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登攀日:2005年4月18日(月)
メンバー:小川弘資、若月和美、塚内尚子(文)
ギア:キャメロット0.5, 0.75, 1, 2(以上2本づつ)、3, 4, 4.5番、ナッツ数本
ロープ:ダブルロープ2本。(45mと50m各1本)
前日のお昼前に出発、横浜市鶴見で小川、若月両名を拾って東名高速を走り、沼津をめざす。沼津から国道136号を走り、道に迷いつつも、午後5時半頃波勝崎に着いた。入谷入口を右折して、まず雲見オートキャンプ場を見つけ、少し戻ったところに海金剛に至ると思われる水平道のとりつきを発見。これが正しい道だとほぼ確信する。車に帰る途中で雲見キャンプ場の人(オーナーか管理人?)と出会い、弘資君が「明日、オートキャンプ場に車だけとめさせてください」と交渉して了解を得た。ただし、有料。松崎に戻って、スーパーヤオハンで買い物をし、近くの「道の駅」でひっそりとテントを張り、一晩過ごした。
翌日は朝、4時前に起床、朝食の後、すばやくテントを撤収して雲見に向かう。水平道を40分ほど歩き、フィックス・ロープ(写真1)を懸垂で降りて、海金剛のまん前に着いた。月曜日だし、朝早いので、他には誰もいない。
天気は薄曇り。6時15分に登攀開始。5.7の第一ピッチを私がリードする(写真2)。見た瞬間に「やさしい!」という印象である。凹角でホールドは豊富、カムを決め、立ち木のあるところは立ち木でプロテクションを取り、快調に進む。フレークの下まで来て、先にすすむのをためらう。グレードが高くなったのがわかる。下から「ロープ40m」という声がした。ここでピッチを切る。
2ピッチ目(5.8)。リードを交代する。和美さんは少しあがってから、右にささーっとトラバースして視界から消える。セカンドで登りだす。左のコーナーにナッツで取ったプロテクションから自分のロープをはずすと、長いスラブのトラバースのおそろしさに呆然とする。もう一本のロープ(ひろし君のロープ。さわっていい?ときいたら顔がこわばった。)にぶらさがろうかと思ったが、伸びるに決まっているロープにぶらさがるのも恐い。気が変わってチョークの跡をたどって自力でトラバースする。思ったよりむずかしくはない。木立の間を抜けて広いテラスにでる。海が真下に見える。海底の岩がすけてみえるくらい透明だ。
3ピッチ目(5.9)も和美さんがリード。下から見るとやけに傾斜のない、寝た壁に見える。気持ちのよさそうなフィンガークラックだ。しかし、自分で登ってみると、でだしのフェースからなかなかむずかしい。アンカーのリングボルトに足を乗せ、クラックに手を伸ばす。時にはナッツをひっぱりながら必死で登る。寝ていたはずの壁がだんだん立ってくる。最後は無我夢中でアンカーに到達した。
4ピッチ目(5.8)から弘資君のリード。右上しているクラックでなんだか悪そう。少なめのプロテクションでランナウトしながら登っている。最後は直上するワイドクラック。自分の番になり、まず右上クラックを、フレークをアンダー気味に持ち、レイバックで登ったが、足のバランスが悪く、はがれないように姿勢を保つのが大変。ここはやはりクラックの下に体をいれて、正統派クラックのぼりをしないと不安定だし、カムも決めにくいだろうとあとで反省した。ワイドクラックはジャムが決まらず、傾斜もきつく、手におえない。ばたばたしながら登る。
5ピッチ目(5.9)が「先人クラック」(写真3)という、このルートのハイライトとも言うべき見栄えのするピッチ。逆層の階段状の壁で、幅の広い壁の真ん中をクラックが走っている。フィンガークラックも指がおさまるところと、狭くて指のはいらないところがあり、指でさぐりつづけてしまう。あとで聞いたら和美さんは指がはいらないクラックのふちをカチ持ちして登ったそうだ。下部要塞という壁の直下でピッチが終わる。
6ピッチ目(5.8)は壁を右にまわりこみ、ワイドクラックを登る。ビレーヤーからはどんなところを登っているのか見えない。ずっと上の方で、弘資君がカンテの向こうから上半身を見せる。ほどなくリードの姿がまた見えなくなった。ロープがどんどん伸びていくが、止まる気配がない。仕方がないので、和美さんにうながされてビレーを解除し、同時登攀にはいる。壁を右にまわりこんでワイドクラックに身を置くが、体があがらない。コンテではとてもあがれないので、上でビレーしてくれるのを待った。カムをひっぱりながら登る。やがて頭がつかえて身のこなしがむずかしくなる。左に体をだしてフェースを登る。どうしてこれが5.8なのだろう。ロープはまだまだ続いている。2ピッチ分を一気に登ったのは明らかだった。
7ピッチ目(5.8)。実質、これが最後のピッチだ。うすかぶり気味の、のっぺりした壁にワイドクラックが伸びている。登れそうもない。焦る。とりあえずセットしてあるカムをつかんですこし体を上げるがそれ以上、上に行けない。遂にA1登りに突入。シュリンゲであぶみをつくる。和美さんにひとつカムをもらい、上にセットして、もう一回あぶみをつくって立ちこんだ。やがてビレーしている弘資君の顔が見える。指示通りに左側にまわりこんで終了点に到達。
8ピッチ目は10mぐらい2級程度(写真4)のがらがらの岩場を歩く。頂上と思われるあたりで荷物を整理した。時刻は9時40分。3時間25分の登攀だった。1ピッチあたり30分弱だ。リードは、ほとんど止まらずに流れるように登攀、セカンドとサードも一人づつではなく、二人一緒に登ったから早かったのだろう。もちろん、弘資君と和美さんが二人で登ればもっと早かったはず。
10時に下降開始。懸垂ルートを間違えて登り返したり、アンカーを補強したりで、やや手間取り、1時間半位かけて下降した。自分達より下に鳥が翼を広げて滑空しているのが見える。青い透明な海が広がっていて日本ではないみたいな景色だ。アンカーはRCCボルトやリングボルトが真っ赤に錆びていて、心もとない。残置シュリンゲも色あせてぱさぱさのものがあった。最後の懸垂は2ピッチ目のトラバースルートの中間にある残置フィックスで懸垂するようになっている。
壁の取り付きでゆっくり休み、また40分の道のりを折り返して車に戻った。弘資君は雲見オートキャンプ場の人と挨拶していたが、「早いね」と言われたそうだ。たいていのグループは夕方帰ってくるらしい。岩はもろいし、浮石はあるし、で、ルートが混んでいたらいやだから平日に行ったわけだが、確かにこのスピードでは上を登っているグループがいれば追いついてしまうだろうと思った。
海金剛はすべてのピッチがシングル(5.8や5.9以下)なので、もっと登り易いかと思った。5.9のピッチはややむずかしく、5.8のピッチはもれなく悪い。フィンガーサイズのクラックの得意な人は1、3、5とリードして、6と7は「続けて2ピッチ登ってね」と相手にまかせてしまうのが正解だろう。やさしいだろうと思って5.8のピッチ(#2、4、6、7)だけ引き受けると痛い目にあうかもしれない。
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