シカゴの風
  3      あとがき

 3

「さぁ、キャンディ、忘れ物は無いかい?」
「うん、大丈夫だと思うわ」
「足りなければ、向こうで買えばいいよ。ほらっ、行くよ」
朝早くの出発だったので、ドタバタの2人だった。もっと、ゆっくりした時間にすれば
良かったのだが、とにかく2人だけの時間を1分でも長く過ごしたいと思い、朝早い出発で
計画を立てていたのだった。アルバートさんは、キャンディの手を引き、車に乗り込み
ミルウォーキーに無事出発出来た。
朝早く出発した事もあって、昼前にはミルウォーキーの別荘に着いた。別荘では、管理を任せて
いる、ボブが待っていた。2人はボブからカギを受け取り、4日後の昼に帰るから、昼に来て
欲しいと伝えた。それまでの間は、全て自分達でやるので、何の世話も要らないという事も
伝えるとボブは帰って行った。
早速2人は別荘に入り、荷物を簡単に片付けると、食材などの買い物に出かけた。
アルバートさんは、とりあえず、2日分の食べ物を買おうと考えた。ミルウォーキーの街をキャンディと
手を繋いで買い物をするというのも、アルバートさんの楽しみだったので、買い物を1回で
済ませたくなかったのだ。2人は手を繋ぎミルウォーキーの街を歩いていた

「こうして歩くのも、レイクウッド以来ね」
「そうだね、キャンディと手を繋いで買い物なんて、嬉しいよ」
アルバートさんは、とにかく喜んでいた
「くすっ、シカゴに居たら絶対出来ないものね。アルバートのイメージが崩れちゃうわ」
「くすっ、そうだね。シカゴでは、きりりとして仕事しているからねっ」
「同じシカゴでも、家では全然違うのにね・・・」
キャンディはアルバートさんを覗きこんで笑った
「そりゃそうさ。僕は家では、ただのアルバートだもん。ところで、僕達は今、周りから
どんな風に見えてるのかな?」
アルバートさんが少し年齢差を気にしている様だった
「父と娘かしら?・・・くすっ」
キャンディはふざけて言った
「そ、そうかな・・?本当に、そうだと思う?」
アルバートさんが少し淋しげな目をして言った
「くっくっく・・・うそよ。そんな訳ないでしょう?」
キャンディは可笑しくて笑った
「あっ!キャンディ、僕をからかったな!」
アルバートさんは、ふざけて怒りプイッと、横を向いた
「くっくっく・・・そんなに年の差が気になるの?」
「ん?少しだけ・・・キャンディは、まだ20歳だけど、僕は、もう30歳だよ」
「でも、アルバートは30歳より若く見えるわよ。・・・といっても27歳位かしら?アーチーと
ディックは年相応で23歳でしょ?それよりは、お兄さんに見えるもの・・・」
「僕が若く見えるのは嬉しいけど、キャンディだって20歳より若く見えるんだよ。そしたら
結局、年の差は実際と同じ10歳位だろ?」
「う〜ん、そうだけど・・・いいじゃない、年の差のあるカップルだって。私達実際にそうなんだし、
私はアルバートを愛しているんだから、いいのよ。2人で手を繋いで歩いてても変じゃない
わよ。誰も変な目で見てないわよ・・・気にしてるのはアルバートだけよ」
「そうかい?」
アルバートさんは、キャンディの目を見て、子供の様に言った
「そうよ、私は、今30歳のアルバートを愛しているのよ。私が愛しているんだから、周り
なんて関係ないわ。それじゃダメなの?アルバート」
「とんでもない・・・キャンディが僕を愛してくれてるだけで、充分だよ」
「そうでしょう?くすっ、そしたら、もう年の差なんて気にしないのよ」
そう言うと、キャンディはアルバートさんの腕に自分の腕をからめて、体をピタッと付けた。
「そうだな、気にしないよ。さぁ、もうマーケットだ。2日分の食材を、とりあえず買おう」
「うん、さぁ、今日は何を作る?」
「キャンディは座ってていいんだよ。くすっ・・・またキャンディがキッチンに立つと、鍋が暴れるからな・・・」
アルバートさんは思い出して笑った
「もぉ大丈夫よ」
「本当?」
「えっ?たぶん・・・・」
キャンディが下を見て言った
「くっくっく・・・自信ないんだろ?」
アルバートさんは下を向いてるキャンディを覗き込んで言った。
「へへっ・・・一緒に作りましょうか、アルバート」
2人は楽しく買い物をした。これから全く無いであろう2人っきりの時間。それも何日も
だなんて、2人には天国だった。当然のごとく、帰りも買い物袋を片手に持ち、手を繋いだり
腕を組んだり・・・幸せ一杯の2人だった。別荘に戻ると食材を片付け、窓を開けた。
すぐ目の前は湖だった。キャンディは嬉しくなり走って外に出た。アルバートさんは
その後を追い掛け、キャンディを湖の手前でつかまえた
「ほ〜らっ、つかまえたぞ、キャンディ」
「とっても気持ちいいわね」
「そうだね・・・シカゴの本宅と、あまり変わらないけど、殆ど人も来ない。僕とキャンディ2人の湖みたいだね」
アルバートさんは、キャンディの肩を抱き言った
「本当?凄いわね・・・沢山手を繋いでお散歩できるわね」
「うん、今日は、もう夕方だから、明日か明後日にでも、ゆっくり歩こうか」
2人は、そのまま座り、のんびりと2人の時間を過ごした。キャンディの膝枕でアルバートさんは、くつろぎ
キャンディは、そんなアルバートさんの髪を触り、2人の幸せな時間が流れていた。

