<ポイント>
★ いろんな高級パンがある。どんな素材であれ、有機が最も高価である。
有機素材100%使用のパンだけが本物のヘルシーであり、且つ高級の名に相応しい。
★ いろんな天然酵母パンがある。原材料を正確に表示しない天然酵母パンがある。
天然酵母使用だけど、化学イーストや添加物を使用しているパンがある。
原材料ははっきり明示したい。
★ 「国産の原材料が最高」という1つの決め台詞がある。それが有機であるなら理解する
のだが、国産、外国産を問わず、有機であるものだけを選択したい。
★ 「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」等の素材はもとより、
「特別栽培農産物」に関しても、曖昧なので、使用しない。
理由は、詳細説明参照。
<詳細説明>
天然酵母のパン屋とうたっていても、数種類だけ天然酵母パンで、
他は化学イーストのパンずらりという店もあります。
(そういう店いっぱいあるので、どことは言いません。笑)。
そしてその味は、様々です。
天然酵母、自然酵母、自然発酵種、これらはみな野生酵母で、
化学イーストと区別されます。
天然酵母という呼び名は、日本イースト工業界での通称で、
イーストという英語は酵母菌の意味で、日本では、イーストと単に呼ぶと、
化学イーストを意味し、天然酵母は、一般的に天然イーストとは言わず、
ややこしいなあ、もう。という気分になるのだけれど、
PANKENで使用している野生酵母については、
有限会社ホシノ天然酵母パン種の命名通り、ホシノ丹沢天然酵母、
の呼び名のまま使用します。
天然酵母パンはすっぱい(レーズン酵母やサワードゥ等使用の場合)、
固い感触(作り方によります)、天然酵母パンなのにふわふわ香りが弱い(化学イーストを
混合している可能性あります)、天然酵母パンは香ばしい(アタリ!)等など、
いろいろな天然酵母パンがあるのは確かで、
PANKENの全商品(天然酵母パン)は、しっとりしてて、決して固くはなく、
パン生地の密度があって、子供にも優しい食感と、なんとも言えない香ばしい
天然酵母の純正の甘い香りと味わいがあります。
ということで、いずれにせよ、化学イーストの、あるいは、添加物バリバリの
大量生産パンとは断絶したくなる、パン本来の旨味のあるパン。
単に、「天然酵母」使用でイメージアップをはかっても、
それに適した優れた素材が必要で、
たとえば、「国産小麦粉」使用にしても、それが有機ではない場合、
意味がないと考えます。
国産の小麦粉(強力粉)で有機であるのは、岩手県産南部小麦粉のなかの一部、
他、最近少し出回ってきているようですが、たとえば、有名なはるゆたかブレントに
至っては、減農薬(注01)のカテゴリーにも入らない安価な粉です。
PANKENでは、
「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」等の素材はもとより、
「特別栽培農産物」に関しても、曖昧なので、使用しません。
有機のみ、信用します。
日本の「有機」に対する意識は、まだまだ未成熟です。
欧米での有機食材への関心度、需要度、それに見合う供給側の有機農産物の
生産高は、日本とは桁違いです。
日本の食生活は充実していて、美味しいものはいくらでもある。
しかし、毎食、有機の料理しか食べないという人は少ないし、
それを徹底するのはよほどの意思が要る。
そこで、1日1回はパンを食べるという人なら、そのパンを有機にすれば、
というような発想から、パンづくりをスタートしています。
別にパンでなくてもいい。1日3食のなかで、1食でも、優れていいものを
食べよう、みたいなことです。
ただ、有機素材はなにもかも、とても高価です。
手に入りにくい素材も多い。
たとえば、有機以外の小麦粉で、高級、限定生産、希少価値などの宣伝を
付してみても、有機はそれの数倍高価です。これは小麦粉に限らない。
**************************
注01/2004年4月1日以降に生産された農産物において、
減農薬、減化学肥料、無農薬、無化学肥料栽培という表示は禁止になりました。
それらはすべて、特別栽培農産物と一括表示になります。
「有機と無農薬ではどちらが安全だと思いますか」
というアンケート調査で、60%強の人が、無農薬と答えており、
誤解を生む「無農薬」表示に疑問の声が増大し、上記の改正になりました。
ちなみに、単に「無農薬栽培」と表示された農産物というのは、
化学合成農薬未使用になるけれど、化学肥料は使用。
「無農薬、無化学肥料」との表示があれば、1つランクアップし、
