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私は30歳を過ぎ、毎日深酒している。しかし、そんな男でもプリンが未だに好物である。プ
リンといってもケーキ屋さんにあるような、生クリームや苺のデコレーションの付いたものはダメ。基本中の基本、プッチンプリンの類にこだわる。今回はプリ
ンにまつわる悲喜劇を紹介しよう。
1994年3月、2度目の渡英のときである。私は国 立鉄道博物館のあるYorkにやってきた。午前中は鉄道博物館で時間を潰して、昼食の後、午後はYorkの市街観光という予定であり、13時頃に 旧市街地中心部のカフェテラスに入った。 ハンバーグステーキ、パン、スープ、サラダを注文し、それらが順にお盆の上に乗せられていったその時、私の目はメニュー表の一点に釘付けに なった。「Yorkshire Pudding」と書いてある。私は喜び、迷わず注文した。「よし、デザートはプリンだ!」 しかし、お盆の上にはいつまでたってもプリンが乗せられず、代わりにハンバーグステーキの皿にシュークリームの皮らしきものが、火鋏で無造作 にポンと置かれた。 そうなのだ。この皮こそ「Yorkshire Pudding」なのだ。後で解ったのだが、私が食べたかったプリンは「Custard Pudding」(カスタード プリン)と言うべきだったのだ。 ご多聞に漏れず、飯は不味かった。皮の処置に困って周囲を見渡すと、皆この皮で皿に残ったステーキのソースを拭き取って食べている。私も不味 いソースをYorkshire Puddingで拭き取って無理矢理口に入れた。 一生忘れられない出来事だった。 帰国後、まず口にしたのはグリコ プッチンプリンだった。 |
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