「さぁ、キャンディ、夕食でも作ろうか」
「そうね、作らないと食べられないものね・・・くすっ」
2人は手分けして料理をしているが、殆どはアルバートさんが作っていた。キャンディは、なかなか出番がなく、
皿を出したり、洗い物をしたり・・・
”何でも出来るアルバートが夫で良かったわぁ”・・・とキャンディはつくずく思った。
「さぁ、食べようか」
「うん、いただきます・・・アルバート、とっても美味しいわね」
「そりゃそうさ、僕が作ったんだからね」
アルバートさんは自慢げに話している
「そうね、私の出番は無かったわね・・・後片付けは、まかしてね」
「うん、頼むよ」

食事も後片付けも終わり、2人は、ソファーでのんびりとしていた。キャンディはこれからのアードレー夫人の
事が気になっていた。どんな仕事をして、何をするのかを殆ど知らなかったからだった。
「アルバート、この休暇が終ったら、私はアードレー夫人としての、お仕事が始まるの?」
キャンディは不安げな目でアルバートさんを覗きこんで言った
アルバートさんは、キャンディの肩を抱き、自分に引き寄せて言った
「そうだね。少し心配になっちゃったかい?少しずつ入って来ると思うよ。1番初めは結婚式とパーティーに
来てくれた人への、お礼状書きだね。・・・と言っても、今回は沢山の人が来てくれたから、印刷して貰ってるんだ。
宛名は執事が書いてくれるから、キャンディは一言何かメッセージを書くんだよ。でも、今回は700枚位あるかな」
「700枚?」
キャンディは枚数の多さに驚いた
「そうだよ、参加して下さったのは1000人位いたと思うんだ。だけど、夫婦で来てたり、家族で来てたりって
いうのは、まとめて1通にするんだ。それでも、今回は700枚位あると思うよ・・・」
「そう・・・結構大変そうね・・・」
「そうだね・・・帰ってから1週間〜10日で発送出来れば大丈夫だから、1日70枚位か・・・今回は大変だけど、
頑張ってくれよ。普段は年に2回位、僕の主催するパーティーをやる予定なんだ。それは300枚づつ位になると
思うから、今回ので慣れてしまえば問題ないと思うんだ。でも今回のじゃ、慣れないよな・・・今回のは大変と
思うだけの作業だもんな。慣れて楽しくなってくれるといいんだけど・・・キャンディ、心配することはないよ。
少しずつ慣れればいいんだからね、無理をするんじゃないよ」
アルバートさんは、不安気なキャンディの髪を触りながら話した
「あとは、何かあるの?」
「あとは、女性達は孤児院廻りをしたり、色々な協会の理事になったり・・・理事になれば協会の集まりにも出席
しないとならないね・・・でも理事の事はキャンディは若いから話は来ないと思うよ。他にも色々あるんだよ・・・
帰ったら、夫人の仕事は大おば様が詳しいと思うから、聞いたらいいよ」
「そう・・・お仕事、沢山あるのね・・・」
「あと、まだあるよ。キャンディは僕の妻だから、いつも僕の横にいないとダメだ。いつも僕に笑顔を見せて、
僕のエスコートでパーティーに出て、僕とダンスをするんだよ」
「くすっ、そのお仕事は、楽しそうね・・・でも私頑張るわ。貴方の妻ですものね」
キャンディがやっと笑顔を見せた。
