いんすぴれ〜しょん
1
春の暖かい日差し・・・爽やかな風・・・今年も春がポニーの丘にやってきた。
ポニーの丘の木の下で、木洩れ日を全身に浴び、本を読む女性・・・
キャンディス・W・アードレーが居た。
キャンディがポニーの家に戻って来て、2年の月日が過ぎていた。
キャンディはポニーの家に戻ってきてから半年は、ポニーの家で手伝いをしながら
看護婦の仕事をしていたが、ポニー先生とレイン先生の勧めもあり、ポニーの家を出て
1人でアパートを借りて生活をしていた。
ポニー先生とレイン先生は、キャンディにはポニーの家に縛られる事なく、キャンディらしい
生活、人生を歩んで欲しいと思い、1人暮らしを勧めたのだった。キャンディにも先生達の
考えは手に取るように分かったので、キャンディは休日だけポニーの家を訪れる様になった。
今日は、その休日で、子供達が昼寝の時間になり、キャンディは1人ポニーの丘に来て
自分の好きな場所で、自分の好きな時間を過ごしていたのだった。
キャンディの勤める病院は、グロスター病院といい、内科・外科・小児科の病院で
入院施設は無かった。職員は各科の先生と看護婦が8人、受付2人という小規模な
病院にキャンディは勤めていた。小規模な病院という事もあり、職員全員が仲良く
ほのぼのとした雰囲気があり、患者には温かみのある病院と評判が良く、毎日沢山の
患者が訪れていた。
キャンディは、外科の看護婦としての技術を身につけていた為、グロスター病院でも
外科の看護婦として働いていた。ポニーの家に戻って来てからの2年間は、気ままに
生活していたキャンディなので、まだ恋人が居なかった・・・5月で21歳になるというのに・・・
キャンディの周りの人々の環境は、この2年間で少しずつ変わっていた。
アルバートさんには、アデラという恋人が出来、アーチーは、アニーと別れ、エレンという
恋人が出来た。アニーは両親の持ってきた縁談で、素敵な自動車メカニックと巡り合い
結婚をした。パティーはシカゴ大学に入学し、教師を目指し勉強中。テリィとスザナは
無事結婚し、テリィはストラットフォード劇団の不動の看板役者となっていた。
3月の終わり、今まで外科を担当していた医師が辞め、4月からフレデリック・ハットンという
27歳の若い医師が来た。全体朝礼で挨拶をした後、それぞれの診察室に入って行った。
「はじめまして、フレデリック・ハットンです。よろしくお願いします」
「はじめまして、キャンディス・W・アードレーです。よろしくお願いします」
2人は、笑顔で初対面の挨拶を済ますと、すぐに診察時間となってしまった為、ぎこちなさを
残したまま午前中の診察をこなしていた。
患者が多かった為、午前の診察が終わる頃には昼を過ぎ・・・診察が終るとキャンディが声をかけた。
「ハットン先生、お昼を食べに行きませんか?」
「いいですね、キャンディスさん、良い店を知ってますか?」
「はい、私の良く行く喫茶店で良ければ・・・」
キャンディは、とびっきりの笑顔で言い、2人は喫茶店へと出掛けた。
フレデリック・ハットンは背が高く、スリムで顔立ちも整ったハンサムな青年だった。
”ハットン先生は、モテるんだろうなぁ・・・”
”キャンディスさんは、可愛いな・・・こんな妹が居たらなぁ”
2人はお互いを見て、それぞれの想いがあったようだ。
注文をすると、2人は話し始めた。
「キャンディスさん、この病院は長く働いているんですか?」
「いいえ、私は2年しか働いていません。まだまだ先輩方には及びません、くすっ」
「そうなんですか・・・でも、2年居たら充分ですよ。キャンディスさんは、何処か大きな病院で
働いていたんですか?」
キャンディの仕事振りを見て疑問に思い、ハットン先生は聞いた
「はい・・・シカゴの大きな病院に居ました」
”何で、大きな病院に居たかなんて聞くんだろう・・・?”
