経済学研究の歩みと「強奪の資本主義」
兵庫県勤労者学習協議会では、大阪市立大学名誉教授 林 直道 先生の経済学特別講座を全3回の日程で
開催しました。( 5月31日〜6月14日) 大阪商大事件として知られる弾圧で友人を亡くされ、先生ご自身も死ぬ寸前で
した。貴重な歴史的証言でもあり、ぜひお伝えしたいと思い、参加時の学習目的の録音テープを再現いたしました。
全部は労力面でとても無理ですが、最初の「経済学研究の歩み」と第3回目の「強奪の資本主義」からいくつか掲載し
たいと思います。一挙には無理ですので何回かに分けることになります。(文責:YH生)
「科学的社会主義との出合い」 第1回
『 私が大学予科(旧制高等学校)に入ったのが昭和14年であります。1931年(昭和 6年)満州事変、1937年(昭和12
年)日中全面戦争(中国に対する侵略戦争)、1941年(昭和16年)からは、いよいよ全世界的な規模での第二次世界
大戦に突入していくことになるわけです。
そんな時代に、私は受験勉強オンリーの中等学校から大学予科に入り、大学に進んだのです。そのころは日本帝
国主義がまだ勢いを持っていた時ですから、学校の教育なんていうものでも天皇陛下中心、教育勅語中心の古い古
い教育であったわけです。 しかし、いろんな自由な本を読むに従って、今まで習ってきた「天皇は尊い神さまの子孫
である」とか「日本は世界で最もすぐれた国である」したがって「アジアの国はみんな日本の勢力下に入っていくことに
よって幸せになるんだ」というようなことが、だんだん疑問に思えてくるわけです。
そういうような疑問を国民がいだくとそれを許さないというのが治安維持法というものであります。治安維持法は二つ
のことを取り締まる。@私有財産制度の否認。大資産家(ブルジョア)が勤労者を搾取するという考えに基づいて、世
の中を平等にしよう。そういう私有財産を否認して、平等の社会主義を作るなんていうことは許さない。A国体の変
革。天皇中心の、国の国体というものを否認する。私有財産と天皇制。この二つを守るのが治安維持法であります。
その治安維持法が拡大解釈されまして、私有財産の否認を全くしていない、天皇制の否認もなにもしていないのに、
反体制的といいますか、自由な思想というものを認めない、許さないというのが治安維持法であったわけです。
そういうような時代に私は大学に入って、いろんな疑問が山のように湧いてきたわけです。