005.ある記事に対する批評
2003.6.23 UP

 英国鉄道の運賃は高いと言われている。事実、毎年毎年値上げが続いているが、特に日本と比較して高いと思ったことはなかった。ところが2003.6.16のAFP社のニュース記事で、英国鉄道の運賃が取り上げられていた。記事のタイトルは「Britain's trains most expensive, least efficient in Europe」(和訳:英国鉄道は欧州で最も高く、最も低い)。 もちろん高いのは運賃、低いのは技術力を指している。

 この記事を要約すると・・・

運賃£10(約2000円)あたり、何キロ旅行できるか?
英国          67km
フランス    113km
イタリア    295km

英国鉄道1キロあたりの運賃は・・・
フランス・フィンランド・オーストリアの1.7倍
スウェーデン・ベルギーの2.2倍
ポーランドの4倍

という内容である。

 このままではよく分からないので、JRを調べてみた。JRは地域格差があるものの、運賃2000円では約120km(東京〜三島・大阪〜長浜・博多〜熊本)旅行ができる。1キロあたりの運賃は、どのような算出法を用いたのか不明なので割愛する。

 一見、英国鉄道の運賃は高いようだが、この記事の比較にはある視点が欠けているため、私は支持しない。欠けている点とは優等列車の特別料金である。
 英国鉄道は急行料金や特急料金が存在しない。特急に乗っても支払いは運賃のみである。つまり運賃の中に特別料金が含まれている形であり、短距離旅行に不利で、長距離旅行に有利な運賃体系といえる。
 日本で120kmの旅行を考えたとき、仕事で動き回る人ならば特急利用が当然である。例えば、博多から熊本へ移動すると運賃は2070円だが、快速、各駅停車の乗り継ぎでは160分もかかるため、特急(80分)を利用する。この場合、特急料金1370円がプラスされ、合計は3440円となる。これを2000円あたりの距離に按分すると、70kmとなる。
 フランスも同様に優等列車の特別料金を加味すると英国鉄道との差は無くなる。

 つまり、英国鉄道の運賃は国際的に妥当な水準と言えるのではないだろうか。

 この記事は運賃が高いと指摘するばかりで、技術水準のコメントは見出し以外には見当たらなかったが、私に言わせれば技術水準の方を問題にして欲しかった。日常茶飯で起きる故障や凡ミスは、大事故の予兆である。
 AFP社は、運賃という一般受けしやすい分野を、いいかげんな机上の計算で高く示して批判するよりも、地道な取材で事故が起きる素地を洗い出し、批判して欲しかった。
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