、僕はアンダーソンとばったり顔をあわせた。アンダーソンは大声をだし、his hanger went up above his head, flashing in the sunlight. 僕にはおどろいてる暇はなかった。一撃が下ろされようとしたときに、すぐに横っ飛びでよけると、やわらかい砂に足をとられ、坂を転がってしまった。

僕が最初に勢いよくドアから飛び出したときには、他の反逆者たちも僕らを皆殺しにしようと柵のところに殺到していた。赤いナイトキャップをかぶった一人の男は、口に短剣をくわえ、柵の上まで登りきっていて、柵をまたいでいた。そして僕が倒れていたのはごくわずかな間だったので、再び立ち上がったときには、全員同じかっこうをしていた。赤いナイトキャップの男は柵を乗り越えているところだったし、もう一人柵の上から頭をのぞかせている男がいた。それなのに、この短いあいだで戦いは決し、僕らが勝ったのだった。

グレーは僕のすぐ後についてきて、大きな水夫長がもう一撃へと移るまえに、水夫長を切り倒していた。他には一人の男が小屋の中にまさに撃とうとした瞬間に、銃眼のところで撃たれ、倒れて苦しんでいた。その男の手に握られていたピストルからは、まだ煙がでていた。もう一人、僕が目撃したように、先生が一撃でやっつけた男がいた。柵を乗り越えてきた4人のうちで生き残ったのはたった一人で、その男ときたら短剣を戦いの場になげだして、死におびえて柵を乗り越えて逃げようとしているところだった。

「撃て、小屋から撃つんだ!」先生は叫んだ。「みんな、小屋へともどるんだ」

この言葉は無視されて、小屋から撃つものはいなかったので、切り込み隊の最後の一人はまんまと逃げおおせ、他の仲間と一緒に森へと姿を消した。3秒ほどのあいだに、攻撃隊は5人の死者を残して、影かたちも見あたらなかった。5人のうち、4人が柵のなかで、1人は柵の外に倒れていた。

先生とグレーと僕は、全速力で小屋にもどってきた。生き残ったやつらは、マスケット銃を残してきたところまですぐにもどるだろうし、またいつ銃撃が再開されるともしれなかった。

小屋の中はこの時までは、煙もいくぶんうすれていて、ひと目で勝利の代価をみてとることができた。ハンターが銃眼のわきで気絶して倒れていた。ジョイスが頭を打ちぬかれ、二度と動くことはなかった。小屋の真ん中では、大地主さんが船長をささえていた。2人とも顔が真っ青だった。

「船長が負傷した」トレローニーさんが言った。

「やつらは敗走しましたか?」スモレット船長がたずねた。

「逃げられるやつはね、そうですな」先生は答えた。「ただやつらのうちの5人は、二度と敗走できないですがね」

「5人!」船長は叫んだ。「えぇ、いいでしょう。今回が5人と3人なら、結局9人対4人になるわけですからな。最初よりずっと勝ち目がある。最初は19人対7人だったんですから、そうだったことを思えば、 まだ耐えられるといった具合だ」*

*反逆者たちの数はすぐにたった8人となった。スクーナー船でトレローニーさんに撃たれた男は、その傷が原因で撃たれたその晩に亡くなっていたからだ。でもこのことは、もちろん、僕らの側には後になるまで分からなかったことだ。

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2001/04/16 ゲティスバーグ演説 リンカーン 宿題へ

不思議な人だねぇ、今週はあまりに忙しかったんで休もうかなと思ってたら「活」を入れられちゃったよ。山形浩生からの指摘といっても、前にもある話...この話には、もうすこし取りまとめてということで宿題。

In message "ゲティスバーグ" , Yamagata Hiroo wrote...
 >ゲティスバーグ演説は、プロジェクト杉田玄白にもすでに入っていて、そこにも
 >書いたけれど、ぼくはあの最後のところの「of the people」の部分を「人民の」
 >と訳すのは意味不明でよくないと思っています。「人民の政治」というのは、
 >一見もっともらしいけれど具体的に考えると何のことやらわからないでしょう。
 >
 >玄白訳でもコメントしたように、あれは「人民を統治(govern)すること」、つまり
 >統治の対象となるのが人民であることを明記したもんです。
 >
 >ふつうの「人民の人民による人民のための」だと、最初の「人民の」は意味不明で、
 >後者の、権力をふるうのが人民で、受益者が人民だ、というのだけが意識に残る
 >けれど、実際にはその統治によって権力をふるわれるのも人民なんだ、というのも
 >あわせてきちんと言っているわけです。
 >
 >ご承知だったかもしれませんが、いまのkatok訳だとそれが弱いな、と思ったもので。
 >
 >取り急ぎ。 
 
