仮面の忍者赤影 序論
この番組も私は再放送世代です。しかし私が幼少の頃はまだまだ『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』や『忍者部隊月光』、アニメでは『サスケ』『どろろ』『カムイ』など、「忍者」が身近に感じられる番組が数多くありました。中でも、この番組に登場する主役の「赤影」「白影」「青影」の出で立ちは、戦国時代の設定では違和感を感じるデザインで突出していました。赤影の髪型は七三分けだし‥‥。しかし、私などは不思議と納得してしまっていたのでした。子どもの感受性というのは不思議なものです。
さらに、「卍党編」に登場する「うつぼ忍軍」などは、ウェットスーツ、水中メガネ、ガスマスク、マントといったコスチュームで、とても忍者には見えないのですが、それでも「南蛮渡来の妖術者」というセリフ1つで納得できてしまうのでした。さらにさらに、この「卍党編」の移動要塞「大まんじ」、「金目教編」の巨大ロボット・金目像、独楽戦車など、時代考証を無視したメカも登場します。赤影たちも刀を鉄砲にしたり、次から次へと奇想天外、荒唐無稽な武器が登場したりもしますが、それらも素直に受け入れていました。いや、荒唐無稽だからこそ、この『赤影』は質の高いエンターテインメントになり得たのです。
「根来編」「魔風編」には「怪忍獣」と呼ばれる怪獣が登場しますが、怪獣ブームの真っ只中で「忍者もの」の番組に怪獣が登場しても違和感を感じるどころか、子どもたちは熱狂的に受け入れていました。特に「根来編」に登場するアゴンやガバリなどは、デザインや造型などにおいても高い完成度です。
敵忍者のキャラクター性も豊かで、得意な忍術の特異性とも相まって個性が溢れていました。下忍のコスチュームも、それぞれのシリーズで個性的です。
『赤影』という番組の最大のセールスポイントは、コミカルな描写とスリリングな本格的立回りの剣劇でしょう。コミカルな描写は青影・白影が中心となりますが、時には赤影も加わります。また、敵忍者たちの設定そのものがコメディリリーフの場合もあり、「卍党編」からエスカレートしていきます。立回りや忍術合戦がコミカルな場合も少なくありません。
剣劇はさすがに東映京都が制作しているだけあって、本格的時代劇の直系的な作品です。赤影・白影を演じる坂口祐三郎さん・牧冬吉さんはアクションもかなりご自身でこなします。もちろん乗馬も吹替え無しでお手の物でした。現在で言うところのワイヤーワークが多用され、危険な撮影もたくさんあったようです。坂口さん・牧さんは生傷が絶えなかったそうで、坂口さんの手のアップでは吹替えが用いられました。
特撮はイマジネーション豊かで、円谷作品では見られない、かなりの荒技も飛び出します。当時の他社作品や劇場映画のレベルを考えても、なかなか見応えのある特撮を披露してくれています。東映のTV特撮シリーズとしては初のカラー作品であり、予算的にも恵まれた番組だったことがわかります。
ごく初期にはブルーバック合成なども使われましたが、制作日数や予算の問題もあってか、徐々にスクリーンプロセスが多用されるようになります。
脚本は、平山亨プロデューサーの作品ではメインライターとなることが多い、伊上勝氏が全話を書き上げています。元は宣弘社の社員であり、『隠密剣士』で脚本家デビューした氏は、『隠密剣士』で「忍者」についての研究をかなり積んだとのことです。また、「卍党編」でのギヤマンの鐘を巡る「秘帖争奪戦」を描いたエピソードは、氏の最も得意とする分野だそうです。
『赤影』は1クールごとに明確にストーリーが分かれています。それぞれの敵とその野望を、以下に簡単にまとめます。
金目教編 (1〜13話)
甲賀忍軍の棟梁、甲賀幻妖斎が教祖となり、「金目教」という宗教を使って日本征服を企てる。
OPでは
「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に金目教という怪しい宗教が流行っていた。それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。
その正体は何か?
