リレーエッセイ「ニュータウンの街かどから」
ニュータウンを含め横浜北部の変遷は著しく、「横浜のチベット」と呼ばれていた頃の面影は、もはやありません。 発展途上の地元を離れていたので、時々帰省しては途中経過を垣間みて、しまねこもy1suzukiさん同様、目を丸くしていたのでした。 電車は溝の口までしか来てなかったのに・・・、米軍の飛行機が緊急落下地点に選ぶような辺ぴなところだったのに・・・、大胆な区画整理で道路が変わり、地元のじっちゃまが道に迷って凍死したなんて哀れなニュースが流れ、いつの間にか狸も雲雀も見掛けなくなったのでした。 住所の表記も変わりました。 名前からしてお洒落な街になりましたね!!
2回続けて地元の回顧では「二番煎じ」。 よって今回のテーマは、「しまねこのネコ遍歴」です。 わが家には同居ネコがおります。 目下は「しまこ」ちゃん。 しまねこは、今まで4匹のネコ達につきあってもらいました。 それぞれ個性豊かで、ネコに教えられたり救われたり、まったくあなどれない存在です。
初代ねこは、しまねこの飼い猫ではありませんで、学友が飼い始めた「トラキチ君」。 生まれたばかりの捨てネコを見かねて拾ってきて、そのうちの一匹が学友のところに引き取られたのでした。 目も開かない子猫をティッシュボックスに入れて育てたそうで、呼び名の通りの「箱入り息子」。 お目々くりくり、全身茶トラのハンサム猫でありました。 家の中で大切に大切に育てられたトラキチ君、人見知りが激しくなり、来訪者が来ると押し入れや机の下に逃げ込みます。 いたずらな友人(=私)がやってきて、「猫なら塀の上を歩くよね〜」と塀に乗せられると、全身これ緊張の固まり、すくんで固まってしまうような甘えん坊さんでした。 飼い主たる学友としては、それがまたカワイくてたまらないらしく、こういうのを「ねこ可愛がり」と言うのでありましょう。 部活の記念誌にも書かれているのは、「トラキチ君」の話ばかりであります。
さてこの学友と私は、結婚して一緒に暮らすことになり、トラキチ君共々引っ越しいたしました。 学友は荷物はさておき、トラキチ君が無事新居になじむように気を配り、当日は逃げないように「お風呂場に待機」させていたのですが・・・、誰かがドアを開けちゃったんですね。 トラキチ君は外へ出てしまったんですね。 しかし 誰もその事に気付かず、引っ越しが片づいて「さあ やれやれ トラキチくーん!出ておいで〜」とお風呂場の扉を開けてみれば、そこはもぬけの殻だったのでありました(ーー;)。
暇を見つけては近所を探し回る毎日でしたが、なかなか現れず、そのうち(約2週間)華の新婚生活は終わりを告げ、連れ合いとなった学友は新しい勤め先へ赴任していきました。 うーむ 連れ添っていないのに「連れ合い」とはこれいかに? まーお互い仕事最優先時代だったからしゃーない。 そしてトラキチ君探しは、私の肩にかかることとなったのでした。
田舎の小さな町ゆえ、新居の回りは同僚ばっかり。 「あのねーこんな柄の猫 見掛けたら教えてねー、トラキチって呼んだら、にゃ〜って返事するから」と頼みまくっておいたのでした。 するとある朝、同僚から電話が入り「おい見つけたぞ、トラって呼んだら寄ってきたぞ」。 しまねこは大喜びで引き取りに行き、「トラ君、トラ君」と呼べばスリスリ寄ってくる、ずいぶん痩せてるけど苦労してやつれたんだわ、ありがとありがと、と引き取りました。 朝の多忙な時間帯ゆえ、とりあえず自宅に閉じこめ、さて出勤。 めでたいことはあっという間に知れ渡り、「じゃー今日はウチで、トラキチ君帰還祝いをやろー」と同僚一同で祝ってくれることになりました。
帰宅したなら、まずは「風呂、風呂」。 痩せて汚れちゃったトラキチ君を、シャンプーして乾かしてみると・・・あれれ? おなかが白い。 よく見ると顔も一部白い。 んにゃ? 初代トラキチ君の写真を引っぱり出してみれば・・・全身縞々。。。ありゃ〜、こりゃ猫違いであります。 しかし「トラキチ」と呼べば、「んにゃ〜ごろごろ」と甘えてくる。 きっとコイツも飼われていて、飼い主とはぐれたのでありましょう。 そのうち三々五々、同僚が集まってきて「2代目トラキチ就任祝い」パーティーが執り行われ、彼は我が家のねことなったのでありました。 ボーゼン。
この2代目トラキチ君とは、一緒に4回も引っ越しを経験し、雪国の冬では身体を温め合う仲となったのでした。
