6カ国協議について


 韓国映画『ロスト・メモリーズ』を見ました。ここでは、安重根が伊藤博文の暗殺に失敗したことが原因で、第二次大戦で日本はアメリカと同盟を結び、韓国を併合したまま、現在に至ってしまうという設定が描かれる。実際は、穏健派であった伊藤博文の暗殺は日韓併合を早めてしまった。それによって第二次大戦で日本が勝利者側に入ることはほとんど関係無いと考えられるが、今の日韓の一部の国民感情の悪化と、韓国のアメリカへの猜疑心をよく表した設定だ。

 逆に日本がハルノートを承諾していたら、とりあえず第二次大戦は併合のまま終了するだろうが、その後朝鮮半島は統一したまま独立出来たのではないかと思う。この映画では安重根のおかげで朝鮮は無くならなかったとしているが、現在の祖国分裂の問題には触れていない。

 朝鮮半島の分裂の責任の一番はソ連のスターリンにある。抗日運動の伝説的英雄、金日成の名を語る人間(※1)と共に38度線まで進入したことが祖国分裂の第一原因だ。朝鮮戦争で言えば、中国とアメリカにも責任があるだろう。そして、私は日本も責任があると考える。

 『国士 内田良平』(※2)を最近私は読んだ。内田良平の生涯は大陸浪人という在野の立場から日清戦争から満州事変までの日本の大陸進出を体現した生涯だった。日本の大陸進出の大義について、日本はさんざん朝鮮と中国の近代化を待っていたが、もはや待つことはできず、欧米の植民地化を防ぐためには、日本が盟主となってアジア連邦を作り、日本がアジアを守るという趣旨を語っている。満州事変の前段階を作った人でもある。しかし、守るために朝鮮を併合したならば、結局日本はその責任を果たせなかったことになる。私は朝鮮民族の祖国分断について日本の責任は大きいと考える。

 ということで6カ国協議に参加する国々は実は朝鮮民族の分断にそれぞれ責任のある国だと言える。北朝鮮を引きずり出すには中国が主導になってもなかなか難しいという現状になっている。そして、かっての敵だった韓国の方が北朝鮮に踊らされがちに説得しているという状態だ。この際、6カ国協議を朝鮮半島の統一をベースにしてみてはどうだろう。時間は長くかかるかもしれないが、北朝鮮の民主化にはもっとも近道なのではないだろうか。

 拉致問題の解決はあの嘘で塗り固めた国を嘘のつけない国に変えない限り、解決できない。『金日成は4人いた』(※3)によると戦前、朝鮮半島に名をはせた本物の金日成は日本陸軍士官卒で1920年代に満州で活躍した人物らしい。しかし、満州事変に伴う朝鮮民族の抗日運動に名が出てこないためにその後の消息が不明だという。それから金日成の名を名乗る人物は他に3人いたらしい。北朝鮮の金日成はその著者が認める4人の金日成に入っていない偽の金日成だ。民主的に朝鮮半島が統一できれば隠蔽された本物の金日成の足取りも出てくるかもしれない。

 昨今では『マンガ嫌韓流』などという漫画も売られ、日韓併合を賞賛し、従軍慰安婦などでたらめだと韓国との対立を煽る論調ばかり出てくる。中国に対しても同様だ。1995年に政治家江藤隆美氏が「日本は朝鮮統治時代にいいこともしたんだよ」と発言し、大ブーイングされたが、その時代と今はネガとポジが逆転しただけでまったくいい方向に進んでいない。内田良平は東学党の一派である一進会と組んで日韓の合邦を目指した。一進会は両班と言われる貴族階級主体ではなく、農民が主体だった。このような封建的階級社会を近代化させるには日本の力で近代化させるしかないと考えた。結果、「合邦」ではなく日本による「併合」になってしまった。これには内田良平も抗議したという。現在、北朝鮮は李氏朝鮮の封建的階級社会をそのまま残した国になり、韓国は先進国になった。このように日韓併合にいいところもあったのかもしれないが、悪いところに目をつぶりに韓国を責めるのはどうかと思う。

 NHKで今月イスラエルの入植地の様子を移していて、入植者はガザの撤退を批判し、ユダヤ人とパレスチナ人は互いに妥協はできないと言っていた。一神教の恐ろしい世界観をみせつけられたが、我々はそこまで憎み合う仲なのだろうか。日本の戦前の大義は朝鮮と中国は自立できずに欧米の植民地化の餌食になるといるから日本が盟主となるアジア主義が必要だとのことだった。そのために同じアジア同胞同士の戦いも起きてしまったわけだが、その論理でいくならば中国を独立させ、世界の強国にした中国共産党の革命は歓迎すべきことではないだろうか。人口的に見ても中国が主導するアジア主義でもいいと思う。しかし、それには近隣諸国や自国内の漢民族以外の民族、そして台湾の本省人に対して、もっと徳をもって応える国になってもらわなければいけないが。国民党は日本のb,c級戦犯に対して苛烈な処刑を行ったが、八路軍はそんな日本軍の捕虜にも寛大だったという。そんな中国共産党であればできないことは無いと思う。ともあれ、日中韓の関係は他の勢力による分断政策につけ込まれるようなくだらない諍いをしている時ではなく、孫文の言ったアジア王道を実現させる時に来ている。


※1 李命英『金日成は四人いた』成甲書房参照
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※2 監修代表/中村武彦『国士 内田良平』展転社参照
朝鮮、中国の革命を支援し、日清戦争から満州事変まで日本の大陸進出を体現した内田良平については、また、別途書きたいと思う。
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※3 ※1と同様、李命英『金日成は四人いた』成甲書房参照
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H17.10.24

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