言葉にならない

●2002.2.11〜14 ニセコアンヌプリ国際スキー場 ホテル日航アンヌプリ泊
●まさおさま・しのん

 キロロのスクールで、「そのうちに板が揃って来てパラレルになります。」と言われてから早2か月。全く持って滑りに変化の現れない今日この頃。憎々しげな、微妙に揃っていない足元。行き詰まった感のあるしのんであった。

2/11
 午後に到着。初日と言う事で、かるく流す。あいかわらず、ゴンドラトップから(ユートピアコース 15/22 初級表示)から、(ジュニアコース 6/11 初級表示)へと続く、決まりきった緩斜面を行く。板を揃えたい気持は充分。圧迫感の無い、だだっ広い緩斜面の中を行くが、板を揃えると、エッジを全く使わず、板の腹(?)の部分で滑っている様な感覚になる。何処に体重がかかっているのかが分からずふわふわと数十メートルすべっては、小さなでこぼこに足を取られて転ぶ。と言う状態であった。
 慣れているコースなのでそれなりに楽しいのだが、今年こそいい加減に(ダイナミックコース 19/33 中級表示)や、このスキー場のトップ(チャンピオンコース 21/25 Mapple中級表示/スキー場では上級表示)を滑りたいという気持ちがあった。(毎回、ひっそり思っているのだが、今回はその気持がとても強くなっていた。)かぐらでの、「一人だけ迂回路」が記憶に新しいが、「しのんには無理」と言われて置いて行かれた日々。自ら進んで迂回路での下山を選んだあの日。そう言う思いをしない様になりたい。
 その日のボーゲンクルージングを終えると、ホテルロビーで、迷わず、翌日のスクール(1日コース)を申し込んだ。まさおさまも大賛成していた。


