G・B 〜グレートブリテン〜
1        
 あとがき

     G・B 〜グレートブリテン〜
     
     (注)この話は、キャンディキャンディ原本にある戦争が無かった場合を想像し
        kakoが創作した作品ですので、御了承ください。

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キャンディがポニーの丘で、アルバートさんが丘の上の王子様と知ってから3年が経ち、
キャンディは20歳になっていた。
ポニーの家近くの病院で働いていたが、何となくロンドンが恋しくなり、キャンディは10月に
ロンドンへ渡って来ていた。

ロンドンに来たキャンディは、家賃の安いチューブ(地下鉄)のシェパードブッシュ駅から歩いて3分の所に
アパートを借りた。家賃が安いだけあり、治安は少し悪かったが、夜遅く歩く事もないと思い、1ヶ月程住んでいた。
仕事はチューブのトッテナムコートロード駅近くの ”ジョーンズ外科”で看護婦をし、時間のある時には、
バッキンガム宮殿へ行き、衛兵交代を見て、充実した日々を過ごしていた。
秋も深まり、日が暮れるのが早くなると、17時迄の診察を終えると外は真っ暗・・・
シェパードブッシュは、少し裏通りに入ると、女性1人では怖さを感じる所もあり、キャンディは引越しを決意した。
”トッテナムコートロード近くで、夜も歩ける所がいいのよねぇ〜・・・なるべくチューブの駅近くで、
手頃な物件は無いかしら・・・”
3週間程探し、キャンディはチューブのセントジェームスパーク駅から歩いて5分程のアパートを見つけた。
”ここなら夜も歩けるし、大好きな衛兵交代を見て歩いて帰って来れるわね”
3階建ての石造りのアパートをキャンディは、とても気に入った。
室内は、リビングキッチン、バス、トイレ、小さめの寝室・・・1人暮らしには充分な広さだった。
空いていた部屋が2階の角部屋という事も気に入り、その日のうちにキャンディは契約をし、1週間後には
引越しを済ませていた。
キャンディは、毎朝、トッテナムコートロードまではチューブを使い通勤していたが、帰りは週に3日程度は、
買い物も兼ね、ピカデリーサーカスで下車し、ピカデリーの噴水を眺めてから、フォートナムメーソンで
買い物をして、グリーンパークのなだらかな坂を下り、バッキンガム宮殿の前を通り、
セントジェームスパークへ戻って来るという散歩を楽しんでいた。
この散歩コースがキャンディは大好きで、休日もチューブを使いピカデリーサーカスまで出て歩いていた。
休日はバッキンガム宮殿の衛兵交代を見る為に、朝早めに家を出て、衛兵交代を見てからアパートに
戻って来る様にしていた。
そんなキャンディを何度も見かけていた衛兵のピーター・キャボットは、キャンディに心を奪われていた。

とある日曜日・・・バッキンガム宮殿での勤務を終え、交代の伝達なども終え、いつもの様に列になって
行進していると、目の前にキャンディが居る事に、ピーターは気付いた。この日は珍しくキャンディと目が合い、
ピーターは、キャンディにウィンクした。ウィンクされたキャンディは、まさか自分にではないと思いつつ
顔を赤らめて周りを見回したが、バッキンガム宮殿の前からは少し離れた場所に居た為、キャンディの周りには
人が居なかった・・・
”え?周りに人が居ない・・・という事は、私にウィンクしたのかしら・・・でも衛兵なんて見られる事に慣れてるから
1人で居る私をからかったのよね・・・”
キャンディはパンの袋を片手に、セントジェームスパークへと足を向けた。
”あの子、袋にパンを入れてたよな・・・これからセントジェームスパークにでも行くのかな?あそこは動物が
沢山居るからパンをあげるのかも知れない・・・後で行ってみよう”
ピーターは行進しながらキャンディの事で、頭が一杯になっていた。
ナイツブリッヂの兵舎に戻り、素早く着替えを済ませると、ピーターは帰ろうとした。
「ピーター、今日はずいぶんと早いな。何かあるのか?」
同じく衛兵のフランクが言った
「うん、たいした用じゃないんだけどね・・・今日は先に帰るよ。じゃっ、お先に・・・」
ピーターは少しでも早くセントジェームスパークへ行きたかった為、フランクに早口で言うと、荷物を持ち
兵舎を出て行った。
「珍しいな、あいつが急ぐなんて。やっと恋人でも出来たのかな?」
