シカゴの風
       8 あとがき

 8

暑い夏がやってきた。お腹が大きいキャンディは、暑くて暑くて大変だった。木陰に行ったり
屋敷の中でも、1番涼しい部屋を探して見つけては、その部屋で寛いでいた。
お腹が大きくなり、歩くのも段々と大変になってはきたが、それでも普通の妊婦さんよりは
動きも軽く、早かった。アルバートさんは、キャンディが動くたびに転びやしないかと心配で
心配で仕方なかった。そんなアルバートさんを見て、大おば様は笑っていた。
アーチーとアニー、ディックとパティーの2組のカップルは一緒に9月に、婚約発表のパーティーを
開く事が決まり、テリィとローズは10月に結婚式が決まっていた。それぞれ大イベントだが、
それよりも大きなイベントはキャンディの出産だと、皆が思っていた。
いつ生まれるのかと、皆が楽しみに待ち、テリィに至っては週に1回電話をかけて来ていた。

8月10日の朝、朝食を終えて部屋に戻って来たアルバートさんとキャンディ。
部屋に入ると、お腹を擦り始めたキャンディ・・・
「キャンディ、どうした?お腹痛いのか?」
アルバートさんは、少しオドオドし始めた
「うん、何か、お腹が張ってきたし、時々ちょっと痛いのよ。もしかしたら、陣痛が始まったのかしら?」
キャンディは平然と話す
「キャンディ・・・陣痛って・・・もう生まれるって事?」
アルバートさんは益々落ち着かない
「うん、陣痛ならね・・・先生を呼んで貰ってもいいかしら?アルバート」
「あぁ、すぐに呼んでくるよ。待ってて・・・」
アルバートさんは、先生の居る部屋に行き、先生を呼んだ
先生は予定日が近い事もあって、今朝は朝から来てくれていた。先生は検診をして言った
「アードレー氏、今日、生まれそうですね・・・まだ時間はかかると思いますので、早くて夕方
かと・・・とりあえず、奥様を病院にお連れ致します」
「え?今日ですか?僕は、どうしたらいいんでしょう・・・」
アルバートさんは、どうしたらいいのか、全く分からなくなった。キャンディは笑っている
「くっくっく・・・アルバート、貴方は仕事があるでしょ?仕事に行ってちょうだい」
「何を言うんだい、こんな日に仕事なんて出来ないよ」
「何を言ってるの。午前中に大切な打ち合わせがあるでしょ?貴方がお仕事しないでどうするの?
大丈夫よ。そんなに、すぐに生まれないわよ。仕事を、きちんと終らせてから病院に来てちょうだい」
キャンディは強かった、そんなキャンディをアルバートさんは、ジッと見て言った
「分かったよ・・・打ち合わせは、昼には終る。そしたら、すぐに病院に行くよ」
アルバートさんは、自分は、きちんと仕事をしなければダメなんだと気付いた。
そして、いつもの落ち着いたアルバートさんに戻った。
”やっぱり、僕にはキャンディが居ないとダメなんだなぁ。こんなに乱れた心を
平常に戻してくれるのは、やっぱりキャンディなんだ”
「えぇ、そうしてちょうだい。良かったわ、いつものアルバートに戻ってくれたわね。午前中は
アニーとパティーに来て貰うから、2人に頼んで来てくれる?」
「あぁ、今、言ってくるよ」
アルバートさんは、アニーとパティーを呼びに行った。戻ってきた時には、アーチーとディックも
一緒に来た。それを見たキャンディは可笑しくて仕方なかった。
「くっくっく・・・アーチーとディックも来たの?貴方達も仕事よ」
「大丈夫かい?キャンディ・・・」
アーチーは、とっても不安な顔をしている
「大丈夫よ、まだ少しお腹が痛いだけだから・・・早くて夕方って先生が、おっしゃってたわ。
午前中は、悪いけどアニーとパティーに付き添って貰うわ。お昼過ぎにはアルバートが来てくれる
みたいだから、午後はアルバートに替わってもらうから・・」
「僕とアーチーも、仕事が終って夕方になったら、病院に行ってもいいかい?」
「えぇ、構わないわよ」
「じゃぁ、アルバートさん、オフィスに行きましょうか・・・アニーとパティーが居れば、午前中は
大丈夫ですよ、きっと」
アーチーがアルバートさんに言った
「そうだね、悪いけどアニー、パティー、キャンディを頼んだよ。テリィには僕が連絡しておくよ」
「はい、わかりました。テリィと約束でも?」
