「ニュータウンファミリーの知恵袋」
今更言うまでもありませんが、結露は、湿った暖かい空気に含まれる水蒸気が、冷たい窓などで凝縮して水に戻る現象です。これだけ書くと、ガラス面に暖気が触れて起きているみたいですが、実は、ガラス面よりは手前の空気中で、水蒸気(気体)は水(液体)に変化します。
暖かい空気は、その中に含みうる水分が多いのですが、冷たい空気は少ない。湿度は、現状の水分を最大の水分で割った%ですから、暖かいところで50%程度の健康湿度だった空気も、冷やされれば100%を上回り、含むことができなくなった水分が霧状の水になります。雲や霧と同じ状態です。
つまり、空気中で発生した水が小さい粒になって空中を漂って、近くの壁やガラスに付着するのが結露なのです。だから、結露は一番冷たいガラスで一番目立ちますが、その付近で湿った暖気が冷やされている限り、近くの家具や押入にも付着していきます。
この現象を理解すると、ガラス面への界面活性剤の塗布などで、窓面への結露が防げても、生活の仕方(暖房の方式や水分の発散程度など)が同じであれば、別の場所に結露が入り込む可能性にお気づきいただけるでしょう。二重ガラスや二重サッシ、カーテンなどで内外の温度差を遮断できればともかく、「窓面近くで空気が冷やされる状態」があれば、飽和した水蒸気は水になります。
現在のマンション住宅では、結露には「湿った暖気を冷やさない」ことだけでなく、「霧になった空気を早く追い出す」ことが現実的な対策になります。冷やされて漂う水分も、風にのって運び去られればガラスや壁に付着しないからです。もちろん、「必要以上の水分を暖気に含ませない」ことも対策の一つです。
なお、水蒸気の圧力の関係で、空気中の水蒸気は、暖気から冷気に浸透していきます。何もしないと、湿った暖気は、近くの乾いた冷気を湿らせて飽和に追い込んでいくようです。
そこで換気扇の登場です。家の中にごく僅かの空気の流れを作ることで、霧になった水分がガラスに付着する前に動かすことができます。また、最終的には湿った暖気を屋外に排出して、過剰な水分を物理的に追い出せます。これは掃除機のようにガーガー回すのではなく、ほんの僅かな空気の流れを作ればいいのです。(1)の最後に書いたように、湿気は寒い方に浸透していきますから、これを逆流できるよう、暖かい暖気のある側で排気します。幸い、浴室洗面所まわりの換気扇は、普通のマンションでは部屋の中央にあたり、しかも湿った暖気の強力な発生源でもあります。この換気扇で、住宅全体に風の流れをつくるのです。
具体的には、各部屋の入り口を閉め切らない。ほんの僅か開けます。ふすまやドアを1〜2cm残して閉めるという方法で、空気の道をつくります。空気の流れを想定して、結露するガラスのある部屋から浴室まで、道が通してください。室内で蚊取り線香を焚いて、静かにしていると、煙はまっすぐ上に伸びますよね。これが軽く乱れて、浴室の方にたなびけば成功です。けっして風を感じるほどに強くしなくて結構です。よくできたマンションでは、ドアの下に細い隙間が作ってあります。これは空気の通り道として有効ですから、隙間テープでふさいだりしないでくださいね。
実は、昼間のうちは結露が少ないのに、夜寝ている間にべったり濡れる、というケースでは、人間の活動により空気が乱され、攪拌効果によって、水粒子の定着が損なわれているということもあります。発生した霧状の粒子も、人の動きで攪拌されると、また暖気中に溶け込んだりするんです。
結露防止には換気をしなさいと言われると、結露する部屋の窓を時々開けたり、窓のそばに換気扇があったら回したりしがちですが、こうすると、冷たい空気の方に浴室あたりの暖気が呼び寄せられて、却って結露を助長することがあります。
せっかく暖房した部屋なのに寝る前とかに窓を開けるなんて、寒くってしょうがないですよね。心頭滅却というような精神効果は別として、そんな対策は必要ありません。日本のマンションは、そんな絶望的な居住装置じゃありません。
なお、風の上流である各部屋には外気が流入します。この程度の空気の流れなら、サッシの隙間からの風で十分ですが、換気小窓や換気ダクトがある部屋なら、これを少し開けておきましょう。ただし、結露を防ぎたい部屋に換気孔がない場合、他の部屋のを開けすぎると、肝心の部屋の空気が滞留しますからご用心。
誤解されがちですが、換気扇の消費電力は結露の苦労に比べたら安いものです。24時間回しても故障はしません。私は、前のマンションの浴室換気扇を16年間回しっぱなしにした実績を持っています。マンション浴室の換気扇はせいぜい20W程度。10時間回しても200whで、契約にもよりますが、せいぜい数円の単位です。24時間の480whでやっと10円くらいじゃないですかね。カビ落としの苦労や、クロスの貼り替え費用を考えると冬場だけなら千円程度、年間でも3千円以下の費用を惜しむべきでしょうか。
