| その2からのつづき 渡英中のある日の行程。 乗り込んだ列車は14:10 London Kings Cross発Leeds行のIntercityだった。(当時の英国鉄道は分割民営化が始まったばかりで、特急に相当する列車はIntercityと呼ば れ、時刻表には"IC"の印が付いていた。現在はこの呼称は消滅している。)先頭に流線形の91系電気機関車があり、後ろに9両の客車と1両の運転台付き 荷物車を従えている。ということは、復路は機関 車を遠隔操作して後ろから推進運転することになる。列車は定刻どおりに発車。いつ起動したのか気付かな
いほどソフトな加速だ。
しかし、あれよあれよと言う間に200km/hに達する。しかも、通過する駅には防護柵も何も無い。スリルを楽しむ余裕など無く、私の顔は引 きつっていたはずだ。そして気付いた。帰りはこのスピードで推進運転である。もはや日本の常識は通じない。 車窓に目を移すと、その風景は素晴らしいの一言に尽きる。発車して15分経たないうちに、窓の外は北海道や小海線を凌駕する高原列車の風景 だ。広大な牧場で牛や羊が草を食み、馬が散歩し、野ウサギが跳ねている。時々、緩やかな斜面にベッドタウンが造成されているが、日本のように窮屈ではなく 開放的だ。 線路は複々線が続き、遅い列車をひょいと抜かして快調に走り続けた。とは言っても、抜かされる電車も120km/h以上で飛ばしているのだ が・・・。この複々線、いつまで走っても終わらない。既に車窓は十勝平野の様相で、小さな集落がぽつぽつとしか見当たらないのだが、そのようなところでも 続いている。結局、Peterboroughの手前まで複々線は続いた。 Peterboroughには定刻どおり14:54に到着した。駅前には巨 大なショッピングセンターがあった。このショッピングセンター、"Queens Gate"という名前だったが、内部は本当に広い。街がひとつ建物に呑み込まれたような規模である。後々わかった事だが、英国の中規模都市には大抵このよ うな巨大ショッピングセンターが存在している。 復路も往路と同様の編成のIntercityだった。思ったとおり推進運転で200km/h。風景はきれいなのだが、途中で日が落ちてしまっ た。London Kings Crossには16:30頃に到着した。 わずか2時間半程度だったが、英国鉄道の走りや設備、そして車窓に感激した。そして、「いつかまた乗ってみたい」と心に決めた。 こうして私は英国鉄道にハマってしまい、やがて乗り潰しという無茶な事を目標に掲げるに至ったわけである。そして、それは遅延、運休、工事、 事故という手段で私に挑戦してくる英国鉄道との闘いの幕開けでもあった。 |
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