アニーもパティーも少し不安はあったが、やっぱり女の強さが出ていた
「うん、テリィが見たいんだって。お腹の中で動いてた子が、どんな子か・・・」
アルバートさんが笑って言った
「くすっ、テリィらしいなっ」
「じゃぁ、行ってきます。キャンディ、頑張ってくれよ。僕も終ったら、すぐに行くからね」
3人はオフィスに向かった。3人が居なくなった後、アニーが笑って言った
「なんか可笑しいわね。私たちもそうだけど、男の人なんて、何も出来ないのにね。アルバート
さんは、何か出来るにしても、アーチーとディックなんて全くなのよ。それなのに、あの2人少し
オドオドしてたわよね・・くすっ・・・出産はキャンディにしか出来ないのよね。そのうち、私も
パティーも、こんな風になるのね・・・」
「そうよね・・・ママになるって凄い事よね。出産が出来るから、女は強いのよね?キャンディも
そう思うでしょう?」
パティーが言った
「本当にそうよね。ママは強くなきゃね!」
「キャンディ、荷物は、あそこにあるバックでいいのかしら?」
「えぇ、そうなの。よろしくね」
「キャンディス様、お車の用意が出来ました」
使用人がキャンディを呼びに来た
「ありがとう。アニー、パティー悪いけど、午前中お願いね」
キャンディは申し訳なさそうに言った
「何を言ってるの、キャンディ。私達に出来る事なんて、殆ど無いのよ。だから気にしないで」
「本当よ、キャンディの側に居る事しか出来ないのよ・・・」
キャンディは2人の言葉がとても嬉しかった
病院は本宅から10分程の所にあり、キャンディは特別室に入院する事になった。
まだ、お腹はそれ程痛まなかった為、3人で楽しくおしゃべりをしていた。昼を過ぎた頃から、
キャンディは顔を歪める様になってきた。アニーとパティーは、キャンディが顔を歪める度に
オドオドとしていた。暫くして、アルバートさんが病室に入って来た。オフィスから直接来た為
黒いスーツのままだった。
「キャンディ、やっと来れたよ。どうだい?」
「アルバート、お仕事終ったの?」
「あぁ、きちんと打ち合わせは終らせて来たから大丈夫だよ」
「そぉ。それならいいわ・・・今は少し痛みが止まってるの」
「そうか、分かった。アニー、パティーありがとう。君達が居てくれて良かったよ。キャンディも
1人じゃっ心細かったろうけど、2人が居たから大丈夫だったと思うよ。あとは、僕が付き添うから
大丈夫だよ。あと、どれ位なんだろう・・・」
アルバートさんは、アニーとパティーに本当に感謝していた。
「さっき、先生は午後4時〜5時位と、おっしゃってましたよ」
アニーは、先生に聞いた事をアルバートさんに伝えた
「そうか・・・君達はどうする?本宅に戻ってていいよ」
「アルバートさん、私達、ここに残っていてもいいですか?」
「え?構わないけど・・・社会勉強になるのかな?くすっ」
「えぇ、知っておきたいんです・・・」
パティーがアルバートさんとキャンディを見て言った
「キャンディ、いいかい?」
「えぇ、いいわよ。怖くならないでね」
キャンディは2人を見て、心配そうに言った
「大丈夫よ。女は強いんだから・・・くすっ」
「そうだったわね・・・くすっ・・・いたっ・・・」
「キャンディ、大丈夫かい?僕は何をしたいい?」
「手を・・手を握ってて欲しいわ・・・」
「あぁ、分かった・・・ごめんよ・・キャンディ、こんな事しか出来ないね・・・」
アルバートさんは、何も出来ない自分が小さく思えた
「何を言うの・・・充分よ・・いたっ・・・」
キャンディはお腹が痛くなったり、止まったりと繰り返し、段々とその繰り返す間隔も短くなてきた。
先生が様子を見に来た。
「アードレーさん、お産が進んで来てますね。既に陣痛の間隔が2分を切ってます。もう少ししたら
分娩室へ行きます」
「僕は、どうしたらいいんでしょう・・・」
「分娩室には入れませんので、分娩室の前のイスでお待ち頂く様になります」
「わかりました」
アルバートさんは、もうこれ以上は何もしてあげれないと分かり、じっと待つ覚悟を決めた
こうしてる間にも、キャンディは苦痛な顔をしている。額には沢山の汗が出ていた。アルバートさんは
キャンディの汗を拭き、ずっとキャンディを見つめ、手を握っていた。