フランクはボソボソと独り言を言いながら着替えた。
ピーターは、ナイツブリッヂからチューブに乗り、セントジェームスパークで降りると、急いで地上に出て
公園を歩き出した。セントジェームスパークは、ハイドパークやリージェンツパークの様に巨大な公園ではないが、
それなりの広さがあり、人を1人探すには、巨大な公園に感じた。
”あの子は、ここに来たのかな?パンを持っていたから、池の周りにでも居るかな・・・
ここじゃなくて、ハイドパークかな・・・もう帰ったかも知れない。とりあえず、池を1周して帰るか・・・”
ピーターは、ベンチに座っている人、ペリカンやリス、小鳥に餌をあげている人・・・公園に居る人、全ての人を
見る様に歩いていた。そして、もう居ないかも知れないと諦めかけた時、目の前に居る女性だけが、
自分の中で浮かび上がって見え、ピーターの心臓はドキドキしはじめた。
その女性は、ベンチに座り、リスにパンを与えていた・・・まさしくピーターが探していたキャンディだった。
ピーターはキャンディに近付き、深呼吸してから声をかけた。
「こんにちは。俺の事、わかりますか?」
キャンディは、ぽか〜んとしている・・・当然分かるはずもない。今、目の前に居るピーターは私服。
衛兵は近くで見ても、揃いの制服に黒い帽子・・・同じ様な顔にしかみえない・・・
「???・・・何処かでお会いしましたでしょうか・・・」
キャンディは考えたが思いつかず、申し訳なさそうに言った。
「そうですよね・・・分かるはずが無いですよね・・・今日、バッキンガム宮殿の衛兵交代を見に来られて
ましたよね?見物の人達とは少し離れた所に居て、衛兵にウィンクされたのは気付きましたか?」
ピーターは、キャンディの前に立ったまま言った。
「はい・・・それは気付きました・・・」
キャンディは不思議そうにピーターを見た。
”この人は、何で、そんな事を知ってるの・・・もしかして・・・この人が・・・?”
「ウィンクしたのが俺なんです。制服着て、帽子かぶってるから顔なんて分からないですよね・・・」
「ごめんなさいね・・・でも・・・言われてみれば、あなただった様な・・・くすっ」
キャンディは残念そうな顔をしているピーターを見て笑った。
”あんな帽子を被ってるから、はっきり分からないけど、この人の様な感じがするわねぇ・・・
とっても背も高いし、ハンサムで素敵な人だわ・・・”
「分かって貰えますか・・・?今、たまたま通ったら貴女が居たので、つい声を掛けてしまいました。
・・・すいません・・・ビックリしましたよね」
「くすっ、確かにビックリしました。お時間は、あるんですか?大丈夫なら、お掛けになりますか?」
キャンディはピーターに聞いた
「いいんですか?俺は仕事が終ったので、時間はあるんです。じゃぁ、お言葉に甘えて・・・」
キャンディは、少し端の方にずれ、ピーターはキャンディの隣に座った。
「よく、ここには来るんですか?」
「はい、ボーッと動物達にパンをあげるのが好きなんです。よくペリカンに手まで食べられちゃうんですけど・・・」
キャンディは、ピーターを見て微笑んだ
「くすっ、ペリカンに食べられると、結構痛いんですよねぇ・・・」
「くっくっく・・・やられた事があるんですね?本当に痛いですよね」
「くすっ、お名前伺ってもよろしいですか?俺は、ピーター・キャボットです」
ピーターは胸に手を当てて頭を下げた
「くすっ、英国の方って感じね。私は、キャンディス・W・アードレーです。キャンディでいいですよ」
キャンディが笑顔を見せると、ピーターの心臓はバクバクを音を立て始め、顔が赤くなった。
”いや〜・・・なんて可愛い笑顔なんだろう・・・”
「俺は、ピーターと呼んで下さい。キャンディだなんて、スウィートな名前ですね。キャンディは、
イギリスの人じゃないよね?」
ピーターはキャンディの発音が少し違う事に気付き質問した。
「くすっ、名前程甘くないんですよ、私・・・。私はアメリカなんですよ」
キャンディはウィンクした。
「くすっ、そうなんだ・・・キャンディは、時々、衛兵交代を見に来てるよね?」
「え?知ってるの?ビックリだわ・・・休みの日は見に行くのよ。とっても素敵だから・・・」
自分の事を言われた訳ではないが、ピーターの顔が、また赤くなった。
「そんな風に衛兵の事を言って貰えると嬉しいね。そうだ、キャンディ、あの衛兵が被ってる帽子は
