「保険診療として請求できる範囲を,原則として検査,画像診断,投薬※,注射※以外の部分とする」と定義されている.つまり,原則として検査,画像診断,投薬※,注射※の部分は保険請求できないということであり,通常は治験依頼者(製薬メーカー等)が負担する.
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診療費
(基本診療,医学管理等,検査,画像診断,投薬,注射,処置,手術 他) |
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| 通常診療 |
保険給付(多くの場合7割)
「療養の給付」 |
患者負担
(多くの場合3割) |
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検査,画像診断,
投薬※,注射※ |
左記以外
(基本診療,医学管理等,処置,手術 他) |
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| 治験 |
治験依頼者負担 |
保険給付(多くの場合7割)
「保険外併用療養費」 |
患者負担
(多くの場合3割) |
※投薬および注射については,治験薬と同様の効能・効果を有する医薬品
「診療報酬点数表」で区分されている.医科診療報酬点数表では以下のように区分されている.
診療費は直接金額で表さず,「点数化」している.診療報酬は診療行為のそれぞれの合算となる.例えば風邪をひいて病院に行き,診察・X線撮影・血液検査・投薬を受けたとする.すると,診療報酬点数表にある診察料・画像診断料・検査料・投薬料のそれぞれの区分の該当する項目を算定して合算することとなる.
| 基本診療料 |
初診料,再診料,入院料 他 |
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| 特掲診療料 |
医学管理等 |
薬剤管理指導料,診療情報提供料,薬剤情報提供料 他 |
| 検査 |
検体検査料,生体検査料 他 |
治験依頼者負担 |
| 画像診断 |
エックス線診断料 他 |
| 投薬 |
調剤料,処方料,薬剤料 他 |
治験依頼者負担※ |
| 注射 |
注射料,薬剤料 他 |
| 処置 |
処置料 他 |
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| 手術 |
手術料 他 |
| 他 |
※投薬および注射については,治験薬と同様の効能・効果を有する医薬品
病気やけがをして病院や診療所で診療を受けた時,一定の保険金を払っていれば,一部負担金を支払うだけでよい制度.政府管掌健康保険,共済組合保険,国民健康保険などがあり,日本では国民皆保険となっている.医療機関は「診療報酬点数表」等に基づいて診療報酬請求書を作成して保険分を保険者に請求する.その場合,その計算内容の明細を提出しなければならなく,それが診療報酬明細書であり,通常「レセプト」と呼ばれている.
医療機関から保険者へは診療報酬明細書と診療報酬請求書(すなわち明細書の合計)が提出されるが,実際には各保険者に直接提出されるのではなく,保険の種類により社会保険診療報酬支払基金(通称「支払基金」)や国民健康保険団体連合会(通称「国保連合会」)に提出される.
保険者
(国・健康保険組合・市町村・国保組合) |
支払
→
←
請求 |
審査機関
社会保険診療報酬支払基金
国民健康保険団体連合会 |
| ↑保険料 |
|
請求↑↓支払 |
| 患者(被保険者) |
→
一部負担金 |
医療機関 |
レセプトには患者一人に対して,診断名,検査項目,薬剤名とそれぞれに応じた点数が詳細に記載されいてる.レセプトの様式は決まっており,診療報酬点数表のそれぞれの区分の点数を左側に,右側には診療内容を記載する形式となっている.レセプトの提出はほとんどの場合は前月分を当月10日までと決められている.
治験期間中のレセプトには,特記事項欄にその旨を記載し,治験概要を添付することとなっている.治験が月の途中で開始や終了してもレセプトは月1枚であるため,治験依頼者負担分を記載した資料も添付し,もし治験依頼者が負担すべき費用が保険請求に発生した場合は,レセプトには実施日を記載して負担区分を明確にする必要がある.
