Dr.オマリーの子供お薬注意報

こわい解熱薬


基本的な解熱薬の使い方
解熱薬はかえって病気を長びかせる
解熱薬はひきつけを予防しない
高熱で脳の障害がおこらないのか
解熱薬のこわい副作用
比較的安全な解熱薬もあります
被害に遭わないために


解熱薬は、使い方を誤ると病気を悪化させるばかりではなく、重篤な副作用が出たり、時には命を脅かすことさえある、注意が必要なお薬です。是非、勉強していってくださいね。

 


■ 基本的な解熱薬の使い方

  熱さましのお薬は、38.5度の熱があり、しかも、ぐったりして苦しそうな時にのみ使用しましょう。


 急に高熱が出て、インフルエンザが疑われる時には、必ず、医師の指示に従って用いましょう。
 ※解熱薬の使い方を誤るとインフルエンザ脳症になる危険性があります!

 解熱薬で熱が下がらなくても、必ず用量・用法を守りましょう。効かないからと言って、量を増やしたり、連続して飲んだり、坐薬を入れたりするのは止めましょう。頓服の場合は次の服用までに少なくとも6時間は空けてください。


 赤ちゃんや子供には、大人用の解熱剤は絶対に使わないでください。例え、半分とか1/4などに量を減らしても危険です。
   

解熱薬はかえって病気を長びかせる

 発熱のページにも書きましたが、発熱は、体に入って来たウィルスを排除するための防衛反応です。ウィルスや細菌の増殖は高温では遅くなり、逆に身体は高温の方がウィルスと戦う物質をたくさん産生します。
 

 したがって、ウイルス感染症などでは解熱薬を使って解熱することにより、かえって病気が長引いたり、重くなったりします。なるべく使わないようにしましょう。

解熱薬はひきつけを予防しない

 熱性けいれんを一度起こすと、発熱する度にまたけいれんを起すのではないかと心配になり、解熱薬を使いたくなりますよね。でも、解熱薬にはひきつけ予防効果はありません。それに、熱性けいれんを起したことのある子供の半分くらいは一回限りで再発しません。


 何度もひきつけを繰り返すような子どもには、発熱時にけいれん予防の坐薬(ジアゼパム、商品名はダイアップ)が処方されます。
 

 一昔前までは、ひきつけ予防の目的で解熱薬を処方することもありましたが、現在では、解熱薬にはひきつけ予防効果はないと認識されています。未だにひきつけ予防の目的で解熱薬を処方する医師は、勉強不足かもしれませんので要注意です。

 もしも、けいれん予防の坐薬と解熱薬の座薬を処方された場合は、けいれん予防の坐薬を入れて30分以上たってから、解熱薬を挿入してください。

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高熱で脳の障害がおこらないのか

 高熱が出ると脳に障害がおこらないかと気になりますよね。でも、熱射病など外から体温が上がってしまった状況を除けば、発熱自体が脳障害を起こすことはありません。高熱後の脳障害は、脳症・脳炎や髄膜炎など脳の病気によるものです。

 解熱薬の副作用の項で詳しく述べますが、解熱薬の使用がむしろ脳の障害を引き起こすらしいのです。したがって、熱があっても元気そうなら、解熱薬を用いるべきではありません。

 



解熱薬のこわい副作用

 解熱鎮痛薬は、重篤な副作用被害の多い薬です。


 ライ症候群は、子供が水痘,インフルエンザ等にかかった後,激しい嘔吐・意識障害・けいれん等の急性脳症と急激な肝機能不全をおこす死亡率の高い病気ですが、この病気の原因として、アスピリン(商品名はバファリンなど)をはじめとするサリチル酸系解熱鎮痛剤との関連性が疑われています。

 そこで現在では、小児用のかぜ薬・解熱鎮痛薬には、サリチル酸系解熱鎮痛薬(アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド(PL顆粒やLLシロップに含まれる)、エテンザミド)を用いてはいけないことになっています。 

 ですから、もちろん現在薬局・薬店で売っている小児用バファリン○○や病院で処方される小児用にはアスピリンは入っていません。しかし、医療用の小児用バファリンにはアスピリンが入っており、別の病気の治療に用いられます。なんだか、ややこしいですね。

 ジクロフェナクナトリウム(商品名では、ボルタレン、ナボールなど)とメフェナム酸(商品名では、ポンタールなど)もまた、インフルエンザ脳炎・脳症を悪化させるおそれのあることが指摘されているお薬です。サリチル酸系解熱鎮痛薬と同様、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことが原則となっています。

 さらに、スチーブン・ジョンソン症候群は、原因不明の皮膚のただれ・口内炎・眼球や粘膜部分の炎症がおこり、ひどくなると失明する病気ですが、この病気の原因が解熱鎮痛剤の副作用と疑われています。
      



■ 比較的安全な解熱薬もあります

 解熱作用はマイルドですが、比較的安全な解熱薬として、子供にはアセトアミノフェンがよく用いられます。商品目名はカロナール、アトミフェン、アンヒバ、アルピーニなどです。その次に用いられるのはイブプロフェン(商品目名: ブルフェン、ユニプロン) です。


 しかし、100%安全なお薬というものはありません。解熱薬を使わなくてもすむものなら、使わないのが一番安全です。

 

 オマリーは子供を保育所に預けて働くおかあさんです。保育所の規則では38℃でアウト、しかも、朝預ける時の検温で37.5℃くらいでも難色を示されるので、子供が元気そうだけど熱が少しある時など、解熱薬で熱を下げてとりあえず仕事に出かけたいなあと思うこともあります。でもそこは我慢です。

 最近は病児保育の施設も増えてきましたので、上手に利用したいですね。



被害に遭わないために

 前項で書きましたように、サリチル酸系・ジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸を含む解熱薬は、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に投与してはいけないことにはなっています。しかし、発熱の初期にはどの病気による熱であるかわからないことが多いですから、水痘やインフルエンザの熱とわからない場合でも、これらの解熱薬は飲ませない方が安心です。

 最近は、市販の子供用風邪薬や解熱鎮痛薬の成分として、替りに比較的安全なアセトアミノフェンがよく用いられています。しかし、ご家庭の救急箱のなかにもしかして、子供には危険な成分の含まれた古い風邪薬や解熱鎮痛薬が入っているかもしれません。一度、成分を確認されることをお薦めします。

 また、同じ理由で大人用の風邪薬や解熱鎮痛薬を流用するのも危険です。

 ただし、小児用の医療用医薬品のなかには、まだこれらの成分の入った解熱薬もあり、医師の判断で処方されることもあります。

 でも、救急や夜間など小児科の専門医ではない医師にかかった場合、間違って処方され、薬剤師も間違いを見落とさないとも限りませんので、解熱薬を処方された時は、自分でも成分名を確認することをお薦めします。

 商品名のどのお薬に、これらの成分が入っているのかを知っておくと安心ですよね。最近はそのような本(医者からもらった薬がわかる本(2005年度版)など )も出ていますので、家に一冊あると便利です。また、疑問があれば、医師・薬剤師にお尋ねください。


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