藤吉郎は金目教の秘密を探るため、飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…『赤影参上!』」
という口上が、第2話から登場します。
卍党編 (14〜26話)
金目像とともに倒れたと思われた甲賀幻妖斎が、新たに「卍党」を組織した。この卍党は、ポルトガル人ペドロが開発した超エネルギーの製法が隠された「サタン」「デウス」「マリア」の三つの「ギヤマンの鐘」の争奪を、赤影らと繰り広げる。
OPでは
「織田信長の活躍した頃、海を渡って来た奇怪な妖術者の群れがギヤマンの鐘を求めて各地を襲撃した。世界制覇を狙う卍党の仕業である。
強烈なエネルギーの製法を秘めたギヤマンの鐘三つ。
日本の平和を願う信長は、卍党の野望を粉砕すべく、飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…『赤影参上!』」
という口上が第15話から登場します。
根来編 (27〜39話)
織田信長の命を狙って、夕里弾正が根来忍軍と結託し日本征服を企てる。
OPでは
「悪大将・夕里弾正の反乱を知った織田信長は、居城・清洲から少人数を率いて京の都へ急いだ。
しかしその道筋には、弾正に味方する根来の忍者が、恐ろしい怪獣を操って待ち構えている。
道中の無事を願う信長は、飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…『赤影参上!』」
という口上が第28話から登場します。
魔風編 (40〜52話)
魔風雷丸が、飛騨の「影の里」に伝わる「黄金の仮面」を巡っての争奪戦を赤影らと繰り広げる。
OPでは
「飛騨の国、影一族に伝わる黄金の仮面は、あらゆる忍者にとって憧れの的、栄光のシンボルであった。そしてまた、仮面には莫大な黄金の謎が秘められているのだ。
この仮面を奪い、忍者の王座を狙う者が現れた。怪忍獣を操る魔風雷丸である。
起て! 仮面の忍者! 『赤影参上!』」
という口上が第41話から登場します。
原作:横山光輝
プロデューサー:加藤哲夫(関西テレビ)、平山亨(東映)、高田正雄(東映京都テレビプロ)
特撮:松木春吉、小野純一、坂井信二
技斗:三好郁夫、土井淳之佑、近江雄二郎、東映剣会
美術:塚本隆治、寺島孝男、中島哲二
撮影:脇武夫、平山善樹、森常次、柾木兵一、羽田辰治
照明:岡田耕二、佐々木政一、藤井光春、松井薫
音楽:小川寛興
赤影:坂口祐三郎
白影:牧冬吉
青影:金子吉延
甲賀幻妖斎:天津敏
竹中半兵衛:里見浩太郎
木下藤吉郎:大辻伺郎
織田信長(卍党編):倉岡伸太郎
織田信長(根来編):嶋田景一郎
夕里弾正:汐路章
暗闇鬼堂:原健策
魔風雷丸:汐路章
OP口上:山口幸生
| 制作 | 敵組織 | サブタイトル | 放映日 | 登場忍者・怪忍獣 | 脚本 | 監督 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金目教 | 怪物蟇法師 | 昭和42年4月5日 | 鬼念坊 蟇法師 千年蟇 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 2 | 金目教 | 甲賀の悪童子 | 4月12日 | 傀儡甚内 悪童子 闇姫 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 3 | 金目教 | 逆襲蟇法師 | 4月19日 | 傀儡甚内 蟇法師 千年蟇 |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 4 | 金目教 | 怪奇忍び屋敷 | 4月26日 | 傀儡甚内 闇姫 大毒蜘蛛 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 5 | 金目教 | 謎の独楽忍者 | 5月3日 | 朧一貫 | 伊上勝 | 倉田準二 |
| 6 | 金目教 | 恐怖の大魔像 | 5月10日 | 朧一貫 金目像 |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 7 | 金目教 | 妖術一つ目 | 5月17日 | 夢堂一ツ目 朧一貫 |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 8 | 金目教 | 南蛮大筒の秘密 | 5月24日 | 夢堂一ツ目 金目像 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 9 | 金目教 | 不死身の魔像 | 5月31日 | 朧一貫 闇姫 金目像 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 10 | 金目教 | 怪忍者黒蝙蝠 | 6月7日 | 朧一貫 闇姫 鬼念坊 蟇法師 黒蝙蝠 大蝙蝠 金目像 |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 11 | 金目教 | 鬼念坊鉄車 | 6月14日 | 朧一貫 闇姫 鬼念坊 金目像 |
伊上勝 | 曽根勇 |
| 12 | 金目教 | 闇姫髪あらし | 6月21日 | 闇姫 金目像 |
伊上勝 | 曽根勇 |
| 13 | 金目教 | 大魔像破壊作戦 | 6月28日 | 金目像 | 伊上勝 | 倉田準二 |
| 14 | 卍党 | 謎のまんじ党 | 7月5日 | 不知火典馬 魚鱗流伯 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 15 | 卍党 | 小法師白蝋鬼 | 7月12日 | 不知火典馬 白蝋鬼 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 16 | 卍党 | 怪獣針紋鬼 | 7月19日 | 猩猩左近 魔老女 むささび道軒 |
伊上勝 | 小野登 |
| 17 | 卍党 | 不死の魔老女 | 7月26日 | 猩猩左近 魔老女 白蝋鬼 不知火典馬 魚鱗流伯 |
伊上勝 | 小野登 |
| 18 | 卍党 | 鳥獣むささび | 8月2日 | 猩猩左近 魔老女 白蝋鬼 むささび道軒 不知火典馬 魚鱗流伯 |