何の毛か知ってる?」
「え?何かの毛なの?知らないわ・・・」
「くすっ、あれは、熊の毛なんだよ。立派だろ?」
「へぇ〜、凄いのね・・・あんなに沢山の帽子を作るんじゃ、熊が可哀想ね・・・くすっ」
「本当だなっ、くすっ」
ピーターもキャンディも、この時間を楽しいと感じていた。初めて会話をした2人だが、何か通じるものを
お互いが感じていた・・・
「キャンディは、何をやってるの?学生?」
ピーターは、キャンディの事を知りたくなり聞いた。
「私は看護婦よ。トッテナムコートロードにある病院で働いてるの」
「へぇ〜、看護婦かぁ・・・格好いいね。学生かと思ったよ」
「前は学生だったわよ。くすっ」
キャンディが悪戯っぽく笑って続けた。
「聖ポール学院の生徒だったわ・・・アメリカでは看護学生をやってたわ、くすっ」
ポールは聖ポールと聞き、少し驚いた様だ。
「え?聖ポールって、あの聖ポール?そしたら、キャンディは、お嬢様なんだ・・・」
「う〜ん・・・一応、アメリカでは大富豪の家になるわねぇ・・・でも、私は孤児で12歳の時に養女になったの。
だから、そんなにお嬢様じゃないわ。学校に行かせて貰ったりしたけど、今は、アメリカを離れて、ここで働いて
生活してるしねぇ」
キャンディは、少し遠くを見て言った。
「ごめん・・・キャンディ・・・あんまり話したくない事だったよね・・・」
「そんな事ないわよ。アメリカに帰れば、皆が私の事を知ってる、お嬢様になってしまうもの・・・
でも、ここに居たら私は、ただのキャンディよ。くすっ。私は、ただのキャンディで居る事が好きだから、いいのよ」
ピーターは、キャンディの言葉に安心したようだ。
「そっか・・・ただのキャンディかぁ・・・キャンディは、ロンドンに来て長いの?」
「そうでもないわね・・・聖ポールを途中で辞めて、アメリカに帰ったの。そして、ずっとアメリカに居たんだけど
2ヶ月位前にロンドンに来たのよ。聖ポールでは、学院の外に出れなかったから、今は色々街を歩いて
楽しんでいるのよ」
キャンディは、楽しそうに話した。
「ふ〜ん・・・じゃぁ、歩いて無い所を俺が案内してあげようか?」
「え?悪いわ・・・初めて会った方に、そんな事して頂いたら・・・それに勤務明けでしょう?」
キャンディは、こんな昼に仕事が終るなんて、夜勤をして来たのだろうと思ったし、初めて会う男性という事もあり
少し不安もあった。
「俺は、キャンディに会うのは初めてじゃないよ・・・何回も見てる・・・キャンディにしたら初めて会う男だから
不安かなぁ・・・キャンディが不安なら、無理にとは言わないよ。あと、勤務明けの事は、心配ないよ。
昨日は確かに夜勤だったけど、明日は休みだし、こんな時間から寝たら夜中に起きちゃうから、俺は夜勤明けは
夜まで寝ないんだよ」
ピーターは、少し赤い顔をしてウィンクをした。
”なんか、ピーターは信用してもいい感じがするわね・・・信じてみようかしら・・・”
「本当にいいの?・・・そしたら、お願いしようかしら、くすっ」
キャンディは、ピーターには他人とは違う何かを感じていた・・・
「何処が見たい?」
キャンディは、見たい所、行きたい所が沢山あった・・・少し考えてから、一人では行けないと思う所を言った。
「そぉね〜・・・タワーブリッヂとロンドン塔を見てみたいわ」
「よし、じゃぁ、早速チューブに乗って行こうか」
ピーターは優しく包み込む様な笑顔を見せ、立ち上がった。

2人は、チューブでタワーヒル駅まで来ると、少し歩き、タワーブリッヂを見に行った。
”ピーターって、本当に英国紳士って感じねぇ・・・全てレディーファーストだし・・・まぁ、それは、アルバートさんも
アーチーも一緒だけど・・・ピーターは、気遣いも細やかだし、チケット1つ買うにもスマート・・・背も高くて
優しい笑顔・・・こんな人と一緒に過ごせる女性が羨ましいわ・・・ピーターには恋人はいるのかしら?・・・”
キャンディは、ほんの少しピーターと時間を過ごしただけで、ピーターに好意を抱くようになっていた・・・
「今は、跳ね橋が上がりそうにないなぁ・・・跳ね上がった所を見せてあげたかったんだけどなぁ・・・残念・・・」
「いいのよ、いつか見れるわ、きっと・・・」
キャンディは、ピーターを見上げ微笑んだ
”本当に可愛いよなぁ・・・話して落ち着くし、ずっと一緒に居たい気分だよ・・・恋人は居るのかな?