でも、どちらにしても、その農作物を栽培している期間だけ、無農薬等であるだけで、
3年以上無農薬、無化学肥料の農地で栽培という「有機」とは
まったくレヴェルが異なります。
「減農薬栽培」に至っては、化学合成農薬の使用回数が、
その農地周辺地域において使用されている回数の、
おおむね5割以下の回数で栽培されたもの、ということになり、
それって、めちゃめちゃいい加減。
無化学肥料、あるいは減化学肥料だけの表示なら、農薬は使用。
そして、特別栽培農産物とは、
化学合成農薬の使用回数が、その農地周辺地域において慣行的に使用されている
回数の、5割以下の回数で栽培されたもの、
および化学肥料の窒素成分量が、その農地周辺地域において慣行的に使用されている
成分量の、5割以下の成分量で栽培されたもの、
ということになり、要は、以前の「減農薬」+「減化学肥料」の合体が、
特別栽培農産物になり、結局、回数や成分量が、相対的に5割以下という
条件が、以前と同様に曖昧だと私は思うし、そのレヴェルでしかない代物ということになる。
**************************
ここから下は、有機についての詳細な説明。
有機(オーガニック)には、
有機農産物と、有機農産物加工食品があります。
有機農産物は、
化学肥料および化学合成農薬どちらも未使用3年以上の農地で栽培されたもの。
有機農産物加工食品は、有機農産物を使用した加工食品。
例えば、有機小麦(農産物)なら、その製粉の過程となる工場が、
有機認定の厳しい審査を通過していなければならず、だから、
農地+製粉工場、両者ともに有機JAS規格を取得してはじめて
有機小麦粉(加工食品)が誕生します。
パンの基本原料としての、小麦粉、塩、水、酵母のうち、
有機か否かの類別対象は、小麦粉だけです。
ほかは有機JAS規格の対象外です。
有機サトウキビ(農産物)→有機砂糖(加工食品)はあるけれど、
有機塩や有機水といった類別は最初から発生しません。
天然塩、天然水は農産物扱いではないからですが、ただ、
天然か、化学処理されたものかの類別はあります。
酵母にしても、天然酵母(あるいは自然酵母)と、化学イーストがあります。
卵、バター、牛乳、生クリーム、蜂蜜などは、畜産物の区分になり、
現状、有機畜産物の規格基準はありません。
2005年春辺りから、日本でも有機畜産物のJAS規格が施行される予定。
欧米では、すでに数年前から、有機畜産物の規格があります。
PANKENでは、
有機対象外の素材に関しては、天然のものだけを使用。
有機のカテゴリーが発生する素材に関しては、すべて、有機を使用。
なので、これは断わるまでもないことですが、
化学的な食品添加物は、無添加です。
この有機JASマークが付されていない場合は、
「有機○○」「オーガニック○○」等の名称の表示ができないことは、
輸入品にあっても同様です。
輸入品には、ポストハーベスト(収穫後)農薬の問題がありますが、
それを心配するのは、「有機」以外のものです。
「有機」と表示してある限り、いかなる化学合成農薬の混入も許されません。
世界のどんな国からであろうが、日本国内に入って「有機」を名乗るためには、
新たに有機JAS規格の厳しい審査を通過しなければなりません。
たとえば、フランスの有機認定を受けた小麦粉が、日本に上陸した際に、
輸入業者が、防腐等のためにポストハーベスト農薬を使用したら、その時点で、
その小麦粉は有機ではなくなります。有機ではないものを、ハッタリで売れば、
犯罪です。ちなみに、農薬等の残留度を調べるのは、その手の研究センターですが、
解析は数日で、容易に得られます。
日本の有機JAS規格は、
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の
合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の国際規格(コーデックス規格)
に準拠しています。
世界のなかには、有機の認定が甘い国もあります。
そういう国からの輸入品を、そのまま信用するわけにはいかないので、
コーデックス規格という優秀な基準があり、日本の審査レヴェルは、高水準に
入ります。
最後に、
国産の小麦、国産のドライフルーツ、国産のナッツが最高で、
海外の素材は信用しない、というスタイルの国粋主義者がよく言うセリフは、
だって、国産はポストハーベストがないもの、というものですが、
そう言うパン職人は全員、有機について無知であり、
その多くは有機以外の素材で、パンをつくっているということになります。
