| その1からのつづき 渡英中のある日の行程。 朝、バッ キンガム宮殿前に陣取り、衛兵交代を見物。その後、地下鉄、Docklands Light Railを乗り継ぎ終点のIsland Gardensへ(当時はここが終点だった)。Docklands Light Railは新交通システムであり、遠隔操作で運転され運転手は乗務していない。日本であれば、車掌も乗務しない無人運転となるはずだが、車内改札とドア操 作のために車掌が乗務していた。日本のように無人駅に自動改札設備を設置しても無法者に破壊されてしまうためか、あるいは自動ドアの信頼性が無いためか。 多分どちらの理由も当てはまるはず。 Island Gardens駅はThames川の左岸に面しており、駅前から地下の歩道トンネルで対岸のGreenwichに渡ることができる。 「Greenwich」というスペルではピンと来ないが、東経西経0度線で有名な天文台の「グリニッジ」である。さて、地下トンネルを抜けるとそこには 19世紀の帆船「カ ティサーク号」が鎮座している。中国から英国へお茶を運搬した貿易船は、現在はここで静態保存され、内部は博物館になっている。 「カティサーク号」から5分程度南に歩いたところにある三叉路からそのまま直進するとGreenwichの丘と天 文台に、右折すると10分ほどでGreenwich 駅に着く。駅周辺は典型的なLondon郊外のベッドタウンといった感じである。 GreenwichからLondon Bridgeまでは2駅、約6kmの距離。私は駅のホームに立ってまず、地下鉄でもないのに第三軌条集電式だったことに驚いた。この方式は、口径 の大きなトンネルを掘り直さなくてもよいなど、地上設備は低コストという利点がある一方、集電設備の破損防止のため、速度は低く押さえなくてはならないは ずである。電車は20分毎に運転されており、15分ほど待つとVVVFインバータ制御の4両編成(465系)がやって来た。 発車するとすぐに釣 上式可動橋(旧佐賀線の筑後川鉄橋のようなもの)の橋梁を渡りDeptfordに到着。ここからLondon Bridgeまでは約5kmに渡ってほぼ直線である。電車はぐんぐん加速し、約100km/hで流し始めた。これには心底驚いた。日本では第三軌条集電式 の鉄道は先述の理由のため、75km/hに押さえられている。日本の常識だけでは世界は通じないと実感した。 London Bridge駅から10分ほど歩くと有名なTower Bridgeに着く。ここまでで時刻は15時といったところか。まだまだ市内観光の余裕が充分にある。 さて、その翌日、午前中はTower Bridgeの隣に立つLondon 塔を見物。内部を隈なく廻ると半日はかかるだろう。この後、私とYは別行動をとることにした。YはPiccadillyの 百貨店とBaker Streetのシャー ロックホームズ博物館へ、私はLondon Kings Cross駅から特急に乗ってみた。 と言っても、英語での切符の購入など初めての私。駅の窓口に並び、前の客が何と言っているのか聞き耳を立てた。 「Intercity service from here to Leeds.」と聞こえた。その後にも何かゴニョゴニョと言っていたが、聞き取れなかった。なるほど、"from A to B"の構文はこのような場面で生かすのだ。私が学校で習った英語教育では、構文を暗記させられるばかりで、どのような場面で使用されるのか教えてもらった 試しがない。 私の順番になり、 私 Intercity service from here to Peterborough. (へへへ、うまく言えたぜ。) 出札掛 What time ? 私 (ムム、出発時刻を質問しているな。)At 14:10. 出札掛 Single or returns ? 私 (???!) 私は絶句した。出札掛は何を質問しているのだろうか? このあと2分間くらいの押し問答の末、最後は出札掛のゼスチャーでようやく意味が理解できた。「Single or returns ?」とは「片道ですか、往復ですか?」という訳になるのだ。 私はある程度の想定問答は考えていたが、このような質問は予想していなかった。なぜなら、目的地PeterboroughはLondonから 北へ120km余りの距離であり、日本では往復割引切符の対象には遠く及ばない。後でわかった事だが、英国鉄道では(時間帯にもよるが、少なくとも私が 乗った時間帯は)近距離でも往復割引があり、しかも割引率は高く、片道に毛の生えた程度の金額で往復できたりもする。 その3へつづく
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