「うん、僕の妻だ。僕も助けてあげるから、大丈夫だよ。安心していいよ」
「えぇ、わかったわ。本当にアルバートが私の夫で良かったわ。安心していられるわ・・・」
「そうだよ。僕は君を守るんだからね。あと、孤児院廻りとかは、キャンディはアードレー夫人だから、本来なら
中心となってやらなければ、いけないんだけど、君は若すぎるからキャンディが40歳とかになるまでは、
他の人に中心になってやって貰う様に、僕が頼んだよ。
キャンディが、もっと早く皆をまとめられる様になれば別だけど、急がなくていいと思うんだ。
キャンディは、これから子育てという、大切な仕事も入ってくるしね。まず第一に、家族の事をやって、子供も
大きくなって余裕が出て来たら、夫人達の中心になればいいと僕は思うんだ。どうだい?キャンディ・・・」
アルバートさんはキャンディを覗きこんだ
「えぇ、私も、その方が助かるわ。私は、やぱり家族を大切にしたいの。だから、家族の事を
ほったらかしにして仕事はしたくないわ」
「キャンディなら、そう言ってくれると思ってたよ。キャンディは両親が分からない。僕は、
僕を産んですぐ母は亡くなったし、父も僕が小さい時に亡くなった。そんな僕達夫婦だから
家族だけは大切にして、生きていきたいと僕は思うんだ。きっと、キャンディも僕と同じ
考えでいてくれると思ってたんだ。僕の思っていた通り、キャンディも同じ考えで嬉しいよ」
アルバートさんは、キャンディに微笑み、キャンディも微笑んだ。
「昨日、大統領が言ってたわね。アルバートと私は感性が同じだって」
「あぁ、嬉しい言葉だよな・・・同じ物を見て、同じ事を考えて、同じ事を思うって、なかなか出来ない
事だけど、僕たちは感性が同じだから出来るんだもんな。死ぬまで同じ感性でいようね、キャンディ」
「そうね、死ぬまで一緒にね・・・」
アルバートさんは、キャンディを抱き上げ、寝室へ向かった
「昨日は疲れて、すぐ寝てしまったけど、今日の夜は長いよ・・・くすっ」
「いやだ・・・アルバート・・・くすっ」
「だって、今日は新婚旅行だからね」
「ふふっ・・・そうだったわね」
アルバートさんは、キャンディをベットに降ろすと唇を重ねた。深い深いキスへと変わり
キスが下へ下がってくる・・・キャンディの夜着もアルバートさんの夜着も静かに床に落ち
2人は重なりあう・・・

2人が目を覚ますと、陽も昇り、かなり高くなっていた。それでも2人はベットで、もぞもぞとし、
起きる気配がない・・・
「キャンディ、今日は、ずっとベットに居ないかい?」
アルバートさんは隣に居るキャンディに言った
「ん?本当に?私は別にいいわよ。こんな事、一生出来そうに無いから・・・くすっ」
「そうだよな・・・この旅行でしか出来ないよな。じゃぁ、今日は1日、ここに居よう。明日は
別荘の周りを歩いて、買い物に行くのはどう?」
「あっ、それいいわね。そうしましょう」
どうやら、2人の明日までの予定は決まったらしい。2人は、こんな旅を満足していた。
この日は、本当に1日中ベットに居た。愛し合い、ふざけあい・・・食事が終ると
アルバートさんは、またキャンディを抱き上げ、ベットへと連れて行った。2人は2人だけの
時間を満喫して1日が終った。