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2001/04/08 ゲティスバーグ演説 リンカーン 0.0版

毎週、現在の政治状況に絶望するたびに翻訳が増えていくという。英文とセットで。指摘があったらメールください。

リンカーン ゲティスバーグ演説     1863.11.19

アメリカ ペンシルバニア ゲティスバーグ近くの戦場にて

87年前に、われわれの祖先はこの大陸に新たな国を作り上げました。その国は自由という理念の上に打ち立てられ、全ての人は生まれながらにして平等であるという考えに捧げられていました。

いまわれわれは大きな内戦のさなかにいます。この国が、というより自由という理念の上に打ち立てられ、全ての人は生まれながらにして平等であるという考えに捧げられた国が、永続するかどうかを試されているのです。われわれは、この戦争の激戦の戦場に集まっています。

われわれは、この国が生き永らえるよう、ここで命を投げたした人々にとって、この戦場の一部を最終的な安息の地として捧げるためにやってきました。われわれがこうすべきなのは、まったく正しく適切であります。

しかし、より大きな意味でとらえれば、われわれには捧げることはできません、われわれには呈することはできません、つまりわれわれにはこの地を捧げることはできないのです。勇敢なる者で、生き残ったにせよ、戦死したにせよ、ここで奮闘したものだけが、この土地を捧げてきたのです。われわれの微力では、それにつけ加えたり減じたりすることはできないのです。世界はここでわれわれが言ったことにはたいして注意を払いもしなければ、後世まで記憶することもないでしょう。しかし勇敢なるものがここでなしとげたことは、決して忘れられることはないのです。

ここで戦ったものがこれまで気高く推し進めてきた未完の仕事に、ここで新たに身を捧げるのはむしろ生き残ったわれわれです。ここでわれわれの前に残されている大事業に、ここで身をささげるのはむしろわれわれなのです。その大事業とは、われわれがこれらの名誉の戦死からいよいよ決意をもって、戦死者が全力をもって身を捧げた大義へと身を捧げることです。その大事業とは、これらの戦死者の死を無駄にしないようにと固く誓うことです。その大事業とは、神の庇護のもとにこの国に新たな自由が生まれるようにすることです。その大事業とは、人民の、人民による、人民のための政治をこの地上から滅びないようにすることなのです。

Lincoln's Gettysburg Address, given November 19, 1863
on the battlefield near Gettysburg, Pennsylvania, USA


Four score and seven years ago, our fathers brought forth
upon this continent a new nation:  conceived in liberty, and
dedicated to the proposition that all men are created equal.

Now we are engaged in a great civil war. . .testing whether
that nation, or any nation so conceived and so dedicated. . .
can long endure.  We are met on a great battlefield of that war.

We have come to dedicate a portion of that field as a final resting place
for those who here gave their lives that this nation might live.
It is altogether fitting and proper that we should do this.

But, in a larger sense, we cannot dedicate. . .we cannot consecrate. . .
we cannot hallow this ground.  The brave men, living and dead,
who struggled here have consecrated it, far above our poor power
to add or detract.  The world will little note, nor long remember,
what we say here, but it can never forget what they did here.

It is for us the living, rather, to be dedicated here to the unfinished
work which they who fought here have thus far so nobly advanced.
It is rather for us to be here dedicated to the great task remaining
before us. . .that from these honored dead we take increased devotion
to that cause for which they gave the last full measure of devotion. . .
that we here highly resolve that these dead shall not have died in vain. . .
that this nation, under God, shall have a new birth of freedom. . .
and that government of the people. . .by the people. . .for the people. . .
shall not perish from this earth.


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2001/04/08 第10〜19章修正 

枯葉さんご指摘ありがとうございます。他の方でも、全体的にどんなささいな指摘でもいただければ幸いです。匿名がよければそのようにとりはからいますし、けっこうぼーっとしてたりもするので、ささいな間違いもたくさんあるものと思われるので...

 >C10.
 >
 >>大地主さんは物事を歯に着をきせずはっきりといい、
 >
 >…歯に絹(を)着せず…
 
修正します、赤面ものっす。

 >C12.
 >
 >>事前にその兆候を見せないなんてことは聞いたことがありません。
 >
 >「兆候」より「気配」のほうがふさわしい、かも。
 >
 
最初が「反乱の様子」→「反乱の兆候」→「反乱の気配」というわけですな。
Google判定法によると7→3→10ですか(笑)

いやーそれはべつとしても(そもそも使われてる意味合いが違うか)、反乱の気配が
いいですね、修正します。

 >>「帆桁にでもぶらさげてやれば、すごい見物でしょうな」船長は答えた。
 >>「帆桁にでもぶらさげてやれば、すごい見物でしょうな」船