「やっぱり、そうか・・・。キャンディスさんの仕事振りは、忙しい大きな病院に居た感じが
したんですよ。使う道具も何も言わなくても出してくれるし・・・」
「え?そうですか?なんか嬉しいですね。」
キャンディは、嬉しそうに微笑んだ
「キャンディスさん、歳を聞いてもいいですか?俺・・・いや、僕は27歳なんです」
「くすっ、いつも通り話して下さって大丈夫ですよ。私は、もうすぐ21歳になるんですよ」
キャンディは、気を使っているハットン先生を見て笑った
「いいかい?普通に話しても・・・くすっ。初日だからと思っていたんだけど、使い慣れない
言葉で疲れちゃって・・・くすっ。キャンディスさんとは、普通に話させて貰うよ。
キャンディスさんは、21歳なんだ・・・もう少し下かと思ってたよ」
「よく年齢より下に見られるんです・・・老けて見られるよりいいかなぁと思ってるんですよ。
先生、私の事をキャンディと呼んで頂けますか?キャンディスさんと呼ばれるとムズムズ
してしまって・・・くすっ」
キャンディは、微笑んだ
「くすっ、わかったよ。キャンディと呼ばせて貰うよ。俺も気楽になったよ。
俺にも敬語使わなくていいよ。俺の事はフレッドと呼んで貰えると嬉しいな・・・」
フレッドも微笑んだ
「私は病院では、フレッドなんて呼べないわぁ、くすっ。ハットン先生と呼ぶわ」
”フレッドなんて呼んだら、皆に睨まれてしまいそうだわ・・・”
「そうか・・・そしたら、病院出たらフレッドと呼んでくれるかい?」
「わかったわ。そうさせて頂きます、くすっ」
2人はウェイターが運んで来た物を食べながら、病院の事、私生活など、休憩時間一杯
話し、休憩時間が終る少し前に店を出て、病院へと戻って行った。
キャンディとフレッドは、休憩時間や、患者の居ない時間にも沢山会話をし、兄と妹の様に
仲良くなっていた。2人は兄妹の気分で居たが、周りの人達には兄妹というよりも
恋人同士の様に見えて居た様だ。その為、フレッドに近付く女性は居なかった・・・
実はフレッドには、既に恋人が居る事を皆は知らなかったので、キャンディが恋人だと
周りの女性達は思い込んでいた。そんな状況をキャンディとフレッドは楽しんでもいた。
キャンディは、フレッドには恋人が居る事は知っていたので、自分が恋人と勘違いされて
いる事が面白くて、あえて否定もしなかった。
数ヶ月が過ぎ、8月半ば・・・フレッドがキャンディに言った。
「ねぇ、キャンディ。今度の休み、俺ん家に遊びに来ないか?俺の恋人のカレンも来るし、
弟達も戻ってきてるんだよ。どお?」
「本当?行ってもいいの?是非お邪魔したいわ・・・」
キャンディは目を輝かせ喜んでいた。
そして休日・・・昼を過ぎると、フレッドが車でキャンディを迎えに来てくれた。
フレッドの家は、キャンディのアパートから車で15分程の所にあり、それなりに大きな家と
庭があり、木々も生い茂り、キャンディは登り易そうな木を見つけていた・・・
「ただいま。キャンディを連れて来たよ」
フレッドは、ドアを開けるとすぐに言った。
フレッドの声を聞き、フレッドの母・アンと、フレッドの父・バックが来た。
「あら、貴女がキャンディね。よく来てくれたわね、会えて嬉しいわ。よくフレッドがキャンディの
話をしてくれるのよ」
アンは、とても嬉しそうにキャンディを迎え入れ、アンの後ろではバックがニコニコしていた。
「はじめまして、キャンディスです。いつもフレデリックさんには、お世話になっております。
これは、私が作ったパイです、お口に合うかわかりませんが・・・」
キャンディは、ダグに教えて貰ったパイを焼き、手土産として持ってきていた。
”キャンディって、しっかりした挨拶するんだな・・・ビックリだな・・・”
フレッドは、挨拶する時のキャンディは、いつものキャンディとは雰囲気が違う感じがしていた
キャンディは、気付いていなかったが、アードレー家の養女として受けた教育のお陰で