2/12
 何本か、足慣らしをしてからホテル前の、スクール集合場所へ。
 生徒は、ボードの初心者が数人と、スキーは3人であった。
 「では、まずスベリを見ますんで、お一人ずつどうぞ。」
 クワッド乗り場までの短い緩斜面を、とにかく背伸びして、シュテム(のつもり)で滑った。ターンしたらすぐ板を平行にして、またターンで広げてと、精いっぱいアピールした。それは、キロロのスクールの時の様に、またボーゲンの練習をされたくない。という思いからだったが、検定受けてる訳じゃないのにと今は思う。(受けた事無いけど)。
 自分が見た所に寄ると、3人の中では真ん中位かなぁという感触だった。でも大差なさそうだったので、まさか、マンツーマンになる。とは思っていなかった。
 申し込んだのは、グループレッスンである。しかも同じ位の滑りの3人がいる。のに。なんて贅沢なんだ。
 さらに幸運だったのは、副校長の先生が付いてくれた事だ。きちんとした人にきちんと教わる事の素晴らしさを、これから味わう事になる。
 さっそくクワッドで(パラダイスコース 11/12)へ。まずは「付いて来て下さい」と言う指示のもと、だんだん速度が上がっていく講師のシュプールを追う。しばらく行った所で立ち止まって、しのんの滑りを確認した。
 「パラレルになりたいんです。」
 「なれるよ。」と言った。
 今日の午前中でパラレルにする。と、先生ははっきりと言った。
 そうして、ジュニアコースに行くのかと思いきや、2分後にはダイナミックコースの入り口に、立っていた。
 下から幾度となく見上げた、立ちはだかるダイナミックコース。まだ斜度がきつくなる前のただの入り口なのに、あしががくがくと震えてきた。
 「いっ!。ダイナミックコースですか?。一度も滑った事無いです・・・」と、不安げに訴えると、
 「大丈夫。行けます。」と言う。
 だだ大ボーゲンでビビりながら、下まで見渡せる場所までずずずと進んだ。初めて見下ろす風景だった。
 そして最初のレッスンは、ゆっくりと板をずらしながら、斜めに斜面を横切るもの。逆もしかり。エッジを立てれば止まり、また緩めれば、板は平行なまま、ずれて降りて行く。 これはやった事があったので、なんなくこなす。そんな事をやっているうちに、あの33度の斜面を3分の1くらい降りて来てしまっていた。
 「思ったより、怖くないでしょ。」という感じで言われる。なるほどと感心するしか無い。
 それから、おおすぃに教わった事のある、がーっと直滑降してきて、雪煙をあげながら「きゅっ」と止まる方法の練習になる。すーっと板を平行なままでがまんして、曲がる方にストックを突き、ぐっと谷足にする方に力を入れた。雪が柔らかい事もあって、面白い様に止まった。それも何度か練習しているうちに、とうとう下まで着いてしまった。びっくり。
 クワッドで2回目。今度は出だしの緩斜面で、
 「真似して下さい。」と言う。
 また幅広スタンスで板を平こうにして、小回り(と言っていいのだろうか?)で、先ほどの板をずらしていく要素と、がーっと来てきゅっと止まったときの動作を、止まらない程度にやる組み合わせだった。(ストック未使用)なるたけ板を平行に保ちながら行く、そして、ダイナミックコースの入り口へ。
 次がおもしろかった。先生は、
 「もう出来ると思います。」と。
 ストックの使い方=ターンをするきっかけにちょんと突く。ではなく、
「急斜面で、ターンする時に山側の足の内側のエッジを角付けして、体が谷側に(ターンの弧の内側に)倒れるのは怖いけれど、こうしてストックを前方谷側に突いて、それをコンパスにして(つまり突きっぱなしにして)くるっと回れば、あーら怖くない。ストックが助けてくれるよ。」と言うもの。
 もっともっと上手くなったらいらない手法かもしれないが、しのんにはこれがてきめんであった。
 くるーっと大きな弧を描いた後は、逆側で同じ動作をすれば言いわけだ。
 言葉は少なかったが、そうしたストックの使い方をはじめとして、斜度感・高度感が怖いしのんを導いて行った。それは、ひとつひとつの要素を分解して出だしの緩斜面で練習し、斜度のあるダイナミックコースで組み立てて仕上げるという繰り返しであった。そうして、先生が言われた通り、午前中のレッスンを終了する頃には、先生のシュプールを追うという形ではあったものの、スピードを制御しながらノンストップでダイナミックコースを、パラレルで降りている自分がいた。
 それはまるで夢の様で、「こういう動作です」と、過去にスクールで説明を受けても首を傾げていたのが(とうぜん理解出来てないからだ。)ウソの様に、しのんの手に足に、自然に浸透させてくれたのであった。頭で考える必要がほとんどなかった為、あっという間の2時間であった。
 「ありがとうございました。」スクール後にのべるお礼の言葉だが、込めた思いは10倍だった。
 まさおさまに、はじめて褒められた。「パラレルだったよ。」と言った。

 昼食を終え、期待を込めて午後のレッスンへ。マンツーマンには変わりなかったが、先生は入れ替わってしまった。(あまり贅沢は言えないが・・・)また3〜4人で、生徒も入れ替わっていた。初心者の方2人は1人の講師で2人になったが、しのんともう一人は別々に講師がついた。これで儲かるのか?と、ちよっと心配になる。クワッドにのって早速レッスン開始。
 午後の先生は、口頭での説明の多い方だった。雪面に図を描いて、ターンの深さやきっかけの位置を説明してから滑りはじめた。
 午前中で一応パラレルになっていたので、体重移動をもっと効果的に行うという。
 山側の足をあげて踏み込み、ストックを谷側に突き、谷足をあげて踏んで、もう一度山足を踏み込む。「たったったったーん。」というリズム。かなり忙しい動作だ。突くストックを間違えたり、最初にあげる足を逆にしてみたり、とちゅうグダグダになる。午前中より疲れるよー。
 ただ、足をいちどあげてから踏む動作で、より体重移動を明確にするのが狙いらしかった。
 じょじょに慣れて来て、リズムがととのってきた。ダイナミックコースの急斜面でも、だんだんと大回りターンが求められるようになり、必死で講師の後を追う。そしてスピードも気付かぬうちに増されていた。
 失礼だが、午前中の先生より少し教え方が難しいなと感じたが、講師の後をシュプールをなぞる様に滑って行くのはなかなか楽しかった。マンツーマンの2+2時間は、グループレッスンの何倍にも凝縮された、素晴らしい時間だった。
 そして、聞いてみた。「チャンピオンコース、滑ってみたいんです。」お墨付きを貰いたかったのだ。
 「今のしのんさんなら大丈夫です。ダイナミックより、斜度ゆるいですから、是非行ってみて下さい。素晴らしいですよ。」と、告げられた時には、天にも昇る想いであった。

