天国と地獄
てんごくとじごく

ピンクの煙 の巻



大手靴会社の重役・権藤のもとに、子供を誘拐したという電話が。誘拐犯は破格の3千万円を身代金として要求してくる。権藤の手元にはちょうど3千万円の小切手があったが、それはすべてを賭けて会社の株を買い占めるための、命綱だった。やがて駆けつけた警察。金を出すかどうか悩む権藤。冷静に要求をしてくる犯人は一体どんな奴なのか?黒沢明監督の誘拐サスペンスだ。

誘拐モノといえばメル・ギブソンの「身代金」とかあるけど、これはそういう作品にも影響を与えていると思われるね。

わしは渡哲也の「誘拐」を思い出すのう。
これは大きく二つのパートに別れるね。身代金を渡すための前半、犯人を捜す後半でね。
でもこの作品は、昔の作品のせいかテンポ悪いわよねー。身代金なんて警察が見せ金用意すればいいじゃない?それに警察が犯人の罪状をわざと増やすようなことしていいの?
でも人情的には納得できることだのう。杓子定規に法を守っても映画としてはつまらんしな。
まあま、そこはフィクションだから。それに僕は結構手に汗握るシーンが多かったな。身代金受け渡しの方法なんて、そう来たかって感じで。それに警察の捜査の仕方なんて、地味で堅実なところを丁寧に描いていて、やけにリアルだよね。
特急こだま、とかいうとわしゃあ西村京太郎を思い出すわい。
ミーハーよねー。あんた小説なんか読むの?

失敬な小娘じゃな!読むっちゅーの!

「女教師・真昼の監禁」とか「京子18歳・淫乱の甘い罠」とか。

それは何の小説だッ!
あー、その2冊ねー。
知っている?!
あーいやゴホンゴホン。
そうそう、主演は三船敏郎、この人はやっぱり時代劇のほうがいいな。なんかガナるだけって感じで、あんまり演技が上手くないような……
まあ、「用心棒」のようなインパクトはないけどね。でもそのぶんこの映画は、役者で、じゃなくひとつの作品として記憶に残るよね。
うーん……まあ、面白かったんだけどね。でもあたしはもっとスピード感があるほうが好き。あ、でも煙突の煙がピンク色になってるとこ、あそこすごくよかったー!

映像的に印象に残るシーンだし、物語の転換点でもあるよね。さすがクロサワというか、この演出って海外の映画にも見られるんだよなー。

ちなみに大ヒットした「踊る大捜査線 THE MOVIE」で主演の織田裕二が「天国と地獄だ……」って言ってるんだけど、それってこの映画へのオマージュなんだろうね。

やっぱ黒沢明の娯楽作は面白いのう。古いからといって食わず嫌いせず、若い人にも見て欲しい作品じゃな。

ところでシネマ……えっちな小説貸してくれ……。

そ、そんなのクリーンなイメージのボクは持ってないよ!。ボクは映像派――

あーいやゴホンゴホン。

……ビデオ?

いや、でぃーぶい……

あーいやゴホンゴホン。

 

1999/11/24