キャンディは、品というものが身につき、挨拶も年齢の割には、しっかりしていた様だ・・・
「まぁ、ありがとう。後で皆で食べましょうね。さぁ、入って、入って」
キャンディはアンに背中を押され、リビングに通された。リビングには、フレッドの恋人
カレンと、フレッドの2人の弟が居た。
フレッドも背が高いが、すぐ下の弟と思われる青年は、フレッドよりも背が高く、とっても
ハンサムだった。もう1人の弟も背は高く、とても優しい笑みを浮かべるハンサムな青年だった。
フレッドの恋人カレンは、ショートヘアーの似合う笑顔のとてもチャーミングな女性だった。
「キャンディ、彼女が俺の恋人のカレン、その向かいに居るのが、俺の下の弟ギルバート。
今は弁護士になる為に、シカゴのロースクールに通ってるんだ。その隣が一番下の弟で
ホリス。シカゴ大学に通ってるんだよ」
フレッドが皆をキャンディに紹介し、キャンディも挨拶をした。ギルバートは一目見て
キャンディを気に入り、少し顔を赤くしていた。フレッドはギルバートの心に気付きニヤリと笑った。
キャンディとカレンは、すぐに意気投合し、前から友達だったかのように仲良くなっていた。
そこにアンも加わり、女性同士の会話は途切れる事がなく、アンは、キャンディとカレンを
とても気に入った様だった。
”カレンは、フレッドの彼女・・・キャンディも弟どちらかの彼女になってくれないかしら・・・”
女性3人が盛り上がっている時、ギルバートがフレッドに聞いた。
「フレッド、キャンディさんって、何をやっていて、何歳なの?」
「え?そんなの自分で聞けよ」
フレッドは、ギルバートの気持ちに気付いていたので、楽しんでいた
「教えてくれてもいいだろ?俺は話した事もないんだし・・・」
ギルバートは、兄の態度に少しムッとし、フレッドは、ニヤリと笑って言った
「話せばいいじゃん。キャンディ、ちょっと こっちに来てよ」
フレッドは、キャンディを呼び、心の準備も出来ていなかったギルバートは慌てた・・・
「ちょ、ちょっと、フレッド・・・」
「くっくっく・・・照れるなよ。来た来た、キャンディ、ギブ・・・ギルバートが話したいって、くすっ」
フレッドは楽しそうに言い、フレッドとバックは、カレンとアンの居るソファーへ移動した。
この場に残ったのは、キャンディとギルバートとホリスだった。
「あっ・・・ごめんね。フレッドが呼んじゃって・・・座って・・・何か飲みますか?」
ギルバートは緊張して、何を話しているのか全く分からなくなっていた
「え・・・いえ、気になさらないで下さい・・・紅茶を頂けますか?」
キャンディも緊張していた・・・空いてるイスにちょこんと座り、どうしたらいいものか
1人考えていたところに、ギルバートがキャンディの前に紅茶を置いた。
キャンディは礼を言うと、紅茶を一口飲み、気持ちを落ち着かせた・・・紅茶を出してくれた
ギルバートも落ち着かせる為、紅茶を飲んでいた。ホリスは、そんなギルバートを見て
ようやくギルバートの気持ちに気付いたようだ。
「キャンディさんは、フレッドの友達なんですか?」
ギルバートは緊張しながらも、どうにか話しかけた
「いえ・・・友達というか、同僚です・・・」
紅茶を飲み、少し落ち着いたキャンディが答えた
「え?じゃあ、病院で働いているんですか?」
「はい・・・私は看護婦なんです・・・」
「え?看護婦なの?かっこいいなぁ・・・キャンディさん、何歳なの?」
ホリスはキャンディを、尊敬の眼差しで見て、ニコニコして話してきた
「私は、21歳です」
「本当?俺と一緒だよ。俺は今年22歳になるけどね」
ホリスはキャンディにウィンクした
「そうなんですか?私は、この前、21歳になったんです。私の方が1つ下なんですね。
ギルバートさんは、おいくつなんですか?」
キャンディは、ホリスのおかげで緊張も解け、笑顔を見せた。
その笑顔にギルバートはドキドキしていた
「あっ・・・俺は24歳になったんだ・・・」
ギルバートは、心臓が口から出そうだ・・・と思いながら、やっと答えた。
