米国添乗

日時 平成12年3月12日〜19日(日) 6泊8日
参加者 聴覚障害学生 13名 先生 5名 チーフ添乗員+サブ(相良)
研修内容 ロチェスター工科大学での研修が主、ニューヨーク市内、ナイアガラの滝
 
感想&反省  
1) 添乗業務一連の流れを通して
  • 空港、ホテルでの手続きについては、チーフが事前にわかりやすい資料を作成して下さったので、それを基にしながら実際の作業と照らし合わせて、一つひとつ理解していくことができた。
  • チーフとのコミュニケーションは、旅行前半は、筆談を必要とすることが多かったが、後半になると、チーフの手が自然に動き始め、手話の語数も増え、筆談をしなくとも直接的な会話で意思疎通が可能になった。そのおかげで、私の心理的な不安もだいぶなくなり、息が合うようになっていった。
  • チーフとサブの主な作業分担については、チーフが、航空会社の担当者とのやり取り、ホテルフロントでの手続き、ガイドとの打合せなどを担当し、サブがお客様への説明をしたり、お客様からの質問を受けたりすることになった。これは、事前に決めておいたことではなく、旅行中、自然にそのような役割分担を行うようになった。手話で聴覚障害学生に直接的な説明ができたことは、先生に通訳の負担をかけずに済み、私もお客様に直接説明をすることによって大変勉強になった。今後は、今回チーフが行った仕事も、自分で行えるように努力していきたい。そのためには、聴覚障害をもつ添乗員の存在を理解してもらう必要が出てくるが、これも社会を変えていくための良い働きかけになるのではないかと思う。
2) ハプニング時に際して
  • 第一のハプニングは、心配していた寝坊だ・・。1日目の夕食の前に、各自部屋に戻り、18:50までに再集合をお願いした。しかし、4人ほど学生の姿が見えない。初日の長い1日の疲れがどっと出てきたのだと思うが、部屋で寝ている様子。どんなにドアをノックしても、何の反応も示さない。起きてこない学生に対する最後の手段として、フロントにお願いして、係りの人と一緒に部屋に行って、鍵を開けてもらうことになった。時間は遅れたものの、なんとかみんなで夕食を取ることができた。この日の夜は、ホテルにおいてある振動式の目覚まし時計をセットしてもらい、次の日の朝の集合時には、全員時間通り集まることができた。
  • 買い物の後の集合時間のこと。ナイアガラの滝の観光時、買い物の後に、バスに戻ることになっていた。しかし、数人の学生が集合時間直前になってもレジの前に列を作っていた。私は、慌てて空いているレジに学生を連れて行き、急ぐように言って、何人かの学生を残して、バスに乗り込んだ。しかし、10分以上経っても学生の一人が戻ってこない。その学生は、レジの前で列に並んでいた学生だった。また、学生の何人かは、バスの乗り場がわからずにいたのを知っていたので、その学生も場所がわからずにいるのではないかと心配になり、もう一度買い物の場所に迎えに行こうと走りだしたが、その時、チーフに呼び止められた。さすがに落ち着いておられる様子で、「学生にとっても勉強になるから呼びに行く必要はない」ということだった。このような時の判断力は、やはり経験によるものだろうと痛感する。学生は、数分すると走ってバスに戻ってきた。他の人にレジを追いぬかれて遅くなったということだった。
3)現地ガイド
  • ニューヨーク、バッファロー、ナイアガラの3箇所で現地ガイドをお願いした。どのガイドも経験が豊富な方で、チーフも先生も「よかった、慣れている」という感想を話していた。しかし、聞こえない私や学生の立場からすると、やはりガイドの話し方は、健聴者向けの話であり、聴覚障害学生に合った話し方は、要点を絞って話すなどの工夫を入れる必要があると感じられた。ガイドの説明は、先生の手話通訳によって聴覚障害学と私に伝えられたが、長時間に渡る説明は、学生も集中して通訳を見続けられない。周囲に見えてくる珍しい建物や人々の動きに目が移ってしまい、一生懸命通訳を担当している先生を見なくなるなどの問題点が、旅行中、先生方の反省会の中でも出されていた。
  • 当日の見学場所の内容が、事前に知らされていたものとかなり変更があったために、次にどこを見学するのか、どこでバスから降りてどこを見学に行くのか、私自身も全く把握することができていなかった。そして、「あれは何?」「次はどこへ行くの?」という学生の質問によく答えることができず、それをガイドに確認するタイミングもつかめなかった。見学場所を臨機応変に変更していただけたことで、学生の希望する買い物の時間を入れてもらうことができたり、より多くの見学先に立ち寄ることができたが、反面では、前述したような難しい課題も出てきた。今後、検討していく必要があると思われる。
4)NTIDでの研修
  • ことばを超えた交流。聴覚障害学生は、主に日本語に対応した手話を使う。そして、NTIDの学生は、英語対応手話、またはASL(アメリカ手話)を使う。お互いに使用している言語が違うにも関わらず、ほんの数時間一緒に過ごしただけで、かなりの内容を伝え合えるようになり、国境を超えたコミュニケーションが成立する。学生のみの交流の際や、学科に分かれれての研修の際には通訳として、お手伝いさせていただいた。
5) 最後に
  • 全体を振り返ってみると、とにかく「聞こえなくてもできる」「聞こえないからこそできる内容がある」ということを実感させられた初めての添乗業務だった。全員が無事に帰国し、「楽しい旅行だった。ありがとう!」とにっこりとお礼を言わせた時は、ジーンと嬉しさが込み上がってきた。そして、その瞬間、体がものすごく軽くなっていくあの時の晴れ晴れした気持ちを今でも忘れることができない。まだまだ、一人前の添乗員としては未熟だし、課題も沢山残っている。しかし、「やれば何でもできる」という自信は、今回の添乗業務を通してこそ得たものだと思う。
  • 今回の旅行を実現するためには、本当に多くの方々に、ご支援、アドバイス等をいただきました。本当にありがとうございました。今後も、今回の経験を基にしながらより良い添乗員を目指し、またさせていただきたいと思っております。今度ともご支援下さいますよう、お願い申し上げます。

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