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K.S.R.C ResearchReport FileNo.200035
 
21世紀へ向かって@
AUDIO EXPO2000レポート


2000/11/19報告  報告者:シルビー

 20世紀も残すところあと僅かとなった。
そこで、K.S.R.Cでは『21世紀へ向かって』と題して、2回に渡るシリーズリサーチを行うこととした。
第1回目は『AUDIO EXPO2000』のレポートを行うこととしよう。

東京ビッグサイト入口AUDIOEXPOはその名の通り、先進のAV機器の展示会である。
毎年行われており、今年は
2000年11月16日から11月19日にかけて東京ビッグサイトで行われた。今回のAUDIOEXPOの出展会社は82社にのぼった。

展示会場は大きく2つのホールに別れていた。
一つは「SACD(スーパーオーディオCD)」グループ、そしてもう一つは「DVDオーディオ」グループである。

SACDはソニーとフィリップスが中心となって生まれた、現規格のCDを遙かにしのぐ音楽表現力を備えた次世代オーディオ規格である。

対するDVDオーディオは、日本ビクターを中心とした規格標準化団体「DVDフォーラム」によって規格された、物理的な規定はDVD-ROMに準ずる規格である。

大きく2つに別れた展示会場には様々な展示があり、そのまま紹介したのではあまりにも紹介スペースが足りないため、キーワードを挙げながらレポートしていくことにする。

<SACDとDVDオーディオ>

SACDグループDVDオーディオワーキンググループ 今回のEXPOで、最も数多く展示されていたのがこの2つの規格である。
展示会場の大きさから言えば、DVDオーディオ側の展示会場の方が広
いスペースをとっていたようだ。
しかし、会場に入った印象ではSACD側の方が人が多かったように感じられた。
に、SACDの牽引役であるソニーブースのSACDコーナーは、そこがSACDグループの展示ブースかと思うほどの盛況ぶりで、ソニー人気を改めて実感した。

 各出展メーカーともこれらの商品展示が無いところは無いと言ってもいいほど力が入っていたのだが、実際のところ、次世代オーディオの実権を握るのはどちらであろうか。

それはおそらくDVDオーディオであろう。

 なぜなら、DVDオーディオは、もはや説明の必要のないほど普及したDVDの一規格であるため、その再生はマルチチャンネル化されているのだ。
 これに対し、SACDは音場再生を2本のスピーカーに頼ってしまっている。
これはDVDビデオによりマルチチャンネル再生に触れてしまったリスナーにとっては、もはや耐えることは出来ない。
 SACDは早急にマルチチャンネル対応をしていかない限り、次世代オーディオの主権を握ることは出来ないだろう。

 しかし、次世代オーディオの主権争いに伏兵が登場してきたのである。
それは今回のEXPOで最も目立っていた存在、半導体オーディオだ。

<半導体オーディオ>

 半導体オーディオとはその名の通り記録メディアに半導体を用いた、今までのオーディオとは全く異なったアプローチで誕生した次世代オーディオである。別名「シリコンオーディオ」とも言われている。
 オーディオメーカーは上述したSACDやDVDオーディオの方向に向かって欲しいようだが、ユーザーはメーカーの思うようには動いてくれないものである。
 SACDもDVDオーディオも普及のカギを握るのは言うまでもなくソフトである。どんに優れたハードが出てきても、それで再生できるソフトがなければ全く意味がない。そのソフトと言う意味では、半導体オーディオはSACD、DVDオーディオの半歩先を進んでいるようにも見える。

メモリースティックオーディオ ご存じのようにインターネットを介しての音楽配信により、MP3はパソコンの世界ではもう標準の音声圧縮方式となっている。これに伴い、MP3を再生できるようなオーディオ機器が様々なメーカーから既に発売されている。現時点ではウォークマンのような携帯プレーヤーがそのメインだが、これからは一般的なオーディオ機器もそちらの方向に向かっていくことは確実だ。
 なぜなら、半導体オーディオ機器はソフトを再生する上で機械的に駆動する部品が不要なため、コンパクトで手軽な上、コストダウンも容易だからだ。(写真は12月20日発売予定のソニーのメモリースティックを使ったオーディオシステム)
 更に、ソフトはインターネットから配信でき、iモードやPHS(H”)等との連携でモバイルでの音楽配信も可能とくれば、ユーザーは放っておくハズがない。

 しかし、半導体オーディオは現時点ではまだ生まれたばかりであり、その記録メディアを何にするのか、また音声圧縮方式に何を使うのかはメーカー毎にまちまちな状況なのである。