そして、ついにキャンディが分娩室に運ばれて行った。アニーとパティーは分娩室前のイスに座り
神に祈りを捧げ、アルバートさんはウロウロと歩き、時々、分娩室のドアを見つめては、
またウロウロとしていた。キャンディが分娩室に入って50分・・・16時30分
「オギャー、オギャー・・・」
赤ちゃんの泣き声が聞こえた・・・アニーとパティーは立ち上がり、アルバートさんはドアの前に行った
「今、泣いたね・・・」
「えぇ、泣いてましたね・・・アルバートさん、おめでとうございます」
アニーもパティーも安心して、嬉しくて涙がこぼれた。アルバートさんも目を潤ませていた。
赤ちゃんの泣き声がして10分が過ぎた頃、看護婦さんが赤ちゃんを抱いて、アルバートさんの
所に来た
「アードレー氏、おめでとうございます。3250gの立派な男の子でございます。お抱きになりますか?」
「はい・・・」
アルバートさんは、恐る恐る、小さな小さな我が子を、そっと両手で抱いた。
”こんなに小さいなんて・・・君が僕たちの子なんだね。初めまして・・・パパだよ。
これから、僕とキャンディの家族の仲間入りだよ・・・”
アルバートさんは、少し抱くと看護婦さんに、我が子を預けた
「あの・・・妻は・・・」
アルバートさんは、キャンディが心配だった
「はい、今、産後の処置をしております。あと15分程で病室へお連れ致しますので、病室で
お待ち下さい」
「はい、分かりました。アニー、パティー病室へ行こうか」
アルバートさんは、アニーとパティーと一緒に病室へと移動した。アルバートさんは、胸が一杯だった。
我が子を産んで、自分に抱かせてくれたキャンディの偉大さも感じていた。
「赤ちゃん、小さかったわね・・」
「あんなに小さいなんて・・・あの子がキャンディのお腹の中で動いていたのね・・・」
「あんな可愛い、我が子を見たら、出産の痛みも忘れるんでしょうね・・・」
アニーとパティーも、出産という物を近くに感じ、怖がるどころか楽しみにしている様だった。
「アルバートさん、抱いてみてどうだった?」
「うん、小さくて怖かったな・・・でも、初めて対面出来て、これが僕の子か・・・僕とキャンディの間に
来てくれた子なんだって思ったよ。しっかりしないとな、くすっ」
「くすっ、本当ね、アルバートパパ」
パティーがからかう様に言った
「何か照れるね・・・でも、あと3人、僕とキャンディの間に来て貰うんだ。あと3回キャンディは
お腹を痛めるんだなぁ。今回ので嫌になったかな?キャンディの事だから、そんな事ないな。
きっと産めて幸せだったと思っているだろうな・・・」
アルバートさんは、キャンディの顔を想像して言った
「え?アルバートさん・・・4人子供を?」
「キャンディは4人も産むの?」
アニーとパティーは目を丸くした
「うん、僕たちの計画では、男の子2人、女の子2人だよ」
アルバートさんは、驚いてる2人を見て可笑しくなった
「す、すごいわね・・・びっくりだわ」
「くすっ、でも、アルバートさんとキャンディらしいわね」
そんな話をしていると、キャンディと赤ちゃんが病室に来た。アニーとパティーは気を利かせ
病室の外に出て、イスに座った。
「キャンディ、お疲れ様」
「えぇ、きちんと生まれて来たわね。立派な男の子が・・・」
アルバートさんは、キャンディの手を握って言った
「あぁ、よく頑張ってくれたね、キャンディ。やっぱり僕は何も出来なかったね」
「とんでもない・・・私が1番辛いときに、側に居て手を握っててくれたわ。とても心強かったのよ。
貴方がいてくれるだけで・・・」
「キャンディ・・・」
アルバートさんは、一筋の涙を流した、そして言った
「キャンディ、本当にありがとう。キャンディが頑張ってくれたから、僕は赤ちゃんに会えたし、
抱くことが出来たんだ。本当に、ありがとう」
「えぇ、私こそアルバートに感謝したいわ。こんな素敵な体験をさせて貰えたわ。それに、貴方と
私の赤ちゃんに会えて、抱ける。とっても嬉しいわ」
「うん、良かったよ。キャンディ、凄く辛かったと思うけど、まだ3人産む気あるの?」
アルバートさんは、答えが分かっていたが、聞いてみた
「当然よ」
「やっぱりね。君はそう言うと思ったよ、くすっ」