翌日・・・
「今日は起きるよ!キャンディ」
「そうよ、今日は散歩するでしょ?朝食が終って少し経ったら行きましょう」
「うん、そうだね、その後は買い物だ」
朝食が終ると、すぐに2人は散歩に行く用意をした。
「キャンディ、着替えたらおいで」
「えぇ、すぐに行くわ」
アルバートさんは、先に庭に出てデッキチェアーに座っていた。
少しするとキャンディが出てきて、デッキチェアーに座っているアルバートさんに後ろから
目隠しをした。
「ここには、キャンディしか居ないんだから、すぐに分かるよ。くすっ」
アルバートさんは、キャンディがしている目隠しの手を外し、キャンディを引き寄せた。
「キャンディ、少し首周りが開きすぎてないかい?その服・・・」
アルバートさんは、キャンディを見て目を丸くして言った
「そお?とっても気に入っていたんだけど・・・」
「その服、前から持ってたの?」
アルバートさんは、少し不満げな顔で言った
「えぇ、去年買ったのよ。とっても可愛いと思って買って、気に入ったから仕事に行く時とかに
着ていたの。ダメだった?」
キャンディはアルバートさんを覗きこんで聞いた
「え?仕事にも着て行ってたの?僕は、キャンディが、そんな服を着ているのが嫌なんだ・・・他の男に見せたく
ないんだよ。僕だけに見せるなら喜ぶけどね・・・くすっ。さぁ、キャンディこっちにおいで」
そう言うとアルバートさんはキャンディを引き寄せ肩を抱いた。
「本当にキャンディには、ハラハラさせられるよ。僕はキャンディの肩がドレスから出ているのも
気になるんだよ。他の男に見せたくないからね。でも、そんなドレスを着ると、キャンディは
凄く綺麗なんだよ。僕1人で見ていたいけど、そんな訳にもいかないだろ?だから僕が
エスコートする時以外は、あんなドレスは着せないよ」
「わかったわ。貴方が望まないことはしないから大丈夫よ。アルバートは、だっだ子みたいね」
「何と言われようと、僕は譲らないからねっ。くすっ・・・この服のキャンディも可愛いけど、他の男が見ると
思うと嫌なんだよ。今日は僕と一緒だからいいけどね。僕と一緒じゃない時は、この服も着て欲しくないな・・・」
「くすっ・・・分かったわ、困った人ね。さぁ、散歩しましょう」
2人は別荘の周りを歩いた。登りやすい木を見つけて木登りもした・・・あっというまに昼になろうとしていた。
2人は手をつなぎ、買い物に出かけた。せっかくミルウォーキーに来たのだから、街も歩こうと決め2人は
まず、レストランで食事を済ませる事にした。シカゴでは覗く事のない雑貨店を見たりして楽しんだ。
ここは、シカゴではないからと気を緩めていた2人だったが、やはりアードレー夫妻・・・街では気付かれ
声を掛けられていた・・・結婚のお祝いの言葉も頂いた。2人は、初めは戸惑ってしまったが、諦めて
街の人たちとの会話も楽しんで、食材の買い物を済ませると別荘に戻った。

買い物から戻る途中、とても湖が綺麗に見える場所を2人は見つけた。
「ねぇ、アルバート、荷物置いたら、ここへ来ない?公園もあるし、景色もいいわよ」
「そうだね、来てみようか」
2人は一度別荘に荷物を置いて、戻って来た
木々が生い茂り、遠くには山も見える・・・そして湖がキラキラと輝き、シカやリスも公園には居た。
「アルバート、凄いわ・・・とっても気持ちいいわね」
「そうだね。あっ、キャンディ、もう少しで夕日が沈むよ」
アルバートさんの指差す方向には、沈んでいく夕日があった。とても大きくて赤々とした夕日を
ベンチに座って2人は見ていた
「凄くきれいよ、アルバート。こんな夕日を見るの初めてだわ」
キャンディは目を輝かせて喜び立ち上がり、数歩進み夕日に釘付けになっていた。
「ほんとうだね・・・とってもきれいだ」
立ち上がって見ているキャンディの隣にアルバートさんは行き、キャンディの腰をぐっと
引き寄せ腰を抱いて夕日を見た。いつの間にかアルバートさんの唇はキャンディの唇に
重ねられていた・・・
「こんな素敵な景色をキャンディと見れて良かったよ」
「本当ね、アルバートと見れて良かったわ。ここに旅行に来て良かったわね」
「うん、本当に良かったよ。キャンディ、僕のわがまま聞いてくれるかな?」
「くすっ・・・どんなわがままかしら?」
「明日、また1日ベットで過ごしたいんだ」
「くすっ、いいわよ。もう明日1日しかないし、シカゴに戻ったら2人で一日中ベットに
居るなんて出来ないから、アルバートのわがまま聞いてあげるわ」
「キャンディ、ありがとう・・・もう今から明日が楽しみだよ」
アルバートさんはニコニコして喜んでいる
「くすっ、明日じゃなくて、今晩からよ」
「そうだね。じゃぁ、別荘に戻って夕食作ろうか。」
「今日は、私も作るの手伝わせてね。くすっ」
2人は別荘に戻って行った
”生まれて初めて見た気がするほど綺麗な夕日を、私は一生忘れない・・・とっても素敵だった・・・
アルバートと見たから余計に素敵に見えたのかしら・・・”