 スクールが終わったのが3:30。もう時間がない。まさおさまと合流してゴンドラに乗り込む。が、まさおさまがゴンドラ終点から、すーいっと下って行くのをしり目に、自分は(ジャンボ第三ペア 590m)に乗り継ぎ、ニセコアンヌプリスキー場のトップへと向かった。4回目のニセコで、今また未知のコースへ。そびえ立つチャンピオンコース。リフトの上から回りを、眺める。東山も見える。大げさかもしれないが、ゴーグルの中で、しのんは涙目だった。過去、急斜面に恐怖で流した涙ではなく、すっきりと晴れ渡った空の下、あと数分でトップに立つ自分に感激していた。
 森林限界を越え、木の一本も無い、何の遮蔽物も無い中斜面が私を迎えてくれた。標高が上がり、パウダースノーは残念ながら、いつかのサホロのように硬くしまっていたが、ここに立てた自分にしばし酔いしれた。

ゴンドラ終点からアンヌプリ峰を見上げた所。ここより上に立つのは初めてだ。


リフト終点は、ほとんど平らな部分は無かった。トップから見下ろした所だ。雪質は残念ながらベース付近の方が良かった。


チャンピオンコース中程より、羊蹄山を臨む。遮蔽物はリフトのみ。この写真を撮りながら涙ぐんだのはホントの話。

 それからそろりとトラバースぎみにコースへと進み出した。硬いバーンは、ダイナミックコースの時よりスピードを誘い、残念ながら完全なパラレルでの滑降は出来なかった。ターンが弧を描けず、くの字になったりしてしまった・・・。それでも。と、思う。中途半端なボーゲンのしのんよさようなら。来た事に、このトップに立てた事に大きな意味があるのだ。
 ゴンドラ終点付近まで来ると、おそるおそる滑り出していた昨日とは違う自分がいる。緩斜面でも、クルージング。という言葉の意味を思う。ボーゲンでずずずーっと滑っていたあれは、クルージングではなかった。と。
 そして、ナイタータイムに入ると、クワッドから下にピステンが入る。その後ろをわらわらとスキーヤー・ボーダーが追いかけて行くのだが、その中に加わる。踏んだばかりの柔らかい編目模様の中、ダイナミックコースの端の特に斜度がきつい部分も滑らかな弧を描いて。ピステン直後の状態の良いフラットバーンが、自分の実力の2倍も3倍もの力をださせてくれた。
 スキーを始めてから、今までで一番、実り多き1日であった。


2/13
 天候が昨日よりも悪かったため、チャンピオンは諦め、ダイナミックコースを中心に滑る。昨日のレッスンの成果を確かめる様に。朝一のグルーミングされた斜面の編目模様に2本の平行なラインを刻み、それを見たくなって後ろを振り返ったら、山側に体が傾き転んだ。さすがに中急斜面のターンの弧の部分では、まだずれがあり、ちよっと太めのライン。それでも。
 長い長いトンネルをくぐり抜けた後の、爽快な気分がしのんをつつんでいた。

2/14は、いつもの如く、滑らずに帰ったよー。

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