Dr.オマリーの子供お薬注意報

ステロイド

ステロイドとは
ステロイド軟膏の副作用は心配しないで
ステロイド軟膏の皮膚の副作用
ステロイド軟膏にリバウンドはありません
ステロイドの強さ
ステロイド軟膏の塗り方
民間療法などに惑わされないで
スキンケアについて
ステロイドといえば、ステロイド軟膏を思い浮かべる方が多いと思います。赤ちゃんや子供には湿疹やアトピー性皮膚炎が多いので、お母さん方には、ステロイド軟膏はお馴染みですよね。そこで、このページでは、ステロイド軟膏を中心にステロイドの話題を取り上げました。




ステロイドとは

 ステロイド、すなわちステロイドホルモンとは、化学構造的にステロイド骨格を持ったホルモンの総称ですが、一般的には、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)のことをさします。

 ステロイドホルモンはストレス時に副腎から産生され、糖や脂肪の代謝系の調節、体液の維持、免疫系の調整など大事な役目を担っています。そのなかでも、特に強力な抗炎症作用・抗アレルギー作用に注目して、さまざまな病気の治療薬として幅広く用いられています。

 ステロイド外用剤には、軟膏・クリーム・ローション・テープ剤など皮膚に作用させるもの以外にも、吸入薬・点眼薬・点鼻薬などいろいろな剤型があります。飲み薬や注射剤として全身に用いることもあります。

 現在使われているステロイドホルモンは、作用を強める、作用の持続時間を長くする、消化管からの吸収を良くする、局所に用いた時の全身の副作用を出にくくするなど、改良された合成品です。


■ ステロイド軟膏の副作用は心配しないで

 ステロイド、イコール、副作用というイメージを持っている方も多いと思います。ステロイドホルモンにはいろいろな生理作用がありますので目的以外の作用は、副作用となります。

● しかし、目的以外のステロイドの作用が出てしまうのは、強力なステロイドを長期間にわたり多量に用いた場合のことです。ステロイドは怖いよ、とマスコミが騒ぎすぎているようです。

 特にステロイド外用剤は、よほど強いものを長期間、多量にあるいは広範囲に使わないかぎり、心配することはありません。

 皮膚や鼻の粘膜、目など局所的に用いられるステロイドでは、全身に吸収される薬物の量は、その作用部位の量に比べるとごくわずかです。また、体内に入ると速やかに代謝され活性のなくなるステロイドも開発されています。したがって、医師の指示通りに用いている限り、マスコミで騒がれているような全身性の副作用はまず現れません。

 アトピー性皮膚炎の治療では、飲み薬や注射などステロイドを全身性に用いることはまずありません。しかし、膠原病などの自己免疫疾患や重症の喘息などでは、ステロイドの治療効果と副作用を天秤にかけながら慎重にステロイドを全身に用います。ステロイドを全身に用いると、免疫が低下して感染症にかかりやすくなったり、顔やおなかに脂肪がつきやすくなったり、血圧が上がったりします。  

 副作用を抑え、抗炎症作用・抗アレルギー作用だけを有する合成ステロイドを目指して研究されていますが、残念ながらまだ成功していません。

 しかし、ステロイドは歴史が古く、治療効果・副作用ともによく研究されています。なるべく副作用が出ないように、かつその治療効果を十分に引き出すように、長年にわたり経験が積み重ねられていますから、新薬や得体の知れない治療法に比べると、数段、安全で効果的な治療です。

 



■ ステロイド軟膏の皮膚の副作用

 ステロイド軟膏で問題となるのは、塗布した部位すなわち皮膚での副作用です。

 湿疹は、単純にアレルギー反応によるものだけではなく、細菌や真菌(水虫・たむしなどカビの仲間)の感染を伴っていることがあります。このような場合、ステロイド軟膏だけでは治療できず、かえって悪化します。これは、ステロイドには免疫を抑制する作用があるため、湿疹により傷ついた皮膚から細菌や真菌を排除する能力が下がってしまうからです。このような場合には、抗生物質が入ったステロイド軟膏や抗真菌薬などが処方されます。医師は、皮膚の様子を観察して、その都度最適な軟膏を処方しますから、医師の指示通りに用いてさえいれば心配ご無用です。余ったお薬や市販のステロイド軟膏を塗ると、かえって悪化させてしまうこともありますので注意してくださいね。

● また、ステロイド軟膏を長期に塗ると、皮膚が赤くなったり、薄くなったり、黒ずんだりすることがあります。乳幼児の顔では、中程度の強さのステロイド軟膏を10日ほど使用しただけでよくそうなります。そうした場合は、弱いランクのステロイド軟膏に変え、だんだんステロイド軟膏をやめられるようにします。ステロイド軟膏をやめると、このような皮膚の変化は徐々に元通りになります。医師はこのような皮膚の変化も観察してステロイドのランクを決めて処方していますので、受付で薬だけと請求するようなことはせず、必ずきちんと診てもらうことが副作用を防ぐコツです。

 お子さんにステロイド軟膏を塗ってあげるお母さんの指にも、副作用が現れる可能性がありますから、塗った後の指は必ず洗うようにしましょう。



ステロイド軟膏にリバウンドはありません

 リバウンドが怖いからといって、ステロイド軟膏を用いた治療を避ける方がいらっしゃいますが、「リバウンドはステロイド軟膏では起こらない」というのが皮膚科専門医の大方の意見です。