ホリスは、そんな兄を見て微笑み、フレッドの方を見ると、フレッドはホリスに合図を
送っていた。それに気付いたホリスは自分のカップを持ち席を立って言った。
「ちょっと、フレッドと話があるから、あっちに行ってくるね・・・」
フレッドとホリスの配慮により、ギルバートはキャンディと2人になれたが、なかなか話す
事が出来なかった。
”このままじゃダメだ・・・何か話さないと・・・”
ギルバートは、何を話せばいいのか考え、やっと質問を見つけ、キャンディに話し掛けた。
「キャンディさんは、何科の看護婦なんですか?」
「私は外科です。いつもフレッドと同じ診察室に居るんですよ」
「そうなんですか・・・看護婦は大変ですよね?」
「そうですね・・・大変ですけど、とっても楽しいですよ。私は、この仕事が大好きなんです。
ギルバートさんは、弁護士になるんですか?」
キャンディは、ギルバートを覗き込む様にして言った
「はい、その為に今、勉強中です・・・ロースクール2年が、この前終ったので、あと1年
通って、どこの州の弁護士試験でも受けれる様にしたいと思っているんです」
ギルバートは覗き込まれ、顔を赤くしていたが、自分の夢である弁護士の話になると
目を輝かせて話した
「へぇ〜、凄いですね・・・偉いわね〜。私、弁護士の事とか全く分からないんですけど、
きっと沢山勉強してるんでしょうね・・・」
キャンディがギルバートを見て言うと、ギルバートは嬉しそうに微笑んだ
「偉くはないんだけど・・・自分の夢の為に頑張ってるだけなんです・・・
あの・・・嫌じゃなかったら、俺・・・僕の事、ギブと呼んで、敬語使わないで貰えますか?」
ギブが恥ずかしそうに言った
「くすっ、嫌じゃないわよ。じゃあ、嫌じゃなかったら、私の事、キャンディと呼んで、
敬語を使わない貰えますか?」
キャンディがニコニコしてギブに言った
「くすっ、嫌じゃないよ。良かったよ・・・普通に話せる様になって・・・」
ギブもキャンディに笑顔を見せて言った
”キャンディと普通に話せる様になって、良かったよ・・・とっても可愛い子だよなぁ。
恋人や好きな人は居るのかな?・・・まだ、そんな事、聞けないよなぁ。フレッドに聞いても
教えてくれないだろうしな・・・なんか、俺、キャンディと結婚しそうな気がするんだよなぁ・・・
何で、こんな風に思うんだろう・・・こんな気持ちになるの初めてだよ、おかしくなったかな?”
「さぁ、さぁ、皆、キャンディが作って来てくれたパイを食べて、お茶にしましょう」
アンがキャンディの作ってきたパイをカットし、運んで来て言った
「え?キャンディさんが作ってきてくれたの?」
ホリスが嬉しそうに覗き込んで言った
「ホリスさん、私の事は、キャンディと呼んで下さいね。くすっ。そのパイは、知り合いの
コックに昔、教えてもらったの。美味しく出来てるといいんだけど・・・」
キャンディはホリスに笑顔を見せたあと、少し不安げな顔をした
「くすっ、俺の事もホリスでいいよ、キャンディ。早く食べようよ」
パイは、皆に配られ、皆は喜んで食べてくれた。ギブに至っては幸せそうに食べていた・・・
皆の美味しそうに食べている顔を見て、キャンディはホッとしていた。
「キャンディ、とっても美味しいわよ。今度、私に教えてくれる?」
カレンがキャンディに言った
「えぇ、いいわよ。このパイは、何度も作ってるから、教えてあげれるわよ」
キャンディは、カレンにウィンクし、微笑んだ
「キャンディは、1人暮らししてるから、料理も出来るんだろ?」
フレッドがパイを食べながら言った
「うん・・・そこそこね。作らないと食べれないし・・・くすっ。ギブとホリスはシカゴで
1人暮らししているの?」
「俺は、大学の寮に入ってて、ギブは、食事付きの下宿なんだ」
ホリスがキャンディの質問に答えた
「へぇ〜・・・シカゴのどの辺りに住んでるの?」
キャンディがホリスに聞いた
「俺はシカゴ大学のすぐ近くだよ」
