ムトゥ/踊るマハラジャ
MUTHU

ゴウカケンラン の巻



 

――「ムトゥ/踊るマハラジャ」を観るため映画館へ向かう、シネマとムービ。

インド映画を観るのはこれが初めてだなあ。今まで日本で紹介されたインド映画って、どうも芸術志向なものが多いような気がするんだけど、これは違うみたいだね。

インドの大地主の元で働くムトゥという若者が踊り子に恋をして?ムトゥのご主人様の財産を狙うワルがいて?悪漢と戦う?どんな映画なんだろう?

なんか、すごく面白いんだって。ホーラ・ホラーくんがイチ押ししてたわよ。「面白すぎますごめんなさい」って言ってたわ。
謝っちゃったのか……

でもビラを見るとさー、主役らしき人がただのヒゲのオッサンなのよー。ラジニカーントっていうの?通称ラジニこれでもインドではスターらしいんだけど、でもねー。ブルース(注:ブルース・ウイリス)に比べたら月とスッポン、ガメラとゼン=ベナン・バワンくらい違うわよ?大丈夫かしら?

まあまあ、とりあえず観てみようよ。あっ、映画館見えたよ。
 

 

――場内。開演10分前。

けっこう混んでるわね。
うん、40分も前に来たのに、なんとか座れたって感じだね。なんだかすごい熱気を感じるんだけど。会場のテンションが異様に高いような……

あたしはなんだか寒気がするわ……

って、ああっ!どうも寒いと思ったら、隣にいるのはさすらいの風小僧ことドルビじゃない!

やあ。ごめんよ、ペンギンゆえに寒くて。
久しぶりだね〜
このごろ見なかったけど、今度はどこを放浪してたの?前はスウェーデンだったわよね。ローマ?メキシコ?それともエジプトかしら。
いや、お台場あたりを……
ドルビが来てるってことは、音楽もいいのかい?
そうさ、この映画の曲を手がけてるのはA・R・ラフマーン、この人はスゴイよ。インドの古典音楽と現代のポップサウンドを見事に融合させている実力者。なんてったってインドの小室哲哉といわれてるんだよ!?スゴイよね。で、T・Kといえばなんといっても沢口靖子だよね!?

それどういうこと?え、なに?

そんな人にまで曲を提供したことがある!?(←そっちのほうがスゴイと思っている)

実はそこらへんはホーラ・ホラーくんから聞いてね。それでこれは観ねばと思ったわけなのさ
へえ!僕らもホーラくんのオススメで来たんだよ
彼はもう10回くらい見に来たらしい。ムトゥ役のラジニカーントのサインがどうしても欲しくなったらしくて、とりあえず名前だけ似ている近所の武藤さんのサインをもらったらしいよ。
……誰それ?
そんなに面白いのかなあ。まあそれなりには楽しめそうだね。でも上映時間が3時間かあ。ずいぶん長いな。トイレ行っとこ。
 

 

――上映開始。

おっ、始まった。
うん。……え?

場内、開演とともに拍手喝采!

 

オープニングが始まる。野暮ったくもノリのいいナンバーが鳴り響く。ほどなく――

 

主役のムトゥこと、ラジニ登場!

場内割れんばかりの拍手と大歓声!

 

そして――

馬車に乗りながら歌うムトゥ!

 

広大なインドの大地での華麗なダンス・シーン!

 

尋常でない人数ダンス・エキストラ!

 

ヒロイン登場またもや大盛り上がりの劇場内!

 

歌に会わせて手拍子の観客!

 

踊るヒロイン!

 

歌うムトゥ!

 

駆ける馬車!

 

闘うムトゥ!

 

走るゾウ!

 

笑い!アクション!サスペンス!涙!恋!秘密!

そして歌とダンスの大饗宴!

最後は涙のおまけつき!

 

――こうして拍手の渦の中、映画はフィナーレを迎え、あっという間の3時間が過ぎ去ったのだった……

 

  ――上映後。
……あっ、ホーラ・ホラーくん

やあ待ってたよ〜出てくるの。

どう?どう?面白かった?面白かったでしょ〜。今までにない魅力だよね〜。豪華絢爛、痛快無比、これぞエンターテインメントって感じだったでしょ。

主演のラジニも、見てるうちにすごくカッコよくなってくるよね!ホントにスーパースター!

ヒロインのミーナはすんごく美人!ちょっと太めだけどインドではそれが普通だからね〜。

インドはハリウッドをしのぐ映画大国なんだよ、なんと年間700本!そのほとんどがこういう娯楽作なんだけどね、そんなに作られてる映画の中で、15週のロングラン・ヒットだもの、これはもう自信作の超オススメだったんだよ〜。

ちゃんと見に来るか偵察に来たら、僕も思わずまた見ちゃった〜。これで11回目だよもう〜。ハマりすぎ〜。サントラまで買っちゃった〜。ラジニグッズ欲しいなあ〜。

 

……みんな〜、どうしたの?



面白すぎますごめんなさい。

 

※上映中の様子は、実話に基づいています。

2000/1/21