 現時点でメディアの争いを2分しているのは、ソニーのメモリースティック陣営とSDメモリー陣営である。

 確かに、両陣営とも同じような考え方の製品を出品していたが、若干メモリースティックの方が目立っていたように感じられた。しかし、これは展示の仕方によるものが大きいのかもしれない。

 メモリースティックではALPINEがカーナビにメモリースティックを使った製品を積極的にデモしていたのが目を引いた。自宅のパソコンでインターネットを使い観光地やレストランの住所をメモリースティックに保存し、それをカーナビに差し込むとその場所までのルートを検索してくれるというものだ。
 システム自体はそんなに難しい技術を使っているわけではないが、自宅とクルマをつなぐという発想はなかなかおもしろい。
 これと同様のシステムをSDメモリー陣営のパナソニックでも展示してあったが、そちらはただ展示してあるだけで、積極的な販売意欲が感じられなかった。

<既存オーディオ技術の再武装化>

 今まで紹介してきた新しいメディア以外にも展示が多かった物がある。
それはCD−R/RWだ。

 パソコンで自分だけのCDを作ることはかなり以前から行われていたが、パソコンを使わないオーディオ機器としてのCD−R/RW製品が出てきたのはこの1年のことである。

 今回のEXPOでは各社、CD−R/RW製品を展示していた。これは他のオーディオ機器と違い、ほぼ全メーカーとも出展していたようだ。中にはDVDとCD−Rのダブルデッキのような製品もあった。

 また、MDLPもかなり展示スペースを割いていた。
MDLPはMDの記録時間を2倍、4倍に増やした新規格である。こちらは、シャープとソニーが力を入れていたのが目立った。どちらも携帯プレーヤーを数多く展示していた。
 ある意味、これは当然かもしれない。そもそもMDは移動中に聴くことがメインの製品と言えるからだ。
そして、そのMDが2倍、4倍の記録時間を手にした今後は、MDLP対応のMDプレーヤーの販売台数の伸びが期待される。

 しかし、やはりここでも半導体オーディオの存在がちらついてくる。
MDの使用目的と半導体オーディオのそれは完全にバッティングする。将来的には半導体オーディオにこの分野も制覇されるであろう。

パナソニックHDDビデオ また、今回の展示会はAUDIOEXPOということでAV機器のもう一つの主役、ビデオの展示はほとんどなかったが、やはりこちらの分野もDVDの波が押し寄せてきているようだ。
パナソニック、日立、パイオニアと言ったところがDVDレコーダーを出展していた。
 また、パナソニックはHDDを使用したビデオサーバーも展示していた。(写真。左の透明ケースに入ったものが本体。その隣に重ねてあるのが増設用30GBHDD2台。接続はi.LINKによる。)
HDDを使用した製品は唯一この製品のみであった。


 ここまでAUDIOEXPO2000をレポートしてきたが、既存の製品や見慣れた製品が多く、正直言ってワクワク感に欠けている。
MDやdcc、あるいはDVDの規格が世に出たときのような興奮が今ひとつ無いように思う。

 しかし、実はそういったワクワク感を感じさせる展示をしていたメーカーが一つだけあったのだ。
それはソニーである。

<ソニーの提示した近未来オーディオ>

 ソニーが提示してる近未来オーディオも言ってしまえば半導体オーディオだ。

 まず、一つ目は次世代のネットワークウォークマンだ。
ネットワークウォークマン自体かなり新しい”ウォークマン”であり、今回も新型ネットワークウォークマンの展示もされていたが、更にその一歩先を見据えたプロトタイプがこれだ。
更に小型化され、チョーカーのようにして携帯(もはや携帯とも呼べないかもしれない)する。
 また、別のアプローチによるデザインも様々展開されていた。それらの基本もメモリースティックに代表される半導体メディアを用いたものだ。(こちらをクリック)

 また、ウォークマンタイプ以外のオーディオ機器でもコンセプトモデルが展示されていた。
こちらもやはり記憶メディアにはメモリースティックを採用するモデルだ。(こちらをクリック)

 もう一つ、i.LINKで接続するシステムも展示していた。
こちらはモックアップではなく、実際に試聴する事もできた。i.LINKで接続すると、背面のコードが非常にスッキリして気持ちがいい。早く発売して欲しい製品だ。(こちらをクリック)

 

 さて、いかがだっただろうか。
今回のAUDIOEXPO2000は、半導体オーディオの躍進が目立った展示会だったようだ。

 とは言え、21世紀初頭はまだまだSACDやDVDオーディオに代表されるディスクメディア中心で推移しそうだ。が、半導体メディアを使用したオーディオに駆逐されるのは意外と早い時期になりそうな予感もする。
そのカギを握るのは半導体メディアがいかに大きな記憶容量を手に入れ、かつ安くなるかにかかっている。

今後の動向に注意したい。


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