昔から、浴室は湿気がこもるので、外気に面して作るのが当然でした。それに隙間の多い日本家屋では、放っておいても少量の換気が24時間機能したのです。この環境と、居室に窓が必要なために、住宅の真ん中に置いた浴室との違いを考えてみてください。マンションの浴室は、換気扇が回っていることをを前提に配置されているという事実、知られていないのが残念です。
上の方法は、ごく緩やかな空気の流れをつくるものですから、途中で止めたら効果がありません。回っている間は結露ができず、止めたら結露するという構造ですから、一回換気したらしばらくお休みというものではなく、ずっと回していないと意味がありません。浴室換気扇にタイマーがついてるのは、マンションの浴室向きではありません。本来は外気に面した浴室を強制排気するものです。設備屋がマンションの空気環境を知らないで設計したのでしょう。こういうタイプでも「連続」のスイッチがあればよし。なければ、スイッチを交換してでも、連続運転できるようにしないといけません。
余談ですが、台所の壁の油汚れも結露と同じ原理です。空中の油の粒子がなくなるまでは、台所換気扇を回す。フライを揚げた後は、油のにおいが消えるまで数時間かかりますが、においがするってことは、油の粒子が飛んでるってことで、これを排出できるまでは空気の流れを止めてはいけません。これも誤解されがちですが、台所の壁の油汚れは、炒め物鍋から直接飛びついた油によるものではありません。空気中に放散された油粒子が料理の終わった後にじんわりと付着していくのです。
なお、台所換気扇は、強で80〜90W、弱で20〜30Wですから、料理が終わってしばらくしたら、弱にしていいでしょう。強は音がうるさいですから。ゆるやかに空気が流れていれば、壁の汚れは防げます。
*web管理者追記*
換気扇の連続運転によるモータの加熱発火等の危険性を心配する声がありましたが、メーカでの試験は連続運転を前提に行われており、基本的に問題はないそうです。もちろん、ゴミやほこりを異常にため込んで、漏電するというのは通常の電気器具のコンセントでも起こりうることですので、ときどきは点検しておく方が安心はできるでしょう。(2002.12)
前述のとおり、霧を発生させた空気は、淀んでいたら、窓だけじゃなく、壁や家具にも付着します。この時怖いのは、空気を淀ませる家具の存在。蚊取り線香の実験で、家具の回りで空気が淀むようなら、家具の後を少し開けてでも、流れを作る必要があります。タンスの裏で壁との間にカビが発生することがあります。ちょっともったいないようですが、結露しがちな部屋では、ここに空気の流れをつくる(乾かす効果もある)ためにも、数cmあけるといいのです。
生身の人間が数人居るだけで、相当量の水分を放散させます。窓ガラスにハァーっと息を吐くと白く曇るでしょう。あれも水分です。人間を殺す訳にはいきませんから、他の水分発生源に気を付けます。石油ストーブやファンヒーターなどの燃焼系暖房機は、石油を水とCO2に分解する装置ですから、燃えた灯油の量とは全く別に大量の水を発散します。常時やかんを載せておくのは、炭火時代の習慣ですが、石油やガスは、炭素の塊が燃えてもCO2しか出さない石炭や木炭とは違うのです。
浴室は湿気の宝庫です。入浴後にべったり濡れた壁や床が乾くまでどれほどの水が放出されるでしょう。バスタブや洗濯機の蓋はきちんと閉めておきましょう。また、料理とその仕事環境は大量の水を蒸発させます。鍋から立ち上る湯気や、煮詰めて水分が減った鍋を見ていただければ、投入した水が室内の水蒸気になったことを実感できるでしょう。この他、花瓶や使った後のぞうきんもあります。家の中に洗濯物を干すかたも 注意。これらがいつの間にか乾いていくということは、空気中に水を出してい るということでもあるのです。
風邪の予防という見地から、室内の湿度調整は重要です。乾かし過ぎてはいけない。加湿器を使うこともあります。しかし、湿度は温度との相対関係です。暖かい部屋で加湿するのと、その空気が冷たい窓に接近するのとは別に考えてください。浴室や台所に換気扇があるのは、「湿った空気はその場で排出」の原則のためにあるのです。
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生活環境にもよりますが、結露を防ぐためだけに、あれこれ気を遣い、生活を窮屈にするのはばかげています。試しに(2)と(3)だけでもやってみてください。要は、ドアを閉め切らず、浴室換気扇を回しっぱなしにするだけ。これだけで結露は防げます。
「このマンションは結露がひどい。欠陥住宅じゃないのか」とおっしゃる方がよくいます。そういう方に限って、締め切って石油ストーブをがんがん焚き、入浴や料理が終わったら、すぐに換気扇を止めてしまう習慣があります。木造住宅では、それが節約のための暮らしの智恵だったのですが、マンションの特性にもう少し慣れていただきたいといつも思っています。
騙されたと思って試してみてください!
/// Maco / 山本 理 / NBB03013@nifty.ne.jp ///