「ふ〜ん。私の友達がシカゴ大学に通ってるのよ。教師を目指して勉強してるわ」
「え?教師を目指してるの?その友達って、女の子?」
ホリスはキャンディの友達に興味を持ち聞いてきた。
その質問に、ギブはドキドキしていた。男だったら、どうしようかと・・・
「えぇ、私と同じ歳の女の子よ」
キャンディはホリスにニコッと笑顔で答え、ギブはホッと胸を撫で下ろした。
「本当?今度紹介してよ、キャンディ」
ホリスの目が輝いている
「くすっ、いいわよ。今度、私がシカゴに行った時にでも・・・」
キャンディがウィンクして言った
「しょうがないなぁ、ホリスは・・・こいつ彼女が居ないから頼むよ、キャンディ。キャンディ、
シカゴへは、よく行くの?」
フレッドがキャンディの口からシカゴへ行くと聞き、少し疑問に思った。
「えぇ、シカゴは良く行くわ。長期の休みとか、用事があって呼ばれたりして行くわ。
だから、シカゴは結構詳しいのよ、くすっ。ギブは、どの辺りに住んでるの?」
キャンディはアードレー家の事には触れず、話を戻した
「俺は、アードレー銀行本店の近くなんだ。知ってる?」
ギブがキャンディに話しかけて貰え、嬉しそうに答えた
「えぇ、知ってるわ。池に橋の架かった、大きな公園があるわよね?」
「うん、あるある。その公園のすぐ近くなんだ。本当に詳しいんだな・・・」
「くすっ、あの公園は、よく時間潰しに行くの。リスに餌をあげて、ボーッとしてるのよ」
「あの公園で、そんな事してるんだ・・・面白いね、キャンディは・・・」
ギブは、益々キャンディの魅力にハマっていった
夕方になり、そろそろ帰る時間となった
「俺は、カレンを送りに行くから、ギブはキャンディを頼んだよ。いいだろ?ギブ」
フレッドはギブにウィンクして言い、ギブは赤い顔をして頷いた
キャンディは、アンとバックに挨拶をし、ギブの車でアパートまで来た
「ギブ、ありがとう。今日は、とっても楽しかったわ」
キャンディが、とびっきりの笑顔を見せると、ギブの心臓はバクバクと音をたてた
「俺も楽しかったよ、キャンディ。美味しいパイも頂いたし、ありがとう。
・・・また・・・実家でもいいし、シカゴでもいいから、俺と会って貰えるかな?」
ギブは両手に汗をかき、勇気を振り絞りキャンディに言った。
言われたキャンディもドキドキし始めていた
「えぇ・・・いいわよ・・・10月に、お休みを貰ってシカゴへ行くの。その時でもいいかしら?」
キャンディもドキドキしながら、少し頬を赤らめて言った
「本当に?本当に俺と会ってくれるの?」
ギブは目を輝かせ、とても嬉しそうに言った
「くすっ、本当よ。10月2日〜9日までシカゴに行くの。ギブの時間の取れる日はある?」
キャンディは、とても喜んでくれているギブを見て、少し可笑しくなり笑った
ギブは、スケジュール帳を出した
「夕方は全部空いてるし・・・5・6日は土日だから、1日空いてるよ」
「そぉ・・・そしたら、4日の夜、シカゴ大学の友達と食事の約束をしているから、ホリスも
一緒に4人で食事しない?ホリスに私の友達も紹介できるし・・・」
キャンディは4日の夜は、パティーと約束をしていたので、ギブとホリスも誘って、
皆で食事を楽しもうと考えた。その日は、パティーの部屋に泊まる事にもなっていたので
ゆっくりと楽しめると思っていたのだ。
「え?うん・・・いいよ・・・」
ギブはホリスも一緒と言われ、少し残念に思っていた
”やっぱり、キャンディと2人で会うなんて、無理だよな・・・”
「それで、5日の日は、何処かで遊べるのかしら?」
キャンディは、ギブを下から覗き込み、笑顔を見せた。
ギブは、キャンディの言葉に驚き、キャンディの可愛い笑顔にドキドキしていた。
「え?5日も俺と会ってくれるの?」
「くすっ、私は時間があるけど、ギブは?」
「俺は、たっぷりあるよ、くすっ」
「やっと笑顔を見せてくれたわね。4日の夜は、友達の部屋に泊まる事になってるの。
そのまま5日の夜まで、私は時間があるわ。さっき、私はギブと約束したでしょ?