治験依頼者負担分の請求は,レセプトの提出と同時に処理される場合が多い.治験依頼者には請求書と請求内訳(いわば明細書)を提出するが,請求内訳にはレセプトに準じた内容を記すことから,便宜的にレセプト用紙を用いて請求内訳とする場合が多い.ただしこの場合,被験者の氏名やカルテ番号を消すことを忘れてはならない.また,治験依頼者用の治験概要も必要となるが,これは治験概要の写しから氏名やカルテ番号を消したものでも,請求内訳に含めてもよいこととなっている.
計算は,材料・手技・判断に細かい規定があり,一つの診療行為が一つの点数であることはほとんどない.最近のほとんどの医療機関では,コンピューター(通称「レセコン」)を導入し,診療行為を入力するだけで点数が計算される仕組みになっており,診療報酬点数表の構成を詳しく知らなくても処理できるようになってきている.
治験においては,治験期間内では区分により保険者への請求分と治験依頼者への請求分があるため,通常の診療でのレセコンでは処理できない.しかし,診療報酬点数の計算をマニュアルで実施するのは大変な作業である.
一患者一保険(=一画面 とか 一カルテとか言われる)のレセコンでは,その患者(被験者)で保険を「100%保険負担」とした別画面(別カルテ)を作成してもらいそこに治験依頼者請求分を,保険請求画面(カルテ)で保険請求分を入力してもらう.一患者複数保険のレセコン(病院ではこのタイプ)では,治験用の保険を作成してもらい,ルールにしたがって処理してもらう.レセプトを出力すれば,保険請求と治験依頼者請求のレセプトが出力される仕組みである.
例
| 基本診療料 |
初診料:270点 +時間外・紹介等の加算
再診料:病院(200床未満)57点・診療所71点+継続管理・外来管理・時間外等の加算 |
| 医学管理等 |
薬剤管理指導料:350点 |
| 検査 |
検体検査料:(a)検体検査実施料+(b)検体検査判断料
(a)検体検査実施料:検査項目毎に細かく規定されている
(b)検体検査判断料:尿・糞便等検査判断料34点,血液学的検査判断料 135点,生化学的検査(Ⅰ)判断料155点
検体採取料:血液採取(1日につき)静脈 12点
判断料は月一回に限り初回の検査を行った日に算定と決められている.つまり,同月に治験の検査の前に保険で算定している場合は請求できない.
中央検査方式(各病院ではなく集中機関で検査する)の場合,治験依頼者が直接契約をして費用を支払っている場合がほとんである.この場合,実施料は請求できない.よって,検体の処理(容器に移したり,遠心分離 等)や保管の費用をどうするかを決める必要がある.レセコンでの処理の都合から算定しない(できていない)施設も少なくは無い. |
| 画像診断 |
写真診断料+撮影料+フィルム料+加算 |
| 投薬 |
薬剤料(薬価)×投与単位数(回や日)+調剤料(内用薬9点/回)+処方料(7種類未満 42点)
調剤料は投与方法や服用方法の違いで種別したそれぞれを一回として算定.
処方料は投与方法や服用方法に関係無く,一回の処方(≒診療)毎に算定.
治験薬に関しても算定でき,同種同効薬で無くとも,治験薬を含む調剤料や処方料は治験依頼者負担となる.しかし実際には治験薬に関しては算定しない場合が多い. |
| 保険外併用療法費制度での「治験」の範囲と期間の定義 |
| 制度の対象 |
制度の対象外 |
患者を対象とする第1相臨床試験
第2相臨床試験※長期投与を含む
第3相臨床試験※長期投与を含む
承認申請後の指示事項回答のための追加試験 |
健康人を対象とする第1相臨床試験
承認後の第3相臨床試験(例:抗がん剤)
承認後に実施される第4相臨床試験(再審査用)
※承認の一部変更(効能追加,用量変更)は「治験」となる
医師が自主的に行う臨床研究 |
治験薬の投与開始日から終了日までの期間である.前観察期や後観察期は含まれない.また,脱落の場合は最終投与日となる.ただし,治験期間をスクリーニング期間からとする契約をしている場合がある.
治験に係わる診療の特定療養費制度について(再版) 平成15年3月 日本製薬工業協会
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