「でも、男の子で少し安心したわ・・・」
キャンディが本心をポロッと言った
「キャンディ・・・君はもしかして・・・」
「うん、少し気になっていたの。あなたはアードレー本家の総長だわ。そして私はアードレー夫人。
やっぱり跡継ぎの事が気になったわ・・・」
「そうか・・・実は僕も男の子で、ホッとしたんだ。僕達が何とも思わなくても、周りはうるさい・・・
その事でキャンディが傷付くのが嫌だったんだ。僕は、君を守るけど、僕が居ない時だってある。
その時に傷付く事を言われたら・・・と思うとね。最初に男の子が生まれてしまえば、周りも何も
言わないし、キャンディも傷つけられる事もない。だから、男の子だったら・・・と思っていたんだ」
アルバートさんは、キャンディを1番に思い、自分の気持ちを話した
「アルバート、ありがとう。私の事を心配してくれていたのね・・・私も同じ事を考えていたわ。
アルバートだって言われるわ、男の子を産めない妻を貰ったって・・・でも、これで誰も何も
言わないわね。本当に安心したわ。赤ちゃんにも感謝しないとね」
「キャンディ・・・愛してる・・・」
「私も愛してるわよ・・・アルバート」
2人の唇が重なり、アルバートさんはキャンディを強く抱きしめた
「さぁ、アニーとパティーが待ってるね。呼んで来るよ」
アルバートさんが病室から出ると、アーチーとディックがスーツ姿で居た
「アーチー、ディック、仕事は終ったのかい?」
「アルバートさん・・・もう17時過ぎてますよ。くすっ・・・きちんと終らせて来ましたよ」
アーチーが少し笑って言った、アルバートさんは時間も分からなくなっていたのだ。
「もう、そんな時間か。とにかく皆、中に入ってくれよ」
4人が病室に入って来て、それぞれキャンディに言った
「キャンディ、お疲れさま」
「おめでとう・・・」
「アニー、パティー、今日は、ありがとう。無事に生まれたわ」
アニーとパティーは小さな赤ちゃんを見て喜び、アーチーとディックは小さすぎる赤ちゃんを
怖がっていた。
「元気なキャンディと赤ちゃんを見たから、僕達は帰るよ」
「そうだね、キャンディも疲れてるだろ?」
アーチーとディックはキャンディを気遣った
「ありがとう。アルバートも戻って。アルバートの口から、大おば様に報告してきて欲しいの。
それに・・・仕事の書類持ってるでしょ?お仕事をきちんとやらないとダメよ」
「くすっ、キャンディには、この書類が見えていたんだね。分かったよ。大おば様に報告して、仕事も
片付けるよ。明日も仕事を終らせて、夕方来るからね」
アルバートさんは、キャンディの頭を撫でて言った
「えぇ、待ってるわ。アルバート、私、横になりたいから、後ろのクッション外してくれる?」
「うん、いいよ」
そう言って、クッションを外そうとしたアルバートさんの首にキャンディは抱きつき、耳元で言った
「今日は、ありがとね。5日間淋しいけど1人でねるわ」
「あぁ、僕もだ・・・」
アルバートさんは、キャンディを抱きしめキスをした。
ドアから出ようとしたアーチーとディックは、そんな2人を見てしまった。外にでた2人はコソコソと
話した
「本当に可愛い事をする人だな・・・キャンディは・・・」

アルバートさんは本宅に戻ると、すぐに大おば様に報告した。
「大おば様、キャンディは無事、男児を出産致しました。キャンディも子供も元気で、5日後に
退院して戻ってきます」
「おお、男児ですか・・・キャンディは本当に、立派なアードレー夫人ですね。私も安心しましたよ。
これで、心無い事を言われ、キャンディが傷付く事もないですね。良かったですね、ウィリアム」
大おば様は、涙を浮かべて喜んだ。アルバートさんは、大おば様もキャンディが周りから
心無い事を言われる事を気にかけてくれていた事が嬉しかった。本当に大おば様はキャンディを
心から好んでくれていると思った。
「はい、僕もキャンディも、男児の誕生でホッと致しました。大おば様も気にかけて頂けてた様で
嬉しく思います。キャンディが、ここに居たら、また泣いてますよ、くすっ」
「そうですね、また私が泣かせてしまう所でしたね、くすっ。ウィリアム、貴方も父親です。
しっかりしなければ、いけませんよ。でも貴方にはキャンディが居るから大丈夫ですね」
