その5:ウエディング・マーチ


結婚することになった。

そこに至るまでの経緯は置いておくが、結婚するとなるとやはり披露宴はやろうということになる。どうせやるなら列席者の記憶に残るようなものにしたい。間違ってもスモーク炊いてゴンドラで降りてくるような引田天功みたいな登場は、一生悔やむと思われるのでゴメンである(それはそれで記憶には残るだろうが)。――まあそんなわけで、披露宴の準備に取り掛かったのであった。

中でも苦労したのは、披露宴中に流す曲を決める、ということであった。なにかオリジナリティが欲しかった私は、あるひとつのテーマを決めて、それに沿って選曲することにした。何のテーマにするか。迷うまでもない、「映画の曲」で統一することにしたのである。

選曲にはかなり苦労した。というのは、披露宴で一般的に広く使われている曲は避けたためである。例えばセリーヌ・ディオンの"My Hear Wll Go On"(from「タイタニック」)や、ホイットニー・ヒューストン"Always Love You"(from「ボディーガード」)、ディズニー系ではWhole New World(from「アラジン」)などである。他と同じではつまらない。

ところが、私はあまりラブストーリー系を観ないため、それらしい曲は有名どころ以外知らないのだ。――まあ別に、ラブストーリーにこだわる必要はないのだ。場合によっては、「スターウォーズ」帝国軍のテーマで入場するのもやぶさかではない。しかしその案は嫁に速攻却下された。あれこれ悩んでいるうちにだんだんめんどくさくなり、スーパーマリオのスタート時の音楽、「テテッテッテテッテ!ポン!」でどうよ!とも思ったが、これまた嫁に却下された(当たり前だ)。

手持ちのサントラCDに、改めて目を通してみた。また、レンタル屋に通い、映画サントラコーナーをなめ回すようにチェックした。ちなみに、参考のため借りたCDは、20枚近くに及んだ。他にも、司会を頼んだ方から選曲例のリストをもらい、参考にしたりした(そのままは使わなかったけど、インスピレーションを得るのに非常に役立った。この場を借りてお礼をいいます)。選んだ曲はMDに演奏順に録音して通して流してみたりもした。――「そこまでしなくても」という人もいるかもしれない。――今思えば、私もそう思う。

まあそんなこんなで、なんとか本番の前々日に終了した選曲作業。そんなマイ・セレクションを見ていただきたい。

1.新郎・新婦入場

「ネバーエンディング・ストーリー」より ”Bastian's Happy Flight”

幸運の白い竜・ファルコンが、バスチアンを背に乗せて大空を飛翔するときに流れる曲で、軽やかに天を駆ける雰囲気がよく出ている。TVのBGMでもよく使われるから、聞いたことのある人も多いであろう。爽やかでありながら胸躍るような旋律は、堅苦しくない入場曲としてはなかなかいいのではないだろうか。ファルコンの「ふぁーふぁーふぁー」という老獪な笑い声が、耳によみがえること請け合いである。


2.プロフィール紹介

「ニュー・シネマ・パラダイス」より ”トトとアルフレード”

少年トトが映写技師のアルフレードに会いに行くときなどに流れる曲。プロフィール上、少年少女時代を語るということで、このノスタルジックな曲調が思い出をいっそう暖かく包んでくれることだろう。

――なんてな。


3.乾杯

「ムトゥ/踊るマハラジャ」より ”Oruvan Oruvan”

ムトゥが最初に登場し、馬車で疾走するときに流れるオープニング・チューン。この曲は大好きなため、どうにかどこかで使いたかった。最初にドーン!とくる曲として、まさにハマったと思われる。「ムトゥ」を知ってる列席者には予想外にウケたようである。


4.ご歓談

「スティング」より いろいろ

この映画のサントラは、これ以上ないほどのBGMの宝庫である。ご歓談時には最適であろう。なぜかテーマパークの雰囲気さえかもし出せる(東京ディズニーランドでも流れていてたような……)。


5.ケーキ入刀

「アルマゲドン」より ”I Don't Want To Miss A Thing”

これは最近の披露宴ではお約束の曲なのだが、例外的に入れてみた。スピーチを頼んだ友人がエアロスミスの大ファンだったので、サービスである。入刀と同時に、サビがガーン!と流れてくる、という使い方をした。


6.ご歓談2

「フォレスト・ガンプ」より いろいろ

この映画のサントラもBGMにはこと欠かない。たぶん。実はあまりちゃんと聞いたわけではない。そのうえ、どういう曲が入っていたかよく覚えてない。ダビングもし忘れた。ごめんよ、アラン・シルベストリ。