恋人がロンドンに居るから、またロンドンに戻って来たのかなぁ・・・”
「ブリッヂ脇から下に下りてみようか・・・橋全体が綺麗に見えるよ」
2人は橋の脇から川沿いに下り、タワーブリッヂから少し離れた。そこからは、タワーブリッヂの全体が見え
小型の船がタワーブリッヂの下を行き交い、とても素敵な景色にキャンディは、うっとりとしていた・・・
暫く、景色を見た後、ピーターがキャンディに声を掛けた。
「そろそろ、ロンドン塔に行ってみようか。歩いて、すぐだよ。幽霊に会えるかもよ・・・くすっ」
ピーターは、少しふざけて前を見たまま言った。
「え?・・・やっぱり出るの?エドワード5世とか、ヨーク公が殺害されてるんでしょ?」
キャンディは、少し身震いをし、両腕を擦った。
「くすっ、よく知ってるね・・・でも、それだけじゃ無いんだよ。幽閉された人も沢山居るし、処刑されたり・・・
亡くなった人は沢山居るんだよ。特に、アン・ボリーンの霊は良く出るらしいよ。
クィーンズ・ハウスの所で切られた自分の頭を持って立ってるらしいよ・・・」
ピーターは、チラチラとキャンディを見て、笑いを堪えながら話した。
「・・・・・」
キャンディは、怖くなり、歩くペースも落ち、ロンドン塔に行くのを止めようかと思い始めていた。
「くっくっく・・・キャンディ、怖くなっちゃったかい?」
ピーターは、笑いを堪えきれなくなり笑い出した。
「だ、だって・・・そんな幽霊が目の前に出たら・・・行くの止めようかしら・・・」
キャンディは、真剣な顔をしている・・・
「くっくっく・・・大丈夫だよ。俺は何回も行ってるけど、見た事ないよ。今日は、俺も一緒に行くんだし大丈夫だよ。
怖かったら、俺の腕につかまったらいいよ。くすっ」
”そんな事、する訳ないよなぁ・・・でも、俺の腕につかまってくれたら嬉しいな・・・”
「本当に大丈夫よね・・・?私の側から離れないでね・・・」
キャンディは不安そうな目でピーターを見た。
「大丈夫。絶対に俺が側に居るよ。行くかい?」
ピーターの言葉を信じて、見に行こうとキャンディは決めた。
「えぇ・・・一度は見たいと思っていた場所だし・・・せっかくだから行くわ。1人じゃ来れないし・・・」
ピーターは、チケットを買い、2人はロンドン塔の入口へと向かった。
入口を入るとキャンディは、すぐにピーターに言った。
「ピーター・・・いい?」
キャンディが、上目使いに 恥ずかしそうにピーターを見ている。
「何が?」
ピーターは何の事だか分からなかった。
「腕につかまっても、いいかしら・・・?やっぱり怖い感じがして・・・」
「くすっ、いいよ。どうぞっ」
ピーターは腕を少し曲げ、キャンディに差し出した。ピーターの心臓も、キャンディの心臓も壊れそうな位
ドキドキとしていた。
「本当にいいの?知ってる人に見られて、恋人に告げ口されたりしたら、ピーターに迷惑かけちゃうけど・・・」
「そんな心配はいらないよ。俺には恋人なんて居ないからね。逆にキャンディが恋人に見られたら大変だぞ」
キャンディに恋人が居るかどうか、聞けるチャンスが、ピーターに巡ってきた。
「くすっ、私も恋人は居ないから大丈夫よ。じゃぁ、つかまらせて貰うわ。ありがとう・・・
でも・・・へんな噂になっちゃうかもね・・・」
キャンディは、ピーターの腕につかまり、少し悪戯な目でピーターに言った。
「くすっ、そんな噂になったら、俺は嬉しいよ。相手がキャンディだしね・・・」
ピーターは、ウィンクして言ったが・・・自分の言葉が恥ずかしくなり、顔を赤くした。
