カルシウムの補給
賛成論と反対論
私たちのチンチラ達に、健康な歯と骨の成長のために余分にカルシウムを与えるべきかどうかについては多くの議論があります。
幾人かの飼い主は与える判断をしています。イカ、ビタミンとミネラルの補助食品、カルシウム・ブロックまたはミネラル・ウォーターその他諸々の形で。しかし多くの人々は、常に食餌から適切な量のカルシウムを得ているチンチラ達が、なおも歯の疾患にかかる事があるのか理解する事ができません。このため、この話題は(遺伝的な原因は置いて)なぜそうなのかをうまく説明するでしょう。
チンチラは実際の所、健康な骨と歯のために、リン1に対して2の割合でカルシウムを、あるいはリンと同じ量のカルシウムを食餌中に必要とします。カルシウムだけをたくさん余分に摂るのは良い事ではないと私たちは考えています(チンチラの幾匹かが、尿の器官にカルシウムが蓄積する病気に罹りやすくなるだろうとも考えています)。干し草、リードグラス、Supa
Forage Excel (SFE)(訳注;牧草の加工品の商品名)はすべてリンに対するカルシウムのバランスがとれています。そしてほとんどの良質のチンチラ用ペレットもそうです。
ではカルシウムはどのように吸収されるのでしょうか? 肉体はカルシウムを容易には吸収しません。カルシウムが受容されるにはイオンの形態である必要があり、完全に吸収されるにはビタミンDの存在が必要です。いくつかのカルシウムの供給源は他の物よりもイオンを含んでいます(吸収されやすい)。
カルシウムは腸(十二指腸)の壁を通じて血流に吸収されます。ビタミンDはこれを助けます。これがチンチラの食餌には適量のビタミンDも必要であるという理由です(ビタミンDは通常はペレットに含まれています)。
血流中のカルシウムの濃度が低下すると、さまざまなホルモンが分泌され、必要に応じて骨からカルシウムをとり出し(溶出)たり、骨にカルシウムを蓄えさせたりという、定まった作用を引き起こします。カルシトニン(Calcitonin)ホルモンはカルシウムを骨に蓄積する作用を促進します。しかしカルシウムの吸収には専門の細胞:骨芽細胞の活動が必要です。
また、これらの骨芽細胞はカルシウムを蓄積(格納)できる骨の構造を作ります。
骨から(必要な別の場所へ)カルシウムを取り出すには、破骨細胞と呼ばれる細胞の活動が必要です。当然、取り出されたカルシウム分を(上で述べたような過程を通して)再度骨に格納する必要があります。もし食餌中のカルシウムが不足していると、骨に蓄えられた分が消耗されるようになります。
毎日余分にカルシウムを補給しようとすると、この過程を混乱させ、カルシウム欠乏症と同様の徴候をもたらす可能性があります。
なぜかと言いますと..
血流にカルシウムが吸収されると、骨芽細胞と破骨細胞の両方の生産と活動が活発になります。カルシウムがたくさん吸収されると、たくさんのカルシウムが(骨から)取り出されもします((両方の相反する活動の結果)単に超過した分が骨に一時的に格納されるだけです)。しかし骨を構成する骨芽細胞の50〜70%がこの交換活動で死にます。活動がさらに促進されると、より多くの骨芽細胞が死にます。
どんな細胞も再生(細胞分裂)の回数が限定されているので、過度に多くのカルシウムを血流に、そして骨の構造に取り込むと、骨芽細胞の再生可能回数をすぐに使い切ってしまうでしょう。その再生可能回数を使い切ると、新しい骨芽細胞が不足する事になります。また、骨の組織を作る事ができるのは骨芽細胞だけなので、ごくわずかの骨組織しか新しく作られません。これ無しではカルシウムを蓄積する事はできず、新しい骨組織を作る事が出来ません。骨組織が不足し、骨組織の生成と置き換えの起きようが無いからです。
全てのミネラルについてそうであるように、肉体は通常、どれだけのカルシウムが与えられるかとは無関係に食べ物と血流から必要なだけのカルシウムを吸収するだけです。しかしカルシウムを定期的に与え過ぎると、肉体は血液中のカルシウム濃度が上がり過ぎるのを防ぐために何かしなくてはならなくなります。で、命を守るために、食餌中の過度のカルシウムを、排泄する前に単に一時的に骨に蓄えます。
この余分なカルシウムはすべて(先に説明したように)骨芽細胞の働きで吸収されるので、これらの骨芽細胞はごくわずかの新しい骨組織しか残さずに、すぐに死んでしまいます!!!
余分なカルシウムが骨に吸収された後、2つのホルモンが骨からカルシウムを放出する事を促します。そして3つ目のホルモンが尿へのカルシウムの排泄を促します。
と、いうわけで。。。骨は余分なカルシウムを保持する事が出来ません。とにかく、余分なカルシウムはやがて全て排泄されます。
従って、カルシウムの補助食品は週に1回か2回(必要に応じて)与えるだけにする事を奨めます。医学的理由がないのに毎日与えるべきではありません!
そうすると、チンチラが得たカルシウムを最大限利用出来るようにしてあげられるにはどうするのが一番いいでしょうか?
1. カルシウムの補助食品を2週間に1回か2回与える。毎日与えはしない!!!
2.
新鮮なチンチラ用ペレットを与えて適切な量のビタミンDが食餌に含まれる様にする。
3. チンチラの食餌中のリンに対するカルシウムのバランスがとれているようにする。(単にペレットと干し草の食餌を与え、またどの栄養補助食品もバランスがとれているようにする事で可能です)
4. カルシウム、リン、マグネシウム、ビタミンD,AおよびC
等は、骨と歯の健康のために正しい比率で、同時に摂取すべき栄養素である事を忘れないでください!
注意:これらの情報はあるウェブサイトから得ました(アドレスを忘れたのでここに表記できません)。私はそれを少しだけ変更して書き直しました。
カルシウム、リン、ビタミンD3、マグネシウムの関係については敢えて詳しくは述べていません。

フィチン酸塩としてのリン 
シリアル(穀類を加工した)製品ではリンに対するカルシウムの比率が逆になっています(フィチン酸塩(カルシウムと結合して吸収を妨害する)として存在する物も含めて)。そのため、どのシリアルの混和飼料も、少量のカルシウムを用いて中和する事を奨めます。
しかし、ややこしい事にフィチン酸塩の中のリンもまた体内に吸収されません。そのためカルシウムの代謝を妨害する(つまりカルシウムと結合する)ものの、体内にずっと留まる事はないという事実がありますから、2:1のバランスをひどく崩しはしないでしょう。
(訳注:フィチン酸(化学式
C6H18O24P6)は細胞の育成に必要な物質で、それが鉄やカルシウムと結合した物がフィチン酸塩です。フィチン酸がカルシウムと結合したフィチン酸カルシウムは水に溶けないので腸から吸収できません。フィチン酸は草に含まれていて、草食動物にとってリンの供給源です。2:1というのは食餌中に含まれるべきカルシウム:リンの比率。)

眠っているチンチラの写真
(c) Dan Whetton
記事とその他の内容
(c) Debbie Cave