ギブと会うって・・・くすっ」
キャンディは、楽しそうにギブに言った
「うん・・・俺と会うって言っても、ホリスも一緒かと思ったから・・・」
ギブは少し下を向いて言った
「ホリスも一緒の方がいい?」
「あいつは、居ないほうがいいなぁ、くすっ。キャンディが俺と2人で会ってくれるなら、
俺は、凄く嬉しいよ」
ギブは顔を上げ、キャンディに笑顔を見せてウィンクした。
「良かったわ・・・じゃあ、10月4日と5日ね。4日の時間と場所は、どうやって連絡したら
いいかしら?フレッドに伝えたら、連絡してくれるのかしら?」
「フレッドなんかに、伝えたら煩いからダメだよ、くすっ。俺の電話番号書くから、そこに
連絡くれる?ホリスには俺から連絡するから・・・」
ギブはサラサラっと、電話番号を書き、キャンディに渡した
「じゃあ、連絡するわね。今日は、ありがとう。気をつけて帰ってね」
キャンディが笑顔で言うと・・・
「うん、ありがとう。10月に会えるのを楽しみにしてるよ」
ギブは車に乗り込み、自宅へと帰って行った
”なんて、ラッキーな1日だったんだろう・・・フレッドが連れてきてくれたキャンディは、
とっても可愛くて、明るくて、優しい・・・シカゴで会う約束までしてくれた、それも2人で・・・
このままキャンディを彼女に出来たら、どんなに幸せだろうか・・・今日キャンディに初めて
会って感じた感覚・・・現実になるといいなぁ・・・”
”ギブって、とっても素敵だわぁ・・・背も高いし、とってもハンサムで、優しい男性だわ。
あんな素敵な人なら、恋人は居るわよね・・・でも、私と会ってくれるって事は、恋人が
居ないのかしら?・・・なんか、ギブは一生のパートナーの様な感じがする・・・
こんな気持ちになるのは、初めてだわ・・・”
ギブが家に帰ると、既にフレッドはカレンを送って家で寛いでいた。ギブが家に入ると
フレッドとホリスはニヤニヤとし、帰りが遅かった事を問い詰め喜んでいた。
ギブはシカゴで会う約束・・・それも4日の事だけを2人に話した。ホリスも10月に
キャンディの友達を紹介して貰えると、既にウキウキとしていた。
休日明け・・・
「フレッド、この前は、お邪魔しました。とっても楽しかったわ」
「僕達の方こそ楽しませて貰ったよ。美味しいパイも頂けたしね。10月にシカゴでギブと
ホリスに会うんだって?2人とも楽しみにしてたぞ」
「本当?私も楽しみにしてるのよ」
キャンディはフレッドにウィンクした
「そっか。ホリスなんて、キャンディの友達を気に入ったら、すぐ彼女にしそうだな、くすっ」
フレッドは昨晩のホリスの喜び様を思い出し笑っていた
「そうなの?私の友達も彼氏居ないから、ちょうどいいかも・・・くすっ」
キャンディは、ギブに彼女が居るのか聞きたいと思ったが、聞くのが怖くてためらった・・・
「うまくいくといいなっ。ついでに、ギブにも彼女が出来るといいんだけどなぁ・・・」
フレッドが、チラッとキャンディを見た後、窓の外を見て言った
「え?ギブには彼女いないの?背も高くて、あんなにハンサムなのに?」
キャンディは少し驚きながらも、ホッとしていた
「そうなんだよ・・・あいつ今まで、彼女が居た事ないんだよ。不思議だよなぁ・・・
きっと、あいつの好みに合う子が、居なかったんだと思うんだけどな」
フレッドが言うと、診察開始のメロディが鳴り、2人は仕事にとりかかった
”ギブには彼女が居ないなんて・・・私は、この前感じた感覚を信じてみようかしら・・・
でも、ギブにとって私は、ただの友達・・・お兄さんの同僚かも知れないわね・・・
ギブと同じ時間を過ごしたいわ・・・”