伊上勝 | 小野登 |
| 19 | 卍党 | 忍法つむじ傘 | 8月9日 | 猩猩左近 魔老女 白蝋鬼 むささび道軒 不知火典馬 魚鱗流伯 黒道士 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 20 | 卍党 | 怪物大まんじ | 8月16日 | 不知火典馬 魚鱗流伯 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 21 | 卍党 | 渦潮骸骨丸 | 8月23日 | 魚鱗流伯 猩猩左近 魔老女 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 22 | 卍党 | 怪獣変化陣 | 8月30日 | 黒道士 猩猩左近 |
伊上勝 | 小野登 |
| 23 | 卍党 | 地獄の魔老女 | 9月6日 | 黒道士 魔老女 |
伊上勝 | 小野登 |
| 24 | 卍党 | いかるが兄妹 | 9月13日 | 黒道士 白蝋鬼 むささび道軒 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 25 | 卍党 | 悪魔の鐘 | 9月20日 | 黒道士 白蝋鬼 むささび道軒 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 26 | 卍党 | 大爆発 | 9月27日 | 黒道士 白蝋鬼 |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 27 | 根来 | 根来十三忍 | 10月4日 | 水馬流馬 ガンダ |
伊上勝 | 小野登 |
| 28 | 根来 | 忍法大怪魚 | 10月11日 | 渦巻一貫斎 ガンダ |
伊上勝 | 小野登 |
| 29 | 根来 | 忍法山彦変化 | 10月18日 | 山彦多門丸 ガバリ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 30 | 根来 | 蟻怪獣ガバリ | 10月25日 | 蟻身眼兵衛 ガバリ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 31 | 根来 | 怪忍百面鬼 | 11月1日 | 百面鬼 野火 つむじ アゴン |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 32 | 根来 | 鉄甲アゴン | 11月8日 | 虫寄せ風葉 野火 つむじ アゴン |
伊上勝 | 山内鉄也 |
| 33 | 根来 | 大百足ドグマ | 11月15日 | 虫寄せ風葉 人むかでの矢尻 アゴン ドグマ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 34 | 根来 | 怪獣大逆襲 | 11月22日 | 虫寄せ風葉 人むかでの矢尻 ドグマ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 35 | 根来 | 梟怪獣ガッポ | 11月29日 | 流れ星左十 ガッポ |
伊上勝 | 曽根勇 |
| 36 | 根来 | 忍法石仏 | 12月6日 | 魔風刑部 ジャコー |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 37 | 根来 | 怪忍獣ジャコー | 12月13日 | 十六夜月心 ジャコー |
伊上勝 | 小野登 |
| 38 | 根来 | 怪忍獣勢揃い | 12月20日 | ドグマ ガバリ アゴン ドグマ ガッポ ジャコー |
伊上勝 | 古市真也(構成) |
| 39 | 根来 | 六大怪獣大逆襲 | 12月27日 | ドグマ ガバリ アゴン ドグマ ガッポ ジャコー |
伊上勝 | 小野登 |
| 40 | 魔風 | 魔風忍群の来襲 | 昭和43年1月3日 | 小文字右兵 グロン |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 41 | 魔風 | 鎧怪獣グロン | 1月10日 | 夜目蟲斎 グロン |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 42 | 魔風 | 忍法はがね鞭 | 1月17日 | 雲間猿彦 雲間犬彦 ギロズン |
伊上勝 | 曽根勇 |
| 43 | 魔風 | 吸血怪獣ギロズン | 1月24日 | 血汐将監 雲間猿彦 ギロズン |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 44 | 魔風 | 顔のない忍者 | 1月31日 | 闇の黒蔵 雲間猿彦 雲間犬彦 ガガラ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 45 | 魔風 | 岩石怪物ガガラ | 2月7日 | 口無水乃 雲間猿彦 ガガラ |
伊上勝 | 古市真也 |
| 46 | 魔風 | 怪獣ががら対ざばみ | 2月14日 | 雲間猿彦 雲間犬彦 ザバミ ガガラ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 47 | 魔風 | 魔風堂の怪獣 | 2月21日 | 足切主水 雲間猿彦 雲間犬彦 ザバミ |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 48 | 魔風 | こども忍者術くらべ | 2月28日 | 引導坊 鬼丸 バビラン |
伊上勝 | 曽根進 |
| 49 | 魔風 | 人喰い植物ばびらん | 3月6日 | 花粉道伯 バビラン |
伊上勝 | 倉田準二 |
| 50 | 魔風 | とかげ怪獣じじごら | 3月13日 | 伊上勝 | 倉田準二 | |
| 51 | 魔風 | 決戦魔風忍群 | 3月20日 | 伊上勝 | 古市真也(構成) | |
| 52 | 魔風 | 六大怪獣包囲陣 | 3月27日 | 伊上勝 | 倉田準二 |