leçon de français
chez Tany
といっても、これを読めば貴方もおパリーのカフェーでギャルソンにデミタスを注文できるようになる、ってもんじゃあございませんので、アシカラズ。
以前、大阪を中心に配付されている「花形文化通信」というフリーペーパーに、"日本でツカえるフランス語講座"を連載さしてもらったことがあるので、手始めに、それをここに再現してゆこうと思います。
マジに勉強したい方は日仏とかアテネへ、付け焼き刃でとりあえずーという方は、こちらへどうぞ。
- 映画編
フランスに対する従来のイメージは妙にゴージャスで浮世離れしたものでした。ここ数年、フランス映画や雑貨やフレンチポップ人気のおかげで実際のフランス人やお国柄の肌触りがリアルに感じられるようになり、この国に新たに魅せられている人も多いかと思います。そこで私達が日本で手にするフランスを、もっと身近に楽しめるようなお話ができれば、と思っています。
フランス語には二人称の"貴方"を表す言葉が2種類あります。親しみを込めた「tu」(テュ)と、敬語にあたる「vous」(ヴー)で、我等が日本語のバリエーションには及びませんが、英語にはyouしかないことを考えると、かなり私達日本人に近い対人関係の感覚を持っているともいえます。
映画を例にとってみましょう。「愛人(ラマン)」の主人公は植民地時代のサイゴンに住む貧しいフランス人、そして相手は年上の裕福な華僑の青年。この2人が出会った日の車中の会話では、初対面なので双方とも「vous」で話していますが(彼は小娘を相手に「tu」を使っても良さそうなものですが、そこは紳士、女性に敬意を払っている訳ですね)、一度だけ、彼が「tu」を使うくだりがあります。
「パリに行ったことはありますか?」と聞かれ、少女は「私はここサイゴンしか知らないのです」と答えると、青年は「君(tu)もここが好きかい?」と嬉しそうな顔をします。この一瞬に彼(中国人)の彼女(ヨーロッパ白人)に対する潜在的な劣等感が優越感に転じる安堵、親近感などの心の動きが表現されているのです。「ポンヌフの恋人」では、Michèle(ミシェール)とAlex(アレックス)は始終「tu」で会話をしていました。その中でアレックスが手紙でミシェールへ自分の想いを打ち明けるとき、「誰かが貴女を愛しています(quelqu'un vous aime)」という具合に「vous」を使うのですが、これが彼のたどたどしい筆跡と相まって、とても初々しく貴い愛情をミシェールに注いでいるさまが伝わってきて、胸を打たれるのです。
こんな風に「tu」と「vous」に気を付けてみると微妙な人間関係や心情の揺れが見えてきて、映画がもう何%か面白く味わえるのでは。
- おまけ:
日本でも耳慣れた例の「je t'aime (ジュテーム)」(こそばゆいね)は、あくまで"君"相手なので、すでに親しい間柄の場合に使用します。あらたまって、愛を告白するぞ、という際は「je vous aime (ジュヴゼーム)」を使うことをおすすめします。でないと「馴れ馴れしいヤツ」ということになりかねないので、要注意!また、これもよくある「comment allez-vous? (コマンタレヴー)」は、これは逆に「如何おすごしですか?」という敬語なので、初対面ならいざしらず、友達同志でこれをやると、ざんすざんすのキザ男君になります。「comment vas-tu? (コマンヴァテュ?)」とか、サラッと「ça va? (サヴァ?)」でゆきましょうよね。
- 次回:生活編(人名)
Mise à jour le 17 Septembre 1996
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