 リバウンドとは、ステロイドを長期にわたり飲み薬や注射として全身に用いた時、本来副腎で体内で作られていたステロイド、すなわち副腎皮質ホルモンの分泌が減っていきますが、こういう状況下で急にステロイドの使用をやめると、治療前よりも病気が悪化してしまう現象を言います。

 しかし、ステロイド軟膏を皮膚に塗っても、体内に吸収される量は極わずかですので、リバウンドは起こりません。民間療法の広告などでは、わざとこういう言葉を使って恐怖心をあおっているらしいのです。
 

● 確かに、ステロイド軟膏を塗ってよくなったかな、と思ってやめると、急にまた湿疹が出てくることはよく経験します。しかし、それはいわゆる「リバウンド」ではなく、ステロイド軟膏で抑えていた症状がまた出てきただけです。

 スキンケアや生活改善により皮膚のバリア機能が正常に戻り、アトピー性皮膚炎や湿疹が根本的に治癒されていれば、ステロイド軟膏を急にやめても大丈夫です。

 


ステロイドの強さ

 ステロイドはたくさんありますが、その作用の強さによって、5段階に分けられています。効果の強いものは、副作用も強くなります。

 ステロイド軟膏は十分な効果を発揮できる強さのものを短期間に使用し、徐々にランクを下げて、長期には使用しないのが原則です。強すぎる軟膏を選ぶと不必要な副作用を被ることになりますし、逆に弱すぎる軟膏を用いると、十分な効果が得られず、結局長期に用いることになり副作用が出ます。

● 子供では皮膚が薄いため吸収が良く、ステロイドの効果が現れやすい反面、副作用も出やすくなりますから、子供に用いられるのは、真ん中から下のランクのものです。

 また、塗る場所によっても異なります。顔や首は皮膚が薄いため、効果が出やすい反面副作用も出やすいので、通常他の部位よりも一ランク弱いステロイドが処方されます。ですから、「からだ用」と「顔用」に分けて処方された場合は、指示通りに使用してくださいね。
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ステロイド軟膏の塗り方

まず石鹸でご自分の手を良く洗います。子供の皮膚も清潔にしてあげましょう。できれば、お風呂あがりが一番ですが、一日に3回塗るように指示された場合は、朝起きた時・昼食後・お風呂上りなどと決めておき、忘れないようにしましょう。

チューブや容器から適量を指先にとり、患部に薄く塗り広げます。塗る範囲が広い場合は、何度も薬の容器やチューブに指をつけて薬に雑菌が入ってしまわないように、必要量をまず手の甲などに取り分け、そこから指先に取って塗ります。

小さな子供では、塗ったところが気になって、なめたり触ったりすることがあります。そのような時には、寝ているときにつけてあげるなど工夫してください。

 

頭に薬を塗るときは、髪の毛をかき分けながら、髪の流れにそって地肌に薄くのばします。

薄く塗るのが基本です。しかし、副作用を恐れあまり少なめに塗ると、量が不足して薬が効かずにかえって長引くことも。指示された量・回数を守って使用しましょう。

 「からだ用」と「顔用」に分けて処方された場合は、指示通りに使用してください。

塗り終わったら、手を洗いましょう。



民間療法などに惑わされないで

● ステロイド軟膏は、正しく使えさえすれば、切れ味のよいお薬です。子供に湿疹ができただけで、アトピーと決めつけて、市販のお薬を素人判断で用いたり民間療法に手を出すのは、病気を長引かせたり悪化させたりする元です。

● 難病治療におけるステロイド全身投与の副作用を、故意に、ステロイド軟膏による湿疹やアトピー性皮膚炎でも起こるかのように恐怖心をあおり、ステロイド軟膏を用いない民間療法などを進めている広告などをよく目にします。


● ほとんどは医学的根拠のないものであり、かえってアトピー性皮膚炎を長引かせてお子さんを苦しめるだけです。民間療法などに迷っている方は、こうして治すアトピー岩波アクティブ新書 (竹原和彦著/735円)を是非読んでみてください。「アトピービジネス」の被害と実態がよくわかります。



● また、アトピー性皮膚炎だというと、周りからもあれこれ言って来ますが、ほどほどに聞き流しておきましょう。
  
● もっとくわしく知りたい方は、決定版 専門医がやさしく語るアトピー性皮膚炎 (暮しの手帖社/日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題委員会 編)/1995円)
がおすすめです




スキンケアについて

 アトピー性皮膚炎や湿疹の原因の一つに皮膚のバリア機能の障害あります。皮膚を覆っている皮脂の分泌が少なくなると、表面に細かい傷ができ、そこから様々な刺激が加わり炎症を起こすのです。

 したがって、 皮脂を洗い落としすぎないこと、皮脂の分泌が少ないときは保湿クリームなどで補ってあげることが大切です。

 石鹸は香料などの入っていない刺激の少ないものを選びます。ボディーシャンプーのような合成洗剤は洗浄力が強すぎて皮脂を落としすぎるのでおすすめできません。石鹸はよく泡立て、やさしく洗ってあげてください。お風呂で暖まってかゆみが増すので、タオルでゴシゴシやりたいところですが、患部は特に刺激しないように気をつけましょう。洗った後はよくすすいで皮膚に石鹸分を残さないようにします。
 お風呂から上がったら、なるべく早く保湿クリームを塗ります。空気が乾燥している冬はとくに、お風呂上りだけでなく、皮膚がかカサカサしてきたら、一日に何度でも塗ってあげて下さい。

 ステロイド軟膏の治療で湿疹がよくなってからも、常にスキンケアを心がけてあげて、予防することが大切です。
  

 

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