2人は夕食が終るとシャワーを浴び、早々にベットに座り、アルバートさんはキャンディの
肩を抱いていた。
「夕日きれいだったね、キャンディ」
「うん、とっても大きくて、きれいだったわ・・・」
「今日はキャンディの洋服に驚かされ・・・くすっ、今日も楽しかったね」
「そうね、あの服を着た私を見たアルバートの顔、可笑しかったわ、くすっ」
「すごい顔してた?くすっ」
「うん、顔の半分が目になってたわよ」
「くっくっく・・・ビックリしたからねぇ」
「男の人って、皆そうなの?他の男の人に見せたくないと思うのかしら?」
キャンディはアルバートさんを覗きこんだ
「どうかな・・・人に聞いた事ないから分からないけど、僕は嫌だよ。キャンディの肌は
僕にしか見せないで欲しいと思うよ。僕が隣りに居るならドレスで肩が出る位なら許すけどね。
婚約発表した時のドレスは、結構首廻りの開いたのを作っただろ?社交界やパーティーでは
皆あれ位のドレスは着てるから、いいだろうと思って作ったけど、キャンディが着たら他の
男には見せたくないと思ったからね・・・」
アルバートさんはキャンディの頬を撫でながら言った
「ふ〜ん、そんなものかしらね・・・でも、大切にして貰ってる感じがするわね」
「うん、僕がそう思うだけだから、アーチーやディックは別の考えかも知れないよ」
「そうね。でも、アニーやパティーが胸や肩の大きく開いたドレスや服を着るのは想像も
つかないわね。くすっ・・・あの2人は、あまり開いてないドレスを着て、洋服も少女って
タイプだもんね。アーチーやディックは、その心配がないかもね。くすっ・・・」
「うん、なんか僕もそんな気がするよ。でもキャンディは、あの2人が着ない様なドレスを
着ると、とっても綺麗だから僕は着て欲しいと思うんだよ。でも・・・」
「アルバートと居る時だけでしょ?くすっ」
「そう!僕がエスコートする時だけだよ。キャンディ、ドレス結構枚数必要になってくるよ。
パーティーのたびに同じドレスって訳にはいかないから、シカゴに戻ったら作りに行こうね」
「じゃぁ、一緒に行ってくれる?布とデザインを一緒に選んで、アルバート」
「うん、僕がキャンディに着て欲しい色とデザインを選ぶよ」
そしてベットで過ごす、凄く長い長い時間が始まった。キャッキャとじゃれ合ったかと思えば
唇が重なったり、見つめあったり・・・愛し合ったり・・・どっぷり2人きりの世界に浸り、
最後の1日を楽しみ、更に出発の朝まで、そんな世界を満喫した2人だった。2人にとっては
2人きりの時間が、こんなに長くある事は、もう二度とないだろう・・・そう思うと、とにかく
1分1秒でも2人でくっ付いて居たかった様である。シカゴへ戻り、2人は現実に引き戻された。
夢の様な日々から、なかなか現実に戻れないかも・・・と思っていたが、本宅での目の多さに
一瞬で現実に戻されてしまった2人だった。
アルバートさんの休日最終日は、キャンディのドレス作りの為シカゴの街でのデートとなった。
流石に手を繋いで歩く事はしなかったが、腕を組み寄り添いながら2人は歩き、街に居た
人たちは、そんなアードレー夫妻を微笑えんで見ていた。
夢の様な幸せな休暇は終わり、アルバートさんは仕事の日々、キャンディは教育の日々
となった。この旅は、2人にとって一生忘れる事の出来ない、宝物となり貴重な時間と
なった事は間違いない・・・