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「ぼくがトラキチ」 |
飼い主との共同生活を始めた当初は、まだ少年であったからか? ひたすら飼い主とごろにゃんしておりました。 夏の出雲地方は暑いけれど快適。 遊ぶところもたくさんある。 蜥蜴もヤモリも鼠もたくさんいる。 少年ねこが堪能するに絶好の環境であります。 さてしかし、半年も経たないうちに、鳥取市へ引っ越すことになりました。 2代目トラキチ君、最初に飼い主にはぐれた経験からか、飼い主の変化には敏感です。 引越数日前から荷造りが始まると、なんとなくわかるんでしょう、遠くへ遊びに行かなくなります。 当日荷物を出す間は、絶対に家から離れません。 最後は飼い主の車の傍にへばりついて、待っております。 野良生活の大変さが身に染みているのでありましょうか。
で、車中約4時間の旅を終え、無事に鳥取市に辿り着きました。 今度は2階建て長屋で築30年。 なんでも勤務先の改装に予算を使い果たして職員宿舎はボロボロのまま、風呂など底が抜けるありさまだそうで、遠慮無くねこと暮らせる絶好の環境であります(^^;)。 ここも遊ぶところには事欠きません。 魚も美味しいし、極楽 極楽!!。。。が数カ月で「こりゃ大変だ」と気付いたのです。 雪が降るのでありました。 それも多いと一晩で20cmも。。。(ちなみに前住地、出雲地方も雪は降る。しかしこんなに大量ではないし、風で吹き飛ばされて大して積もらない)。 さらに悪いことには、飼い主はしょっちゅう泊まり込みで帰ってこない。 家の中は寒い。 こりゃ〜1匹で過ごすには寒すぎる。 冬の寒さに耐えかねて、トラキチ君は真剣に友達を探すことにしたのでありました。 どうせならガールフレンドがいいよにゃ〜=(^-^)=。 して、トラキチ君、ガールフレンド獲得作戦が始まったのでありました。
近所には 友達になってくれそうなのが たくさんいました。 んで声をかけてみたものの、間をおかずに 強そうな雄猫が「おいそこの若いの、なにやってんだ?」と迫ってきます。 ねこの世界も厳しいのであります。 ビックリして家へ向かって逃げても、そいつも追いかけてきます。 家への入り口は風呂場の窓で、ここから入るには高いところに飛び上がり、アクロバットのように身体を反らさないとならない。 でかくて重いボス猫には苦手の技であったようで、かろうじて追究をかわしたのでありました。 背中の傷を舐め舐め、寒い部屋で1人食事に付く。 ああ寂しい。
やっとこさボス猫の目を盗んで、一匹の彼女に声をかけることができたのでありましたが、その彼女は ボス猫が相手にしないような、やせ細ってぼろ布みたいな猫でした。 こんな彼女でもトラキチ君には冷たく視線を送るだけでありますが、家に誘ってみたらついてきました。 寒い雪の中よりマシですよね。 お風呂場の窓もしなやかにクリアして無事家の中へ。 んで食事に誘ってみたら彼女は大喜び、トラキチ君はその間、我慢強く見守っておりました。 ちょっと良い雰囲気かな〜、と思っていた所に飼い主が帰宅しました。 彼女は大慌てで退散してしまいましたが、飼い主に目撃されました。 トラキチ君は、チョイ恥ずかしそうにご主人様を迎えに出たのでありました。 ご主人が見れば、トラキチ君の食器は空っぽ。 「あら2人で食べたのね、良かったわね友達ができて!」なんて抱きしめてくるもので、トラキチ君ぐるぐるにゃんにゃん甘い声を出しておりました。
さてご主人、炊事を始めて「とり骨付きもも肉のロースト」なんか作ってる。 冷凍庫から下味付きのもも肉を引っぱり出して、レンジグリルへ放り込み待つこと30分。 付け合わせの野菜もできて鼻歌なんか歌ってる。 雪の中、久々トラ君の顔を眺めながらの手料理で御機嫌です。 大皿におかずが並び(所謂ワンディッシュディナーっつうヤツですな)、ご主人、ご飯をお茶碗によそって、さあ食べるぞ! と振り向いたら・・・なんとお皿の上の「骨付きもも肉」が消えている! そうなのでした。 トラキチ君が音もなく忍び寄り、丸ごと引きずりおろして自分の餌場で悠然と食していたのでありました。 そこで主人、初めて悟ったのでありました。 トラキチ君は未熟な青年、彼女を作るにはまだまだ半人前、「餌で釣る」しか実力がなーい!! トラキチ君は彼女と2人、仲良く晩餐していたのではなく、ぜーんぶ彼女に譲って自分は空腹を我慢していたのであった!(おまけに 食後のにゃんにゃんは帰宅した御主人に邪魔されてしまったのであった!)