「はい、大おば様、僕自身もしっかりしますし、キャンディにも助けてもらい、僕もキャンディの
支えになりますよ」
アルバートさんは、子供の誕生により、決意をあらたにした。

テリィは舞台があり、来れない為、電話でアルバートさんにお祝いをのべた。
翌日の新聞には、アードレー家、男児誕生の記事が小さく載っていた。
5日後、キャンディと赤ちゃんは無事退院し、大おば様も赤ちゃんを抱き、とても喜んでくれた。
赤ちゃんの名前は、アルバートさんとキャンディで話し合い”ウィリアム・ケヴィン(K)・アードレー”
と命名された。
バタバタと育児をしている間に9月になり、アニーとアーチー、パティーとディックの婚約発表が
行われた。キャンディとアルバートさんは、やっと、この日が来たと、とても喜んでいた。
大おば様もとても喜び、2組のカップルを幸せそうに見ていた。
ところが・・・婚約発表の5日後、大おば様は急に体調を崩し、その1週間後、大おば様は
永遠の眠りについた・・・
キャンディは悲しくて、悲しくて、1日泣いていた・・・でも、次の日には自分を取り戻し、
いつものキャンディになっていた。
「アルバート、私は、大おば様が大好きだったの・・・大おば様が亡くなって、とっても悲しかった
でも、悲しんでいたらダメなのよ。大おば様は、悲しんでる私を望んでいないわ、きっと・・・
私のやるべき事をやったら、大おば様も喜んでくれるわ。子育てをして、アードレー夫人として
やるべき事をやる。そして、私らしく笑顔で大おば様を送りたいわ・・・」
キャンディは、アルバートさんの胸でアルバートさんに包まれ、自分を取り戻して言った
「そうだね、キャンディ。大おば様も、キャンディの笑顔が大好きだった。キャンディが悲しい顔を
していたら、大おば様も悲しむね・・・僕とキャンディは、笑顔で大おば様に感謝して、大おば様を
見送ろう」
アルバートさんは、キャンディをギュッと抱きしめて言った
「えぇ、私達は大おば様に、ケヴィンを抱かせてあげたわ。アーチーとディックは結婚する事を
報告が出来たわ。きっと、安心してくれてるわよね・・・」
キャンディは涙が出て来た。アルバートさんは、そっと涙を拭いてあげた・・・
「うん、キャンディ、僕達は大おば様の近くで生活出来て、幸せだったね・・・色々な事を教えて
貰って、沢山助けて貰った。キャンディを大好きになってくれて、沢山キャンディと大おば様は
話していたね。大おば様も、キャンディと居た時間は幸せだったと思ってくれていると思うよ」
「えぇ、幸せだったわ・・・これからは空から、ずっと見ててくれるわよね?アルバート」
涙を沢山溜めた目で、アルバートさんを見上げてキャンディは言った。
「そうだね・・・」
”キャンディ・・・君は本当に立派なアードレー夫人だね・・・こんな時でも立派にやってる・・・
そんなに頑張らなくてもいいのに・・・でも、きっと君の中にある、アードレー夫人が君を
そうさせてるんだろうな・・・無理をしている様には見えないもんな。君は本当に凄い女性だよ。
そんな君が僕は、愛おしくてたまらない・・・これからは、頼れる大おば様も居ない・・・
これからのアードレー家は、僕とキャンディで支えていこう・・・僕とキャンディの2人なら出来る
そんな自信を僕は、君と居ると持つことが出来るんだよ・・・キャンディ・・・”
アルバートさんは、キャンディに深いキスをした・・・

この時、アードレー家の1つの時代が終った様な空気が流れた
そして、新しい時代の訪れが・・・その時代を作っていくのは、アルバートさんとキャンディだと
皆が思っていた。すでに、その時代は動き始めている・・・2人が共に人生をスタートさせた時から
その時代は少しずつ動いていたのだった・・・
幸せに満ちた2人・・・アードレー一族をも幸せにする2人・・・アードレーは益々輝きを増していく・・・
シカゴの風は、2人を包み幸せを皆に運んで行った・・・


      シカゴの風  〜end〜

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。   
感想を掲示板に御記入頂けると嬉しいです。