キャンディも聞き流す事が出来ず、顔が赤くなった・・・
”ピーターには恋人が居ないのね・・・なんだかホッとしたわ・・・”
”キャンディには恋人が居ないのか・・・俺にもチャンスはあるんだよなぁ”
2人は、のんびりとロンドン塔の奥へと続く石畳を歩いた。
キャンディは、ピーターにエスコートされている様な、幸せな気分になっていた。
「キャンディ、あの赤い服を着た人達は、ビフィーターと言ってロンドン塔を案内してくれる人なんだ。
衛兵を引退した人達なんだよ」
ピーターは前方に居る、赤い服を着た年配の男性を見て言った。
「へぇ〜、そうなの・・・とっても素敵な男性ね。とっても優しそうな目をしてるわ・・・」
「キャンディ、少しは怖く無くなった様だね、くすっ」
ピーターは、自分の腕に?まりながら歩くキャンディを見下ろして言った。
「くすっ、そうね。ピーターが側に居てくれるから安心できるわ」
「そうかい?この左側が、クィーンズ・ハウス。アン・ボリーンが良く出る所だけど・・・
キャンディにアンは、見えるかい?」
キャンディは、ピーターの腕にしっかりと?まり言った。
「見えないわ・・・でも・・・怖くなっちゃったわ・・・」
「くすっ、大丈夫だよ。俺が居る・・・さぁ、行こうか」
ブリックタワー近くに居た1人の衛兵が、少し先から歩いて来るピーターを見て、目を丸くした。
「あっ・・・今日、ここの当番はアンディーだったのかぁ・・・」
ピーターがボソッと言った。
「お友達?」
キャンディはピーターを見上げて言った。
「うん、凄く仲良くしてる友達・・・親友だなぁ」
「え?そうなの?」
キャンディは、ピーターの腕から手を離そうとした。
「キャンディ、手を離さなくても大丈夫だよ。手を離したら不安になるだろ?」
「うん・・・でも・・・お友達に見られたら、本当に変な噂になっちゃうわよ・・・」
「いいんだよ、さっきも言っただろ?俺は嬉しいって・・・」
ピーターは、そう言うとキャンディにウィンクして、キャンディの手を抑え、堂々とアンディーの前へ歩いて行った。
そして、衛兵の仕事中のアンディーは、話す事も出来ない為、ピーターはアンディーにウィンクして通り過ぎた。
”ピーターのやつ、いつの間に、あんな可愛い彼女作ったんだ?昨日も話したけど、何も言ってなかったよなぁ・・・
あいつ、俺に内緒にしてたなぁ!勤務中でしゃべれないし!くっそ〜、ピーターに聞きてぇ〜”
アンディーは、目の前を通り過ぎて行くピーターを、ただ見る事しか出来ず、イライラしていた。

2人は、一通りロンドン塔を見て、出口に来ていた。キャンディは、スッとピーターの腕から手を離した。
「ピーター、ありがとう。貴方が居てくれて良かったわ・・・安心して見れたし、色々な事を教えて貰えたわ」
キャンディは、ロンドン塔を見れた事に満足し、目を輝かせて言った。
「喜んで貰えて、俺も嬉しいよ。もう、夕方だなっ・・・もう1箇所、景色の良い所に行こうか。時間は大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。帰っても、どうせ1人だし・・・くすっ」
「キャンディは、1人暮らしか・・・俺と一緒だな」
2人は、タワーヒル駅へ歩きながら話していた・・・
「ピーターも1人暮らしなの?」
「うん、俺の実家は、マンチェスターなんだ。知ってる?
マンチェスターから通えないから、ロンドンで1人暮らしなんだ」
「へぇ〜・・・そうなの・・・」