この鳥取の雪の中、トラキチ君は ケンカしてたくさんの傷を作り、彼女とは「餌だけデート」で終わりになり、ちょっとは成長して好青年となって またぞろ出雲の地へ帰り着いたのでありました。
やがて 御主人の帰省Uターンにお供して、トラキチ君も「ニュータウンの外側」に同行することになりました。 山陰の自然の中を走り回っていたトラキチ君にとって、今度の住まいはちょっと窮屈な「箱」。 なんとか出入り自由にしてもらっているけれど、ホントはいけないらしくて小さくなっています。 ちょっと歩いていくと車がビュンビュン走ってる(R246)、反対側に下りていくと、デカイ箱が10個繋がって飛んでいく(田園都市線)、こりゃ〜スゴイ所に来ちゃったにゃん、てなものであります。
ここにもねこはたくさん居りました。 トラキチ君、鍛え抜かれた身体で、結構な地位を獲得しました。 おまけに例によって、「家で一緒に食事でもどお?」という奥の手があります。 さすがは都会、洗練された身繕いの良い美描が、トラキチ君と付き合ってくれることになったのでした。 御主人様も、こんどの彼女をいたく気に入ってくれ、窓を開け放って、彼女の為の食事を特別に用意してくれました。 彼女の食事は、最初は窓際でしたが、段々と家の奥深くに置かれるようになり、彼女も少しずつ、家の奥まで来てくれるようになったのでした。
しかーし! こんな美猫を、他のヤツラが放っておくワケがなーい!!
他のヤツラは 遠慮して家の中までは入ってこないモノの、ベランダに大集合して「ボクとデートしようよ〜 そんな田舎モノよりボクの方が格好いいでしょ〜 ぐるにゃ〜」と大合唱であります。 もちろんトラキチ君、黙っておりませんで迎え撃ちます。 あらまぁ、1坪あるかないかの狭いベランダで、猫5匹がもつれあう日々となったのでありました。 全く♂ってもんはもう〜トホホ。
ある日決断したしまねこは、餌を囮に美猫を家の奥まで誘い入れ、ピシャッと窓を閉めたのでした。 びっくりした美猫、俊敏に逃げ回ります。 勢い余って天井まで走ります。 うーんカッコイイ・・・しばし見とれるしまねこ(^^;)。 やがて疲れて部屋の隅にうずくまった所を、しまねこに捕獲され、獣医さんに連れて行かれて手術を受ける羽目になったのでした。 そうそう、もちろんトラキチ君も一緒に・・・と連れて行かれましたが、診察した獣医さんのお言葉。 「健康ですねぇ、あぁ、去勢も済んでいるんですね」・・・w(^o^;)wどひゃ? そんな憶えは・・・? ひとなつこいトラキチ君は、御近所のどなたかに連行され、すでに手術が済んでいたのでありました〜ナンテコッタイ。
無事に美猫は帰宅しましたが、「一緒に暮らそうよ〜」という、トラキチ君と飼い主の誘いを受け入れてくれません。 潔くまた 野良猫の世界に戻っていったのでありました。
さて そのうち、トラキチ君4回目の引越です。 御主人ご懐妊で生活に行き詰まり実家に転がり込んだのでありました。 引っ越した先は「猫の額」の土に恵まれては居りましたが、すでにそこは「ボス猫」の縄張り。 おまけに家の中には犬がおりました。 しかしトラキチ君、持ち前の粘りで居場所を確保したのでありました。 やがて御主人に女の子が生まれました。 トラキチ君、女の子には優しい(^^;)。 蹴飛ばされても文句も言わず、つかず離れずの毎日でありました。
「かわいいベイビー」 |
「お、女の子は優しく・・・」 |
しかし、山陰時代に散々ケンカした傷が元か、病気になってしまい、闘病生活の末、自宅で息を引き取ったのでありました。 現在はトラキチ君、庭先に埋められて眠っております。 その上を、しまこが知らずに歩き回っているかも知れません。 でもま、しまこも美猫でありますから(親のひいき目(^^;) 女性に優しいトラキチ君、じっと我慢していることでありましょう。
途中 やんちゃ坊主の「ダイヤ君」とも一緒に暮らしました。 一人前になるかならぬで、トットと冒険の旅に出てしまって帰ってきません。 ボス猫と一戦やらかしたに違いない(^^;)、都会は厳しいのお〜。 見かけたら「おうちでみんなが待ってるよ」と言ってやって下さい。
ねことの生活を考えると もっと空間の広い、近くに川があって魚もいるような土地に移り住みたいと思うしまねこなのでありました。 夢のまた夢。。。 今の時点でも、しまこは鳥やトカゲ、ヘビ、時にネズミを連れ帰ってきます。まだこの辺りにも残っているのです。 とくに、ネズミを掴まえたときは、大いに褒めてやります。 ねこは、ネズミ大繁殖を防ぐ、とっておきの存在だと思っています。
ん? ひいきの引き倒しかにゃ?