7.新郎登場

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より ”Back To The Future”

新郎がコックの姿で列席者に料理を振舞うという、ちょっとしたイベントの時の登場曲。USJのCMでもすっかりおなじみですな。実はこの曲、大学でのバンドの卒業ライブで、司会者として登場するときにも使った思い出深い曲である。きっとみんな覚えてないだろうと思って、また使ってみた。

ちなみに料理人の曲といえば「料理の鉄人」のテーマだが、これはお約束過ぎるので外した。しかし用意した曲だけでは時間に足りなかったのか、会場側が気を利かせてかけてしまったよ、鉄人(泣)。知らない人のために一応いっておくが、「料理の鉄人」の曲も実は映画の曲である。(from「バックドラフト」


8.新郎・新婦中座

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より ”The West”

お色直しのため中座するときに、退場のテーマとして使おうと思っていたのだが、時間や流れの都合上カットされた。「BTTF2」のエンディングで、「3」の予告のバックに流れていた西部劇っぽいカッコよい曲である。


9.再入場

「ベルベット・ゴールドマイン」より ”20th Century Boy”

これは単に、この曲が好きなので使った。たまたまサントラに入っていたので採用したものであり、元々はT−REXの名曲。しかし、映画自体は実はまだ未見である。聞いた話では、ユアン・マクレガーがデブった腹を揺らしながら踊る映画らしい。最初の入場の爽やかさとは一転、勢いのあるロック魂炸裂ってなもんである。


10.ケーキサーヴ

「ザ・コミットメンツ」より ”Try A Little Tenderness”

キャンドルサービスの代わりに、入刀した生ケーキを配ったのだが、その時の曲。始めはしっとり聞かせ、中盤一気に盛り上がるソウルフルな1曲で、映画の中でも最も盛り上がるシーンで流れていた名曲である。


11.花束贈呈

「フリー・ウイリー」より ”Will You Be There”

これはマイケル・ジャクソン晩年の名曲(まだ生きてるけど)。いかにもなバラードでないにも関わらず、ジンと染み入るような、優しげな1曲。湿りがちなシーンを爽やかなものにした、と思う。


12.新郎・新婦退場

「ヘラクレス」より ”Go The Distance”

うーん、結局最後にディズニー系の曲を使ってしまった。でもこれはまだお約束って感じでもないし、雄々しい感じがしていいほうかな〜。これから私たちは旅立ちます!、みたいなね。……自分で言ってて恥ずかしい。実はこれもまだ映画は観ていない。そういえば藤井フミヤがこの曲のカバーを歌ってたような気もするが……どうでもよいね。


13.ご送賓

「炎のランナー」より ”Titles”

オリンピックやスポーツの世界大会などで、当たり前のように流れている有名な曲。なんとなく「これにて終了」って感じがしたので採用。ただ、この時点で私はすでに会場にいないので、実際に流れたかどうかは定かではない……

 

他に、処々の都合のため(あるいは自粛して)使わなかった曲も、念のため挙げてみよう。何が「念のため」かは謎である。

 

「スター・ウォーズ」第一作より ”Throne Room And Finale”

新郎・新婦中座時にかかる予定だったが、時間の都合でカットした。この曲は「スター・ウォーズ/新たなる希望」でのエンディング、王の広間でルークたちが勲章を受けるときの、荘厳なマーチである。「スター・ウォーズ」の曲はどうにかしてどこかで使いたかったのだが、結局一度も使われずに終わった。

 

「2001年宇宙の旅」より ”ツァラツストラはかく語りき”

せっかく今年は2001年なわけだし、荘厳さではピカイチだし、ということで入場曲に考えたのだが、なんとなくテンポが悪くなるので却下。ちなみに2次会での入場曲として、幹事がこの曲を使ってくれた。かぶらなくてよかった。

 

「トレイン・スポッティング」より ”Lust For Life”

イントロが印象的なイギー・ポップの名曲。好きな曲なのだが、使いどころがなくて却下。

 

「ゴースト/ニューヨークの幻」より ”アンチェインド・メロディ”

万が一披露宴中にチークタイムが始まると困るので却下。

 

「メジャー・リーグ」より ”ワイルド・シング”

ワイルドすぎるので却下。

 

「ゴースト・バスターズ」より レイ・パーカーJr.の”ゴースト・バスターズ”

なんだか頭悪そうなので却下。

 

まあタイヘンタイヘン言ってみても、終わって振り返ってみるとなかなか楽しい経験であった。披露宴に限らず、一度こういうセレクションを自分なりにしてみるのは、映画好きなら面白いかも。

2001/8/14