その1:映画館ヘ行こう


いつ頃から意識し始めたのか定かではないが、映画館で映画を観るのが好きである。

広い館内(少なくとも自分んちの六畳一間よりは)のゆったりした座席(少なくとも自分ちのぺったんこの座布団よりは)に座り、でっかいスクリーン(少なくとも自分ちのテレビよりは)で映画を観るのは気分がよい。

それにもまして、暗い中で観れるというのがよい。映画を観ることに集中できるし、臨場感も増すというものだ。

これで音響がよければさらに気持ちいい。最近じゃDTSやらTHXやらDDTやら(これは違う)規格はよく知らんがとにかく音の迫力にビックリすることが多い。前方から聞こえてたのに、いきなり背後からドアがギギギと開く音が!なーんてサスペンスものだと、不覚にも

ビ・ビクン!

となる。ビ・ビクン!となると恥ずかしいので、「今のはちょっと体を動かしただけだよ〜ん」という感じで、続けて体を揺らしたりして必死で取り繕おうとするが、暗闇なので無駄だということにしばらく気づかない自分がカワイイが、それはどうでもよい。

シートにカップホルダーなんぞついてた日には「なんか飲み物買わなきゃ!」という強迫観念まで沸いてくる。でも劇場では高いので買わない。行く前に缶飲料などをあらかじめ買って持ち込むことにしている(ダメなところもあるが)。何が悲しくて缶ジュースに150円も払わにゃならんのだ。ひどいところでは200円する。逆に、定額どおり120円で売ってる良心的な劇場は、一気に好きになってしまう(でももう買ってあるので買わない)。

近頃は、会社帰りに一人でふらりと映画館に入るのが好きだ。一日の仕事を終え、「あ、今日は映画観にいこう」と思いついたときのワクワク感。明日のことなど忘れ、スーツのまま深くシートに沈み、どよ〜んとしながら予告編を観て、べろ〜んとしながら本編が始まるのを待つ、これが至福である。疲れも癒されるというものだ。

しかし、混んでる映画館は好きではない。2時間前から並ばないと座れない、などといわれたら、違うのを観るか、いっそのことやめる。適度に空いた映画館で、ゆったりした気分で観たいのだ。したがって、公開したばかりの超話題作、などといった場合は、何週間も経ってから観にいく。しかしあまり遅いと、他人にネタばらしされる恐れがあるので油断は禁物だ。また、ゆったりとよい席に座るため、少なくとも開映40分前には劇場入りするのが、自らに課した掟だ。「掟だ」なーんて書くとちょっとカッコイイって感じ?

ちなみに多くの人と同じシーンを共有している一体感、みたいな感情は、私にはほとんどない(連れがいる場合は別だが)。本音を言えば、一度でいいから広い劇場で自分たちだけで映画を観てみたかったりする。不人気作品の公開終了間際ならありえそうだが、そんなつまらなそうなのは観に行かないので、いまだその機会には恵まれてない。

映画館というのは、私にとってはスペシャルな空間である。そんな中で面白い映画に出会えたら、これは僥倖というものだ。もしつまらない映画だったら……へこむよなあ……。

2000/5/24