その3:ジャッキー・チェンへの手紙
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拝啓、ジャッキー・チェン様―― あなたに初めて出会ったのは、もう17、8年も前でしょうか。そのころの私はまだ小学生のガキんちょでした。たまたまテレビで放映した「スネーキー・モンキー/蛇拳」で貴方を拝見し、たちまち虜になってしまいました。 虜になったのは私だけではありません。クラスの男子連中みんなが、ウルトラマンAのメタリウム光線の右手をくいっと前に向けたポーズで、突っつきあってたものです。あるいは「油の上を歩くシーンはどう見ても吊っている」などの激論が交わされたものです。 でもごめんなさい、女子にはウケが悪かったです。 その頃はファミコンブームも来るか来ないかの頃です。友達と外で走り回り、家ではガンプラ作りに夢中だった私たちの前に、貴方は颯爽と現れたのでした。余談ですが、ガンプラは当時恐ろしく人気で、発売当日朝からデパートに並んでも買えないほどでした。そして私が初めて買うことが出来たガンプラは、忘れもしない、ジムでしたよ。まだボールじゃなくてよかったです。……余談すぎましたか? その後も貴方の作品は次々とテレビ放映され、一大カンフーブームを巻き起こしましたね。あのころの時代物で、特に私が好きなのは「少林寺木人拳」です。どれだけ好きだったかというと、当時私の小学校では時々「お楽しみ会」という、菓子やジュースを飲み食いしながらグループで芸を見せるという、よくわからない催しがクラス単位であったのですが、そこで「寸劇・少林寺木人拳」を演じたほど好きだったのです。三人で組を作り、ジャッキー役一人と、スーパーの紙袋に目と口を描いてかぶった木人役二人が、激しいバトルを展開するという内容でした。 私は木人役でしたよ(号泣)。 それにしても、貴方の魅力とはなんなんでしょうか。不躾ですがちょっと解析してみたいと思います。まずなんといっても、数々の映画で見せてきた技のキレでしょう。それは、一昔前にやはり大ブームを巻き起こしたブルース・リーに比べ、リズミカルでコミカルなものでしたが、これがかえって独特の間を生み、手に汗握る活劇を味わわせてくれました。そして前期の作品に通じる点、「師匠の敵を討つため修行に励み、一度はこてんぱんにやられた敵に最後には勝利する」という、まるでジャンプの漫画のような展開にワクワクしたのです。 ちなみに私の父は空手家で、ブルース・リーの大ファンでした。貴方の映画を観ながら「やはりブルース・リーの迫力にはかなわんな」などと失礼なことをぶっこいてましたが、それでも貴方の動きに合わせて体がピクピク反応してましたよ。なんだよ、好きなんじゃん。ちなみに私、ブルース・リーも大好きです。 貴方の作品は「プロジェクトA」を境に変わりましたね。スケールがぐっと大きくなり、けた違いにスピード感を増したアクションシーン、まさにこれはエポック・メイキングな作品でした。特にビルから天幕に向かって飛び降りるシーン、どう見ても痛いです。 これ以降、ますます貴方のアクションは命知らずになっていきますね。エンドロールのメイキングシーンを観ると、貴方の苦労が偲ばれます。それ以上に、貴方に蹴り飛ばされて二階から一階のガラステーブルの上へ落とされた役者さん、今……生きてますか?そして「サンダーアーム」でしたか。頭を岩に挟んで大怪我を負い、死にかけたこともありましたね。 ……よく生きてましたね(驚愕)。 そんな中、私が最も好きな作品が「スパルタンX」です。あれは本当にワクワクしました。なんといっても、ユン・ピョウとサモ=ハン・キンポウとのトリオが最高でした。この作品はなにやらファミコンでゲームにもなりましたね。そういえば「ゲームセンターあらし」で、あらしがこのゲームで勝負したとき、X回、つまりアルファベットの24番目の回まで繰り返すと、ヒロインのシルヴィアが襲い掛かってくるという、とんでもない設定がありました。話の内容、ちょっとコアすぎますか? その後も精力的に作品を発表し、ついにハリウッドデビューしましたね!いや、「ラッシュ・アワー」、実はまだ観てないんですけど……だって、なんだかつまんなそうだし……でも「シャンハイ・ヌーン」はすごく期待してます!ちょっとジェット・リーの「ワンスアポンアタイム・イン・チャイナアンドアメリカ」のパクリっぽい気もしないでも……いや、独り言です。チャイニーズ・シアターのウォーク・オブ・フェームにも手形足形を残したというし、すごいです。 でも鼻形まで残すのはお茶目すぎ。 そんな貴方の魅力はアクションだけではなく、その素敵な笑顔にも表れていますよね。香港へツアーで行ったとき、ジャッキーのグッズなども売ってる宝飾品店に無理やり連れていかれましたが、その店頭でもタキシードを着てにこやかに笑う貴方の写真は印象的でした。店に入ったとたん、客より多い店員がわらわらと走りよってきて「らっしゃいませこれドウデスカ?ドウデスカ!?」と営業かけてきたのには閉口しましたが。そして横浜のジャッキーのレストランも、いつか行きたいと思ってます!でもそこで売ってるというジャッキー・グッズは買わないとは思うけど……いや、なんでもないです。 あと、声もいいですよね。テレビ放映でよく観て、すっかり馴染み深い声――あっ、あれは吹替えの石丸博也の声だった!しまった!ちなみにこの人、マジンガーZの兜甲児と同じ声なんですね!……コアすぎますか? とにかくこれからも、体に気をつけて、もう一回いっときます、体に気をつけて、たくさんの面白い映画を私たちに見せてください!例え「レッド・ブロンクス」を観たアメリカ人に「オウ、クレイジ〜」とかいわれても、気にしないで頑張ってくださいね。 ――敬具
2000/8/3 |